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ビールロング缶1本で「大腸がん」発症リスク増加、厚労省が飲酒ガイドライン発表

 更新日:2024/03/01

厚生労働省が飲酒のリスクや体への影響をまとめたガイドラインを発表したことが話題になっています。飲酒による体の影響をまとめたガイドラインは初となります。このニュースについて中路医師に伺いました。

中路 幸之助

監修医師
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)

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1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。

厚生労働省が発表したガイドラインの内容とは?

まず、厚生労働省が発表したガイドラインの内容について教えてください。

中路 幸之助 医師中路先生

今回紹介するのは、厚生労働省が2024年2月19日にまとめた「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」についてです。ガイドラインが作られた目的は、「アルコール健康障害の発生を防止するため、国民一人ひとりがアルコールに関連する問題への関心と理解を深め、自らの予防に必要な注意を払って不適切な飲酒を減らすために活用されること」と記載されています。

ガイドラインには、アルコールの代謝と飲酒による影響が記載されているほか、飲酒量と健康に配慮した飲酒の仕方についても示されています。また、具体的な純アルコール量に着目した記述もあります。純アルコール量の算出についても説明されており、「純アルコール量(g)=摂取量(ml)×アルコール濃度(度数/100)×0.8(アルコールの比重)」と記載されています。ビール500ml(5%)の場合は、500ml×0.05×0.8=20gとなる計算です。

具体的な疾患への影響もガイドラインには記載されており、「大腸がんの発症リスクを高める飲酒量の目安は、1日あたりビールロング缶1本に相当する約20g(週150g)以上」と示しています。また、10~20代は脳の発達段階にあり、多量の飲酒で脳機能が低下するとのデータや、高血圧などのリスクが高まる可能性も指摘しています。加えて、女性は男性よりもアルコールの影響を受けやすく、少量でも肝硬変のリスクが高まるということも紹介しています。

健康に配慮した飲酒の仕方は?

ガイドラインの概要についてはわかりましたが、具体的にどのような飲酒の仕方をすれば、健康に配慮できるかについては言及されているのでしょうか?

中路 幸之助 医師中路先生

健康に配慮した飲酒の仕方については、ガイドラインでは5つの項目を挙げています。
自らの飲酒状況などを把握する
あらかじめ量を決めて飲酒する
飲酒前または飲酒中に食事をとる
飲酒の合間に水を飲む
1週間のうち、飲酒をしない日を設ける

さらに、避けるべき飲酒の仕方についても5項目を挙げています。
一時多量飲酒
他人への飲酒の強要など
不安や不眠を解消するための飲酒
病気等療養中の飲酒や服薬後の飲酒
飲酒中または飲酒後における運動・入浴などの体に負担のかかる行動

ガイドラインでは、「お酒はその伝統と文化が国民の生活に深く浸透している一方で、不適切な飲酒は健康障害等につながります。飲酒する習慣がない人などに対して、無理に飲酒を勧めることは避けるべきであることにも留意してください」と注意喚起されており、こうしたポイントも抑えることが重要です。

飲酒ガイドラインへの受け止めは?

今回作成されたガイドラインについての受け止めを教えてください。

中路 幸之助 医師中路先生

厚生労働省が今回示した指針は、新型コロナウイルスも5類に移行してイベントなどでの飲み会が再開され、飲酒量が増えると予想される中、適切な飲酒量の指針をタイムリーに示した点で評価されると考えます。アルコールには利尿作用があり、脱水に体が傾きます。そのため、お酒の上手な飲み方として、脱水を予防するために交互に一緒に水も飲みましょう。基準値以下の少ない量でも、お酒を飲んで「顔が赤くなる」のはもともとお酒が飲めない体質の人であり、食道がんのリスクにもなるため要注意です。

まとめ

厚生労働省は、飲酒のリスクや体への影響をまとめたガイドラインを発表しました。飲酒による体の影響をまとめたガイドラインは初なので、注目を集めています。

この記事の監修医師