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「骨腫瘍」を発症すると現れる症状・原因はご存知ですか?医師が監修!

 公開日:2023/04/16
「骨腫瘍」を発症すると現れる症状・原因はご存知ですか?医師が監修!

皆さんは骨腫瘍にどのようなイメージを持っていますか。

例えば、子供に多く重症度の高い骨肉腫は、長期間の入院を必要とし、四肢切断を余儀なくされる場合もあります。

しかし、骨腫瘍の中には治療の必要のない良性のものもあり、骨腫瘍とひとくくりにいっても様々なものがあるのです。

このように重症度に違いがあるのに、初期症状は軽い痛みや腫れといったありふれたもので、かなり悪化してから発覚することも多いのです。

そこでこの記事では、そのような骨腫瘍の症状・好発部位・発症の原因・治療方法・手術と入院期間・転移するのかについて詳しく解説します。

気になる症状がある方は、早めにお近くの整形外科への受診をおすすめします。

甲斐沼 孟

監修医師
甲斐沼 孟(上場企業産業医)

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大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。上場企業産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。

骨腫瘍の症状

ドクター

骨腫瘍とはどのような病気でしょうか?

骨腫瘍とは、骨に異常な細胞が増殖して痛みや腫れなどを引き起こすものです。骨腫瘍には、以下の5種類があります。

  • 良性骨腫瘍
  • 原発性骨腫瘍
  • 転移性骨腫瘍
  • 骨嚢胞
  • 関節内の腫瘍

良性骨腫瘍の場合は、良性なので痛みや骨折しやすいという症状がなければ治療しないこともあります。原発性骨腫瘍とは、転移してできたものではなく、初めから骨に発生する骨腫瘍のことです。この原発性骨腫瘍には、良性と悪性のものがあります。
また、他の部位の癌が骨に転移したものを転移性骨腫瘍といい、原因として乳がんの骨転移が多いといわれます。骨嚢胞は変形性関節症など関節の異常によって、関節液などが骨の内部に入り、骨が溶けて穴が空いてしまった状態です。また、稀ですが関節内に腫瘍ができる場合があり、発症すると関節の損傷・機能障害・激しい痛み・体液の貯留を引き起こすことがあります。このように、骨腫瘍には良性・悪性・転移するかしないか・腫瘍の状態・発生場所などによって、大きく5種類に分けられるのです。

どのような症状がみられますか?

骨腫瘍は、痛みや骨折しやすいといった初期症状があります。こういった症状の特性から、放置されやすく症状が進行してから気づく場合も多いのです。骨腫瘍の主な症状は下記の5つです。

  • 痛み
  • 腫れ
  • しこりができる
  • 運動障害
  • 骨折しやすくなる

多くの場合、骨腫瘍になると初期に痛みを感じやすいです。しかし、場合によっては初期症状で痛みのないしこりを感じ、徐々に痛みが増していく場合もあります。
骨腫瘍が進行すると、痛みは体を動かした時以外にも、安静時や夜間にも痛みを感じ徐々に悪化していくことがあります。

好発部位を教えてください。

骨腫瘍の好発部位は種類によって異なります。原発性骨腫瘍の場合は、大腿骨の遠位部と脛骨の近位部といった膝周辺・上腕骨近位部といった肩周辺などに多く発生します。
また、良性の骨腫瘍の場合、膝周辺だけでなく、手指・手の骨に発生することも多いです。転移性骨腫瘍の場合は、脊椎・骨盤・肋骨などの体の中心に近い部位に発生することもあります。このように、骨腫瘍は骨がある場所ならどこにでも発生する可能性があるのです。

発症の原因を教えてください。

骨腫瘍の原因は、種類によって異なります。転移性骨腫瘍の場合は、他の部位にできた癌が血管やリンパ管を通って転移したことが原因です。
骨嚢胞の場合は、原因不明のものもありますが、関節の損傷によるものが多いです。原発性骨腫瘍の場合は、現段階でははっきりとわかっていません。他に、骨腫瘍の原因として遺伝の異常や体質によるものと考えられる場合もあります。

骨腫瘍は良性が多いと聞きましたが…。

良性と聞くと治療の必要のないイメージがありますが、良性骨腫瘍の中にも、異常な増殖をしたり、激しい痛みを伴ったりするものもあるので注意が必要です。
また、骨腫瘍の良性と悪性の判断は非常に難しく、腫瘍の経過によって、良性と言われていたものが悪性になる場合も考えられます。気になる症状のある方は、お近くの整形外科への受診をおすすめします。

骨腫瘍の検査方法と治療方法

注射

検査方法を教えてください。

骨腫瘍は画像診断によって医師が判断した後に、悪性の可能性があれば細胞を調べることによって治療が決定されます。骨腫瘍の検査方法は、下記の5つがあります。

  • レントゲン検査
  • MRI検査
  • CT検査
  • 骨シンチグラフィ
  • 生検

一般的に医療機関では、痛みや腫れがある部位にレントゲン検査を行います。レントゲンでは判断できない場合に、より正確な患部の状況を知るためにMRI・CT検査を行うのです。
しかし、これらの画像診断だけでは良性・悪性の判断はできません。そのため、画像診断や痛みの状況などで悪性の可能性が高いと判断された場合は、生検を行います。このような流れで生検を行い、患部の細胞を調べることによって、骨腫瘍が良性のものか悪性のものかの判断ができるのです。

治療方法を教えてください。

骨腫瘍の治療方法は種類によって異なります。良性骨腫瘍の場合、特に問題がなければ治療しないことも多いです。しかし、骨折しやすい場合や痛みや機能障害が強い場合には摘出手術を行うこともあります。また、原発性骨腫瘍と診断された場合は、専門の施設で治療を行う必要があるのです。
その場合、一般的には抗癌剤治療から始めます。次に可能であれば、摘出手術を行い、その際に人工関節や骨の移植を行う場合もあるのです。転移性骨腫瘍の場合は、元々の癌の治療とセットで行われます。骨腫瘍によって骨折しやすい状況のときには、先に手術を行う場合もあるのです。このように、骨腫瘍の治療は骨腫瘍の種類・症状・体の状況に合わせて行われています。

手術することもあるのでしょうか?

骨腫瘍の治療では良性でも悪性でも、手術を行うことがあります。良性腫瘍でも手術が必要になるのは下記の7点のような場合です。

  • 骨腫瘍の増殖によって正常な骨を壊す恐れのあるもの
  • 骨折が起きているもの
  • 病的な骨折が起きそうなもの
  • 骨腫瘍が痛みの原因になっているもの
  • 骨腫瘍が関節の動きを制限しているもの
  • 悪性化する恐れのあるもの
  • 美容上の問題が出ているもの

このように骨腫瘍が良性でも、増殖によって骨が破壊されたり、発生する部位によって骨折しやすくなったりするのです。また、骨腫瘍が神経や血管を圧迫し、痛みの原因になる場合もあります。関節の中に腫瘍ができると、関節の動きを制限してしまい、日常生活に支障をきたす場合もあるのです。
その他、現段階では良性でも経過によって悪性と判断されるケースも多く、悪性化する恐れのあるものは早めに摘出してしまうのが安全です。他にも、美容上の問題がある場合も本人が希望すれば手術適応になることがあります。これらに該当する場合は、良性腫瘍でも摘出手術を行う場合がほとんどです。

骨腫瘍の予後

患者

骨腫瘍は完治するのでしょうか?

骨腫瘍は良性でも悪性でも、完治する場合もありますが、再発する場合もあります。
特に悪性骨腫瘍は転移も再発も多いために、手術後も定期的に通院し治療を続けていく必要があります。また、子供の場合には、骨の成長に伴って再手術が必要になる場合もあるのです。

骨腫瘍は転移しますか?

骨腫瘍は転移する可能性があります。転移性骨腫瘍の場合は、肺癌・乳癌・腎臓癌などが血管やリンパ管を通って骨に転移して発生するものです。
そして、悪性骨腫瘍も血管やリンパ管を経由して、体のあらゆる場所に転移する可能性があります。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

骨腫瘍の初期症状は、軽い痛みや腫れ程度で非常に放置されやすい病気です。そのため、症状が悪化してから気づくケースがほとんどになります。
また、骨腫瘍とひとくくりにいっても、良性・悪性・原発性・転移性・発生場所などによって治療法や重症度が大きく変わってきます。もし、気になる症状がある場合は、なるべく早めにお近くの整形外科にご相談ください。

編集部まとめ

スタッフ
ここまで、骨腫瘍の症状・好発部位・発症の原因・治療方法・手術と入院期間・転移するのかについて解説しました。

骨腫瘍には、四肢切断の必要のあるものから、治療の必要のないものまで様々なことがわかります。

初期症状は軽い痛みや腫れ、突然の骨折などで非常に気づきにくく、重症になってから発覚するケースが多いです。

また、骨腫瘍は手術によって一度完治しても再発の可能性があり、病気と長く付き合っていかなくてはなりません。

気になる症状がある方は、是非お近くの整形外科にご相談ください。

この記事の監修医師