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梅毒の年間患者数が初の1万人超え「不特定多数との性交渉を避けて」

 更新日:2023/03/27
梅毒の年間患者数 初の1万人超え

東京都感染症情報センターが公開した国の集計結果で、梅毒の年間患者数が10月23日までに全国で1万141人に達しました。現在の調査方法となった1999年以降、年間を通じて初めて1万人を超えたことがわかりました。このニュースについて中路医師に伺いました。

中路 幸之助 医師

監修医師
中路 幸之助(医師)

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1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。

集計結果で明らかになった梅毒の状況とは?

東京都感染症情報センターが10月27日に公開した梅毒の患者数の推移について教えてください。

中路 幸之助 医師中路先生

今回取り上げるニュースは、性感染症の梅毒の患者数についての内容です。東京都感染症情報センターは10月27日に国の集計結果を公開しました。この集計によると、速報値ではありますが梅毒と今年診断された患者数は10月23日までに全国で1万141人に達したとのことです。現在の調査方法となったのは1999年ですが、それ以降で年間を通じて初めて梅毒の患者数が1万人を超えたことになります。梅毒については、2018年をピークに右肩上がりで増加していましたが、2019年と2020年には減少傾向になっていました。ところが、2021年に急増して7873人と当時の過去最高を記録しています。そして、2022年に入ってから9月の段階で過去最高更新が明らかになるなど増加傾向が懸念されていましたが、今回の速報値で1万人の大台を超える結果となりました。

梅毒とは?

梅毒について教えてください。

中路 幸之助 医師中路先生

梅毒は、他人の粘膜や皮膚と直接接触するなどの性的な接触などによって感染する病気です。梅毒トレポネーマという病原菌が原因で、症状として出てくる赤い発疹が楊梅(ヤマモモ)に似ていることに病名が由来しています。

梅毒に感染したかどうかは医師による診察と血液検査(抗体検査)で判断し、感染が明らかになったときの一般的な治療方法は外来で処方される抗菌薬の内服です。なお、薬の内服期間などはステージによって異なるので、医師が判断することになります。また、病変した部位によっては入院のうえ、点滴で抗菌薬の治療をおこなうこともあります。検査や治療が遅れたり治療せずに放置したりすると、長期間の経過で脳や心臓に重大な合併症を起こすことがあります。

梅毒にならないために重要なことは?

梅毒にならないために重要なことを教えてください。

中路 幸之助 医師中路先生

梅毒にかからないために重要なポイントは、「性交渉のパートナーを1人に限定する」「コンドームを使用する」「オーラル(口)セックス・アナル(肛門)セックスにも注意する」などが挙げられます。

不特定多数の相手と性交渉を持つと感染のリスクが高まるため、性交渉のパートナーは1人に限定しましょう。また、性交渉の際は必ずコンドームを使用して、性器粘膜の直接の接触を避けるようにしましょう。たとえ避妊のためにピルを使用してもコンドームを使うようにしてください。そして、通常の性交渉以外にオーラルセックスやアナルセックスがありますが、これらの性交渉は妊娠の可能性がないことからコンドームを使用しない場合が多いかもしれません。しかし、コンドームを使用せずにオーラルセックスやアナルセックスをおこなうことは、粘膜の直接の接触を介しての梅毒感染症のリスクがあり危険なので控えましょう。

まとめ

梅毒の年間患者数が10月23日までに全国で1万141人に達し、現在の調査方法となった1999年以降、年間を通じて初めて1万人を超えたことが今回のニュースでわかりました。梅毒は早期の薬物治療で完治することが可能なので、皮膚や粘膜に異常があった場合は早めの受診が重要になります。

この記事の監修医師