体が鉛のように重いときは睡眠不足が原因⁉考えられる病気や対処法を徹底解説!
体が鉛のように重いとき、身体はどんなサインを発信しているのでしょうか?ここではMedicalDoc監修医が体が重い・だるい症状で考えられる病気や何科へ受診すべきかなどを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。
監修医師:
村上 友太(東京予防クリニック)
脳神経外科専門医、脳卒中専門医、抗加齢医学専門医。日本認知症学会、日本内科学会などの各会員。
「体が鉛のように重い」症状で考えられる病気と対処法
体が鉛のように重いとは、全身倦怠感の症状を示す言葉と考えられます。このような症状をきたす病気は多く、肝臓病、内分泌疾患、糖尿病、悪性腫瘍、栄養不足、低血圧、貧血、ストレス、精神疾患などが挙げられます。どの病気であるかは、診察と血液検査や画像検査などの検査結果などから診断されるでしょう。
体が鉛のように重い症状をきたす原因や病気、対処法などについて解説します。
体が鉛のように重い症状の原因と対処法
体が鉛のように重い、倦怠感があるという症状を指します。このような場合、考えられる原因はさまざまありますが、ここでは肝臓の病気について説明します。
肝臓は、栄養分を取り込み体に必要な成分に変えたり、有害物質の解毒や排出などの役割を果たしています。糖分や脂質の摂りすぎ、アルコールの飲みすぎなどは肝臓に負担をかけ、病気を引き起こすことが知られています。肝臓の病気には、肝炎、肝硬変、肝臓がんなどがあります。
肝炎(かんえん)
肝炎は、肝臓にウイルスなどが原因で炎症が起こる病気で、体が重いような全身倦怠感のほか、発熱や黄疸などの症状が見られます。肝炎が重症化すると、肝硬変や肝臓がんになることもあり、早めの発見・治療が大切です。肝臓の病気の三大症状は、だるい、足がつる、体がかゆいというものです。このような症状が現れた場合には肝臓の病気の可能性を考え、内科や消化器内科を受診しましょう。
体が鉛のように重くてめまい・貧血症状がある場合の原因と対処法
体が鉛のように重く、めまい、立ちくらみ、息切れ、ふらつき、頭痛などの症状が見られることがあります。このような場合、貧血などが疑われます。
ふらつきを感じた時は、すぐにその場でしゃがむことが大切です。また、貧血症状を起こしやすい人は、日頃からタンパク質や鉄分を多く含む食品を摂るよう心がけましょう。
貧血(ひんけつ)
貧血が起こる原因は、鉄やビタミンなどの栄養不足、がんなどが疑われます。鉄が不足して起こる鉄欠乏性貧血の場合は、爪が反り返るスプーン爪、舌炎、口角炎などの症状が現れることもあります。鉄不足の原因としては、偏食や胃腸切除などによる吸収低下、月経、妊娠、授乳などが挙げられます。めまいや立ちくらみを何度も経験する場合には、早めに内科を受診して原因を調べましょう。
体が鉛のように重くて眠い症状の原因と対処法
体が鉛のように重く、眠気を伴うことがあります。このような場合、睡眠不足による疲れや、睡眠時無呼吸症候群などが疑われます。
睡眠時無呼吸症候群
睡眠時無呼吸症候群とは、睡眠中に何度も呼吸が止まったり、呼吸が浅くなったりしてしまう病気です。睡眠中に喉の緊張が緩み下の付け根が下に落ち込み、空気の通りが妨げられ、無呼吸や断続的に空気が通るいびきが出る状態になるものです。起床時の頭痛、倦怠感、日中の眠気、いびき、睡眠中によく目がさめるなどの症状が現れることもあります。すぐできる対処法は、寝るときの姿勢を仰向けではなく横向き(側臥位)にして寝て見ましょう。横向きの方が空気の通り道が狭くなりにくくなります。また、アルコールを控え、肥満の方は減量することが重要です。日中の眠気は事故につながり大変危険ですので、早めに内科、循環器内科、呼吸器内科を受診することをお勧めします。
朝起きたら体が鉛のように重くてだるい症状の原因と対処法
朝起きたら体が鉛のように重くだるい、起きられないという症状が当てはまります。また、頭痛や動悸、めまい、立ちくらみなどがある場合もあります。このような場合、睡眠不足による疲れや、起立性調節障害などが疑われます。
起立性調節障害(きりつせいちょうせつしょうがい)
起立性調節障害は、思春期前後の小児に多くみられる自律神経の機能障害です。朝なかなか起きられないことやだるさの訴えがあり、午後からは体調が良くなり、夜寝付けないという症状も見られます。水分をしっかりとることやゆっくり立ち上がること、早寝早起きなどの生活のリズムを整えること、毎日運動を心掛けるなどの対処法で症状が緩和できます。それでも改善できない際には、内科や小児科を受診しましょう。
すぐに病院へ行くべき「体が鉛のように重い」に関する症状
ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。
動悸や息切れを感じる場合は、循環器内科へ
体が鉛のように重い、動悸や息切れがあるのがこの症状の特徴です。このような場合、心不全の可能性が疑われます。
心不全(しんふぜん)は、心臓の機能が弱った結果、十分な血液が行き届かなくなり動悸や息切れ、呼吸困難、むくみなどの症状を引き起こします。しかし、高齢者ははっきりと症状が現れにくいことがあり、体が重い、だるい、などの症状が主になることもあります。心臓の機能が弱っていくこの病気は生命の維持に直結しますので、少しでも疑わしい場合は循環器内科を受診しましょう。
「体が鉛のように重い」症状が特徴的な病気・疾患
ここではMedical DOC監修医が、「体が鉛のように重い」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。
甲状腺機能低下症
強い倦怠感や眠気、無気力、疲労感、むくみ、記憶力低下などの症状が見られる場合には、甲状腺機能低下症などが疑われます。
甲状腺ホルモンは、心臓や肝臓、腎臓、脳など体のいろいろな臓器に作用して、身体の新陳代謝を盛んにするという大切な働きをしています。甲状腺機能低下症とは、血中の甲状腺ホルモン作用が低下した状態であるため、一言で言えば元気がなくなります。
甲状腺機能低下症が悪化すると意識障害をきたします。また、妊娠の成立や維持、子供の成長や発達に重要なホルモンなので、しっかりと治療する必要があります。いくつか疑わしい症状がある場合には、内科を受診しましょう。
自律神経失調症
自律神経失調症は、身体のさまざまな機能を無意識に調整する自律神経がうまく働かなくなる状態を指します。
自律神経は交感神経と副交感神経の2つから構成されていますが、ストレスや生活習慣の乱れなどが原因でバランスが崩れると、強い倦怠感や動悸、めまい、冷え、胃腸の不調、不安感など、身体面及び精神面でのさまざまな症状が出現します。
症状は個人によって異なり、身体的な病変が見つからず、明らかな精神障害がない場合に診断されます。生活習慣の改善やストレス管理が治療の中心となるため、薬物治療も行うことがありますが、適切な休息、規則正しい生活、運動、リラクゼーションが重要です。
「体が鉛のように重い」ときに気をつけたい生活習慣
体が鉛のように重いほどだるさがある場合には、生活リズムが悪く睡眠不足になっていることや起立性調節障害のような自律神経の機能障害をきたしていることを考慮します。
オススメの生活習慣としては、まずは早寝早起きなどの生活のリズムを整えること、毎日運動を心掛けるなどの対処法が有用です。起き上がった際に立ちくらむことを予防するために、ゆっくり立ち上がることや水分をしっかりとることなども大事な習慣です。
また、食生活では、タンパク質やミネラルをしっかり摂ることが大切です。タンパク質は肉類、魚類、納豆などの大豆食品に、ミネラルは野菜や海藻類などに多く含まれます。また、塩分も適度に摂取するといいでしょう。水分もしっかり摂ることを心がけ、一日に1リットル程度を目指しましょう。
「体が鉛のように重い」ときに飲んでも良い市販薬・サプリメントは?
体が鉛のように重い場合、睡眠不足だけではなく、栄養不足が原因のことがあります。
その場合は食事から足らない栄養素を摂取するのが一番ですが、それが難しい場合はサプリメントや市販薬などを活用するのもいいでしょう。ビタミンB群、ミネラル、鉄などの栄養素が摂取できるものを選びましょう。
また、睡眠不足に対して睡眠薬を多用することはやめましょう。生活習慣を改めることでも効果があります。自力で対処することが無理である場合には内科を受診しましょう。
「体が鉛のように重い」症状についてよくある質問
ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「体が鉛のように重い」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
体が鉛のように重くて動けず、仕事に影響があるのは病気でしょうか?
村上 友太(むらかみ ゆうた)医師
体が鉛のように重くて動けず、仕事に影響がある場合は、肝臓病、腎臓病、糖尿病、うつ病などが考えられます。
仕事に影響があるという点ではうつ病の可能性がやや高いかもしれません。うつ病とは、気分障害の一つで、気分が落ち込んでいる、何をしても楽しめないといった精神症状とともに、不眠、食欲不振、疲れやすいなどの症状が現れ日常生活に支障が生じる病気です。疑わしい場合は心療内科、精神科を受診しましょう。
体が鉛のようにダル重いときの対処法はありますか?
村上 友太(むらかみ ゆうた)医師
体が鉛のようにダル重い時、栄養不足に陥っている可能性があります。ビタミンB群、鉄などの栄養が不足すると全体の倦怠感を引き起こすことが知られています。
意識してそれらの栄養素を摂取しましょう。ビタミンB1を多く含むのは、豚肉や赤身肉、ナッツ、大豆、ほうれん草などです。鉄を多く含むのは、ほうれん草、切り干し大根、肉類、魚、レバー、海藻などです。しかし、何かだけを偏って食べるのではなく、バランスの良い食事を心がけることが大切です。
まとめ
体が鉛のように重い、だるい、倦怠感がある、という症状は、考えられる原因が多岐にわたります。しかし、内臓の病気や悪性腫瘍など放置すると命に関わる病気の可能性もありますし、うつ病などの精神疾患は、きちんとケアをすることが重要です。ただの疲れや調子が悪いだけと思わず、時間がかかってもしっかり原因を探ることが、健康で快適な生活を送るために重要です。
「体が鉛のように重い」症状で考えられる病気
内科の病気
全身倦怠感という症状をきたすため、全身の病気が原因であることが考えられます。基本的には内科でしっかり検査を行うことが勧められます。
「体が鉛のように重い」に似ている症状・関連する症状
「体が鉛のように重い」症状と関連している、似ている症状は8個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについては詳細はリンクからMedicalDOCの解説記事をご覧ください。
「体が鉛のように重い」症状の他に、これらの症状がある場合「肝臓病」「甲状腺機能低下症」「起立性調節障害」「睡眠障害」「睡眠時無呼吸症候群」「心不全」「悪性腫瘍」「自律神経失調症」などの疾患の可能性が考えられます。
複数併発している場合は、なるべく早く医療機関への受診をおすすめします。
・がん情報サービス 貧血
https://ganjoho.jp/public/support/condition/anemia/index.html
・甲状腺機能低下症
http://www.j-endo.jp/modules/patient/index.php?content_id=38
・厚生労働省 うつ病
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/know/disease_depressive.html