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健康診断で「血圧が低い」と言われたら?医師が病気のリスクなど徹底解説!

 公開日:2023/07/31
健康診断で「血圧が低い」と言われたら?医師が病気のリスクなど徹底解説!

健康診断で血圧が低いと言われたらどうすべき?Medical DOC監修医が数値の見方や基準値・主な原因と病気のリスク・対処法などを解説します。

村上 友太

監修医師
村上 友太(東京予防クリニック)

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医師、医学博士。福島県立医科大学医学部卒業。福島県立医科大学脳神経外科学講座助教として基礎・臨床研究、教育、臨床業務に従事した経験がある。現在、東京予防クリニック院長として内科疾患や脳神経疾患、予防医療を中心に診療している。
脳神経外科専門医、脳卒中専門医、抗加齢医学専門医。日本認知症学会、日本内科学会などの各会員。

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健康診断・病院で「血圧が低い」と診断されたときに考えられる原因と対処法

血圧が高いことではなく、血圧が低いことがどのような問題を起こすかイメージできるでしょうか。血圧が高い方からすると血圧が低いことはうらやましく思うかもしれませんが、血圧が低すぎて困っている方もいらっしゃいます。この記事では、低血圧の原因や、低血圧によって引き起こされやすい病気、日常生活での注意点や対処法などについて解説していきます。

血圧が低いと診断されたときに考えられる原因と病気のリスク・対処法

低血圧の原因によく考えられる病態の一つに、脱水などが考えられます。夏場では発汗による脱水症状を呈していることも多く、普段から十分な水分摂取を心掛けることが大事です。特に高齢者では、脱水になっても喉の渇きを感じにくい場合も多いため、注意が必要です。また、高齢者ではどちらかというと高血圧傾向になる方が多いのですが、自律神経による心臓のポンプ機能の低下や、末梢動脈の収縮及び拡張による血圧調節能が低下しており、容易に低血圧となります。

低血圧の症状は、めまいやふらつき、頭痛、動悸などが特徴的です。ときおり、脳への血流が十分に行き渡らないことによって俗にいう脳貧血を呈して、失神することもあるため注意が必要です。急に立ちあがった時にめまいやふらつきの症状が出る場合は、起立性低血圧の症状と考えられます。急な動作を控えてゆっくりと行動するようにしましょう。
その他の低血圧になる原因には、循環器系疾患、甲状腺異常、パーキンソン病、薬の副作用、食後に血圧が低下する食後低血圧などが考えられます。
低血圧の原因が脱水であれば適切な水分補給も大事です。自律神経の調節障害が原因の場合は、まずは食生活や適度な運動と休養、十分な睡眠時間の確保など日常生活のリズムを整えることも大切です。自律神経に障害を来す疾患、パーキンソン病や糖尿病、その他神経系の疾患や内分泌系の疾患も可能性があるので、病院を受診して原因検索に努めることも重要です。高齢者での低血圧はめまい、ふらつき症状から転倒することもあるため、低血圧と診断された場合は病院を受診してその原因を調べましょう。

小児で血圧が低いと診断されたときに考えられる原因と病気のリスク・対処法

小児期で血圧が低いと診断された場合、起立性調節障害に注意する必要があります。主に思春期に多く見られる自律神経系の不調が原因で脳に十分な血液が行き渡らなくなることがあります。これは、起床時にめまい、立ち眩み、頭痛、動悸、倦怠感が出現して不登校につながる可能性もあります。心理的な問題や単なる怠け、さぼりと誤解され、辛い思いをすることもあります。起立性調節障害は早期に適切に対応し治療することにより改善が期待できますので、このような状態が疑われた場合は、学校や病院に相談することも大切です。

高齢者で血圧が低いと診断されたときに考えられる原因と病気のリスク・対処法

高齢者では、加齢により自律神経機能が低下し、心臓の働きや末梢の動脈の働きも低下するため、低血圧になることがあります。また、加齢に伴いさまざまな病気に罹るリスクも増加し、消化器系の出血性疾患や脱水症、甲状腺機能の低下、内分泌系ホルモンの異常、パーキンソン病、糖尿病なども低血圧の原因となります。病気が増えるためにそれぞれの服用する薬の数も増えることで、薬の副作用による低血圧も見過ごせない原因になります。薬の内容や降圧剤の適切な量について主治医の先生とよく相談することも大切です。
また、高齢者には食後低血圧も見られやすくなります。食後の消化のために内臓に多量の血流が送られ、結果的に脳の血流が低下をすることが原因となりますので、食事をゆっくりとこまめに摂ることも大事です。

妊娠中に血圧が低いと診断されたときに考えられる原因と病気のリスク・対処法

妊娠中は、初期から中期にかけて循環血液量が増えますが、ホルモンバランスの影響もありそれ以上に血管が拡張し、血圧が下がりやすい状態になります。さらに、つわりの時期は十分な水分や食事が摂れなくなるため、脱水や低血糖を起こした結果血圧が下がることもあります。妊娠末期では、仰向けの状態になると増大した妊娠子宮が下大静脈を圧迫するため、心臓への血流が減少した結果、心臓から拍出される血液量が減り、低血圧となります(仰臥位低血圧症候群)。時にショック状態となり頻脈、吐き気、嘔吐、顔面蒼白などの症状が出ます。この場合は左側を下にして横になり、下大静脈の圧迫を解除することで症状は速やかに回復します。妊娠末期は仰臥位を避け、なるべく左を下にして横向きで休むようにしましょう。

健康診断の「血圧」の見方と精密検査・再検査が必要な「低血圧」に関する数値・結果

ここまでは診断されたときの原因と対処法を紹介しました。
再検査・精密検査を受診した方が良い結果がいくつかあります。
以下のような診断結果の場合にはすぐに病院に受診しましょう。

「血圧」の基準値

高血圧治療ガイドライン2019によると、診察室での収縮期血圧が120mmHg未満、拡張期血圧80mmHg未満と定義されています。一方、収縮期血圧が100mmHg未満、拡張期血圧が60mmHg未満の場合、低血圧と診断されています。
血圧が低くて何らかの症状がある場合は注意が必要ですが、全く症状がなければそれほど心配はいりません。

判定 血圧
基準値 収縮期血圧:120mmHg未満
拡張期血圧:80mmHg未満
低血圧 収縮期血圧:100mmHg未満
拡張期血圧:60mmHg未満

「血圧が低い」ときの再検査内容

低血圧と診断された場合、まず行うのは、血液検査です。
血液検査では、脱水や心疾患、内分泌性疾患などの有無を評価します。
検査結果から異常が出た場合は、さらに詳しい検査を追加します。高度の貧血があれば消化器の出血性病変を疑って内視鏡検査を考慮します。心疾患が疑われれば心エコー検査や特殊な核医学検査なども考慮されます。内分泌系疾患であれば、詳細なホルモン検査や全身のCTやMRIなどの画像検査も行われます。
消化管の出血があれば、内視鏡を用いた止血治療や消化性潰瘍に対して胃酸を抑える薬が投与されます。心疾患であれば、心臓カテーテル治療や薬物治療が行われます。内分泌系疾患に対しては、腫瘍性のものであれば適切な治療が行われつつ、過剰あるいは不足しているホルモンに対して過不足分を調整する治療が行われます。

「血圧が低い」で考えられる病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「血圧が低い」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

低血圧症

低血圧は脱水、心疾患、神経系疾患、内分泌系疾患などさまざまな疾患が原因となります。繰り返しになりますが、それぞれの原因に応じた治療が行われます。めまいやたちくらみ、動悸、倦怠感、頭痛症状などがある場合は、一般内科や循環器内科を受診しましょう。

「血圧が低い」ときの正しい対処法・改善法は?

血圧が下がり、めまいやたちくらみ、ふらつきなどの症状がある場合は、転倒して骨折や外傷を負う危険性があります。その場合は、椅子に座って安静にする、横になる場所がある場合は横になり安静を保つようにしましょう。意識がもうろうとするような症状がある場合は、重度の低血圧、ショック状態である可能性もあります。このような場合は仰向けになって横になり、足を上げた状態を保ちましょう。この体勢により血液の循環がよくなり、心臓や脳への血流が回復し症状の改善も期待されます。

貧血や栄養不足を改善するために、タンパク質やビタミン類を多く摂ることを心がけましょう。タンパク質は卵、魚、肉類に多く含まれています。ビタミン群の中では特にビタミンEが低血圧の改善効果が期待でき、かぼちゃ、ほうれん草、なす、ニラに多く含まれます。ビタミンBはレバーなどの肉類、まぐろなどの魚介類、野菜ではホウレン草やブロッコリー、モロヘイヤなどの緑黄色野菜に多く含まれています。
水分は水が最も適していますが、電解質などを調整した経口補水液も効率よく水分を吸収することができます。アルコールやカフェインは利尿作用があるため、かえって脱水になる可能性もあり摂り過ぎには注意が必要です。

低血圧を改善するためには、生活スタイルを見直すことも重要です。まずは十分な睡眠をとりましょう。最低でも6時間以上の睡眠は必要です。日々の適度な運動やストレッチは重要です。ウォーキングや軽いジョギング、ストレッチ、体操など簡単に毎日行えること始めましょう。毎日日光を浴びることは生体内のリズムを整えるのに効果的です。体を冷やさないこと、冷たい食べ物や飲み物はなるべく少なめにすることも大事です。高血圧がある方には禁忌ですが、塩分を多く摂ることも血圧を上げる、正常血圧を保つことには有効です。推奨される1日の塩分量は男性で7.5gですが、低血圧症状がある場合は、1日20g程度が推奨されます。ストレス緩和には入浴時に暑すぎないお湯で首までしっかりつかり、リラックスすることも有効です。

「血圧が低い」についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「血圧が低い」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

健康診断で低血圧を指摘されたらどんな健康リスクがありますか?

村上 友太(むらかみ ゆうた)医師村上 友太(むらかみ ゆうた)医師

低血圧が重度になると全身に十分な血液を送り続けることができなくなります。その結果、体で一番高いところにある脳に十分な血液を供給することができなくなるため、めまい、ふらつき症状が生じます。特に立位時に症状が現れることが多く、失神してしまうこともあります。失神して転倒すると外傷を負うリスクもあるため十分に注意が必要です。

血圧が100以下で低い場合、食べ物で改善することはできますか?

村上 友太(むらかみ ゆうた)医師村上 友太(むらかみ ゆうた)医師

低血圧の改善には、適切なバランスの良い食事が重要です。特にタンパク質、ビタミン類が多く含まれる食品の摂取を心がけることが重要です。また、低血圧症状が顕著である場合は、十分量の塩分を接種することも重要です。

血圧が低いことと貧血は関係ありますか?

村上 友太(むらかみ ゆうた)医師村上 友太(むらかみ ゆうた)医師

貧血は出血性病変で現れることがあります。特に短期間で出血により血液が失われると、全身を循環する血液量が減少し、結果的に血圧が低下します。

朝起きれないことがあるのですが血圧が低いことが原因でしょうか。

村上 友太(むらかみ ゆうた)医師村上 友太(むらかみ ゆうた)医師

通常、朝方になると自律神経の主役が副交感神経から交感神経に切り替わり血圧は徐々に上がります。しかしながら起立性調節障害などの自律神経系の異常で循環器系の調節がうまくいかなくなると朝起きれなくなったり、午前中調子が悪かったりします。

血圧が低いときの対処法として足を上げるのはなぜですか?

村上 友太(むらかみ ゆうた)医師村上 友太(むらかみ ゆうた)医師

血圧が低いと心臓から脳へ血液を押し出す圧力が減るため、結果的に脳貧血を起こし、意識が消失する危険性があります。そのため仰向けになり心臓と頭の位置が平行になると、重力の差が無くなるため脳へ血液が流れやすくなります。更に足を上げることにより足へ行く血液が減少し、その分脳への血流を増加させることができるからです。

まとめ 健康診断で血圧が低いと言われたら、生活習慣の見直しを!

生まれつき低血圧である方や、低血圧だとしても症状が無ければそれほど心配はいりません。しかし、めまいやふらつき、動悸、息切れ、頭痛、吐き気などの症状がある場合は、医療機関を受診し、低血圧の原因検索をすることが望まれます。特に失神するような場合は、心疾患などの重い病気が隠れている可能性もありますので、早めの受診が望まれます。

「血圧が低い」で考えられる病気

「血圧が低い」から医師が考えられる病気は14個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

循環器科の病気

産婦人科の病気

  • 仰臥位低血圧症候群
  • つわりによる脱水、低血糖

内分泌科の病気

脳神経科の病気

内科の病気

低血圧であるというだけで症状がなければそれほど心配はいりません。めまいやふらつき、動悸、息切れ、頭痛、吐き気などの症状がある場合は、何らかの病気が隠れている可能性があるため、医療機関を受診することをお勧めします。

この記事の監修医師