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「睡眠時無呼吸症候群」とは?症状・原因・治療法についても解説!【医師監修】

 更新日:2023/07/13
「睡眠時無呼吸症候群」とは?症状・原因・治療法についても解説!【医師監修】

「いびきがひどいとよく言われる」、「夜中に何度も目を覚ます」そんな睡眠時のお悩みをお持ちの方はいませんか?実はこれは睡眠時無呼吸症候群のサインといわれています。

「たかがいびきと眠りが浅いだけ」と油断していると命にかかわることもあるため危険です。

そこで、今回は睡眠時無呼吸症候群の症状や原因・治療と予防の方法について紹介していきます。

質の良い睡眠をとるためにもぜひ参考にしてみてください。

甲斐沼 孟

監修医師
甲斐沼 孟(上場企業産業医)

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大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。上場企業産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。

睡眠時無呼吸症候群の症状と原因

体調不良の女性

睡眠時無呼吸症候群とはどのような病気ですか?

  • 睡眠時無呼吸症候群はその病名の通り、睡眠時に呼吸が止まってしまう病気です。
  • 呼吸ができていないことが原因でいびきをかいたり、何回も目を覚ましてしまうために睡眠不足になってしまうこともあります。

どのような症状が現れますか?

  • 前述したように睡眠時無呼吸症候群は睡眠時に呼吸が止まってしまっている状態です。
  • そのため低酸素状態となり、体がその低酸素状態から脱するために心臓や血管に負荷がかかります。
  • 結果、狭心症や動脈硬化、脳梗塞などの原因となるのです。しかし、睡眠時無呼吸症候群が悪影響を与えるのは肉体だけではありません。
  • 呼吸を再開するために何度も覚醒してしまうため深い眠りにつくことができず、疲労やストレスがたまっていきます。
  • そのために倦怠感や日中のひどい眠気に加えて集中力の低下や気分の落ち込みがみられ、中には性格が変わってしまう方もいるほどです。
  • このように、睡眠時無呼吸症候群の症状は放っておくととても恐ろしい病気であることが分かります。

睡眠時無呼吸症候群の原因は何でしょうか。

  • 睡眠時無呼吸症候群の原因は気道が塞がってしまうことにあるのです。ではなぜ気道が塞がってしまうのかというと、原因として2つの要素が挙げられます。
  • 肥満体型(または肥満ぎみ)によるもの
  • 下あごが小さいなどの体のつくりによるもの
  • 睡眠時無呼吸症候群に悩む方のイメージとしては肥満体型によるもののイメージが強いかと思います。
  • しかし実際は肥満体型の方だけではなく、体がやせ型の方でも睡眠時無呼吸症候群を発症してしまう方はいるのです。
  • 肥満体型による場合には脂肪が気道を塞ぎ、体のつくりによる場合にはあごが小さいなどによって気道が狭くなってしまいます。このように人によって睡眠時無呼吸症候群の原因は異なります。

肥満ぎみの人だけが発症する病気ではないのですね。

  • 実際のところ、睡眠時無呼吸症候群の患者さんの中に肥満の人が60%と多いのは事実です。
  • しかし、睡眠時無呼吸症候群は肥満気味の人にのみ発症する病気ではなく、やせ型の人にも発症する可能性が十分あります。
  • 気になる人は一度医療機関の受診をおすすめいたします。

睡眠時無呼吸症候群の検査と治療方法

話を聞く医者

どのような検査を行いますか?

  • 睡眠時無呼吸症候群が疑われる場合には主に以下の4つの検査が行われます。
  • 問診票
  • 睡眠障害の有無の検査
  • 口腔内の検査
  • 合併症の検査
  • 問診票では「ESS(エプワース眠気尺度)問診票」という日中の眠気に関する問診票を使用します。この問診票によって日中の眠気がどの程度であるのかが明確になるのです。
  • 次に睡眠障害の有無の検査についてですが、この検査には2つの種類があります。
  • 1つは外来でもできる簡易的なアプノモニターです。
  • アプノモニターは検査用のセンサーを患者さん自身が持ち帰り、センサーを装着した状態で普段通りの睡眠をとることで無呼吸の回数や血中酸素濃度などを測定します。
  • もう1つはポリソムノグラフィーという精密検査です。ポリソムノグラフィーはアプノモニターとは違って入院が必要になります。
  • 脳波や心電図などの検査項目を加えることでより詳細に睡眠時の状態が分かり、重症度なども明確になります。
  • そして口腔内の検査はのどの咽頭部を観察する、あるいはあごの形状を評価するといった観点で診察します。
  • 前述したように睡眠時無呼吸症候群の原因にはあごの形や大きさによるものもあります。原因を探る意味でも大切な検査であるということです。
  • 最後に合併症の検査ですが、こちらは必要に応じて行われます。睡眠時無呼吸症候群の合併症として多い、高血圧や糖尿病などの検査が主です。

治療方法を教えてください。

  • 睡眠時無呼吸症候群の治療方法は重症度に応じて決められます。主な治療方法としては以下の2つがあります。
  • マウスピースの使用
  • CPAP療法
  • マウスピースを使用した治療は軽度や中等度の睡眠時無呼吸症候群に使用されることが多いです。
  • 治療専用のマウスピースを睡眠時に装着することで気道を確保してくれます。
  • CPAP療法は経鼻的持続陽圧呼吸療法ともいい、中等度または重度の睡眠時無呼吸症候群の治療に適した治療方法です。
  • マスクから陽性圧力を有した空気を気道に送ることで睡眠時の気道ラインを確保します。

睡眠時無呼吸症候群は完治するのでしょうか。

  • 睡眠時無呼吸症候群は基本的に完治はしない病気とされています。
  • しかし、体重の減量や前述した治療などによるある程度の改善は可能です。

睡眠時無呼吸症候群のリスクと予防方法

悩む女性

治療せずに放置するとどのようなリスクがありますか?

  • 睡眠時無呼吸症候群は放置してしまうと血中酸素濃度の低下による動脈硬化や高血圧、脳梗塞などの合併症が発生し、突然死することもあります
  • また、合併症を起こさなくとも日中のひどい眠気によって交通事故などを起こす危険もあるため、合併症がないからといって油断は出来ません。
  • 睡眠時無呼吸症候群の危険性は合併症だけではないのです。

早期発見のポイントが知りたいです。

  • 睡眠時無呼吸症候群の早期発見のポイントとして以下の4つが挙げられます。
  • 大きないびき
  • 日中のひどい眠気
  • 夜間に何度も目が覚める
  • 集中力の低下
  • 大きないびきは気道が閉塞している証拠です。同居している家族や配偶者などから指摘された際には睡眠時無呼吸症候群を疑いましょう。
  • 日中のひどい眠気や集中力の低下は夜間に何度も目が覚めることによる慢性的な睡眠不足が原因です。
  • 呼吸が止まることによって意識が覚醒し、これを繰り返すことによって睡眠不足となるのです。
  • 前述したように大きな事故につながるケースもあるため、これらのポイントが自分に当てはまるようであれば速やかに医療機関を受診しましょう。

睡眠時無呼吸症候群の予防方法を教えてください。

  • 肥満の解消
  • 適度な飲酒
  • 禁煙
  • 鼻から呼吸する
  • 睡眠薬の服用を控える
  • 横向きに寝る
  • 睡眠時無呼吸症候群の原因として気道の閉塞があります。睡眠時無呼吸症候群の予防のためにはこの気道の閉塞を防ぐ必要があるのです。
  • 肥満は脂肪によって気道を狭め、過度なアルコールや喫煙、睡眠薬などは上気道に悪影響を及ぼします。
  • そのため、適度な運動や生活習慣の改善などが睡眠時無呼吸症候群の予防に効果的であるとされているのです。また、横向きに鼻呼吸を意識すると気道の閉塞を防ぐことができます。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

  • 「たかがいびき」と軽く見られがちな睡眠時無呼吸症候群ですが、実際は脳梗塞や突然死などの原因にもなりうる危険な病気です。
  • 放置すればするほど改善が難しくなり、命の危険にさらされます。
  • 早期発見が重症化の分かれ道になるといっても過言ではないため、いびきや高頻度の夜間の覚醒による慢性的な睡眠不足がみられた際には医療機関にて検査を受けることをおすすめします。
  • 「たかがいびき、されどいびき」という認識で大きないびきはもちろんのこと、日中にひどい眠気などの症状が出てきたら耳鼻咽喉科など適切な専門医療機関を受診しましょう。

編集部まとめ

くつろぐ女性

軽く見られがちないびきや寝不足ですが、今は何もないからといって油断は禁物です。放っておくと脳梗塞などの重篤な病気の原因にもなる可能性があります。

健康な体を維持するうえで質の良い睡眠は不可欠であるため、それを妨げる病気である睡眠時無呼吸症候群は人の健康を害する非常に危険な病気であると考えておきましょう。

軽度であれば寝姿勢などによる改善も期待できますし、本疾患を早期に発見できるように不安があれば速やかに医療機関の受診をおすすめします。

質の良い睡眠は健康な体の大切な要素の1つです。

この記事の監修医師