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妊娠と出産、子育ての経験を経て西山茉希が感じたこと ~母としてありのままの姿勢で子どもと向き合う大切さ~ 妊娠と出産、子育ての経験を経て西山茉希が感じたこと ~母としてありのままの姿勢で子どもと向き合う大切さ~

女性の社会進出、夫婦共働き、男性の育児休暇取得率の向上などもあり、男性が育児に携わる機会は増えつつあります。しかし、圧倒的に母親だけで子育てをしている家庭も多く、孤立感やストレスに苦しんでいるケースがまだまだ多いのが現状です。今回は、西山さんの妊娠・出産・育児の経験を振り返りながら、親として育児に向き合う姿勢やシングルマザーとしての生き方について、産婦人科専門医の陣内理子先生とともに考えていきます。 ※本記事は2022年8月に取材したものです。

西山茉希さん
インタビュー西山茉希(モデル)
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1985年11月16日生まれ、新潟県出身。O型。2005年より雑誌『CanCam』の専属モデルを務め人気を博す。同誌卒業後は、『GINGER』のレギュラーモデルになる。そのほか、総合格闘技番組『SRS』の5代目MCや、歌番組『ベストヒット歌謡祭』のMC、NHK Eテレ『天才てれびくんMAX』などにレギュラー出演。13年6月、結婚。同年10月に第1子女児、16年4月に第2子を出産。
陣内理子先生
監修医師陣内理子(産婦人科専門医)
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久留米大学医学部、順天堂大学大学院修了。大学病院及び関連施設に勤務。2016年より2年間ヨーテボリ大学留学。2020年よりはぐくみ母子クリニック勤務。日本産婦人科学会産婦人科専門医、日本医師会認定健康スポーツ医、産業医、医学博士。
chapter01 20代の妊娠と出産が教えてくれたこと〜複雑な心境と切迫早産を乗り越えて〜 chapter01 20代の妊娠と出産が教えてくれたこと〜複雑な心境と切迫早産を乗り越えて〜

陣内先生陣内理子先生

妊娠に気づいたタイミングとその時の心境について教えてください。

西山茉希さん西山さん

1人目の子の妊娠に気づいたのは、夢の中で通りすがりのおばさんに引き止められて、「妊娠してるよ」って言われたことがきっかけでした。

陣内先生陣内理子先生

その時の心境はどうでしたか?

西山茉希さん西山さん

妊娠が発覚して、自分自身はすごくうれしかったのですが、世の中的には色んな報道が出たり、「できちゃった婚」というスタートラインに立ったりしたわけで、すごい複雑な心境だったことを覚えています。

陣内先生陣内理子先生

うれしい反面、複雑な心境だったということですね。

西山茉希さん西山さん

はい。素直にうれしいって声に出せなかったし報告の仕方を考えなければならなくて、正直しんどかったので、すごいよく覚えています。

陣内先生陣内理子先生

なるほど、西山さんのように自分が看板となる仕事をされている人は、特にそうですよね。

西山茉希さん西山さん

女性として、小さい頃から子どもを持つことや産むことが憧れであった反面、こういう苦しさも待ってるんだなって思いました。

陣内先生陣内理子先生

西山さんは、表に出るお仕事をされていますが、妊娠とともに変化していく体のことで苦労したことはありますか?

西山茉希さん西山さん

当時は、モデルの仕事をメインでやっていたので、仕事ってこれからどうなっていくんだろうっていう心配事のほうが大きかったですかね。

陣内先生陣内理子先生

なるほど。つわりや腰痛、お腹が大きくなるといった身体的な変化よりも、仕事に対する心配事の方が大きかったのですね。

西山茉希さん西山さん

そうですね。あまり体型の変化はありませんでした。周りの人の中でも妊娠を経験している人がいなかったので、誰も話を聞ける人がいなかったので余計不安だったことを覚えています。

陣内先生陣内理子先生

そうですね。女性の社会進出が増えている一方、妊娠や出産のタイミングを測ることは難しいので、躊躇してしまう人は多いようです。西山さんのようにロールモデルや先輩がいないと、さらに不安になりますよね。

西山茉希さん西山さん

情緒って表に出ないじゃないですか。もっと女性が感情を吐き出せる場所や、気持ちに寄り添ってもらえる場所が見つかりやすくなると良いですよね

陣内先生陣内理子先生

パートナーの存在はどう感じましたか?

西山茉希さん西山さん

パートナーにとっても初めてのことだったので、体と心の状態を相手に伝えることさえ難しいと感じました。特に私は体型もすぐに変わるわけじゃなかったので、大丈夫でしょうっていう反応でしたね。不安を包み込んで欲しいというのが本音でしたが、そばにいてくれるだけでもありがたかったですね。

陣内先生陣内理子先生

出産方法は帝王切開や無痛分娩などさまざまありますが、西山さんの出産方法と選んだ理由があれば教えてください。

西山茉希さん西山さん

私は昔ながらの産婆さんのイメージが憧れとしてあったので、自然分娩を選びました。 女性として生まれて、出産を経験できるのであれば、経験できることは経験してから選択したいという思いが強かったですね。1人目は悩まず自然分娩でした。2人目の時に選ぶ機会もあった訳ですが、2人目の子にとっては初めての命だし、同じ思いで産んであげたいなと思い、2人目の時にも自然分娩を選びました

陣内先生陣内理子先生

なるほど。出産の違いや共通点、エピソードなどがあれば教えてください。

西山茉希さん西山さん

私は体質的に切迫早産のようで、妊娠8カ月でピークが来て、出産まで1~1カ月半くらい病院で過ごしました。1人目の時はとにかく不安で、子どもの命と母体を守るために入院しなさいと言われたら、それに従うしかありませんでしたね。仕事を空けることに対する理解への不安を残したまま、入院生活が始まったのを覚えています。

陣内先生陣内理子先生

入院すると24時間の点滴をする場合もありますよね。体調はどうでしたか?

西山茉希さん西山さん

その時は、SNSの発信や読書など病室で出来ることをしようと思っていました。でも点滴が始まった瞬間、震えと動悸などの副作用があって、入院に慣れるのが精一杯でした

陣内先生陣内理子先生

切迫早産になる予兆や自覚症状などはありましたか?

西山茉希さん西山さん

なかったです。お腹が固いとか頸管が短いとは言われていたけど、初めての妊娠だったのでこんなものなんだろうと思っていました。誰かと違う行動をしている訳でもなかったので、特に原因はわかりませんでした

陣内先生陣内理子先生

切迫早産が発覚したきっかけは妊婦健診ですか?

西山茉希さん西山さん

そうですね。

陣内先生陣内理子先生

西山さんのように自覚症状がないケースも多く、医学的な判断をするためにも妊婦健診は定期的に来てもらうことが大事です。幸い、安静と点滴による管理で、お子さんは正期産だったんですよね?

西山茉希さん西山さん

はい。2人とも自然分娩で無事に正期産でした

陣内先生陣内理子先生

2人目の出産の時は、上のお子さんとは離れ離れですよね?

西山茉希さん西山さん

長女には酷でしたね。1人目の時は、自分とだけ向き合えばよかったけど、2人目の時は、上の子がまだ2歳ぐらいで、それまでずっと一緒にいたわけですし、東京の家にいても私を探して、夜中に玄関から出ようとしていたみたいです。最終的には私の実家で入院期間を過ごしてもらいました。

陣内先生陣内理子先生

なるほど。その子にとっても試練でしたね。

西山茉希さん西山さん

自分よりも優先して考えることが、長女のことになりますよね。毎日夜になると涙が出てきました。家に帰った日も、緊張した目で私を見てくる我が子に涙が出たのを覚えています。分娩の時は、長女が見守ってくれて、臍の緒も切ってくれました。

陣内先生陣内理子先生

その子の頑張りもあったから、西山さんも頑張れたんですね。

西山茉希さん西山さん

初めての妊娠や出産だと、私も分からないことだらけでした。妊娠中に気をつけるべきことや、先生が特に伝えたいことはなんですか?

陣内先生陣内理子先生

ひとまずちゃんと妊婦健診に来ていただきたいです。それで、自分では気づけないような症状や徴候を拾い上げることが可能となります。採血や尿検査、超音波検査などで、お母さんと赤ちゃんの状態を経時的にフォローすることが、妊娠管理においては特に重要です。

西山茉希さん西山さん

自分では判断できない体の中の状態だからこそ、定期的な妊婦健診にちゃんと通うことが大事なんですね。

chapter02 【ゼロから始める産後ケア】何より大切なのはパパの寄り添う姿勢 chapter02 【ゼロから始める産後ケア】何より大切なのはパパの寄り添う姿勢

陣内先生陣内理子先生

産後の体調はいかがでしたか?

西山茉希さん西山さん

私は2人目の出産の時、腸がねじれてしまっていたみたいで、腹痛で立ち上がれなくなってしまい、産後2日目に救急車で運ばれたことがありました。半日〜1日の入院で無事退院はできたのですが、産後に感じた恐怖体験でしたね。

陣内先生陣内理子先生

大変でしたね。お産って、大きな怪我をしたようなもので、骨盤や骨盤の中の筋肉もダメージを受けていて、特に産後6~8週ぐらいの間を産褥期(さんじょくき)といって、体が妊娠前の状態に戻っていくような時期になります。通常の産褥だけでも大変ですが、西山さんはさらに辛かったでしょうね。

西山茉希さん西山さん

通常はどのような症状が出るんですか?

陣内先生陣内理子先生

子宮が元の位置に戻る痛みや、子宮内の内膜や分泌物が排出される、産後悪露(おろ)も1カ月ほど続きます。加えて、おっぱいが出始めるので胸の痛みなどもありますね。

西山茉希さん西山さん

私の場合は、おっぱいも妊娠中よりも生まれてから一気に張りが出てきました。むくみも産んだ後から一気に出てきたので、どちらかというと産後の方がしんどかった記憶があります。

陣内先生陣内理子先生

体重も産後すぐ元に戻るわけではなく、ゆっくり時間をかけて戻っていくので、産んで終わりではなく、そこからがスタートラインになりますね。授乳も最初のお子さんでは苦労したんじゃないですか?

西山茉希さん西山さん

はい。3時間ごとにくる張りと痛みがあり、自分が思い描いていた母乳ライフとは異なりましたね。人間の体が母親として、一つの命を守るために変化する代償的なものだと思っていました。ゆっくり休んでくださいとは言われるけど、休めないじゃないですか。

陣内先生陣内理子先生

そうですよね。休まる暇はなかったですよね。

西山茉希さん西山さん

もしパパがいたとしても、パパにできることも限られてますし、どうしても前半はママが頑張らなきゃいけないじゃないですか。なので、世の中のお母さんには、妊娠おめでとうという思いよりも、頑張れっていう気持ちのほうが強いですね。

陣内先生陣内理子先生

激励しちゃいますよね。

西山茉希さん西山さん

産後は骨盤を締めたほうがいいとよく聞くのですが、いかがですか? 老後に腰痛の出現や子宮が出てきてしまうということもあるそうですが、やはり閉じてあげることが大事なんでしょうか?

陣内先生陣内理子先生

お産によって骨盤の中の筋肉や靭帯は引き伸ばされています。若い時はちゃんと元に戻ることが多いです。しかし、更年期以降に筋肉や靭帯が緩んできて、子宮や膀胱、腸などの骨盤内の臓器がだんだん下に降りてきて、外に出てしまうことがあります。加齢的な変化でも起こりますが、特にお産の経験が多ければその可能性は高くなると考えられています。

西山茉希さん西山さん

産後の骨盤の緩みについて、診てもらうのはいつ頃がいいんですか?

陣内先生陣内理子先生

1カ月健診で経過を見るので、まずそこが1つのポイントかなと思います。運動などは、赤ちゃんのお世話で精一杯だと思うので、可能であれば1〜2カ月休んだ後にエクササイズなどを始めるのはいいかなと思います。

西山茉希さん西山さん

骨盤矯正は行った方がいいですか?

陣内先生陣内理子先生

症状に応じてだと思います。ベルトで締めてあげるだけでも、痛みとかは楽になりますし、好みでいいと思います。

西山茉希さん西山さん

私も骨盤ベルトは巻いていたのですが、かぶれや蕁麻疹が出てしまってダメでした。肌も弱くなったりするのでしょうか?

陣内先生陣内理子先生

骨盤ベルト自体は効果を実感する方が多いですが、みんなができるわけじゃないですよね。産後の肌のかぶれは女性ホルモンが減ることが原因だと言われています。それ以外にもさまざまな影響やトラブルは出てくる可能性はありますね。

西山茉希さん西山さん

焦らず出現した症状に応じて、先生と産後健診で相談をしながら、ケアをしていくというのがいいいですね。

陣内先生陣内理子先生

そうですね。その通りだと思います。

西山茉希さん西山さん

産後は体だけでなく、メンタル的にもいっぱいいっぱいになるお母さんもきっといると思うのですが、いかがですか?

陣内先生陣内理子先生

その通りですね。産後はマタニティブルーズといって、ホルモンの変化と新しい環境への不安やプレッシャーが原因で、気持ちが落ち込むことは過半数の方に起きます2週間ぐらいで一過性に改善する人もいますが、一部でそれを長期に引きずってしまう人がいて、それを産後うつと言います

西山茉希さん西山さん

ひどい場合は薬も使用するんですか?

陣内先生陣内理子先生

そうですね。その場合はメンタル専門の先生と相談し、専門的な治療を受けることになります。

西山茉希さん西山さん

ホルモンバランスを整えるということですか?

陣内先生陣内理子先生

産後うつの時期には、胎盤が出た後のホルモンバランスの変化は既に1回リセットされるので、どちらかというと、メンタルの薬を使うことになるかと思いますね。

西山茉希さん西山さん

それが自分に起きても、恥ずかしいことでも、特別なことでもないですよね。

陣内先生陣内理子先生

そうです。これから出産を控えている方に覚えておいてもらいたいことの1つは、決して自分のせいではなくて、ホルモンバランスの影響から誰にでも起こり得るということです。

西山茉希さん西山さん

パートナーが寄り添い、フォローする姿勢も大事ですよね。

陣内先生陣内理子先生

はい。家族のサポートも大事だと思います。

西山茉希さん西山さん

パートナーや家族として、産後パパがやるべきTo Doリストみたいなものって、先生たちの中に決まったものはあるんですか?

陣内先生陣内理子先生

持論も含みますが、育児はお手伝いをするわけではなくて、2人で一緒にやるものだと思っていただきたいです。ミルクやお風呂、おむつ替えはもちろんのこと、家事も分業してもらうと負担は減ると思います。特に上の子が居る場合、お母さんはどうしても生まれた子につきっきりになってしまうので、上の子のケアをパパがすることも大事ですね。最近は増えてきていますが、パパも育児休暇を取って育児をマスターするという姿勢も重要です。最後に、落ち込みやすい奥様の気持ちの変化に気づいてあげることに加え、新たな心境や環境の変化で、パパの1割程度がうつになると言われています。そういうことも起こり得ることを知っておいてください。

西山茉希さん西山さん

実際に見ている景色と、パパとしての心境が追いつかず、自分の置かれている環境を不思議がっている男性の声も、直接聞いたことがあります。私は、例えできることが少なかったとしても、まだ景色もはっきりと見えない赤ちゃんに、パパの匂いを覚えさせてあげることが大切だと思います。急に抱っこしても赤ちゃんは違和感を覚えてしまうので、生まれたその日から抱っこをすることでパパの香りも感じさせてあげて、馴染ませていくことは、動物的かもしれないけど、絶対無駄にならないと思います。

陣内先生陣内理子先生

そうですね。そうやって触れ合うことで、パパの愛着形成にも繋がりますね。

chapter03 子どもと向き合う姿勢に学ぶ。西山茉希のシングルマザーとしての生き方とは chapter03 子どもと向き合う姿勢に学ぶ。西山茉希のシングルマザーとしての生き方とは

西山茉希さん西山さん

私はシングルマザーという言葉が、もともと好きじゃないです。勝手な持論ですが、ダブルマザーという言葉自体も存在しないですよね。離婚したからといって、シングルという言葉がつくのは、すごく悲しいことだなって思っています。私自身も一般的には、シングルマザーという肩書きになりましたが、そのワード自体にとらわれなくても良いのかなと思っています

陣内先生陣内理子先生

確かにちょっと偏った見方かもしれないですね。日本は、籍を入れるということが大前提になっていますが、そうではない国も多いですよね。戸籍から抜けることによって初めてシングルマザーという肩書きになりますが、世界的にはそんな肩書きや籍の所在にとらわれていない家庭はいっぱいあると思いますね。

西山茉希さん西山さん

もっとフラットになって、偏見的な言葉が使われなくなるといいなと思いますよね。

陣内先生陣内理子先生

その通りですね。母親であり一家の大黒柱である西山さんが苦労していることは何かありますか?

西山茉希さん西山さん

簡単に家を空けられないことですかね。もし私が家を出る時は、家の中に大人が空っぽになるわけじゃないですか。そういう時に、家の中に誰かがいてくれているってことは、本当にありがたいことなんだなって実感しますね。

陣内先生陣内理子先生

大人の数って大事ですよね。

西山茉希さん西山さん

本当にそう思います。何もせずにここにいてくれるだけでいいからって、人を集めたくなりますね。

陣内先生陣内理子先生

常に気を張って、何をするにも頭の半分は子どものことを考えていて、休まる暇がないですよね。

西山茉希さん西山さん

そうですね。3人分の生活を、1つの脳で考えながら、全身全霊で働かせている感覚です。

陣内先生陣内理子先生

そのほかに苦労したことはありますか?

西山茉希さん西山さん

保育園を探すのには苦労しましたね。10個あげて、受かるかどうか分からないですからね。例え10個目で受かったとしても、家から距離が離れていて、365日雨でも風でも通わせるということ自体が難しい場合も多いですよね。

陣内先生陣内理子先生

目の前に保育園があるのに、そこに入れないという切なさを感じている人は多いでしょうね。

西山茉希さん西山さん

10個目で受かってもうれしくないですよね。一か八かみたいな思いで、とにかく顔を覚えてもらうために、毎日区役所に通っていたことを覚えていますね。

陣内先生陣内理子先生

そこまでしないと入れないんですよね。

西山茉希さん西山さん

区役所に行く時間をスケジュールに入れると、てんてこ舞いなんですよ。今では笑い話ですが、今日も区役所に通っているお母さん達もいるんだろうなって、しゃべっていて思いますよね。

陣内先生陣内理子先生

保育園について、西山さんが考える理想などはありますか?

西山茉希さん西山さん

私はどの職場においても、職員のための保育園が職場内や隣接した建物に存在している世の中になったら、働きやすさも安心感も変わると思っています。

陣内先生陣内理子先生

その通りですね。保育園がもうちょっと充実するといいですよね。

西山茉希さん西山さん

ここまでは、自分の実体験でお話しさせていただきましたが、一般的にシングルマザーが持つ悩みはどういったものがありますか?

陣内先生陣内理子先生

西山さんのように自立したシングルマザーは、本当に一握りだと思います。例えばデータで見ると、働いているシングルマザーの半分は正規雇用を受けられずにパートやアルバイト生活をしています。そのため平均の収入は低いし、行政からの金銭的な補助も十分とは言えないのが現状です。金銭的な問題だけではなく、例えば新型コロナで学校がお休みになった場合、自分が休まざるを得ないので仕事を休みがちになり、それが働きにくさにも繋がって苦労しているシングルマザーは多いと思いますね。

西山茉希さん西山さん

今ある国の制度で、知っておいた方がいい情報などはありますか?

陣内先生陣内理子先生

金銭的な補助だけではなく、資格を取れる職業支援というサポートもあることを知っておいていただきたいです。全員がそれを簡単に使えるかというと現実はそうではないですが、看護師の資格なども取得できる制度があります

西山茉希さん西山さん

そんな制度もあるんですね。そういった制度を活用して、少しでも負担が減るといいですよね。

陣内先生陣内理子先生

最後に、子育ての苦労は当然あると思いますが、今お子さんと一緒に過ごしていて、シングルマザーで良かったと思うことや、楽しいと思えることがあったら教えてください。

西山茉希さん西山さん

今子どもと過ごす時間や母親としての人生経験は、自分しか感じられないものなので、自分の人生の軸だということは忘れたくないと思っています。楽しいことももちろんありますが、必死な姿や情けない姿も見せていけたらいいなって思います。ありのままの姿で過ごして、20年後子どもが成人した時に、大人同士くだらない話で笑い合っている未来に向かっているイメージですね。

陣内先生陣内理子先生

全力で向かい合っている姿は、きっとお子さんにも伝わっているでしょうね。

西山茉希さん西山さん

女3人なので、隠していても子どものほうが賢いと思うんです。

陣内先生陣内理子先生

隠さずに、ありのままで過ごしているんですね。

西山茉希さん西山さん

人生のバディのような存在としていてくれていることで、少なからず救われている部分もあるので、みんなで一緒に乗り越えて行こうぜって感じです。

陣内先生陣内理子先生

なるほど。たくましいですね。

西山茉希さん西山さん

母親でも父親でも、それぞれ置かれている人生や環境は違うと思います。ただ、この世に命を授かって、母親や父親をやれているっていうことは、それだけで奇跡なんだということを忘れちゃいけないと思います。頼れる人は必ずいると思うので、血の繋がりに関係なく、自分が甘えられる場所を上手に見つけて、明日に向かっていければ良いんじゃないかと思います。一緒に笑える未来に進みましょう。

編集部より

妊娠・出産・育児と局面は移り変わるものの、生活は途切れることなく続きます。行動だけでなくうれしさや悲しさといった感情も、パートナーや子どもと共有していくことがそれぞれの身体的・心理的負担を減らすことに繋がるひとつの方法なのだと感じました。
子育て環境の改善には、男性の育児休暇所得率向上や社会保障制度の充実はもちろんのこと、親として育児に参加しやすくなる雰囲気の構築や周囲の理解が何より大切です。
この記事が、言葉や肩書きにとらわれず、自分の寄り添える人、甘えられる場所を見つけるきっかけとなれば幸いです。

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この記事の監修医師