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【看護師解説】感染症を予防する具体的方法は? 流行しやすい冬こそ取り入れたい生活習慣

 公開日:2024/02/01

冬になると体調を崩す人が増えますが、中でも感染症は予期せず罹患してしまい、日常生活に大きな影響を与えることがあります。特に寒い季節の感染症(インフルエンザなど)は流行を伴うので、十分な対策が必要です。そこで、生活の中で取り入れやすい感染症の具体的な予防方法について、看護師の安部さんに解説していただきました。

安部 直子

監修看護師
安部 直子(看護師)

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新見女子短期大学(現・新見公立大学)看護学科を卒業後、大学病院で働きながら通信制を利用して看護学学士を取得。民間病院での勤務を経て2022年よりフリーライターとして活動。病棟、外来、救急など様々な部署や、複数の診療科での経験を活かして「誰かの役に立つ情報」を発信中。

気を付けるべき主な感染症にはどんなものがある?

気を付けるべき主な感染症にはどんなものがある?

編集部編集部

感染症は何に気を付けたらいいですか?

安部直子さん安部さん

なじみが深い新型コロナ感染症やインフルエンザのようなウイルスによるものは気を付けましょう。また、風邪もほとんどがウイルスによると考えられ、原因となるウイルスは200種類以上あるといわれています。毎年インフルエンザのワクチンの接種が必要であることや、何度も風邪をひくことがあるのはそのためです。ほかにも、ウイルスが原因で起こるものとしてノロウイルスがよく知られています。

編集部編集部

ノロウイルスに感染するとどうなりますか?

安部直子さん安部さん

ノロウイルスは、加熱が不十分な食品の摂取や、調理時の人や器具を介して感染しおう吐や下痢などの胃腸炎をおこすものです。軽症で済む人もいますが、子どもや高齢者では重症化することがあり、吐いたもので喉を詰まらせ死亡した例もあります。

編集部編集部

ほかに気を付ける感染症はありますか?

安部直子さん安部さん

麻疹(はしか)、風疹、水痘などのウイルス感染症は子どもが罹る感染症のイメージがあるかもしれませんが、大人でも注意してください。中でも風疹は妊婦が感染すると胎児に影響し、難聴、先天性心疾患、白内障などを引き起こします。出産を控えた女性だけでなく、周囲の男性も予防接種を受けた方がいいでしょう。また、結核症、梅毒など昔の病気と考えられていた感染症も増加しているので、正しい情報を厚生労働省のホームページで確認してください。

日常生活でできる! 感染症の予防につながる生活習慣は?

日常生活でできる! 感染症の予防につながる生活習慣は?

編集部編集部

日常生活で感染予防はできますか?

安部直子さん安部さん

基本にはなりますが、石けんを使った30秒以上の手洗いとうがいが大切です。うがいは、まず口をゆすいでからそのあとに喉うがいをしましょう。口の中は雑菌が多く、最初に喉うがいをすると喉の奥に菌が入り込んでしまいます。

編集部編集部

手洗いやうがいの徹底が大切ですね。加えてアルコール消毒などは効果がありますか?

安部直子さん安部さん

確かにアルコール消毒は良いですが、過度な消毒で手荒れをすると逆効果で、荒れた手から菌が入り込みます。ハンドクリームを使った保湿を心がけてください。また、外出先ではエレベーターのボタンなどについた病原体が体内に侵入しないよう、何気なく目や鼻をこする習慣がある人は注意してください。

編集部編集部

免疫力を高める対策は何ですか?

安部直子さん安部さん

普段の食生活を少しだけ見直すのもひとつの方法です。免疫力アップには腸内環境が関係していますので、ヨーグルトや納豆など腸内細菌のバランスを整える食材を取り入れるといいでしょう。ただし、持病のある患者さんは納豆が服用中の薬と相性が悪い場合があるため、主治医に相談してください。適度な運動が免疫力アップにつながりますが、激しい運動はかえって免疫機能を下げる報告もあります。歩く、そうじをするなども運動に含まれるため、無理のない範囲で行ってください。

感染症にかかってしまったらどう過ごすのが良い?

感染症にかかってしまったらどう過ごすのが良い?

編集部編集部

感染症にかかった場合はどうしたらいいですか?

安部直子さん安部さん

病原菌に対する治療薬がない場合は、対症療法が行われます。睡眠を取り、悪化させないよう自己免疫力の働きを高めましょう。熱が出た場合は、発汗による脱水に注意して十分な水分補給が必要です。

編集部編集部

対症療法とは何ですか?

安部直子さん安部さん

対症療法とは、原因となる病原体に対してではなく症状をやわらげるための治療です。インフルエンザと違い、風邪のウイルスには特効薬がありません。鼻水を止める、喉の炎症を抑えるなど症状に応じた薬が使用されます。ただし、下痢をした時に下痢止めを使うと病原体を体内に残すことになり、回復が遅れる場合があります。自己判断をせずに、医師に相談してください。

編集部編集部

風邪の時はお風呂に入らない方がいいと聞きましたが、本当ですか?

安部直子さん安部さん

基本的に入浴は可能です。昔は浴室が寒い環境だったためそのようにいわれてきましたが、今の住環境ではそれほど問題になりません。入浴は体力を消耗するので体調に合わせて行い、入浴後は体を冷やさないように注意しましょう。

編集部編集部

食事や睡眠に注意すれば病院に行かなくてもいいですか?

安部直子さん安部さん

症状が軽い場合はセルフケアで対処できますが、具合が悪ければ医療機関を受診しましょう。感染症によっては保健所への報告が必要なものや、病院が対応できない場合もあるため事前に確認してください。以下の症状があれば重症化のサインになるため、すぐに受診しましょう。
・けいれんや呼びかけにこたえない
・呼吸困難、息切れ
・顔色が悪い
・嘔吐や下痢が続いている
・症状が悪化
・胸の痛みが続いている

編集部編集部

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

安部直子さん安部さん

私たちの身の回りにはたくさんの感染症があります。無理をせずに、ご自身の生活でできる感染対策から始めてください。

編集部まとめ

感染症にならないようにするためには、正しい手洗いやうがいを行い、病原体を持ち込まないような対策が必要です。食事や運動で免疫力を高めておくと病気になっても軽症ですむ場合があり、日常生活で感染予防が行えます。届け出が必要な感染症もあるため自己判断せず、気になる症状があれば医療機関に相談してください。

この記事の監修看護師