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「閉経」のサインとなる症状はご存知ですか?医師が監修!

 更新日:2023/03/27
「閉経」のサインとなる症状はご存知ですか?医師が監修!

日本人女性は、50歳くらいで閉経を迎えるといわれています。

閉経とは実際どのような状態なのか、自分に閉経が近づいているかどうか知る方法があるのかなど、いろいろと気になっている女性も多いでしょう。

閉経後に起こりやすい病気などについても、あらかじめ知っておきたいという人もいるのではないでしょうか。

こちらで閉経が近づいているサインや閉経後に起こりやすい病気、日常を過ごすうえでの注意点についてお話していきます。

閉経に対して不安を抱いている女性も、ぜひ参考にしてみてくださいね。

郷 正憲

監修医師
郷 正憲(徳島赤十字病院)

プロフィールをもっと見る
徳島赤十字病院勤務。著書は「看護師と研修医のための全身管理の本」。日本麻酔科学会専門医、日本救急医学会ICLSコースディレクター、JB-POT。

閉経の前後に起こりやすい症状・病気

カレンダーと砂時計

閉経とはどんな現象ですか?

女性の月経は10歳~14歳ごろに始まりますが、年齢を重ねて更年期と呼ばれる時期になると卵巣機能が徐々に低下していき、いずれ月経が停止します。
閉経とは、完全に月経が止まった状態のことです。最後の月経から12カ月以上月経がない場合に閉経と判断され、1年前をさかのぼって最後の月経の時点の年齢が閉経の年齢となります。

閉経は何歳で訪れますか?

日本人女性の場合、閉経は45歳~55歳くらいの間に起こるとされています。平均すると50歳前後です。
ただし、閉経の時期には個人差があるため、40代で月経が止まるケースや50代後半まで閉経しないケースもあります。

閉経が近づいているサインはありますか?

閉経が近づいているサインは人によっても多少の違いがあります。
月経の間隔が短くなる・不正出血が起こる・突然経血の量が増えるといったサインがみられるのが一般的です。月経周期が乱れ最終的には数ヶ月に1回など徐々に月経の間隔が長くなっていき、閉経に至るケースが多いようです。

閉経を確かめるにはどうしたらいいですか?

月経が1年間来ない場合には閉経したと考えられます。一般的には、閉経したかどうかを検査で調べる必要はありません。
しかしなかには、最終月経から1年が経過したのちに再開するケースやほかの病気が隠れているケースなどもあるため、閉経の確認のために血液検査が行われることもあります。血液検査でホルモン値を調べることで、閉経かどうかの判断が可能です。
また、自分で調べたい場合には基礎体温を測るという方法もあります。排卵がある場合月経開始から月経後が低温期で排卵後は高温期という二相性を示しますが、閉経が近づいてくるとこの体温の変化がなくなってきます。
体調の変化を知る手掛かりにもなりますから、普段から基礎体温を測っておくとよいでしょう。

閉経したはずなのに下着に血が付きます…。

閉経後に出血があった場合、膣や子宮頚部の外傷や炎症などが考えられるでしょう。
また、稀ですが月経が再開するケースもあります。ホルモン補充療法を行っている場合は、それも原因のひとつになりうるでしょう。
さらに、子宮体がんや子宮頸がんである可能性も否定できません。おりものに血が混じる程度なのか、大量の出血なのかという点もよく観察する必要があります。
不正出血があった場合には、婦人科を受診しましょう。

閉経後に起こりやすい病気

頭痛に悩まされる女性

閉経後に起こりやすい症状・病気はありますか?

女性ホルモンのひとつであるエストロゲンが減少することによって、骨粗しょう症・萎縮性膣炎・脂質異常症・動脈硬化などが起こりやすくなります。
そのほか、ドライマウス・ドライアイ・尿漏れといった症状もみられます。
また、エストロゲンの減少によって肌や髪も乾燥しやすくなるため、これまでと同じスキンケアでは肌や髪の老化が進んでしまう可能性もあります。閉経後にはスキンケアやヘアケアを見直してみるとよいでしょう。

更年期障害の症状はなんですか?

女性の閉経を挟んだ前後の10年間を「更年期」と呼びます。日本人女性の場合は、45歳から55歳くらいが更年期にあたる年齢です。
この時期には女性ホルモンのひとつであるエストロゲンの減少により、心身にさまざまな症状が現れることがあります。更年期の女性に起こるさまざまな不調のうち、日常生活に支障が出るものを「更年期障害」と呼びます。
更年期障害はのぼせ・ほてり・ホットフラッシュといった血管運動神経症状のほか、めまい・頭痛・動悸・肩こりといった身体症状が起こるのが特徴です。
そのほか、気分の落ち込み・イライラ・不眠といった精神症状が出ることもあります。

更年期障害のメカニズムを教えてください。

更年期障害は、女性ホルモンの1つであるエストロゲンがゆらぎながら減少していくことが原因とされています。
更年期になると卵巣の機能の低下によってエストロゲンの分泌量が減りますが、脳からはエストロゲンを作るように卵巣に対して指示が出続けている状態です。
しかし、実際にはエストロゲンが作られないため脳が混乱し、自律神経の調節がうまくいかなくなり心身にさまざまな不調が現れます。

更年期障害がない場合もあるのですか?

更年期という時期は女性なら誰もが訪れますが、なかには更年期障害の症状がほとんど出ない人もいます。
一般的に職場や家庭などでのストレスが少なく、食事は3食バランスよく食べしっかりと睡眠をとり、適度な運動をしている人の方が更年期障害の症状が出にくいとされています。なるべくストレスを溜めず、規則正しい生活を心掛けましょう。

閉経後の更年期障害の治療・対処方法

公園のランニング風景

何科を受診したらいいですか?

更年期障害だと思われる症状が出た場合には、基本的には婦人科(産婦人科)を受診しましょう。更年期外来や女性外来などの診療科がある病院の場合には、それらの科を受診するのもよいでしょう。
ただし、更年期障害だと思っていた症状が実は別の病気だったというケースも考えられます。不調がある場合には検査を受けることが望ましいでしょう。

どのような治療方法がありますか?

更年期障害の治療法は、少量のエストロゲンを補うホルモン補充療法(HRT)が有効です。ホルモン補充療法に用いるホルモン剤には、飲み薬・貼り薬・塗り薬などのタイプがあります。
子宮がある人の場合には、子宮内膜増殖を回避するために黄体ホルモンも併用されるのが一般的です。
乳がんや子宮体がんがある人や血栓症の既往症がある人など、ホルモン補充療法(HRT)が適していない方の場合には漢方薬を使用した治療方法もあります。
さらに、イライラや落ち込みといった精神症状が強い場合には向精神薬を使用した治療も有効です。

日常生活でできる対処方法はありますか?

更年期障害に対処するために日常生活では、バランスのとれた食生活・睡眠時間の確保・適度な運動を意識して行うようにしましょう。ストレスもよくないため、発散できる方法を持っていることも大事です。
また、自分の症状が更年期障害だと気づかないうちに悪化してしまうケースも考えられます。更年期障害についての知識を事前に身に付けておき、対処できるようにしておきましょう。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

閉経の前後は、更年期障害など体調の変化が起こりがちです。閉経に対しての不安もあり、気持ち的にも落ち込んでしまうという方もいるかもしれません。
しかし、閉経は女性ならいずれ誰もが経験することです。あまり不安に思わず、正しい知識を身に付けて乗り切りましょう。
閉経の前後になると女性ホルモン(エストロゲン)が減少する関係で脂肪がつきやすくなるなど体形の変化も現れてきます。糖質や脂質の過剰な摂取に注意し、摂取カロリーを意識することも大切です。
さらに、無理のない範囲で適度な運動をして脂肪燃焼を心掛け、女性らしい美しさをキープしていきましょう。

編集部まとめ

新緑の中でストレッチをする女性
多少の個人差はあるものの、日本人女性の閉経の平均年齢は50歳前後です。12カ月以上月経がない場合に閉経と判断されます。

しかし、まれにそれ以降に月経が再開するケースやほかの病気が疑われるケースなどもあるため、血液検査で調べることもあります。

閉経が近づくと女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が減少し、女性らしさが失われていくようで寂しいと感じる人もいるかもしれません。

また、体調・体型・肌などに変化が現れることが不安で、なんとなくネガティブな気持ちになってしまうという人もいるでしょう。

しかし、閉経は女性なら誰にでも訪れる体の変化なので、前向きな気持ちで受け止めてくださいね。

この記事の監修医師