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新型コロナワクチン接種 24年度から全額自己負担へ、高齢者は一部負担の定期接種化

 更新日:2023/12/01
新型コロナウイルスワクチン 65歳以上定期接種化へ

厚生労働省科学審議会は2023年11月22日、来年度以降の新型コロナウイルスワクチンの接種について、65歳以上の高齢者らは「定期接種」に位置付けることを了承しました。この内容について中路医師に伺いました。

中路 幸之助

監修医師
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)

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1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。

今後の新型コロナウイルスワクチンの接種は?

厚生労働省が新型コロナウイルスワクチンの接種について決めた方針について教えてください。

中路 幸之助 医師中路先生

2023年11月22日、厚生労働省の予防接種・ワクチン分科会は新型コロナウイルスワクチン接種についての今後の動向を発表しました。国内では、2021年2月から新型コロナウイルスのワクチン接種が始まり、蔓延防止のために予防接種法上の「臨時接種」として、費用の全額を国費で負担し、全世代が無料で受けられる状態でした。しかし、2023年5月に新型コロナウイルスが感染症法上の「5類」に移行したことを受け、原則費用の一部自己負担を求める定期接種化が議論されてきました。

今回の発表で2024年度から、65歳以上の高齢者と60~64歳で基礎疾患があり重症化リスクの高い人については、国の交付税で接種費用の3割程度を補助した上で、接種を受ける人に原則、費用の一部自己負担を求める「定期接種化」の方針を固めました。そして、それ以外の人は、希望者が受ける「任意接種」となるため、自治体などの補助を除き、費用は原則全額自己負担となります。

22日に出席した分科会の委員からは「自己負担が高額になることについて、対策を考えてほしい」という意見が挙がりました。それに対して、厚生労働省は「今後、企業からワクチンの価格を聞き取った上で、対応を検討する」としています。

予防接種の臨時接種・定期接種とは?

予防接種の定期接種・任意接種とは、どのようなものなのか教えてください。

中路 幸之助 医師中路先生

法律で接種することが勧められているワクチンを定期接種と呼びます。定期接種には、集団予防や重篤な疾患の予防に重点を置き、本人(保護者)に予防接種を受けるように努める努力義務がある「A類疾病」という種類と、個人予防に重点を置いた努力義務のない「B類疾病」の2種類があります。A類疾病の具体例としては、麻しん、風しん、水痘(みずぼうそう)、HPV感染症などがあります。B類疾患の代表例としては、インフルエンザや肺炎球菌などです。定期接種は決められた回数・間隔・年齢(時期)・場所で受けると、公費負担(無料)で受けられることがあります。それ以外の条件の場合、B類疾病の一部で自己負担の場合があります。

一方、予防接種法には規定されていない場合や、定期接種のワクチンを対象年齢以外で受ける場合が任意接種となります。接種の費用は基本的に全額自己負担です。接種費用は医療機関によって異なり、接種できる年齢や接種回数、接種量はワクチンによって決まっています。予防接種ワクチンによっては、自治体による公費負担のあるワクチンもあるので、受ける際には各自治体の情報をご確認ください。

今回の発表内容への受け止めは?

今回、予防接種・ワクチン分科会が発表した内容についての受け止めを教えてください。

中路 幸之助 医師中路先生

今回の厚生労働省の決定は、「重症者を減らすことを目的としている」「ワクチンに使用するウイルス株は、毎年見直すこととした」「接種のタイミングは年末年始の流行のピークが予想して秋冬とした」点で評価されると考えます。ただし、適正な価格設定が重要です。限られた医療財源において、任意接種も含めて多くの希望者が接種できるような配慮が望まれます。

まとめ

11月22日の予防接種・ワクチン分科会にて、来年度以降の新型コロナウイルスワクチンの定期接種化の方針が発表されました。専門家からの声として、対象年齢外の人の自己負担金額が大きくなることへの懸念の声も上がっており、今後の厚生労働省の対応決定動向にも注目です。

この記事の監修医師