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リズムにノリやすい人、運動時に音楽を聴くと脳が活性化・やる気アップ 筑波大の発表

 公開日:2023/10/30

筑波大学らの研究グループは「グルーヴ感を生み出すリズムに親和性が高い人は、脳の前頭前野の実行機能と背外側前頭前野(DLPFC)の活性化が、通常の軽い運動時よりも促進されることを明らかにした」と発表しました。この内容について中路医師に伺いました。

中路 幸之助

監修医師
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)

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1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。

発表された内容とは?

筑波大学らの研究グループが発表した内容について教えてください。

中路 幸之助 医師中路先生

今回、筑波大学らの研究グループが実施した研究の成果は、学術誌「Neuroscience」に掲載されています。研究グループは、グルーヴリズムに合わせて超低強度運動をおこなった場合とコントロール音(一定のリズム音)に合わせて運動をおこなった場合とを比較して、実行機能とそれに関連する左DLPFCの神経活動が向上するか否かを、グルーヴリズムに合わせた運動に対する心理的反応の個人差に着目して検証しました。対象となったのは18~26歳の48人で、実際にはグルーヴリズムに合わせた3分間の超低強度運動が、実行機能と前頭前野神経活動にもたらす効果を検証しました。実験前の練習で、グルーヴ感と心理状態のそれぞれのカテゴリーで最も実行機能への効果に影響が大きかった「身体がリズムに共鳴しているように感じた」と「興奮した」というカテゴリーを用いて解析をおこないました。

その結果、「身体がリズムに共鳴しているように感じた」と「興奮した」が両方とも高かったグループの参加者は、グルーヴリズムに合わせた運動によって実行機能と左DLPFC神経活動が高まりました。逆に「身体がリズムに共鳴しているように感じた」と「興奮した」が両方とも低かったグループの参加者は、グルーヴリズムに合わせた運動で実行機能が低下するという結果が出ました。さらに、全体の解析をおこなうと、身体とリズムの同調感と興奮が高まるほど左DLPFC神経活動と実行機能向上効果が高まる関係を確認できました。

これらの結果から研究グループは、グルーヴリズムに合わせた運動が実行機能と左DLPFCの神経活動にもたらす効果の規定要因として、グルーヴリズムに合わせた運動に対する心理的反応が影響したことを初めて明らかにしました。

今回の発表内容への受け止めは?

筑波大学らの研究グループが発表した内容に対する受け止めを教えてください。

中路 幸之助 医師中路先生

ノリの良いリズムに合わせて体を動かしたくなる感覚はグルーヴ感と言い、このグルーヴ感を引き起こすリズムをグルーヴリズムと呼んでいます。今回の研究は、限られた年齢層での少人数の検討ではありますが、グルーヴリズムを運動に合わせることで運動の楽しさ(興奮の高まり)や脳への有益性(前頭前野の実行機能と左DLPFCの活性化)がもたらされることを示し、これまでにない研究であり高く評価されるべきと考えます。今後、幅広い年齢層かつ多人数での検討が望まれます。

今後の研究に期待したい点は?

筑波大学らの研究グループは今回の結果について「得られた知見をもとに、グルーヴリズムに合わせた運動の効果を検証していくことで、脳機能の向上効果を引き出す豊かな運動条件の1つとして、グルーヴリズムの活用が促進されることが期待される」とコメントしていますが、今後の研究に期待したいことを教えてください。

中路 幸之助 医師中路先生

定期的な運動習慣を持つ日本人の割合は低いとされており、現代の課題となっています。今回の研究結果が、楽しみながら脳機能向上効果が得られ、誰もがいつでも気軽に取り組める具体的な運動プログラムの開発につながることを期待します。

まとめ

筑波大学らの研究グループは「グルーヴ感を生み出すリズムに親和性が高い人は、脳の前頭前野の実行機能とDLPFCの活性化が、通常の軽い運動時よりも促進されることを明らかにした」と発表しました。グルーヴリズムに相性がいいと感じる人は、運動する際に取り入れてみるといいかもしれません。

この記事の監修医師