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「MRI検査」はどのくらい時間がかかる?費用や検査で分かる病気についても解説!

 公開日:2025/07/31

MRI検査の検査時間はどれくらい?MRI検査の結果がわかる時間・検査で分かる病気や受けられない人の特徴などを医師が分かりやすく解説します。

木村 香菜

監修医師
木村 香菜(医師)

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名古屋大学医学部卒業。初期臨床研修修了後、大学病院や、がんセンターなどで放射線科一般・治療分野で勤務。その後、行政機関で、感染症対策等主査としても勤務。その際には、新型コロナウイルス感染症にも対応。現在は、主に健診クリニックで、人間ドックや健康診断の診察や説明、生活習慣指導を担当している。また放射線治療医として、がん治療にも携わっている。放射線治療専門医、日本医師会認定産業医。

MRI検査とは?

MRI(Magnetic Resonance Imaging、磁気共鳴画像法)検査は、強力な磁石と電波を使い、磁場を発生させて行う検査です。縦、横、斜めなど、さまざまな方向の断面を画像にすることができます。
また、体の臓器や血管の状態を詳細に調べることができます。主に脳や脊椎、関節、腹部臓器などの診断に用いられます。同じように医療の現場で多く用いられているCT検査と比べると、放射線を使用しないため、被ばくのリスクがないことが特徴です。今回の記事では、MRI検査で何がわかるのか、どのようなメリットやデメリットがあるのかについて解説します。そして結果が出るまでの時間についてもお示しします。ぜひ参考にしてください。

CT検査との違い

MRIとCT検査の違いとして最も大きなものは、MRI検査ではX線を使用しないので、放射線被曝の問題がないことです。また、MRI検査は磁場を用いるため、CTとは異なる特性を持ちます。例えば、CTは骨の描出が得意なのに対し、MRIは軟部組織(脳や筋肉、靭帯など)の詳細な画像を得るのに適しています。一方で、検査時間がCTでは10分程なのに対し、MRI検査では20分から1時間程度と長くかかるという点も違いとして挙げられます。

MRI検査の検査時間はどれくらい?

MRI検査は、撮影するための時間は部位によって異なるものの、20分から1時間程度です。造影剤を使用する場合、撮影前あるいは撮影中に造影剤の静脈注射を行うため、さらに10分〜15分程度の時間がかかります。

MRI検査の検査結果はどれくらいでわかる?

MRIの検査結果がわかるまでの時間は、医療機関や検査の種類によって異なります。検査画像自体は当日に仕上がることが大半ですが、放射線科診断専門医が読影し、レポートを作成するまでの期間が医療機関ごとに異なるためです。例えば、クリニックや小規模病院などでは、MRI検査の結果は当日に説明を受けることができることもあります。一方、総合病院や大学病院の場合、外来でMRI検査を受けた際には検査から1週間程度後に結果説明が行われることが多いと考えられます。画像診断を専門とする放射線診断専門医の読影が行われ、レポートが作成されてから結果が説明されるためです。もちろん、脳梗塞が疑われるなどの緊急事態が疑われる場合は、どのような病院でも即日結果報告が行われます。

【部位別】MRI検査で分かる病気

さて、ここからはMRI検査でわかる病気について解説します。

脳・頭部

MRIでは、脳梗塞や脳出血、脳腫瘍などが検出できます。また、認知症の方の頭部MRIでは、原因によって脳が萎縮(縮んでしまうこと)の部位が異なります。そのため、原因の鑑別に役立つ場合もあります。

脊椎・脊髄

MRI検査は、脊椎や脊髄の異常を詳細に検査するために適しています。特に、神経の圧迫や炎症、腫瘍などの軟部組織の異常を明確に捉えることができます。例えば、椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症、脊髄腫瘍、脊髄炎、圧迫骨折などを詳しく調べることができます。そして、手術適応の判断においても役立ちます。

手足

MRI検査では、靭帯や筋肉、神経などの状態を詳しく調べることができます。そのため、膝の前十字靭帯断裂などの靭帯損傷、半月板損傷、さらに骨髄炎という骨の炎症などの検出に役立ちます。また、軟部腫瘍が手足にできた場合にも、内部の状態を検査し、どのような種類の腫瘍なのかを診断する手掛かりになります。

肝臓・胆嚢・胆道・膵臓

肝臓や胆嚢・胆道系、膵臓の病気を調べるためにも、MRI検査は有効です。肝細胞がんなどの肝腫瘍や、胆嚢炎や胆石、膵臓がんや膵炎などを調べる際にMRIは役立ちます。また、MRCP(Magnetic Resonance cholangiopancreatography)検査というものもあります。これは、MRI検査を使って、胆嚢や胆管、膵管を描出することができる検査です。胆石や胆嚢結石、膵臓の嚢胞性疾患を検出することに長けています。

子宮・卵巣

子宮筋腫や卵巣腫瘍、子宮内膜症、子宮腺筋症を調べるために、MRI検査は有効です。MRI検査では、嚢胞という水成分が溜まった風船のような病変なのか、あるいは充実性の病気なのか、などを詳しく描出することが可能です。また、子宮頸がんや子宮体がんの検査においてもMRI検査は欠かせません。病気のステージを判断するため、がんがどれくらい広がっているのかやリンパ節転移の有無などを調べることができます。

前立腺

骨盤部のMRI検査では、前立腺がんや前立腺肥大症などを調べることができます。前立腺がんの場合には、MRIの見かけの拡散係数(ADC値)が低い傾向があるということがわかっています。

MRI検査のメリット

MRI検査のメリットとしては、以下のようなものがあります。

  • 組織と病変との区別を明瞭につけることができる(組織分解能に優れている)
  • 放射線被曝がない
  • 筋肉や靭帯、半月板といった軟部組織の構造の描出が得意
  • 骨によるアーチファクトが少ない
  • 造影剤なしでも血管の描出が可能

MRI検査には、こうした長所があります。

MRI検査のデメリット

MRI検査のデメリットは以下のようなものがあります。

  • 検査時間が長い
  • 狭い空間での検査が苦手な人には不安に感じ、ストレスがかかる
  • 骨などの石灰化病変は無信号となってしまうことがあり、詳細に調べることが難しい場合がある
  • 金属を体内に埋め込んでいる人は、検査ができないことがある

MRI検査には、こうしたデメリットがあります。
特に、検査部位によっては最大60分以上かかる場合もあります。その間、じっとしていることは人によっては苦痛に感じるかもしれません。

MRI検査の料金の相場

MRI検査の料金は、保険適用の有無によって異なります。
・保険適用の場合(3割負担):約5,000〜15,000円
・自由診療の場合:20,000〜50,000円
造影剤を使用する場合には、追加料金がかかる場合があります。なお、CT検査では3割負担の場合、6,000〜9,000円程度となります。

MRI検査の注意事項

MRI検査の際に注意しておくこととしては、以下のようなものがあります。

  • 事前に金属類(アクセサリー、時計など)を外す
  • 造影剤使用時にはまれにではあるが副作用が起こることを理解しておく
  • 検査中には大きな音がするので、耳栓を着用する

事前に、こうした事項について確認しておきましょう。

MRI検査を受けられない人

以下のような人はMRI検査を受けることができない、あるいは制限がある場合があります。

  • 体内に金属がある人(ペースメーカー、人工関節など)
  • 閉所恐怖症
  • 妊娠の可能性がある人
  • 刺青やタトゥーがある人

このような場合、主治医や検査を受けようとする医療機関の指示を事前に仰ぐようにしましょう。

「MRI検査の時間」についてよくある質問

ここまでMRI検査の時間について紹介しました。ここでは「MRI検査の時間」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

MRI検査中は眠っていても問題ないでしょうか?

木村 香菜木村 香菜 医師

MRI検査中に眠ってしまっても、基本的に問題ありません。しかし、体が動くと正確なMRI画像が撮影できない場合があります。そのため、できるだけ起きているようにしましょう。

MRI検査でナプキンは外した方がいいのでしょうか?

木村 香菜木村 香菜 医師

生理用のナプキンで、金属が含まれていない場合には外さなくても問題ありません。骨盤範囲のMRI検査など、撮影範囲にナプキンが含まれるような場合には、事前に技師にその旨を伝えておきましょう。

まとめ

MRI検査は、組織の状態を詳しく調べることができ、さまざまな病気の検出に役立つ画像診断です。ただし、検査時間が長く、狭い空間が苦手な人にとってはストレスに感じることもあるかもしれません。また、体内に金属がある人は事前にMRI検査が可能かどうかをチェックしておくことも必要です。MRI検査を受ける際には、事前に医療機関からの指示案内を確認しておきましょう。

「MRI検査」の異常で考えられる病気

「MRI検査」から医師が考えられる病気は60個ほどあります。各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

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