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ペットボトル飲料水が人体に悪影響!? 「マイクロプラスチック」従来想定の10~100倍

 公開日:2024/01/25
ペットボトル入り飲料水のプラスチック粒子が従来測定の10~100倍との研究

アメリカのコロンビア大学らの研究グループは、「ペットボトルに入った飲料水に含まれるマイクロプラスチックやナノプラスチック粒子の数が、従来想定されていた10~100倍にも相当する1リットルあたり24万個に上る」とする研究結果を発表しました。この内容について中路医師に伺いました。

中路 幸之助

監修医師
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)

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1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。

コロンビア大学らが発表した研究内容とは?

アメリカのコロンビア大学らによる研究グループが発表した研究内容について教えてください。

中路 幸之助 医師中路先生

今回紹介する研究はアメリカのコロンビア大学らの研究グループによるもので、研究成果は「PNAS(米国科学アカデミー紀要)」で発表されています。

研究グループは、研究を実施するために新しい顕微鏡検査技術と、データを駆使したアルゴリズムのプログラムを開発しました。この技術を使って、アメリカで普及している3つのブランドから購入した約25リットルのミネラルウオーターを分析しました。

その結果、ミネラルウオーター1リットルあたり約11万~37万個、平均24万個のプラスチック粒子が検出されました。検出されたプラスチックのうち、90%はナノプラスチックで、残りがマイクロプラスチックでした。マイクロプラスチックは大きさが5mm以下のプラスチック粒子と定義されるのに対し、ナノプラスチックは1マイクロメートル(1000分の1mm)以下の微粒子と定義されています。

研究グループは、今回の研究結果について「この研究は、ナノレベルでのプラスチック汚染に関する知識のギャップを埋めることが期待される」とコメントしています。また、研究グループが研究対象とした3つのブランドについては言及していません。

ナノプラスチックなどの人体への影響は?

ナノプラスチックなどの人体への影響について教えてください。

中路 幸之助 医師中路先生

マイクロプラスチックやナノプラスチックが人体に与える影響については、多くの研究が実施されています。既に消化管内のマイクロプラスチックやナノプラスチックが局所的な炎症反応や免疫反応、さらにはがんの発生に関係していることなどが示唆されています。2023年に発表されたハンガリーのデブレツェン大学らの研究グループが実施したものでは、ポリスチレンのMNPをマウスに経口投与した実験をおこなっています。その結果、投与した最も小さなサイズのプラスチックは投与してから2時間でマウスの脳内で検出されています。

今回の研究内容への受け止めは?

アメリカのコロンビア大学らによる研究グループが発表した研究内容への受け止めを教えてください。

中路 幸之助 医師中路先生

「ペットボトルの水と一緒にプラスチックも飲んでいた」という衝撃的な報告ですが、それなら「水道水」で代用すればいいことになります。しかし、残念なことに日本以外の海外で水道水を安全に利用できる国は限られているので、感染性胃腸炎のリスクなどが高まるでしょう。また、ペットボトルのように何時でも手軽に飲水ができないため「脱水」傾向になり、脳血管障害のリスクなども高まると考えられます。

加えて、地球の温暖化も考慮すべきです。人はいったん便利なものを手にいれると、なかなかそれから離れることは困難です。したがって、この論文の解釈としては、決して「ペットボトルの水が危険だから飲んではいけない」というのではなく、このエビデンスを踏まえて「どの程度までなら許容されるのか」「そのためにはどうすればよいか」ということを議論していく必要があると考えられます。

まとめ

アメリカのコロンビア大学らの研究グループは、ペットボトルに入った飲料水に含まれるマイクロプラスチックやナノプラスチック粒子の数が、従来想定されていた10~100倍にも相当する1リットルあたり24万個に上るとする研究結果を発表しました。マイクロプラスチックの人体への影響が指摘されているので、今回の発表は大きな注目を集めています。

この記事の監修医師