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「心内膜炎」を発症すると現れる症状・原因はご存知ですか?医師が監修!

 公開日:2023/04/19
「心内膜炎」を発症すると現れる症状・原因はご存知ですか?医師が監修!

心内膜炎には感染性心内膜炎と非感染性心内膜炎がありますが、ほとんどの場合は感染性が原因となって発症することが多いです。

感染性心内膜炎は若年層から高齢者まで誰でも発症する可能性がある病気で、発症したら適切に治療を行わないと合併症を引き起こすことがあるので注意が必要です。

今回は心内膜炎の症状や治療方法・日常で注意することなど詳しく解説していきます。

甲斐沼 孟

監修医師
甲斐沼 孟(上場企業産業医)

プロフィールをもっと見る
大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。上場企業産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。

心内膜炎とは

ウイルス

心内膜炎とはどのような病気でしょうか?

心内膜炎とは心臓の内膜が炎症を起こす重症感染症です。心内膜炎の原因は一般的に、細菌やウイルスなどの感染症がきっかけとなり発症することが多く、特に高齢者など基礎疾患がある人は発症するリスクが高くなります。しかし基礎疾患のない人でも発症することは珍しくなく、誰にでも発症する可能性はあります。心内膜炎は心臓の弁や心臓壁に損傷を与えることがあり、重症化すると心不全や脳梗塞などの合併症を引き起こすことがあるため注意が必要です。

発症する原因を教えてください。

心内膜炎が発症する原因は、感染症によって体内に細菌やウイルスが侵入し、血液中を循環して心臓に到達することで心内膜炎が発症することが多いです。
その中でも感染性心内膜炎の場合、口内環境が悪い・皮膚の感染症がある・尿路感染症があるなど、さまざまな病原体が原因でなることがあります。
一方、非感染性心内膜炎は細菌以外の真菌や細菌以外の微生物、自己免疫疾患などが原因で引き起こされる場合があります。また心臓の弁膜症や心筋梗塞・心臓手術後など、心臓にすでに問題がある場合にも心内膜炎が発症する可能性が高いです。

どのような症状がみられますか?

心内膜炎の症状は病原体の種類や感染部位・炎症の程度などによって異なります。
心内膜炎のほとんどの人は発熱の症状が出ます。他にも寒気・全身のだるさ・食欲不振など一般的な感染症に似た症状が現れる場合が多いです。
また徐脈(心拍数が遅い)・頻脈(心拍数が速い)・息切れ・胸痛・動悸などの心臓に関係する症状が現れる場合もあります。皮膚には体のあちこちに小さな出血点が現れたり、手足に痛みやしびれ・赤い斑点や結節が現れたりするので、これらの症状が現れた場合は早期に医師の診察を受け適切な治療を行うことが大切です。
特に発熱や全身のだるさが続く場合や、心臓の症状がある場合は早急に医療機関を受診することをおすすめします。

合併症があると聞きましたが…。

心内膜炎は治療が適切でなかったり早期に対処しないと、重篤な合併症を引き起こす可能性があります。
例えば心臓の内側の膜が炎症を起こすと、心臓の機能に影響を与えるので、心筋梗塞や心臓弁膜症のような合併症を起こすことがあります。
また心臓から脳に塞栓子が飛散することで脳梗塞や脳出血を発生させるかもしれません。
塞栓症は心臓から塞栓子が飛散して、肺動脈を閉塞させることで肺塞栓症が発生する場合があり、心内膜炎が原因で全身に炎症が広がり敗血症を発症することがあります。

心内膜炎の診断と治療方法

聴診器

何科を受診すれば良いでしょうか?

菊池病を患った場合には症状によっても異なりますが、形成外科・耳鼻咽喉科・血液内科・呼吸器科などが挙げられます。また、大きな総合病院であれば、複数の診療科目が連携して治療にあたってくれるケースもあります。
しかし、治療に専門的な知識や経験が必要なため、すぐに専門医が見つからないかもしれません。その場合は、まずはかかりつけ医に相談して、専門医へ紹介してもらうとスムーズに見つけられるでしょう。

心膜炎との違いを教えてください。

心内膜炎と心膜炎は、心臓を覆う膜に発生する炎症ですが発生する場所が違います。
心内膜炎は心臓の内側を覆っている内膜に炎症が起こる病気で、心臓の弁や心房と心室の間の膜に発症することが多いです。
一方、心膜炎は心臓を包む心膜の葉状心膜・筋状心膜・外膜に炎症が起こる病気で、感染症や自己免疫疾患が原因となることが多いです。心膜炎は心臓の外側の膜に炎症が生じるため、心臓の動きに影響を及ぼす場合があります。
心内膜炎と心膜炎は、症状や合併症が異なるため診断や治療方法も異なります。診断や治療の際には、しっかり検査を実施して正確な病名を確認することが重要です。

どのような検査で診断されるのでしょうか?

心内膜炎の診断には、以下のような検査が行われることがあります。

  • 身体診察:心雑音の有無、発熱l、貧血などの身体的な異常がないか診察
  • 血液検査:白血球数、C反応性タンパク、赤血球沈降速度(ESR)などの血液検査をし、炎症の程度を調べる。
  • 心電図(ECG):心臓の電気的な活動を測定し、心臓の異常がないか確認する。
  • 胸部X線検査:心臓の大きさや形状を検査する。
  • 心エコー検査:超音波を使って心臓の構造や動きを詳しく検査する。
  • 心臓カテーテル検査:心臓内部にカテーテルを挿入し、心臓の内部状態を詳しく検査する。
  • 血液培養:炎症の原因となる細菌が血液中に存在するかどうか調べる。

これらの検査結果を総合的に判断し心内膜炎の診断を行います。
ただし心内膜炎は診断が難しい病気の一つで、症状や検査所見が他の疾患と重なることがあるため、診断には特に注意が必要です。

治療方法を教えてください。

心内膜炎の治療方法には、いくつかの方法があります。

  • 抗生物質の投与:心内膜炎の原因となる細菌を殺菌するために、広域抗生物質を投与。治療期間は2週間以上になる場合がある。
  • 解熱剤の投与:高熱がある場合には、解熱剤を使用する。
  • 体の安静:心臓への負荷を軽減するため、安静にする。
  • 血栓予防:心臓内にできる血栓が肺塞栓症を引き起こすことがあるため、血栓予防のための薬物療法を行う。
  • 手術:重症の場合には手術が必要な場合があり、例えば弁膜症を合併している場合は弁膜組織を修復する手術が必要になることもある。

治療方法は症状の程度や原因菌、合併症の有無などによって異なります。
心内膜炎は早期の診断と治療が必要ですが、正確な診断が簡単にできる病気ではありません。検査だけではなく、病歴や身体のことなどを医師に伝えることが適切な治療が早くできるポイントになるでしょう。

心内膜炎の注意点

歯ブラシとコップ

再発するのでしょうか?

心内膜炎は適切に治療を受けた場合、再発することは比較的少ないですが可能性はゼロではありません。
再発のリスクは心内膜炎の原因や合併症の有無、治療の遅れなどによって異なります。そのため心内膜炎を引き起こす細菌が残っていたり、血液に細菌が再び侵入したりすると、再発のリスクが高くなるかもしれません。
また心臓弁膜症や人工弁の患者さん・免疫不全状態の患者さんなどは、再発のリスクが高くなる可能性があります。再発を防ぐためには、心内膜炎の原因となる細菌の感染を避けるために口腔衛生をしっかりと行い、歯磨き・うがいを毎日行うことが大切です。
また心臓弁膜症や人工弁を持つ患者さんには、定期的な心臓の検査をすることをおすすめします。再発を疑う症状がある場合は早めに専門医に相談することが大切になります。

日常生活での注意点を教えてください。

心内膜炎の患者さんが日常生活で気をつける点は、まず口腔衛生の徹底です。
心内膜炎は口腔内から細菌が侵入することが多いため、口腔内の衛生をしっかり行うことが大切です。毎日の歯磨きやうがいを徹底し、虫歯や歯周病を予防するために歯医者へ定期的に通うようにしましょう。
他にも健康的な生活習慣を維持することが重要になります。適度な運動やバランスのとれた食事・禁煙など生活習慣を見直し、疲れがたまったりストレスがたまったりする時には適度な休息をとるようにしましょう。心内膜炎の治療には細菌感染を抑えるための抗生物質が必要です。医師の処方通りに指示された期間分きちんと薬を飲むようにし、薬を飲む際には飲み忘れがないように注意しましょう。
また心内膜炎を発症した場合には心臓超音波検査や血液検査などを定期的に受けることが重要です。発熱や息切れ・めまいなどの症状が現れた場合は、すぐに医師に相談するようにしましょう。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

心内膜炎は感染症が原因で発症する場合が多く、健康な人でも発症してしまうかもしれません。
驚くことに歯周病や虫歯から身体の中に菌が入ることで発症する可能性もあります。そのため普段から口の中を清潔に保つことが大切です。
心内膜炎の診断は容易ではないため、適確な診断と治療をすることがとても重要になります。適確な診断ができず治療が遅れてしまうと合併症を引き起こし重症化するケースもあります。信頼できる医師に相談して的確な診断・治療をすすめましょう。

編集部まとめ

説明をする医者
心内膜炎は思いもよらないところから発症することがあるので、普段から気をつけて生活すると良いでしょう。

例えば歯磨きやうがい・健康的な食生活・適度な運動などは日常で出来るので意識しながら生活することで病気の予防に繋がると思います。

心内膜炎は感染症の予防・早期発見・治療が重要であり、リスクが高い人は定期的な検診や感染症の予防を行うことが望ましいです。

当てはまる症状がある場合は、すぐ病院を受診することをおすすめします。

この記事の監修医師