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「超加工食品」の大量摂取でうつ病リスクが約50%高くなる可能性 米ハーバード大学らが発表

 公開日:2023/10/19

アメリカのハーバード大学らによる研究グループは、高度に加工された「超加工食品」とうつ病のリスク関連を調べたところ、「超加工食品を大量に摂取する人は、うつ病のリスクが約50%高くなる可能性がある」ことを明らかにしました。この内容について中路医師に伺いました。

中路 幸之助

監修医師
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)

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1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。

研究グループが発表した内容とは?

アメリカのハーバード大学らによる研究グループが発表した研究内容について教えてください。

中路 幸之助 医師中路先生

今回紹介するのはアメリカのハーバード大学らの研究グループによる研究で、JAMA Network Openに掲載されています。研究グループは、高度に加工された「超加工食品」の中でも「水素添加のような工業的処理によって、高度に加工された食品」とうつ病のリスクの関連について調べました。対象者は研究開始時点でうつ病のない3万1712人の中年女性で、2003年から2017年にわたり4年ごとに食事調査を行い、超加工食品に相当する食品(穀物食品、スナック菓子、調理済み食品、デザート、油脂・ソース、加工乳製品、加工肉、飲料、人工甘味料)の摂取量を調べました。その結果、研究が終了するまでにうつ病を発症した人は2122人となりました。また、1日当たりの超加工食品の摂取量が上位20%のグループは、下位20%のグループと比べて、うつ病のリスクが49%高かったことが明らかになりました。超加工食品の内容別に検討すると、うつ病のリスク上昇と関連していたのは人工甘味料のみでした。超加工食品の摂取量が多いほどうつ病のリスクは高くなる一方で、摂取量を4年間で1日当たり3サービング以上減らした人は、摂取量が変化しなかった人と比べてうつ病のリスクが低下していたこともわかりました。研究チームは今回の結果について、「超加工食品とうつ病との関連が示されましたが、因果関係が証明されたわけではない」と述べています、また、うつ病のせいで超加工食品を選択することになった結果だという可能性は低いとも説明しています。

うつ病とは?

今回の研究テーマに関連するうつ病について教えてください。

中路 幸之助 医師中路先生

うつ病は、脳内の神経伝達物質であるセロトニン、ノルアドレナリンが減ってしまう病気だと考えられています。これらの神経伝達物質は精神を安定させ、やる気を起こす働きなどがあるため、減少することで無気力で憂うつな状態になってしまいます。うつ病は日本人の約15人に1人が一生のうちにかかるとされています。うつ病の治療には、落ち込んだ気分を和らげ、睡眠リズムを改善する効果のある抗うつ薬を中心に、必要に応じて不安感を和らげる抗不安薬などが使われます。また、ストレスを和らげ、自分を責める考え方を変化させるなどのカウンセリングも行われます。最近では「TMS治療」という、磁気刺激治療という方法も出てきています。

発表内容への受け止めは?

アメリカのハーバード大学らによる研究グループが発表した内容への受け止めを教えてください。

中路 幸之助 医師中路先生

今回のうつ病と食事(超加工食品)との関連を調べた研究の限界としては、対象が白人中年女性中心であること、そもそもうつ病を含む精神疾患は個体差が大きく原因もさまざまで、食事とほかの原因因子を単純に比較検討することは困難であることなどがあげられます。しかし、いままであまり注目されていなかった「食事」も重要なうつ病に影響を与える因子になり得ることを突き止めた点は高く評価されるでしょう。今後より幅広い人種や年齢層での追加研究が望まれます。

まとめ

アメリカのハーバード大学らによる研究グループは、高度に加工された「超加工食品」が、うつ病のリスクと関連していること調べたところ、超加工食品を大量に摂取する人は、うつ病のリスクが約50%高くなる可能性があるという結果を発表しました。研究グループは、今回の研究が超加工品とうつ病との因果関係が証明されたわけではないとしていますが、大きな注目を集める研究になりそうです。

この記事の監修医師