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「新型コロナワクチン」新たに1500万回分が廃棄へ、4月以降は“約7000円”で接種可能

 公開日:2024/03/22

厚生労働省は「新型コロナウイルスのワクチン接種について、定期接種の自己負担額を最大でおよそ7000円にする」と正式に決めました。この内容について中路医師に伺いました。

中路 幸之助

監修医師
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)

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1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。

厚生労働省が決めた方針とは?

厚生労働省が決めた、新型コロナウイルスのワクチン接種の方針について教えてください。

中路 幸之助 医師中路先生

2024年3月末までは、新型コロナウイルスワクチンを全額公費負担の無料で接種できます。しかし、2024年4月からはインフルエンザと同様に、接種費用の一部自己負担が原則求められる定期接種として扱われます。

厚生労働省は、これまで自己負担額を最大で7000円程度とする方針を示していましたが、ワクチンの価格が高騰していることから調整がおこなわれてきました。結果的には、想定よりも高くなったワクチン費用分も国が補助することを決め、来年度からの定期接種対象者の自己負担額は最大でおよそ7000円になることが正式に決まりました。また、自治体の独自の補助がある場合は、さらに安くなる可能性があります。なお、定期接種の対象外の人は任意接種となるため、自己負担額が7000円を超える見通しです。

さらに、厚生労働省は2024年3月末までに使われなかったワクチンを、有効期限内であっても速やかに廃棄するよう、都道府県などに求めています。国は2023年9月以降の接種分として、ファイザーやモデルナ、第一三共から計4640万回分を購入しました。ところが、2024年3月12日時点での接種者は、接種対象の22%にあたる約2800万人にとどまり、1500万回分以上が廃棄される見込みとなっています。

今後の新型コロナウイルスへの対応については?

厚生労働省は新型コロナウイルスを巡る診療体制について、2024年4月以降は公費負担を全廃すると正式に発表しましたが、今後は新型コロナウイルスに対してどのように対応すればいいのでしょうか? アドバイスをいただけると助かります。

中路 幸之助 医師中路先生

新型コロナウイルスの医療費を巡っては、2021年から治療薬を全額公費で負担をしていました。2023年5月、新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが5類に移行したことを受けて、2023年10月に治療薬は3000~9000円の自己負担となっています。そして、厚生労働省は2024年3月、新型コロナウイルスの診療体制について、4月以降は公費負担を全廃することを正式に発表しました。治療薬は、窓口負担の割合に応じて1~3割の支払いを求められることになります。

実際に、治療薬の費用をどれくらい負担するのかについて、重症化リスクがある人向けの「ラゲブリオ」は、3割負担で約2万8000円です。また、軽症や中等症向けの飲み薬である「ゾコーバ」は、3割負担で約1万6000円となります。さらに、入院患者に使われる点滴薬「ベクルリー」は、3割負担で約5万6000円です。また、入院費補助などについても3月末で終了することとなります。

厚生労働省が決めた方針への受け止めは?

厚生労働省が決めた方針について、受け止めを教えてください。

中路 幸之助 医師中路先生

今回の厚生労働省の方針は、いきなり全額を患者負担とせず、負担が急に増えないようにした対応として評価されると思います。また、国以外に市町村が独自の判断で補助する場合も考えられるため、自己負担額は市町村で異なる可能性が考えられます。その場合、ワクチン接種に限れば、7000円よりもさらに安くなる可能性があります。

まとめ

厚生労働省は、新型コロナウイルスを巡る診療体制について、2024年4月以降は公費負担を全廃すると正式に発表しました。新年度以降、新型コロナウイルスに感染すると、治療薬の自己負担が高額になるので注意が必要です。

この記事の監修医師