新型コロナの公費負担、4月から完全廃止 ワクチン有料化・治療薬は1万円以上に
厚生労働省は、新型コロナウイルスの診療体制について、2024年4月以降は公費負担を全廃すると正式に発表しました。この内容について甲斐沼医師に伺いました。
監修医師:
甲斐沼 孟(上場企業産業医)
厚生労働省が決めた方針とは?
新型コロナウイルスワクチンの接種について、厚生労働省が決めた方針を教えてください。
甲斐沼先生
新型コロナウイルスの医療費を巡っては、2021年から治療薬を全額公費で負担をしていました。2023年5月、新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが5類に移行したことを受けて、2023年10月に治療薬は3000~9000円の自己負担となっています。そして、2024年3月、厚生労働省は新型コロナウイルスの診療体制について、4月以降は公費負担を全廃することを正式に発表しました。治療薬は、窓口負担の割合に応じて1~3割の支払いを求められることになります。
実際に、治療薬の費用をどれくらい負担するのかについて、重症化リスクがある人向けの「ラゲブリオ」は、3割負担で約2万8000円です。また、軽症や中等症向けの飲み薬である「ゾコーバ」は、3割負担で約1万6000円となります。さらに、入院患者に使われる点滴薬「ベクルリー」は、3割負担で約5万6000円です。
ワクチン接種については、2024年4月からは65歳以上や重い基礎疾患がある60~64歳を対象に、費用の一部を原則自己負担する定期接種となります。季節性インフルエンザと同様、年1回の接種となり、標準的な自己負担額は7000円となる方向です。定期接種の対象ではない人は任意で受けられますが、原則として全額自己負担となります。また、入院費補助などについても3月末で終了することとなりました。
今回の決定について、武見敬三厚生労働大臣は「一般病床で新型コロナウイルス患者を受け入れる体制整備を進めてきた。通常の医療提供体制の移行は問題ない」とコメントしています。
厚生労働省が決めた方針への受け止めは?
厚生労働省が決めた方針について、受け止めを教えてください。
甲斐沼先生
3月5日、厚生労働省は「新型コロナウイルス感染症の令和6年4月以降の医療提供体制及び公費支援等について」という文書を示しました。新型コロナウイルスに対する医療提供体制、入院調整、各種公費支援などについては、2024年3月末をもって終了し、2024年4月以降は通常の医療提供体制とする方針を明確化しました。
この方針を受けて、各都道府県や自治体は、医療機関で新型コロナウイルスの診療に対応する通常の医療提供体制に移行する必要があります。また、一般流通する経口抗ウイルス薬を取り扱う薬局情報などを把握しながら、それぞれの地域において必要な医薬品が適切に提供される体制を確保することも重要になってきます。
今後の新型コロナウイルスへの対応については?
厚生労働省は新型コロナウイルスをめぐる診療体制について、2024年4月以降は公費負担を全廃すると正式に発表しました。今後、新型コロナウイルスに対して、どのように対応すればいいのでしょうか? アドバイスをいただけると助かります。
甲斐沼先生
今回、厚生労働省が発表した2024年4月以降の新型コロナウイルスの通常診療体制に関連して、月額1万円の入院費補助も2024年3月末で終了となります。また、感染状況に応じて事前に病床を確保した大学病院などの医療機関に支給してきた「病床確保料」や、患者を受け入れた高齢者施設への補助も打ち切りとなります。
こうした状況を踏まえて、2024年4月以降、将来的な感染拡大局面を見据えた体制強化の充実を含めて、感染症に対する注意喚起などの取り組み、救急相談アプリなどを活用した相談体制の強化が、今以上に望まれます。さらに、重症化リスクの低い人が抗原定性検査キットで自己検査できるようになる体制の確立や、解熱鎮痛薬を用意するよう住民へ呼びかけることは、引き続き推進していく必要があると考えられます。
まとめ
厚生労働省は、新型コロナウイルスを巡る診療体制について、2024年4月以降は公費負担を全廃すると正式に発表しました。新年度以降は新型コロナウイルスに感染すると、治療薬の自己負担が高額になるので要注意です。
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