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「心筋梗塞」とは?症状・原因・兆候についても解説!【医師監修】

 更新日:2023/08/17
「心筋梗塞」とは?症状・原因・兆候についても解説!【医師監修】

心筋梗塞は、放置すると数分で死に至ることもある病気です。実際に心筋梗塞は、日本人の3大死因の1つに数えられます。
そのため、心筋梗塞を思わせる症状が出た場合は、すみやかに病院で検査・治療を受けることが大切です。
今回は心筋梗塞の原因・症状についてご紹介します。あわせて心筋梗塞のリスクが高い方の特徴や、予防・治療法についても詳しく解説します。
心筋梗塞による突然死を防ぐためにも、ぜひ最後までご覧ください。

武井 智昭

監修医師
武井 智昭(高座渋谷つばさクリニック)

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【経歴】
平成14年慶應義塾大学医学部を卒業。同年4月より慶應義塾大学病院 にて小児科研修。平成16年に立川共済病院、平成17年平塚共済病院(小児科医長)で勤務のかたわら、平成22年北里大学北里研究所病原微生物分子疫学教室にて研究員を兼任。新生児医療・救急医療・障害者医療などの研鑽を積む。平成24年から横浜市内のクリニックの副院長として日々臨床にあたり、内科領域の診療・訪問診療を行う。平成29年2月より横浜市社会事業協会が開設する「なごみクリニック」の院長に就任。令和2年4月より「高座渋谷つばさクリニック」の院長に就任。

日本小児科学会専門医・指導医、日本小児感染症学会認定 インフェクションコントロールドクター(ICD)、臨床研修指導医(日本小児科学会)、抗菌化学療法認定医
医師+(いしぷらす)所属

心筋梗塞は危険な病気

ハートを持つ医者

命に関わる病気と聞きますが、心筋梗塞とはどんな病気ですか?

  • 心筋梗塞とは、心臓を影響する冠動脈の血流が何かしらの原因で供給されないために、心臓の筋肉が壊死を起こしている状態です。心筋梗塞の原因は、多くの場合、心臓に血液・栄養を運ぶ冠動脈という太い血管が詰まることです。心筋梗塞によって心筋への血液供給がストップすると、全身への血流を心臓が血液を送りだせなくなるために、最終的には死に至ります。

心筋梗塞を発症した際にみられる症状はどのようなものがあるのでしょうか。

  • 心筋梗塞では、心臓に血液が届かなくなるために次のような症状があらわれます。
  • 強烈な胸の痛み
  • 胸が締め付けられるような苦しさ
  • 冷や汗
  • 吐き気・嘔吐
  • 意識低下
  • 動悸
  • めまい
  • 心筋梗塞の症状は20分以上続くことが一般的です。症状を放置すると、意識混濁・失神・死亡に至ります。人によっては、ある程度心筋梗塞が重症化するまで、自覚症状があらわれないこともあります。

心筋梗塞を発症する原因とは何ですか?

  • 心筋梗塞の原因の多くは動脈硬化です。動脈硬化とは血管が硬く・脆くなる状態です。動脈硬化が起こると血管の壁が分厚くなるため、血管の内部が狭くなり、結果として血流が停滞しやすくなります。さらに血管の内部にプラークなどの物質がへばりつくと、血流は完全にシャットダウンされます。この血流のシャットダウンが冠動脈で起こった状態が心筋梗塞です。ちなみに脳で起こると脳梗塞に至ります。

心筋梗塞を発症しやすい人の特徴などあれば知りたいのですが…

  • 心筋梗塞は動脈硬化から発展するケースが多くみられます。高脂血症、高血圧、糖尿病が原因となり動脈硬化を引き起こし、脳梗塞・心筋梗塞を発症する傾向があります。すなわち心筋梗塞を発症しやすいのは、動脈硬化になりやすい方です。動脈硬化は生活習慣の乱れに起因するケースが多くみられます。たとえば次のような生活習慣に心当たりがある方は、動脈硬化ひいては心筋梗塞のリスクが高いといえます。
  • 脂質・糖質・塩分過剰な食生活
  • 運動不足
  • 睡眠不足
  • ストレス・疲労
  • 喫煙・飲酒
  • 肥満
  • 高血圧・糖尿病などの生活習慣病

狭心症との違いはありますか?

  • 狭心症も心筋梗塞と同じく、冠動脈の狭窄などによって、一時的に心臓に血液が届かなくなる病気です。心筋梗塞と狭心症は、まとめて虚血性心臓疾患と呼ばれます。両者は症状・原因などが非常によく似ていますが、大きく異なる点も存在します。代表的な相違点は、症状の持続時間です。狭心症の症状は長くても20分程度で収束します。理由は、狭心症による虚血状態はあくまで一時的なものであるためです。血管が完全に閉塞しているわけではないため、安静にしていれば血流は自然に再開し、伴って症状も治まります。対して、心筋梗塞は症状が自然に治まることはありません。そのため症状が20~30分以上継続する場合は、心筋梗塞が疑われます。ただし心筋梗塞でも、数時間経過すると胸痛などの症状が途中で止むことがあります。これは症状が治ったのではなく、心筋の壊死によって痛みを感じなくなっただけです。痛みを感じない間にも病態はだんだん悪化していきます。なお、心筋梗塞と狭心症を見分けるために、症状の持続時間を測る必要はありません。虚血性心臓疾患の症状があらわれた場合は、救急車を呼ぶなどして、すみやかに医療機関に搬送してください。

心筋梗塞の検査方法・診断方法とは?

心電図と聴診器

心筋梗塞はどのように診断されますか?

  • 心筋梗塞の診断は問診と検査で行うことが一般的です。問診では、医師が患者に対して次のような質問を行います。
  • 胸痛の有無
  • 胸痛の部位
  • 痛みを感じやすいタイミング(運動時・安静時など)
  • 痛みを感じ始めた時刻
  • 親族内の心疾患患者の有無
  • 生活習慣病の有無
  • すでに重篤な症状が出ている場合は、問診を省略してすぐに検査を行うこともあります。

心筋梗塞を疑う場合の検査方法や検査内容を知りたいのですが…

  • 心筋梗塞が疑われる場合は、次のような検査が実施されることが一般的です。
  • 心電図検査:心筋梗塞特有の心電図の波形を確認する
  • 心エコー検査:体外から超音波をあてて心臓の梗塞部位を調べる
  • CT検査:冠動脈の石灰化など、狭心症の評価を行う
  • カテーテル検査:カテーテルによって冠動脈に造影剤を流し込み、X線を使って血流の様子を調べる
  • 血液検査:心筋梗塞時に放出される「トロポニンT」という酵素の有無を調べる

どのような兆候がみられた場合に受診したら良いのでしょうか?

  • 受診のタイミングは、心筋梗塞の症状を自覚したらすぐです。心筋梗塞の自覚症状としては、激しい胸痛・胸苦しい感覚などが代表的です。ちなみに心筋梗塞は、本格的な発症前に前兆があらわれることがあります。代表的な前兆は狭心症で、具体的に次のような症状があらわれます。
  • 激しい胸の痛み
  • 胸苦しさ・胸の違和感
  • 胸やけ
  • 腕・肩・歯などの強烈な痛み
  • このような症状があらわれた場合も、念のため、すぐに病院を受診してください。心筋梗塞は、発症から治療開始までの時間が短いほど回復が見込めます。実際に心筋梗塞は発症から6時間以内の治療が生死を分けるともいわれています。ただし、心筋梗塞は発症後1時間以内に亡くなるケースも少なくありません。死亡リスクをなるべく下げるためにも、心筋梗塞を自覚したらすみやかに救急車を呼んでください。心筋梗塞は、たとえ死亡を免れても、重大な後遺症が残ることもあります。代表的な後遺症は心不全や不整脈です。心筋梗塞によって壊死した心筋は再生しないため、これらの症状があらわれやすくなります。

心筋梗塞の治療方法と予防方法は?

ハートに聴診器を当てる医者

心筋梗塞の治療方法が知りたいです。

  • 心筋梗塞の主な治療法は、「薬物療法」と「手術」の2種類です。薬物療法では以下のような薬剤を利用して、心筋梗塞の治療を行います。
  • 抗血小板薬:血液の凝固を防ぐことで梗塞の拡大を抑制する
  • ベータ遮断薬:心拍数・血圧を下げて心臓への負担を減らす
  • 硝酸薬(ニトログリセリン):血管を拡張して血流を増やす
  • カルシウム拮抗薬:血管の収縮や冠動脈の収れんを抑制する
  • 中等度から重症の心筋梗塞には手術による治療が選択されることが一般的です。
  • 血栓溶解療法:血管を塞ぐ血栓を溶かす薬剤を注入する
  • カテーテル・インターベンション:梗塞部位まで通したカテーテルで血管を拡張し、血流を再開させる
  • 冠動脈バイパス手術:外科的に手術を行い、梗塞部位に近い動脈と冠動脈をつなぎなおす

心筋梗塞が再発する恐れはありますか?

  • 心筋梗塞は再発のおそれがある病気です。特に、処方された薬などを自己判断で中止した場合、再発のリスクが高くなります。心筋梗塞は、再発を繰り返すたびに重症化しやすくなります。心筋の壊死範囲は、再発のたびに広がっていくためです。心筋の壊死が広範囲にわたると、心臓がほとんど機能しなくなる場合もあります。いわゆる心不全の状態です。重症化・死亡リスク低減の意味でも、過去に心筋梗塞を経験した方は、再発防止に取り組んでください。心筋梗塞の再発を防ぐには、治療後も定期的に病院を受診することや、処方薬を医師の指導通りに服用することが大切です。

心筋梗塞は予防できますか?予防法が知りたいです。

  • 心筋梗塞を100%予防できる方法はありません。しかし日頃の取り組み次第では、心筋梗塞のリスクをグッと下げることは可能です。心筋梗塞の予防のためには、糖尿病・脂質異常症・高血圧・肥満症などの生活習慣病の改善・予防に取り組むことが大切です。生活習慣病は、心筋梗塞の原因である動脈硬化を招きます。よって生活習慣病の予防に取り組むことで、動脈硬化ひいては心筋梗塞のリスクを低減できます。生活習慣病の予防・改善のためにも、次のような生活習慣を身につけましょう。
  • 脂質・糖質・塩分を控えた栄養バランスのよい食事
  • 適度な運動
  • 十分な睡眠
  • ストレス解消
  • 禁酒禁煙
  • すでに心筋梗塞を経験したことがある方は、生活習慣の見直しに加え、病院での定期的な検査や処方薬の正しい服用なども心がけてください。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

  • 心筋梗塞は短時間で死に至ることもあるおそろしい病気です。 心筋梗塞の症状(激しい胸痛、冷汗、動悸など)を自覚した場合は、すみやかに救急車を呼ぶなどして、すみやかに医療機関で治療を受けてください。心筋梗塞は日本人の主な死亡原因ではありますが、生活習慣の見直しによって予防することもできます。日頃から栄養バランスのよい食事や適度な運動を心がけて、心筋梗塞を起こさない・繰り返さないことを意識しましょう。

編集部まとめ

胸に手を当てる女性
心筋梗塞は日本人にとって身近な病気の1つです。原因の多くは動脈硬化であるため、まずは動脈硬化の予防を心がけることが大切です。
動脈硬化の多くは、生活習慣の乱れ・生活習慣病に起因します。日頃から規則正しい生活を送ることが、動脈硬化ひいては心筋梗塞の予防につながります。

参考文献

この記事の監修医師