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未だ猛威を振るう「梅毒」対策として無料検査会場を設置、感染結果は即日判明

 公開日:2023/03/15
梅毒の年間患者数 初の1万人超え

3月3日から東京都は、梅毒の感染の有無が検査当日にわかる無料の臨時検査会場を設置しました。このニュースについて中路医師に伺いました。

中路 幸之助 医師

監修医師
中路 幸之助(医師)

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1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。

梅毒の感染状況とは?

梅毒の感染状況について教えてください。

中路 幸之助 医師中路先生

昨今、急増が指摘されている梅毒の感染者ですが、国立感染症研究所によると2022年の1年間に国内で報告された患者数は速報値では1万2966人となり、前年の7983人と比べて1.6倍となりました。この数字は現在の方法で統計を取り始めた1999年以降で最も多くなっています。2012年の梅毒患者が875人だったのでこの10年で約15倍にまで急増している計算になります。

東京都内でも過去最多の3677人を記録していて、男性は20代から50代、女性は20代の感染者が増えています。梅毒は他人の粘膜や皮膚と直接接触する性的な接触などによってうつる感染症で、「梅毒トレポネーマ」という病原菌が原因です。症状として出てくる赤い発疹が楊梅(ヤマモモ)に似ていることに病名が由来しています。

梅毒に感染したかどうかは、医師による診察と血液検査(抗体検査)で判断します。一般的な治療方法は抗菌薬の内服で、服用期間などはステージによって異なるため、医師が判断することになります。病変した部位によっては入院のうえ、点滴で抗菌薬の治療をおこなうこともあります。検査や治療が遅れたり、治療せずに放置したりすると、長期間の経過で脳や心臓に重大な合併症を起こすことがあります。晩期顕性梅毒という感染してから数年が経過すると死亡に至ることもあります。

無料検査会場の情報は?

都内に設置された梅毒の無料検査会場について教えてください。

中路 幸之助 医師中路先生

即日で結果がわかる無料検査会場は、3月3日から都内で設置されました。その日によって異なる会場でおこなわれ、3日は新宿区の「東京都健康プラザハイジア」、7日は墨田区の「すみだ産業会館」、3月11日は立川市の「立川商工会議所」でおこなわれました。

3月16日は多摩市の「パルテノン多摩」で13時30分から17時30分まで、3月22日~24日は新宿区「東京都健康プラザハイジア」で13時から17時まで会場が開かれる予定です。検査は1日あたり40人分の枠があり、電話での事前予約が必要ですが、名前や住所は非公開でも大丈夫です。電話番号は、050-3646-0101で10時から20時まで、土日祝日も受付けています。

無料検査会場設置への受け止めは?

東京都が設置した梅毒の無料検査会場について受け止めを教えてください。

中路 幸之助 医師中路先生

性風俗関連の発症のみならず、最近ではインターネットを介した不特定多数の性交渉での梅毒の感染が急増しています。今回のような無料の検査場を設けることで検査を受ける敷居を下げ、より多くの梅毒の患者さんの拾い上げが可能になるでしょう。現在の梅毒の流行の勢いを封じこめることができる可能性があり、歓迎される対策と考えられます。

まとめ

東京都が、梅毒の感染の有無が検査当日にわかる無料の臨時検査会場を3月3日から設置したことが今回のニュースでわかりました。梅毒の患者数は現在の統計方法が始まって以来、最も数が多くなっているので今後も注視が必要です。

この記事の監修医師