「要再検査と要精密検査の違い」とは?それぞれ発見できる病気などを解説!

要再検査と要精密検査の違いとは?メディカルドック監修医が要再検査と要精密検査の違いやそれぞれの目的・検査項目・わかる病気などを解説します。

監修医師:
木村 香菜(医師)
目次 -INDEX-
要再検査とは?
要再検査とは、健康診断などで異常値が出たものの、その結果が正しいかどうか判断するために再度の検査が必要な状態です。
再検査は、基本的には最初の検査と同じ検査を1年以内に行うことです。3、6月後に再検査の指示が行われることが多いです。なお、1年後の再検査指示は経過観察とほぼ同じ意味合いを持ちます。
要精密検査とは?
要精密検査は、がんなどの病気が疑われる状態のため、さらに詳しく調べることが必要な際に行われます。最初に受けた検査以外の検査を追加で実施し、精密に診断を行います。
もし健康診断で「要精密検査」と判定された場合には、早めに専門医療機関を受診することが大切です。
要再検査と要精密検査の違いとは?
要再検査と要精密検査の違いは、検査を受けるべきタイミングやより病気の疑わしさの度合いなどがあります。
要再検査の場合は、血液検査で何らかの異常が疑われるものの、一時的な数値の変化の可能性なども考えられます。あるいは、胸部レントゲン写真などの画像検査、子宮がん検診などでの細胞診で検体が適切に採取できなかったなどの場合があります。これらのケースでは、もう一度検査を行うことが必要となります。どのタイミングで検査を再度受けるべきかは、個々のケースによって異なるため、健診を受けた医療機関の指示を仰ぐようにしましょう。
一方、要精密検査の場合、何らかの病気が疑わしいため、より詳しく調べることが必要な状態です。例えば、がん検診の中の細胞診でがんが疑われるケースがあります。いたずらに不安になる必要はありませんが、早めに医療機関を受診すべきと考えられます。
要再検査の目的と検査項目
ここでは、要再検査の目的と検査項目について解説します。
要再検査の目的
要再検査は、検査の結果が一時的なもの、検査がうまくできていなかったといった可能性があるため、再度の検査が必要という意味です。
基本的には、最初に行った検査と同じ検査で、もう一度検査を行います。
要再検査の検査項目
血圧測定、採血、胸部レントゲン、腹部エコーなど、基本的に最初と同じ検査が行われます。
要再検査となった場合、健康診断を受ける医療機関でも多少は異なりますが、「C3」「C6」「C12」などと表記されているでしょう。この「C」は要再検査、数字は「何ヶ月後の検査をしてください」という意味です。
要精密検査の目的と検査項目
要精密検査の目的と検査項目について解説します。
要精密検査の目的
要精密検査は、健康診断やがん検診で、何らかの異常が疑わしい結果でした。そのため、他の検査も追加してさらに詳しく状況を調べることが必要な状況です。
要精密検査の検査項目
要精密検査の場合には、最初に採血で肝機能などの数値の異常があった場合には腹部超音波検査、必要であればMRI検査やCT検査が行われます。 その他、がん検診であればさまざまな要精密検査が行われます。
以下のようなものが考えられます。
- 胃がん検診の上部消化管造影検査(バリウム検査):胃カメラ検査
- 肺がん検診の胸部レントゲン異常:胸部CT
- 大腸がん検診の便潜血検査陽性:大腸カメラ、大腸CT
- 乳がん検診でのマンモグラフィ検査異常:マンモグラフィ再検査、さらに乳腺エコー検査、必要に応じて細胞診、組織診、超音波検査、MRI検査など
- 子宮頸がん検診の子宮頸部細胞診異常:細胞診再検査、組織診、超音波検査、MRI検査など
精密検査の検査項目は、疑わしい病気によってさまざまです。
要再検査でわかる病気・疾患は?
ここではメディカルドック監修医が要再検査でわかる病気・疾患について解説します。
高血圧
高血圧は、医療機関での血圧測定で140/90mmHg以上の状態のことです。
脳卒中や心筋梗塞などの脳心血管病の最大の危険因子とされています。
診察室では本来の血圧よりも数値が高くなってしまう、「白衣高血圧」というものが知られています。そのため、健康診断では高く血圧が測定され、要再検査と判定されるケースもあります。日本人間ドック・予防医療学会の判定区分では、収縮期血圧/拡張期血圧が140〜159/90〜99mmHgの場合では要検査となります。ただし、長く放置して良いということではありません。3ヶ月後ほどを目処に、かかりつけ医やあるいは内科などで再検査をすることが望ましいです。さらに自宅でも血圧を測定することや、減塩などの生活習慣改善が必要です。
糖尿病
糖尿病は、血糖値のコントロールがうまくいかず、慢性的に血糖が高い状態が続く疾患です。空腹時血糖が126mg/dL以上、またはHbA1cが6.5%以上の場合、糖尿病が疑われます。健康診断で空腹時血糖が110〜125mg/dL、あるいはHbA1cが5.6〜6.4%だった場合には、注意が必要です。境界型糖尿病と判定され、要再検査となることがあります。
血糖値はストレスや食事の影響を受けやすいため、正確な診断には再検査が重要です。早期発見により、運動や食事の改善だけで治療が完了するケースもあります。再検査の結果次第では、内科や糖尿病内科への受診が推奨されます。
脂質異常症
脂質異常症は、血中のコレステロールや中性脂肪(トリグリセライド)の値が基準値を超えている状態です。LDL(悪玉)コレステロールが高い、HDL(善玉)コレステロールが低い、中性脂肪が高いなどの異常が見つかった場合、要再検査と判定されることがあります。
脂質異常症は動脈硬化を引き起こし、将来的に心筋梗塞や脳卒中などのリスクを高めるとされています。検査値は前日の食事内容に影響されることも多いため、まずは空腹時採血での再検査が推奨されます。異常値が続く場合には、内科や生活習慣病外来での治療が必要になります。
要精密検査でわかる病気・疾患は?
ここではメディカルドック監修医が要精密検査でわかる病気・疾患について解説します。
悪性腫瘍
悪性腫瘍、いわゆる「がん」は、細胞が異常に増殖し、周囲の正常な組織に侵入したり、離れた臓器に転移したりする性質をもつ病気です。
健康診断では、胸部レントゲンや胃のバリウム検査、便潜血検査、婦人科検診、腫瘍マーカー検査などで異常が見つかった際に、要精密検査と判定されることがあります。たとえば肺に影が見つかった場合や、胃の粘膜に異常がある場合などです。
精密検査では、CTやMRI、内視鏡、生検(組織の検査)などが行われ、がんかどうかを正確に診断します。がんは早期に発見できれば、手術や放射線、抗がん剤などの治療により根治が可能なケースも多いため、精密検査を先延ばしにせず、早めに受けることがとても大切です
心臓病
心臓病には、心臓の筋肉に血液を送る冠動脈が狭くなる虚血性心疾患(狭心症や心筋梗塞)や、心臓の拍動が乱れる不整脈など、さまざまな病気が含まれます。
健康診断で心電図に異常がみられた場合や、胸部の圧迫感、息切れなどの自覚症状がある場合には、要精密検査になることがあります。精密検査では、心エコーやホルター心電図、負荷心電図、心臓CTなどを行い、心臓の構造や機能に問題がないかを詳しく調べます。特に動脈硬化の進行や高血圧、糖尿病がある人は心臓病のリスクが高いです。そのため、異常があれば早期に循環器内科を受診し、必要な治療につなげることが大切です
甲状腺疾患
甲状腺は、首の前側にあるホルモン分泌器官で、全身の代謝やエネルギー調整に重要な役割を果たしています。
健康診断では、血液検査でTSHやFT4といった甲状腺ホルモン値を調べることがあります。そして、数値の異常が見られた場合には要精密検査となります。
バセドウ病ではホルモンが過剰に分泌され、動悸や発汗、体重減少といった症状が現れます。一方、橋本病ではホルモンが不足し、倦怠感やむくみ、寒がりなどが特徴的です。
精密検査では、甲状腺エコーや自己抗体検査、ホルモンの再測定が行われ、診断が確定されます。治療には内服薬が用いられることが多く、症状が強い場合には専門的な内分泌内科でのフォローが必要となります。
「要再検査と要精密検査の違い」についてよくある質問
ここまで要再検査と要精密検査の違いなどを紹介しました。ここでは「要再検査と要精密検査の違い」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。
要精密検査の結果を放置するとどうなりますか?
木村 香菜 医師
要精密検査と判定された場合には、放置してはいけません。病気がどうかまだわからない状態ですが、もしもがんなどの場合には、放置することで治療を開始するタイミングが遅れてしまいます。要精密検査となった場合には、必ず医療機関を受診するようにしてください。
まとめ
今回の記事では、要再検査と要精密検査の違いについて解説しました。いずれも、健康診断やがん検診の結果、放置してはいけないという状態のことです。病気だと確定したわけではありませんので、過剰に怖がることはありません。しかし、きちんと医療機関であらためて検査を受けることが大切です。何らかの病気が隠れている場合、早めに治療を始めることができます。健康診断やがん検診を、日々の健康の維持に役立てましょう。
「要再検査と要精密検査」で考えられる病気
「要再検査と要精密検査」から医師が考えられる病気は42個ほどあります。各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
健康診断の要再検査・要精密検査ではさまざまな病気がわかることがあります。判定によって再検査や精密検査を指示された場合、放置せずに受診するようにしましょう。



