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生後6カ月の子どもに新型コロナワクチンの使用許可 FDAが発表

 更新日:2024/03/08
アメリカFDA 生後6ヶ月からの新型コロナワクチン使用許可

6月17日、FDA(アメリカ食品医薬品局)はファイザー製・モデルナ製の新型コロナウイルスワクチンを、生後6カ月以上の子どもに使用することを認めると発表しました。このニュースについて甲斐沼先生にお話を伺います。

甲斐沼 孟

監修医師
甲斐沼 孟(上場企業産業医)

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大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。上場企業産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。

FDAの発表内容とは?

今回、FDAが発表した内容について教えてください。

甲斐沼孟医師甲斐沼先生

6月17日、FDAは新型コロナウイルス感染症の予防のために、モデルナ製とファイザー製ワクチンの緊急使用承認を修正して、接種対象年齢を生後6カ月以上に引き下げました。これまでモデルナ製ワクチンについては、18歳以上の成人への使用が承認されていました。また、ファイザー製ワクチンは、これまで5歳以上への使用が承認されていました。

今回の接種対象年齢の引き下げについて、FDAのロバート・カリフ長官は「多くの親や介護者、臨床医が年少者向けのワクチンを待ち望んでおり、今回の措置は生後6カ月以降の子どもたちを守るのに役立つものです。 年長の年齢層で見られたように、子どもたちを入院や死亡などの新型コロナウイルスの深刻な結果から守ることを期待します」と述べています。さらに、「子どものケアを任されている人々は、これらの新型コロナウイルスワクチンの安全性と有効性に自信を持つことができ、FDAがデータの評価を徹底的におこなったことを保証します」ともコメントしています。

6カ月以上向けの接種方法とは?

今回、対象年齢が6カ月以上に引き下げられましたが、接種の方法などは変わったのでしょうか?

甲斐沼孟医師甲斐沼先生

6カ月以上5歳未満の子どもがファイザー製のワクチンを接種する場合は、3回で接種完了とされています。1回目から3週間後に2回目接種をおこない、2回目から少なくとも8週間後に3回目接種をすることになります。一方で、6カ月以上18歳未満がモデルナ製のワクチンを接種する場合は、2回接種で完了となります。1回目の接種から1カ月後に2回目を受ける形です。ただし特殊な免疫疾患がある場合は、2回目接種の1カ月後に3回目の接種をおこなって完了となります。

FDA発表内容への受け止めは?

FDAによるワクチン接種対象年齢の引き下げについての受け止めを教えてください。

甲斐沼孟医師甲斐沼先生

FDAは外部の専門家委員会を開き、ファイザーとモデルナの2社は各々の新型コロナウイルスワクチンに関する臨床試験結果を示したうえで、十分な効果が得られて新たな健康懸念点も認められなかったと説明しました。その中で、一部の専門家からは「子どもの重症化リスクが比較的低い状況下で、ワクチン接種する必要性を慎重に検討すべきである」という意見も散見されましたが、接種可能になる選択肢を提供することは必要だとして、最終的には「接種によるベネフィットがリスクを上回る」という見解を取りまとめて、ワクチン接種における対象年齢の拡大を推奨した形となりました。

今回の発表で、子どもや未成年に対してワクチン接種する場合には、ファイザー製であれば生後6カ月から5歳未満の場合、大人の10分の1の量を3回、モデルナ製であれば生後6カ月から6歳未満の場合、大人の4分の1の量、6歳から12歳未満は大人の半分の量、そして12歳から18歳未満は大人と同じ量をそれぞれ2回ずつ接種することになります。

日本でも、5歳未満の子どもへのワクチン接種については、将来的にファイザー社やモデルナ社が必要な薬事上の手続きをすれば、厚生労働省でその有効性や安全性を適切に確認していく方向性になります。また、その際には、5歳未満の子どもを持つ親で「すぐに接種する」と回答する人の割合がどれくらいいるかなどを含めた世論調査の動向を見極めながら、ワクチン政策を展開していく必要があるとも考えられます。

まとめ

6月17日、FDAはファイザー製・モデルナ製の新型コロナウイルスワクチンを、生後6カ月以上の子どもに使用することを認めると発表しました。アメリカ政府の新型コロナウイルス対策チームの調整官は「乳幼児への接種の展開は、集団接種会場が設置されていない点でそのほかの年齢層とは異なるが、かかりつけの医院や医療機関などでの接種が増える」と説明しています。

この記事の監修医師