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「肝細胞がん」になると現れる症状や原因はご存知ですか?ステージについても解説!

 更新日:2023/03/27
「肝細胞がん」になると現れる症状や原因はご存知ですか?ステージについても解説!

肝細胞がんは、肝臓にがんができる病気になります。自覚症状がほとんどないため、発覚が遅れてしまう場合が多いです。

慢性肝炎や肝硬変が原因で発症するため、肝炎ウイルスの感染からがんになるケースがよくみられます。また、飲酒などの生活習慣も発症の要因です。

本記事では、肝細胞がんの基本情報に加え、発症の原因・治療方法などを紹介しています。

病気の治療や予防には、その病気の知識を身に付けることが大切です。ぜひ本記事を読んで、肝細胞がんの治療などに役立ててください。

竹内 想

監修医師
竹内 想(名古屋大学医学部附属病院)

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名古屋大学医学部附属病院にて勤務。国立大学医学部を卒業後、市中病院にて内科・救急・在宅診療など含めた診療経験を積む。専門領域は専門は皮膚・美容皮膚、一般内科・形成外科・美容外科にも知見。

肝細胞がんとは?

お腹を痛がる年配女性

肝細胞がんとはどんな病気ですか?

肝細胞がんは、肝臓に発症するがんの1つです。肝臓にできるがんは「肝がん」と呼ばれ、大きく2つの種類に分類されます。肝臓から発症したものが「原発性肝がん」、他の臓器のがんが転移してきたものが「転移性肝がん」です。
肝細胞がんは原発性肝がんに含まれており、その内のおよそ95%を占めています。肝臓の大部分を構成する肝細胞にがんが発生する病気です。

肝細胞がんにみられる症状が知りたいです。

初期の段階では、ほとんど自覚症状はみられません。病状が進行すると、腹痛・腹部のしこり・腹部圧迫感<といった症状が現れます。肝不全の症状がみられる場合もあり、黄疸・腹水・むくみなどが生じることもあるでしょう。
しかし、これらの症状だけでがんと判断することは難しく、発見は非常に困難です。

肝細胞がんは何が原因で発症するのでしょうか?

肝臓の基礎疾患にかかっている方が発症する場合が多いです。患者さんの内、およそ80%の方が肝炎ウイルスにかかっています。
B型肝炎ウイルスやC型肝炎ウイルスに感染することにより、慢性肝炎や肝硬変が発症して肝細胞がんを引き起こすのです。また、生活習慣が原因でがんになる可能性もあります。お酒の飲みすぎで発症するアルコール性肝硬変や、肥満からなる脂肪肝などが原因です。
特に糖尿病をもっていると発症しやすくなると考えられています。

肝細胞がん発症は年齢とも関係ありますか?

発症率は年配の方が高い傾向にあります。増加するのは男性が45歳、女性が55歳の頃です。
男性の方が発症しやすく、女性のおよそ3倍といわれています。また、肝炎ウイルスによる慢性肝炎に長期間かかっていると発症しやすいです。
10〜20年ほど罹患していると、がんの発生率が高くなります。

肝細胞がんの受診と検査方法

診察

肝細胞がんはどのような検査をするのでしょうか?

肝細胞がんを診断するためには、様々な検査が必要になります。最初に、がんの原因となる慢性肝炎や肝硬変が生じていないかを血液検査で調べます。この検査で異常がみられると、がんを発症している可能性が高くなるでしょう。
がんの検査で主に行われるのは、エコー検査・CT検査・MRI検査・腫瘍マーカー検査です。エコー検査は手軽に行いやすいですが、腫瘍がある場所によっては確認することができません。そのため、CTやMRIを用いてより詳しく調べていきます。ただし、画像だけでは診断をすることが難しいため、腫瘍マーカー検査も行います。腫瘍の悪性・良性を判断するために、針生検を行う場合もあるでしょう。
針生検とは腫瘍の細胞を針で採取し詳しく調べる検査です。以上の検査の結果を総合的にみて診断します。

肝臓の病気は初期症状に気づかないことも多いと聞いたのですが…

肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれます。病変があっても自覚症状がほとんど現れないためです。
肝細胞がんの場合も同じで、自覚症状がみられるのは病状がかなり進行してからになります。そのため、早期発見をすることが大変難しい病気です。初期の段階で発見するには、定期健診を受けることが大切になります。
特に慢性肝炎にかかっている方は発症のリスクが高いため、定期的に検査を受けるようにしましょう。

何科を受診したら良いのでしょう?

肝がんの疑いがある場合は、消化器科を受診するようにしましょう。また、慢性肝炎にかかっている方は、専門施設を受診することをおすすめします。
肝炎はがんを引き起こす要因となるものなので、早めに治療を行うようにしましょう。

肝細胞がんのステージについて教えてください。

がんのステージは、腫瘍の大きさ・個数・転移の有無によって判別されます。基本的には、腫瘍は2㎝以下か・個数は1つだけであるか・血管や胆管に広がっていないかがみられます。肝臓以外の場所に腫瘍があるかもみられるでしょう。
ただし、ステージの分類法には国際分類と国内分類があります。分類法によってステージの病状が異なる部分もあるため、どの分類法で判別しているのかを意識するようにしましょう。

肝細胞がんの治療方法や予後

入院

肝細胞がんはどのような治療を行うのでしょうか?

治療は病気の進行具合に合わせて行われます。主に行われる治療法は、肝切除・穿刺局所療法・塞栓療法・分子標的薬療法などです。
肝機能の状態が良く、腫瘍の数が少量であれば切除や局所療法が行われます。肝切除は手術で肝臓の一部ごと腫瘍を切除する方法で、ラジオ波焼灼療法をはじめとする穿刺局所療法は長い針を患部に刺して焼灼する方法です。
塞栓療法では肝動脈に抗がん剤や塞栓物質を流して治療します。腫瘍の数が4つ以上のときに行われることが多いです。分子標的薬療法は薬物療法で、肝外への転移がある場合に有効な治療法になります。
肝機能の状態が悪い患者さんには、肝移植を行うケースもあります。

個人差があるとは思いますが大体治療期間はどのくらいかかりますか?

肝切除手術を行う場合、2週間の入院に加えて数週間の自宅療養をすることになります。スポーツを行えるようになるには半年ほど必要です。一方、塞栓療法は1週間程度の入院で、副作用も短期間で治まります。
ただし、一度の治療で治すことは難しいため、治療は繰り返し行うことになるでしょう。

治療中や治療後の過ごし方や気を付けた方が良いことがあれば教えてください。

肝細胞がんは、慢性肝炎や肝硬変によって引き起こされます。がんを治療してもこれらの病気がある限り再発する可能性が高いです。そのため、がんの治療を行いながら肝炎などの治療を行うことが大切になります。
生活習慣も肝臓に影響します。喫煙や過度な飲酒は避けましょう。脂肪肝を防ぐために、食事の摂り過ぎや運動不足にも注意してください。ただし、手術した直後は激しい運動は禁物であるため、担当医と相談しながら少しずつ運動を行うようにしましょう。
また、肝炎ウイルスは性交渉によって感染することがあります。性交渉を行う際は避妊具を付け、感染を予防するようにしましょう。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

かつて肝細胞がんの患者さんは、C型肝炎が原因で発症した方が多くを占めていました。しかし、治療薬が進歩したことにより、肝炎から発症するケースは減少しつつあります。
その代わりに増えているのが、アルコール性肝硬変や脂肪肝によって発症するケースです。これらは主に生活習慣が要因となって引き起こされます。
肝臓の病気は自覚症状がほとんどなく、早期発見することが非常に難しいです。そのため、予防をすることが重要になります。一度生活習慣を見直して、肝臓に負担がかからないような生活を心がけてみてください。整った生活習慣は病気の発症だけでなく、再発も防ぎます。回復の一助にもなるでしょう。
規則正しい生活を意識して、毎日を過ごしていってください。

編集部まとめ

PCを触る医療スタッフ
肝細胞がんは、肝がんの大きな割合を占める病気です。肝炎ウイルスや脂肪肝などによる慢性肝炎・肝硬変が原因となって発症します。

初期段階では自覚症状がほとんどありません。病状が進行すると、腹痛や腹部の圧迫感が生じるようになります。そのため、早期発見が難しい病気です。

治療は切除手術や化学療法が行われます。がんのステージや肝機能の状態によって適する治療方法は異なります。治療期間も方法によって変わってくるでしょう。

治療中・治療後は、生活習慣を整えて過ごすことが大切です。禁煙・バランスを考えた食事・定期的な運動を心がけましょう。アルコールは摂り過ぎないように注意してください。

これらの習慣は、病気の発症・再発予防に効果的です。日常生活を送るうえで意識し、健康な肝臓を維持するようにしましょう。

この記事の監修医師