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コロナワクチンを“217回”接種した男、副反応・検査での異常なし? 驚きの調査結果が明らかに

 公開日:2024/03/16

ドイツのフリードリヒ・アレクサンダー大学エアランゲン=ニュルンベルクらによる研究グループは、「新型コロナウイルスワクチンを約2年半で217回接種した」と主張するドイツ人の男性の状態を調査した研究結果を発表しました。この内容について中路医師に伺いました。

中路 幸之助

監修医師
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)

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1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。

今回発表された研究内容とは?

フリードリヒ・アレクサンダー大学エアランゲン=ニュルンベルクらによる研究グループが発表した研究内容について教えてください。

中路 幸之助 医師中路先生

今回紹介する研究はフリードリヒ・アレクサンダー大学エアランゲン=ニュルンベルクらの研究グループが実施したもので、学術誌「The Lancet Infectious Diseases」に掲載されています。

研究グループは、ドイツのマクデブルクに住む62歳の男性が個人的な理由から、29カ月間で新型コロナウイルスのワクチン接種を217回おこなった事例に着目しました。この男性の接種はまさに過剰接種と言えるものですが、臨床研究の枠外で、国のワクチン接種勧告に反しておこなわれたとのことです。ワクチン接種の全日程を通じて男性から副反応の報告はなく、検査でも異常を示さなかったとのことです。また、新型コロナウイルスへの感染もなかったことが明らかになっています。

研究グループは報道を見て、この男性の存在を知り、研究への協力を打診しました。その結果、男性から血液と唾液のサンプルを新たに提供され、ワクチン接種後に採取された血液サンプルの一部について調査することの許可を得ました。男性は、研究協力後もワクチン接種をおこない、ワクチン接種後の血液サンプルも研究グループに提供しています。研究の結果、ワクチン接種を繰り返したことによる免疫機能の低下は、この男性には起きていなかったことがわかりました。推奨されている新型コロナワクチンの3回接種を受けた対照群3人と比べると、男性の方が新型コロナウイルスに対する免疫細胞の量と抗体の量が高かったとのことです。さらに、217回目のワクチン接種も免疫細胞に影響を及ぼし、その結果、新型コロナウイルスに対する抗体が大幅に増加しました。

ただし、研究グループは、今回の事例のような過剰接種について「我々は適応免疫を高める戦略として、過剰なワクチン接種を支持しない」と注意喚起をしています。

本当に217回もワクチンを接種した?

今回の研究対象となった男性が、新型コロナウイルスワクチンを217回も接種したことは信じ難い話です。本当に接種がおこなわれたのでしょうか?

中路 幸之助 医師中路先生

たしかに、普通に考えれば疑わしい数字であることは間違いありません。男性の存在が表に出たのは、2022年におこなわれた報道がきっかけです。当時、男性は既に新型コロナウイルスワクチンを90回接種しており、報道によると「男性は接種証明書を入手・改ざんして、接種を希望しない人々に販売する目的で、医学的アドバイスに反して過剰に接種を受けた」との疑いをかけられていました。

今回紹介した論文には、こうした経緯も記載されています。論文では「実際にドイツのマクデブルク検察は、9カ月間に130回のワクチン接種をおこなったという証拠を収集し、詐欺の疑いでこの事件の捜査を開始したものの、刑事告発はされなかった」と発表しています。また、108回の予防接種が個別に記録されており、検察官が確認した130回の予防接種と一部重複していたことも明らかにされています。男性本人は「2年5カ月の間に、mRNAワクチンの変異株対応版を含む8種類のワクチンを、計217回接種した」と主張しています。

今回の研究内容への受け止めは?

フリードリヒ・アレクサンダー大学エアランゲン=ニュルンベルクらによる研究グループが発表した研究内容への受け止めを教えてください 。

中路 幸之助 医師中路先生

今回の200回以上のワクチン接種は、たまたま男性の健康に悪影響を与えなかったようですが、一般的に接種回数が多ければ多いほど、副反応のリスクも上がるため、やはり危険な行為と言えます。また、最初の3回で十分予防できていたために感染しなかった可能性もあり、3回打っても217回打っても、さほど効果に大きな差はないかもしれません。いずれにせよ、過剰なワクチン接種は推奨されるものではありません。

まとめ

フリードリヒ・アレクサンダー大学エアランゲン=ニュルンベルクらによる研究グループは、約2年半で新型コロナワクチンを217回接種したと主張するドイツの男性の状態を調査した研究結果を発表し、推奨されている3回接種した人よりも抗体価が高い状態だったことが明らかにされました。しかし、ワクチン接種回数が増えるほど副反応のリスクも上がることから、研究グループは「適応免疫を高める戦略として、過剰ワクチン接種を支持しない」とコメントしています。

この記事の監修医師