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「子宮頸がん」になると現れる症状や原因はご存知ですか?ステージについても解説!

公開日:2023/01/05
「子宮頸がん」になると現れる症状や原因はご存知ですか?ステージについても解説!

子宮頸がんとは女性特有の病気です。子宮下部の管状の所にできるがんであり、最悪の場合命に係わる可能性があります。

最悪のケースにならないためには早期発見が必要ですが、病気を正しく理解していなければ発見や治療も遅れる可能性もあるのです。

そこで本記事では、子宮頸がんはどのような病気かをご紹介します。症状・原因・検査・ワクチンでの予防についても詳しく解説するので参考にしてください。

郷 正憲

監修医師
郷 正憲(徳島赤十字病院)

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徳島赤十字病院勤務。著書は「看護師と研修医のための全身管理の本」。日本麻酔科学会専門医、日本救急医学会ICLSコースディレクター、JB-POT。

子宮頸がんの原因と症状

病院に来た女性(腹痛)

子宮頸がんとはどのような病気でしょうか?

若い方は、まだがんになることはないと考えていることが多いですが、子宮頸がんは若い方でも罹患率の高い病気です。20代~30代の罹患率が高く、全国で毎年約1万人の方がかかっています。そして、子宮頸がんが原因で亡くなっている方も少なくない、非常に重い病気なのです。
そのため、早期発見・早期治療が大変重要です。近年では市町村や職場での健康診断でがん検診を行っていることがあります。早く見つけるための制度は整っているため、決して早期発見が難しい病気ではありません。

どのような症状が現れますか?

この病気の症状は、ほとんどありません。初期の頃には、特に無症状の状態であることが特徴です。子宮頸がんは、突如としてがんになるわけではありません。異形成と呼ばれる、がんになる前の状態が何年か続くのです。
そして、異形成の時期を何年か経てがんになるのですが、異形成の時期には全く症状がありません。おりもの・出血・痛みなども全く感じることがないのです。次第に症状が現れるようになりますが、これはがんが進行してしまったためです。主な症状としては、次のようなものが挙げられます。

  • 月経中以外の出血
  • 性交時の出血
  • 膿のようなおりもの
  • 水っぽいおりもの

また、さらに病気が進行すると、下腹部の痛み・腰の痛み・尿や便に血が混じるなどの症状が現れる可能性があります。初期症状がなく、気づいたときにはかなり進行しているというケースは珍しくないため注意が必要です。

発症する原因を教えてください。

子宮頸がんの原因のほとんどは、HPVウイルスの感染であるといわれています。HPVウイルスとは、男性にも女性にも感染する、非常にありふれたウイルスです。
そのため、性交経験のある方であれば、ほとんどの方が感染しているといわれています。通常は、感染しても問題はありません。感染者の内90%の方は、免疫能力が働いてウイルスを自然に排除できているためです。
しかし、約10%程度の方は、HPVウイルスの感染期間が長期化することがあります。その中でも、自然治癒するケースがあるのですが、自然治癒しない場合に異形成の時期を経てがん化するのです。また、喫煙もこの病気の発生リスクを高める要因といわれています。

どのような人が子宮頸がんになりやすいのでしょうか?

がんと聞くと、年齢や遺伝などの影響でなりやすいと考える方は多いです。しかし、子宮頸がんの場合にはなりやすい方というものはありません。性交経験のある女性であれば、誰しもかかる可能性がある病気なのです。強いていうのであれば、性交経験の頻度の高い方がなりやすいといえるでしょう。
性交経験が多くなれば原因であるHPVウイルスの感染リスクが高まります。また、性行為を行うパートナーが多い方ほど感染機会が多くなるため、病気を発症しやすいともいえます。
HPVウイルスは、通常は免疫能力で排除されるウイルスです。しかし、感染頻度の上昇や感染を持続させる可能性が高まると、がん発症リスクは高くなります。

子宮頸がんの診断と治療

医療イメージ

受診を検討するべき初期症状を教えてください。

受診を検討するべき初期症状についてですが、初期症状がほとんどないためなかなか受診を検討すべきタイミングがありません。もちろん、先述したような月経中以外の出血・性交時の出血などが見られた際は受診を検討するべきタイミングです。
月経中以外の出血・性交時の出血などが見られた際は受診を検討するべきタイミングです。しかし、症状が発症している段階は、子宮頸がんは進行している状態といえます。そのため、定期的な受診・検診が大切です。がん検診は、定期的に行われる市町村の健康診断にて行われることがあります。
また、職場の健康診断でも、がん検診を受けられる場合があります。初期症状がほとんどないため受診を検討するべきタイミングは難しいですが、これらの制度を使って早期発見ができるようにしましょう。

子宮頸がんはどのような検査を行いますか?

この病気の検査方法は、次のようなものが挙げられます。

  • 細胞診
  • コルポスコープ診察
  • 組織診
  • 内診
  • 直腸診
  • 画像検査
  • PET検査
  • 内視鏡検査
  • 腫瘍マーカー検査

細胞診とは、ブラシなどで子宮頸部から細胞を採取し、ガラス板に固定して色素で染めて観察する検査方法です。異常な細胞がないかどうかを確認し、異常な細胞が見つかった場合には精密検査を行います。しかし、ほとんどの場合、異形成段階での細胞です。また、異常な細胞が見つかってもがんであると決まったわけではありません。コルポスコープ診とは、細胞診で異常が見つかった場合に行う検査です。
コルポスコープと呼ばれる拡大鏡を使用し、子宮頸部を観察します。その結果、正常・異常・浸潤がん・評価不能の分類を行うのです。病気の疑いがある場合には、疑わしい組織を採取して病理組織標本を作成し、がんであるかを確定させます。また、必要な場合には子宮頸部を切除して組織診を行うこともあります。
内診とは、膣に指を入れて子宮の位置・形状・硬さなどを確認する方法です。PET検査とは、放射性フッ素を付加したブドウ糖を注射して、がんの広がりを確認する検査方法です。内視鏡検査では、内視鏡を挿入して、膀胱や直腸への転移がないかを確認します。
腫瘍マーカー検査とは、がんの種類ごとに産生される腫瘍マーカーと呼ばれる物質を測定する検査方法です。この検査だけを単体で行うことはありませんが、がんの種類などを調べることができます。
腸やその周辺に異常がないかを確認する検査です。画像検査は、超音波検査・CT検査・MRI検査などが挙げられます。子宮や卵巣の状態を観察し、がんの転移がないかを画像によって詳しく確認します。

治療方法にはどのようなものがありますか?

子宮頸がんの治療方法には、次のようなものが挙げられます。

  • 手術療法
  • 放射線療法
  • 化学療法
  • 化学放射線療法
  • 緩和治療

手術療法とは、がん細胞を取り除く方法です。転移の可能性がある部分も含めて取り除きます。また、がんのステージ進行度に応じて手術方法が異なります。ステージⅠ初期の場合であれば、円錐切除のみで手術を終えることが可能です。しかし、切除した端にがん細胞が含まれている場合には、子宮全摘出となる場合があります。
ステージⅡへと進行している場合には、転移するケースが多いリンパ節・卵巣・卵管・膣の一部など、広範囲にわたって切除する場合もあります。放射線治療は、がん細胞を死滅させる光線を当てる治療方法です。手術を行わずにがんをなくすために行います。また、手術後の再発防止のために実施するケースもあります。化学療法は、抗がん剤を用いた治療方法です。手術後に再発の可能性が高い場合、広範囲に転移の可能性がある場合に行います。
また、手術前にがんを小さくするために行うケースもあります。化学放射線療法とは、放射線療法と化学療法を並行して行う治療方法です。緩和療法とは、身体的・精神的辛さを緩和する治療方法で、手術が難しい時や身体に負担のかかる治療ができない場合などに行います。

子宮頸がんのステージや生存率について教えてください。

この病気のステージは、ステージⅠ~ステージⅣまでに分けられます。ステージⅠの段階では、がんは子宮頸部に限られた状態です。
大きさによって、さらにⅠA1期・ⅠA2期・ⅠB1期・ⅠB2期の4段階に分けられます。ステージⅡとなると、がんが子宮を超えて広がっています。しかし、骨盤壁または膣壁への進展が高度ではない状態です。がんの大きさによりⅡA1期・ⅡA2期に分けられ、子宮傍組織へ広がった段階はⅡB期といいます。ステージⅢは、がんが膣または子宮傍組織に広がっており、進展が高度である状態です。
広がっている範囲によってⅢA期・ⅢB期に分けられます。ステージⅣになると、がんが膀胱・直腸に進展、あるいは離れた場所に転移をしている状態です。転移の範囲によってⅣA期・ⅣB期に分けられます。生存率は、ステージⅠで約92%・ステージⅡで74%・ステージⅢで52%・ステージⅣで30%程度です。

子宮頸がんの予後と予防

お腹をおさえる女性のイメージ

子宮頸がんは完治しますか?

子宮頸がんは、完治させることのできる病気です。そのためには早期発見が重要です。早くに発見できれば、他への転移をすることも無く治すことができます。
また、進行してしまった後でも完治させることは不可能ではありません。抗がん剤の投与や放射線療法でもがん細胞を死滅させて完治させられることもあります。

子宮頸がんはワクチンで予防できると聞いたのですが…。

子宮頸がんはワクチンで予防が可能です。先述した通り、この病気はHPVウイルスの感染によって引き起こされます。
ワクチンには、このウイルスの成分が含まれており、摂取することで免疫機能をつくることができるのです。これによって、感染を防ぐことができます。また、ワクチンには次のような種類があります。

  • 2価ワクチン
  • 4価ワクチン
  • 9価ワクチン

中でも9価のワクチンが最も新しく開発されたもので、子宮頸がんの発症予防として最も効果が見込めるワクチンです。しかし、ワクチンには副反応があることも把握しておきましょう。
主な副反応としては、軽度なもので発熱や接種した部位の痛みなどが挙げられます。また、ごくまれにアナフィラキシーなどの重い副反応を示す場合もあります。とはいえ、副反応は非常に稀です。
また、一部報道などで流れていた麻痺などの副反応は実際にはない可能性が高いということも分かっています。ワクチンによって接種可能な年齢や接種のタイミングなどが異なるため、注意して接種しましょう。

早期発見のポイントを教えてください。

早期発見のポイントは、定期的ながん検診を受けることです。早期発見は、早期治療につながるため大変重要です。しかし、自覚症状がないために早期発見が難しい問題があります。
しかし、定期的ながん検診を受けていれば異変に気づくきっかけとなります。その異変ががんの早期発見に結びつく可能性は高いため、検診を受けることは非常に大きなポイントです。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

子宮頸がんは、性交経験がある女性であれば一度は感染するHPVウイルスが原因で、誰しも発症の可能性がある病気です。通常はがんになる可能性は低いですが、がんになった場合には初期症状がほとんどないため、発見が遅れる可能性が高い病気です。
治療は早い方が良いですが、気づきにくいために治療が遅れることも少なくありません。完治の可能性は、早期に発見できるほど高まります。そのため、できるだけ早く見つけられるように、定期的な検診を受けるなどして自分の健康状態を把握しておきましょう。

編集部まとめ

問診票
子宮頸がんは、初期症状はほとんどないにもかかわらず、気づかずに進行してしまうと最悪にかかわる病気です。

完治は不可能ではありませんが、そのためには早期発見が大変重要です。初期症状が少ない分、定期的な検診などで早期に発見できるように工夫しましょう。

また、万が一異変を感じた場合には、すぐに専門の医療機関を受診して治療を進めましょう。