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「腹痛」の原因・病院へ行く目安はご存知ですか?医師が監修!

「腹痛」の原因・病院へ行く目安はご存知ですか?医師が監修!

腹痛は、誰もが経験するであろう、日常的な体調不良の1つです。発生することが多い症状であるため、あまり気にせず放置してしまっている方も多いのではないでしょうか。

しかし、腹痛は場合によっては重い病気のサインとして発現するケースもあるため、油断はできません。特に痛みが継続したり我慢できないほどの強い痛みを感じたりする場合は注意しましょう。

今回は、腹痛が発生する原因について紹介します。また、腹痛が発生した際に病院に行くべき目安やおすすめの治療方法についても解説します。

腹痛について理解をしておけば、いざという時に慌てることなく対処できるでしょう。ぜひ参考にしてください。

中路 幸之助

監修医師
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)

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1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。

腹痛の原因

腹痛の女性
腹痛が発生する原因は、実に様々なものがあると考えられています。例えば急激な運動をした時など、身体に特別な異常がなくても腹痛の症状が表れることもあるでしょう。
腹痛は、日常的に発生しうるため、軽視されがちです。しかし、重い病気が原因で発生している可能性もあるため、しっかりと症状を見て判断する必要があります。
腹痛が発生する病気の原因の主なものを、以下に8種類紹介します。

  • 感染性胃腸炎
  • 逆流性食道炎
  • 急性膵炎
  • 急性虫垂炎
  • 胃潰瘍
  • 十二指腸潰瘍
  • 過敏性腸症候群
  • 尿路結石

いずれも激しい痛みなどの厳しい症状を伴うため、早めに専門医に相談するのが良いでしょう。

感染性胃腸炎

感染性胃腸炎は、細菌やウイルスなどに感染して発症する胃腸炎の一種です。中でもウイルス性のものが多く、特に秋から冬の季節に流行する場合が多いです。
感染経路で多いのは、病原体が手に付着した状態で口に触れる接触感染や、ウイルスに感染した食べ物を口に入れる経口感染です。罹患すると、腹痛とともに嘔吐・下痢・発熱などの症状を伴います。
治療方法はなく、発生する各症状を抑える対症療法を行うのが一般的です。特に高齢者は、下痢による脱水症状や嘔吐物が気管に入ることによる肺炎の発生に注意する必要があります。感染性胃腸炎にならないよう、予防をしっかりとしましょう。
トイレの後・調理前・食事前は石鹸でしっかり洗い、水で流すのが良いです。ロタウイルスなど、一部の感染源に対しては予防接種ワクチンが用意されています。

逆流性食道炎

逆流性食道炎は、胃酸などの胃の内容物が逆流し、食道に炎症を引き起こす病気です。食道は胃酸に弱いため、長時間の逆流が起こると炎症を引き起こしてしまいます。
逆流性食道炎は、下部食道括約筋の緩みが原因の場合が多いです。食道と胃のつなぎ目にある下部食道括約筋は、食物が通る時以外は胃の内容物が逆流しないように絞められています。この筋肉の働きが弱くなることで胃の内容物が逆流してしまいます。
みぞおちの辺りの痛みに加え、胸が焼ける感じ・のどの違和感・慢性的な咳などが主な症状です。内服療法を用いて治療し、基本的な生活習慣を改善して再発を防止します。

急性膵炎

急性膵炎とは、膵臓の急性炎症のことで、腹の上の部分が急激に痛みます。また、嘔吐・発熱・意識障害などの症状を伴うことが多いです。
急性膵炎は、アルコールと胆石が原因となって発症する場合が多いとされています。治療方法としては、膵臓を安静に保つため絶飲食を行い、輸液投与により栄養補給を行う形をとるケースが多いです。

急性虫垂炎

急性虫垂炎とは、盲腸と呼ばれることも多い病気です。腸の入り口にある虫垂に炎症が起こる病気で、原因はストレス・細菌感染・疲労など様々なものが考えられています。微熱が出てだるさを感じるようになり、そのあと吐き気・強い腹痛が生じるケースが多いです。
治療は、軽症であれば薬物療法を実施します。炎症が進行していたり虫垂が破裂していたりした場合は、開腹手術を実施することも少なくありません。
急性虫垂炎の予防のためには、以下のようなものが挙げられます。

  • 暴飲暴食を避ける
  • 過労・寝不足を避ける
  • 便秘にならないようにする
  • ストレスを発散する

原因と考えられる要素が多いため、完全に予防するのは難しいです。身体の異常を感じたら、早めに専門医に相談しましょう。

胃潰瘍

胃潰瘍は、消化性潰瘍とも呼ばれ、胃の粘膜を胃液中の成分が消化してしまう病気です。胃潰瘍が起こる原因としては、以下のようなものが挙げられます。

  • ストレス
  • ピロリ菌の感染
  • 刺激の強い香辛料の摂取
  • 喫煙・コーヒー・飲酒
  • 不規則な食生活

胃潰瘍になると、腹痛に始まり背の痛み・吐き気・胃もたれ感・腹部の膨満感などが発生します。治療方法は、症状が軽い場合は胃酸を抑える薬や粘膜の保護効果のある胃薬を用いた薬物療法が一般的です。

十二指腸潰瘍

十二指腸潰瘍は、何らかの要因で強い胃酸が発生し、十二指腸の粘膜を傷つける病気です。十二指腸は、胃と小腸の間にある消化器官です。
症状としては、みぞおち辺りにうずくような痛みが生じます。潰瘍が進むと、十二指腸に穴が開いたり、腹膜炎を起こしてしまう危険があります。十二指腸潰瘍が起こる原因は、ピロリ菌の感染・鎮痛剤の服用の影響の2パターンが多いです。
治療は、潰瘍専用の治療薬を用いた内服治療が一般的です。数日間にわたって空腹時に腹痛があった場合は、十二指腸潰瘍の疑いがあるため、消化器内科などを受診するのが良いでしょう。

過敏性腸症候群

過敏性腸症候群は、腸が何らかの原因により必要以上に過敏な状態になり、便通の異常を引き起こす病気です。過敏性腸症候群はRomaⅣ基準で定義されており、症状の表れ方によって、主に以下の4種類に分けて診断されます。

  • 下痢型
  • 便秘型
  • 混合型
  • 分類不能型

下痢型は、緊張や不安が起因となり便意を催し、激しい下痢になるのが特徴です。便秘型は便秘が主になるタイプで、便の形状は硬便または兎糞状便などです。
混合型は、腹痛を伴いながら下痢と便秘を繰り返します。分類不能型は、これら3つのタイプにあてはめるのが難しいタイプです。
過敏性腸症候群になる要因としては、ストレス・暴飲暴食・過度の飲酒・不規則な生活などが挙げられます。また、自律神経失調症が原因で発生しているケースもあるため、場合によっては診療内科で自律神経の不調に関しての相談が必要な場合もあるでしょう。

尿路結石

尿路結石は、腎臓から尿道に至るまでの尿路の途中で、結石が発生してしまう病気です。尿路結石は、症状が出ないまま状態が進行してしまう場合が多く、突然背中から腹部にかけて激痛が襲うケースがあります。また、血尿も主な症状の1つです。
治療方法としては、まずは自然排石の可否を検討します。結石が自然に体外に排出できそうな場合は、水分を大量に摂取して尿量を増加させる対処を行うケースが多いです。自然排石が難しいと判断された場合は、外科的な処置により砕石治療を実施します。

腹痛で病院へ行く目安

白衣を着た女性
以上で紹介してきたように、腹痛が発生する要因は様々あります。一時的な便秘による腹痛など、軽微で原因がはっきりとわかっている場合は、市販薬の利用で経過を見る方法もあるでしょう。しかし、腹痛に加えて以下のような症状を伴う場合は、危険な病気である可能性が疑われます。

  • 吐き気
  • 吐血
  • 下血
  • 発熱
  • 胸痛・背部痛

以上の症状がみられる場合は、早めに医療機関を訪れるのがおすすめです。
相談する診療科は腹痛の原因によって異なるため、自身で判断するのは難しいでしょう。まずはかかりつけの内科や消化器科などに相談に行くのが一般的です。

腹痛の治療方法

医療従事者
腹痛の治療方法は、一概に示すのは難しいです。原因が様々あり、それぞれの適切な治療方法が異なるためです。
我慢できないほどの痛みが生じていたり、他の症状が併発したりしている場合は、かかりつけの医師に相談に行きましょう。病院では、腹痛に関する情報をできるだけ正確に伝えましょう。
いつから痛むのか・痛みの種類・痛みの要因・直近の食事内容・周囲の人の状態などを可能な限りまとめておくと良いです。

すぐ病院に行った方が良い「腹痛」症状は?

  • 突然の激しい痛みがある、冷や汗がある、意識が遠のく場合
  • 血便がある、黒っぽい嘔吐がある場合

これらの場合にはすぐに病院を受診しましょう。

行くならどの診療科が良い?

主な受診科目は、内科、消化器科、心臓血管外科、婦人科などを受診しましょう。

問診、診察、血液検査、画像検査(レントゲン、CT) などが実施される可能性があります。

病院を受診する際の注意点は?

持病があって内服している薬がある際には、医師へ申告しましょう。

いつから症状があるのか、痛みの性状・変動、他にも症状があるのか、これまでにお腹の手術を受けた経験や、腹痛の誘因になりえる食事や飲酒、薬の摂取があったかなども医師に伝えましょう。

治療をする場合の費用や注意事項は?

保険医療機関の診療であれば、保険診療の範囲内での負担となります。

まとめ

お腹を触る女性
腹痛は、日常的に起こりやすい身近な症状です。どうしても軽視されがちですが、場合によっては重大な病気に起因している可能性があるため、安易に自己判断するのはおすすめできません。

腹痛が、身体からの危険信号であるとする見方もあります。普段と違う腹痛・我慢できないほどの痛み・他症状の併発などがみられる場合は、専門医への相談を検討しましょう。

少しでも違和感があった場合は、早めに治療を受けるのをおすすめします。後悔しないよう、早めの対策を講じましょう。

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