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「梅毒」に感染した妊婦が急増中! 前回調査の3.3倍「子どもに重大な影響が残る可能性」

 公開日:2024/03/08

日本産婦人科医会は、2022年の1年間に梅毒の感染が確認された妊婦の割合を発表しました。2016年に実施された調査と比べて、約3.3倍に増えていることが明らかになっています。このニュースについて佐藤医師に伺いました。

佐藤 綾華

監修医師
佐藤 綾華(医師)

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北海道大学医学部医学科卒業。宮城県の急性期病院で初期研修修了後、産婦人科を専攻し、宮城県の複数の総合病院で勤務したのち産婦人科専門医を取得。生殖医療分野と女性医学分野に興味を持ち、日本女性心身医学会認定更年期指導士の資格も取得。

日本産婦人科医会が発表した内容とは?

日本産婦人科医会が発表した内容について教えてください。

佐藤 綾華医師佐藤先生

日本産婦人科医会は、妊娠中の梅毒感染症に関する実態調査を実施しました。2022年1月~2022年12月までの間に分娩となった妊婦の梅毒感染の実態について、全国の分娩取り扱い施設にアンケートを依頼し、同期間における日本の総分娩数の約59%にあたる45万5696件のデータを得ることができました。

アンケート結果
調査期間中に要治療と診断された梅毒感染妊婦は376人(2016年に行われた同じ調査の約3.3倍)
どの年齢層においても上昇傾向、特に若年齢層ほど感染率が高い傾向
梅毒に感染した妊婦376人の診断時期は、妊娠初期が80.8%、妊娠中の感染が4.8%、未受診や飛び込み分娩などで感染時期が不明であったものが14.4%
梅毒に感染した妊婦の転帰として、早産率が6.1%、死産率が2.1%、新生児が先天梅毒を発症している確率は7.4%

梅毒とは?

今回取り上げる梅毒について教えてください。

佐藤 綾華医師佐藤先生

梅毒は、他人の粘膜や皮膚と直接接触するなどの性的な接触などによって感染する病気です。梅毒トレポネーマ」という病原菌が原因で、症状として出てくる赤い発疹が楊梅(ヤマモモ)に似ていることに病名が由来しています。

梅毒に感染したかどうかは医師による診察と血液検査(抗体検査)で判断し、感染が明らかになったときの一般的な治療方法は外来で処方される抗菌薬の内服です。なお、薬の内服期間などはステージによって異なります。また、長期間の経過で脳や心臓に重大な合併症を起こすことがあり、死亡に至る症例もあるため、医師の診察を受け、感染の影響がなくなるまでしっかりと経過を診る必要があります。

性行為以外の感染経路として、感染した妊婦の胎盤を通じて胎児に感染する経路があり、先天梅毒の原因となります。胎児の臓器に影響を及ぼし、妊娠中には流産や早産、子宮内発育不全のリスクが上昇します。出生児には段階を経て骨や神経、目、耳などの様々な臓器に障害を引き起こすリスクがあり、妊娠中は特に早期の診断・治療が重要となります。

日本産婦人科医会が発表した内容への受け止めは?

日本産婦人科医会が実施した、妊娠中の梅毒感染症に関する実態調査の結果についての受け止めを教えてください。

佐藤 綾華医師佐藤先生

もともと、梅毒は限られたコミュニティで広まる感染症でした。しかし、爆発的な感染増大により身近に潜む性感染症となりつつあり、政府や産婦人科医のなかでも最近のトピックとなっています。

梅毒は、皮膚の潰瘍や全身の皮疹などの辛い症状がみられ、発見が遅れると命に関わる病気です。また、妊婦さんの感染では胎盤を通して胎児にも感染し、生まれてくるお子さんの将来にわたって重大な影響が残ってしまう可能性もあります。

梅毒に対するワクチンは現状ないため、梅毒感染症を減らすためには、梅毒についての知識を深めることが重要です。各個人が予防策をとること、もしも心当たりがあるのであれば医療機関を受診し早期発見、早期治療に努めましょう。政府や学会からも梅毒に関する情報が発表されているので参考にしてみてください。

まとめ

日本産婦人科医会は、2022年の1年間に梅毒の感染が分かった妊婦の割合を発表し、2016年に調査した時に比べて約3.3倍に増えていることが明らかになりました。梅毒感染の疑いがある人は、すぐに医療機関を受診することが重要となります。

この記事の監修医師