明星先生
ROLANDさんは普段からタバコに触れることが多いと思うのですが、ROLANDさんの喫煙習慣を教えていただいてもよろしいですか?
ROLANDさん
シガレットタイプのタバコは吸ったことがないですね。
明星先生
まずタバコに関しては、百害あって一利なしです。タバコの煙は気管と食道を通り、気管の先には肺、食道の先には胃が存在します。タバコを吸うと両方に煙が行くので、肺がんだけでなく、食道がんや胃がんのリスクも上がると言われています。さらに、喉の周りの咽頭がんや喉頭がんのリスクも上がるので、タバコは絶対にダメですね。
ROLANDさん
僕は、葉巻を吸う機会があるのですが、葉巻は口腔喫煙なので、体に悪くないと聞いたことがあります。そこに関してはどうですか?
明星先生
おっしゃる通り、煙を肺の中に入れないので、香りを楽しむ嗜好品のレベルであれば、それほどがんのリスクは上がらないと思います。ただし、葉巻とがんの関係性は分かっていないことが多いです。※癌のリスクを上げるという報告もあります。
ROLANDさん
僕が長生きすれば、葉巻とがんの関係性はあまりないということになりますかね。
明星先生
そうなるかもしれないですね。葉巻だけではなく電子タバコも、がんとの関係性については詳しく分かっていません。ただし、タバコによる悪影響は明らかです。具体的には、1日に吸うタバコの本数と吸っている期間(年)の掛け算で表される喫煙指数が400を超えると、急激にがんの発症率が上がると言われています。
ROLANDさん
タバコで汚れた肺が元通りになることは難しいとは思いますが、ある程度きれいな状態に戻るにはどれくらい禁煙が必要ですか?
明星先生
一般的には喫煙期間と同じ期間の禁煙をすると、ある程度きれいになると言われています。ただし、喫煙指数が400を超えた後では、禁煙してももう後戻りはできないので注意が必要ですね。
ROLANDさん
喫煙指数が400になる前に禁煙を始め、喫煙期間と同じ期間の継続をすることが大事なんですね。
明星先生
その通りですね。ROLANDさんの職業は、アルコールとも深い関係がありますよね。
ROLANDさん
そうですね。この仕事をしていると飲酒の量は普通の人に比べて多いので、スタッフの健康は気になりますね。僕は接客中は飲まないことが多いですが、プライベートではたしなむ程度に飲むので、飲酒についても詳しく聞きたいです。
明星先生
たしなむ程度とは、具体的にどれくらいですか?
ROLANDさん
頻度で言うと、週に1回〜2回程度です。飲む量で換算すると、ワインボトル1本半〜2本くらいは飲みますね。
明星先生
なるほど。実は厚生労働省が推奨している節度あるアルコール摂取の目安は、1日あたり純アルコールで20g程度と言われています。純アルコールは、アルコール度数と内容量の掛け算でおおよその計算が可能です。例えば、ビールはアルコール度数が5%なので、500mlであれば25gになります。ワインの場合はアルコール度数が15%くらいになりますよね?
ROLANDさん
そうですね。ボトル1本はだいたい750mlでしょうか。
明星先生
掛け算すると出てきますが、ROLANDさんの飲んでいる量で計算すると、純アルコールは100g以上になります。
ROLANDさん
もう完全にアウトじゃないですか。
明星先生
ワインであればグラス1〜2杯が適正量ということになりますね。アルコールをたくさん飲むと、肝臓に蓄積したダメージが原因で肝硬変になり、結果として肝細胞がんのリスクが上がります。さらには食道がんのリスクも上がると言われています。
ROLANDさん
なるほど。お酒に強い人は、発がんに対して耐性があると考えていいですか?
明星先生
肝臓に関しては、耐性があるかもしれませんね。ただ、食道はアルコールによる直接の刺激を受けるので、そのリスクは変わらないと思います。
ROLANDさん
なるほど。予防する方法はありますか?
明星先生
肝細胞がんになると、今のところ特効薬がないため、アルコールの適正摂取量を守ることが重要です。食道に関しては、アルコールのほかに熱いものや辛いものが、食道を刺激し食道がんのリスクを上げることも知っておいて欲しいです。
ROLANDさん
熱いものや辛いものが好きな人は、摂取量を考えたり、定期的に検査をしたりした方が良さそうですね。
明星先生
そうなりますね。ROLANDさんご自身は、病気の予防のために普段生活で気をつけていることはありますか?
ROLANDさん
そうですね。ビジュアル的に太りたくないという思いもあるので、運動は結構やっています。
明星先生
運動は大事ですね。肥満も明らかながんのリスクだと言われています。特に昨今は食生活の欧米化によって、日本人の肥満者が増えています。肥満によって、大腸がんや乳がん、子宮体がんのリスクが上がると言われていますが、痩せすぎも良くないので、適正体重を保つということが重要だと思いますね。
ROLANDさん
なるほど。太らないように運動することや、食べる量をセーブすることが重要ってことですね。
明星先生
おっしゃる通りですね。ROLANDさんのご家族や親族の方で、がんを発症された方はいますか?
ROLANDさん
祖父や祖母、父、母も今のところがんは発症していないので、がん家系ではないかなと思っています。
明星先生
がん家系という言葉はよく聞くフレーズだと思いますが、親からがんが遺伝する確率はどれくらいだと思いますか?
ROLANDさん
がんには遺伝的要素が大きいと思っていたので、50%くらいでしょうか。
明星先生
実は科学的に回答すると、親から受け継いだ遺伝子を原因としてがんを発症する人は、すべてのがんの中で5%程度と言われています。
ROLANDさん
僕のイメージの1/10ですね。ほとんど関係ないってことですか?
明星先生
そうなんです。残り95%のがんの発症にも遺伝子が深く関わっていることは間違いないです。ただ、それは親から受け継いだ遺伝子ではなく、タバコやお酒などによる遺伝子変異が原因です。
ROLANDさん
後天的なものということですね。
明星先生
はい。親から受け継いだ遺伝子が原因となるがんはある程度特定されており、特に有名なのは乳がんや卵巣がんの発症につながるBRCA遺伝子です。男性にも深く関係しており、前立腺がんの一部もBRCA遺伝子が原因だと言われています。
ROLANDさん
じゃあ、祖父や父が前立腺がんになった場合は、少し警戒する必要があるということですね。
明星先生
その通りですね。さらに、大腸がんも一部は遺伝する可能性があると言われています。これは家族性大腸ポリポーシスというものが原因であり、大腸に100個以上のポリープができ、最終的に大腸がんになります。遺伝子変異の有無は、血液検査で調べることが可能であり、遺伝子検査によってがんの発症を抑えることや早期発見に繋がります。
ROLANDさん
遺伝子検査で遺伝子変異の有無を知っておくことが重要なんですね。
明星先生
はい。通常の人間ドックでは遺伝子検査はやらないことがほとんどですが、民間でも遺伝子検査は可能となってきています。がんの予防には生活習慣の改善が大事ですが、それに加えて遺伝子変異の有無など、自分の体について知っておくことは、病気を予防する上で極めて重要なことだと思います。