【闘病】「ホントに子宮頸がんだった?」疑うほど治療期間を楽しく過ごせたワケ
子宮頸がんは、主に子宮頸部にヒトパピローマウイルス(HPV)が感染することによって発生する悪性腫瘍で、若年者に多いのが特徴で、25-34歳の女性の浸潤がんでは乳がんに次いで2番目に多いとされています。子宮頸がんは自分では見えない場所に発生するため、痛みが無ければ、不正出血などの症状で気づくことになります。しかし、不正出血に気づき、それがおかしいと病院に早い段階で受診できるのか、一般個人で判断するのは難しいところがあります。今回は、不正出血だけで子宮頸がんが判明し、現在も抗がん剤で治療中のあいさん(仮称)に、貴重な話を聞かせてもらいました。
※本記事は、個人の感想・体験に基づいた内容となっています。2021年11月取材。
体験者プロフィール:
あいさん(仮称)
大阪市在住、1993年生まれ。結婚後、現在は2児の母として家事に追われる日々。診断時の職業は専業主婦で、2021年2月に子宮頸がんが判明し、手術、そして現在は抗がん剤での治療中。
記事監修医師:
今村 英利(いずみホームケアクリニック)
※先生は記事を監修した医師であり、闘病者の担当医ではありません。
痛みはないが、不正出血が続いた
編集部
病気に気づいたきっかけは?
あいさん
性行為後の不正出血でした。痛みはなかったのですが、2〜3か月間も不正出血が続いたので、これはおかしいなと思い、ネットでいろいろ調べました。それで子宮頸がんの可能性があると知って、近くの産婦人科に行きました。
編集部
最初に受診した病院での説明を教えてください。
あいさん
診てもらってすぐに先生の声のトーンが変わりました。「だいぶ悪い状態なので、すぐに大きい病院に行ってください」と言われました。「がんですか?」と聞き返したら、「がんで間違いないと思います」と、ハッキリ言われました。
編集部
次に訪れた病院ではどのような検査がありましたか?
あいさん
翌日すぐに総合病院を受診し、「病変の範囲を確認するためにMRIとCTを撮影します」と言われました。その結果、子宮頸がんのステージⅠと言われました。
編集部
病気が判明した時、どのような心境でしたか?
あいさん
不正出血が2〜3か月間も続いていたので、「やっぱりがんだったかー」という感じでした。でも痛みもなく、元気でしたので、「自分は大丈夫だろう」くらいに思っていました。
編集部
病気が判明した時、家族や周囲の反応はどうでしたか?
あいさん
夫は「私が死ぬのではないか」と思い、涙が止まらず、2日間ほど仕事に行けないくらいショックを受けていました。私が「きっと大丈夫でしょ」という感じで過ごしていましたので、子ども達も心配はしていましたが、泣くまでではありませんでした。周囲の方は、私ががんであることに驚いていました。
子宮全摘後、抗がん剤治療
編集部
医師から、どのように治療を進めると説明されましたか?
あいさん
「手術、抗がん剤、放射線の3つの方法がありますが、どれがいいですか?」と聞かれました。それぞれのメリット・デメリットがわからなかったため、逆にどれがおすすめなのかを聞きました。その結果、まず手術して悪いところを取り、もし転移をしていたら、抗がん剤か放射線治療をしましょう、とのことでした。
編集部
まずは手術を受けられたのですね。
あいさん
私の場合は、子宮全摘手術を受けました。術後の病理検査でリンパ節転移がわかり、抗がん剤での治療をしたほうがいいと説明されましたので、今も受けています。
編集部
どのような抗がん剤を使っていますか?
あいさん
手術を受け、その後は抗がん剤のパクリタキセルとシスプラチンを使っています。それも今月で終了予定です(取材時)。
編集部
入院中はどのような気持ちでしたか?
あいさん
普段は家事に追われて1人の時間があまりないので、「こんな時くらいは1人の時間を楽しむぞ」と、ひたすら有料動画サービスを楽しんでいました。
編集部
抗がん剤による副作用はありましたか? どのような症状でしたか?
あいさん
抗がん剤の副作用で、髪の毛が抜けました。でもそれ以外は、特に副作用らしい症状はありませんでした。「本当に子宮頸がんだったのか?」と思うくらいです。
編集部
医師や看護師など、医療関係者からの説明は十分でしたか?
あいさん
しっかり説明をしていただけたので、私には十分でした。私の場合は年上の先生と若い先生の2人が主治医でした。そのうち、若い先生は私と同じ年齢だったのもあり、とても話しやすかったですね。看護師さんもみんな優しかったです。
編集部
病気の情報収集はされましたか?
あいさん
Instagramで、同じ子宮頸がんと闘っている方などをひたすら調べていました。体験談をあちこち探し、たくさん見ていました。とても参考になりましたね。治療方法や入院時に必要な物の情報まで書いてあって、とても助かりました。
これを機会に禁酒・禁煙しています
編集部
医療関係者に望むこと、伝えたいことはありますか?
あいさん
良いことだけではなく、悪いこともはっきり伝えてほしいと思います。マニュアル通りの答えよりも、患者が求めている悩みにすっと答えてくれたら、とてもありがたいです。
編集部
治療中の心の支えとなったものは、何でしたか?
あいさん
やはり家族が一番の心の支えになりましたね。そのためにもこの機会に、お酒とタバコをスパッとやめました。
編集部
もし昔の自分に声をかけるとしたら?
あいさん
「タバコは吸うと気分が良くなることはあったかもしれないけど、がんのリスクになることを考えるとメリットは何もないよ」と言いたいです。
編集部
現在の体調、生活、仕事の様子を教えてください。
あいさん
現在は抗がん剤での治療中ですが、まだ副作用が出ていないので、今までと変わらず元気に楽しく過ごしています。
編集部
子宮頸がんを知らない方へ、一言お願いします。
あいさん
子宮頸がんになっても、痛みなどの症状がなければ、自分の気持ち次第で楽しく過ごせます。私としては、病気をきっかけに禁酒・禁煙、そして食生活の見直しができたので、ポジティブに考えると、この体験も良かったのではないかと思っています。
編集部まとめ
手術と抗がん剤の治療を受け、心配からネット、Instagramで情報を探しましたが、治療の副作用が脱毛だけとのことで、「考え方次第で明るく楽しく過ごせる。病気になっても落ち込まないで」という前向きな気持ちが、治療に良い影響を与えているのでは、と思いました。またタバコのメリットは何もないとのことで、これを機会に禁煙することも素晴らしいことだと思いました。