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「前立腺炎」とは?症状・原因・治療についても解説!【医師監修】

 更新日:2023/07/13
「前立腺炎」とは?症状・原因・治療についても解説!【医師監修】

前立腺炎とは、男性の尿道の周りにある前立腺が炎症を起こす疾患です。原因は多くの場合不明で、細菌によるものとそうでないものに分けられます。疑われる症状がある場合は、早急に泌尿器科を受診しましょう。

今回は前立腺炎の概要や症状、検査や治療方法、予防方法などについて解説します。

平澤 陽介

監修医師
平澤 陽介(東京医科大学病院)

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2008年3月 北海道大学医学部医学科卒業
2010年3月 横浜労災病院 初期研修修了
2011年4月 慶應大学病院 泌尿器科 助教
2014年4月 東京医科大学病院 泌尿器科 助教
2018年4月 東京医科大学病院 泌尿器科 助教・医長 医学博士取得
2019年5月 Cedars Sinai (アメリカ合衆国カリフォルニア州ロサンゼルス)にResearch fellowとして留学
2021年4月 東京医科大学病院 泌尿器科 講師

前立腺炎とは?

前立腺炎とは、どのような疾患ですか?

    まず前立腺とは、男性のみにある生殖器の1つです。尿道のまわりにあり、前立腺液という精液の一部を作ります。この前立腺に炎症が起きるのが前立腺炎です。排尿障害や痛みなどが現れます。

    前立腺炎の原因は複数あり、細菌感染によるものかそれ以外か、急性か慢性かなどによって分類されます。細菌感染が原因で起こる前立腺炎は、症状が急に現れる「急性細菌性前立腺炎」と、ゆっくり症状が現れて何度も起こる「慢性細菌性前立腺炎」に分けられます。

    一方で、細菌感染がなく現れるのが「慢性非細菌性前立腺炎」です。また、症状がないまま発見される「無症候性炎症性前立腺炎」もあります。

前立腺炎の症状

前立腺炎では、どのような症状が表れますか?

    前立腺炎の症状は原因や分類によって違いますが、多いのは排尿時痛など、陰囊(いんのう)と肛門の間にある会陰部(えいんぶ)や膀胱などの痛みです。特に会陰部の筋肉のけいれんにより痛みが起こります。

    痛みは会陰部や膀胱だけでなく、下腹部や腰、恥骨や尿道、精巣や陰茎(いんけい)にも起こります。排尿すると痛んだり、焼けるように感じたり、勃起や射精に痛みが伴ったり、便秘になって排便時に痛んだりなどです。

    さらに、おしっこが近く感じる頻尿や、急に尿意が現れて我慢できない尿意切迫、排尿したのに残っている感覚がある残尿感、尿の出がよくない尿勢低下などの尿路刺激症状が現れます。

前立腺炎の分類別に症状の違いはありますか?

    症状が重くなるのは、急性細菌性前立腺炎です。感染により、炎症症状が全身に現れます。高熱や悪寒、だるさなどです。また、排尿困難や血尿なども現れます。

    慢性細菌性前立腺炎では前立腺や会陰部の痛み、射精痛などの症状が、慢性的に現れるのが特徴です。

    また、細菌性前立腺炎によって精巣上体炎になったり前立腺に膿が溜まって膿瘍が発生したりすることもあります。

前立腺炎の原因

前立腺炎の原因を教えてください。

    前立腺炎の発症原因は、未だにはっきりとわかっていません。細菌が尿路や血流にのって前立腺炎を起こす場合でも、細菌感染が急激に進んで急性細菌性前立腺炎になることもあれば、徐々に感染して慢性細菌性前立腺炎になる場合もあります。

    また、細菌感染がないのに前立腺炎になることもあります。

細菌性前立腺炎

細菌性前立腺炎の原因について教えてください。

    細菌性前立腺炎の原因菌は、肛門や消化管にいる大腸菌などの腸内細菌、性感染症の原因になるクラミジアなどの細菌です。

非細菌性前立腺炎

非細菌性前立腺炎の原因について教えてください。

    非細菌性前立腺炎では、炎症が起きる炎症性のものと、炎症が起きない非炎症性のものがあります。炎症性の非細菌性前立腺炎は、自分の正常な細胞や組織を自らの抗体が攻撃してしまう自己免疫疾患が原因で起こることがあります。

    非炎症性の非細菌性前立腺炎の原因は、わからないことが多いです。長時間のデスクワークで同じ姿勢を取り続ける方や、ストレスを日常的に受けている方がなりやすいと言われております。そのため、20-40歳代の比較的若い働き世代のサラリーマン男性に多く、ストレス社会と相まって年々に患者数は増加していると感じます。その他、排尿するには筋肉や神経の協調運動が必要ですが、協調運動が上手くできずに、尿が前立腺へ逆流することで発症する可能性も指摘されています。

    また、前立腺の感覚を司る神経が過剰に働くことで、痛みが慢性的になる可能性も考えられています。

前立腺炎の受診科目

前立腺炎のような症状が現れた場合、何科を受診すればいいですか?

    泌尿器科を受診してください。

前立腺炎の検査

前立腺炎 検査

前立腺炎が疑われる場合、どのような検査を行いますか?

    最初に問診で尿路刺激症状や、会陰部などの痛みを確認します。その後に肛門から指を入れて前立腺を触る直腸診を行い、圧痛があれば前立腺炎です。前立腺炎になっている患者さんは多くの場合、前立腺の炎症によってむくみも現れます。

    特に急性細菌性前立腺炎では前立腺が腫れて、触ると強く痛むこともあります。しかし強く圧迫すると、血液中に菌をばらまくリスクがあるため、強く刺激する検査は行いません。一方で慢性の前立腺炎の場合は、腫れないこともあります。

    そして、尿検査や尿培養検査も行われます。尿検査の目的は、感染源となる細菌を見つける、白血球が見つかることで炎症を起こしていることがわかる、などです。尿培養検査では、尿路に細菌感染が起こっているかどうかがわかります。

    また、超音波検査やCT検査などの画像検査で、前立腺の形や大きさ、周囲の変化をみます。

    ほかにも、前立腺液を採取して炎症細胞を見つける、細菌性前立腺炎が疑われる場合はクラミジアが原因の場合もあるのでクラミジア検査を行うなど、行われる検査はさまざまです。

前立腺炎の治療法

前立腺炎の治療法を教えてください。

    前立腺炎の治療は、原因によりさまざまです。細菌性前立腺炎の場合は、原因菌を殺すために抗生物質を投与します。非細菌性前立腺炎の場合は、薬を使って症状を改善させたり、生活習慣を改善したりします。

    また、尿を出しやすくする薬が処方されることもあります。

細菌性の治療

細菌性前立腺炎の治療法を教えてください。

    まず急性細菌性前立腺炎の治療を解説します。前立腺に浸透する抗菌薬であるオフロキサシン、シプロフロキサシンなどを短くとも1〜2週間以上飲みます。高熱や全身の状態が低下している場合は、入院して点滴から投与することも必要です。

    慢性細菌性前立腺炎の治療は、多くの場合で困難です。短くとも6週間以上は、先ほど解説した抗菌薬で治療を行います。

    また、前立腺に膿瘍が発生した場合は、外科的に排膿を行います。

非細菌性の治療

非細菌性前立腺炎の治療法を教えてください。

    尿培養で細菌感染が確認できない非細菌性前立腺炎では、症状を和らげることはできても、多くの場合で完全治癒は困難です。根気よく向き合わなければいけません。

    鎮痛薬や抗炎症薬で痛みや腫れを軽減できます。また、便秘の場合は便軟化剤で排便痛を軽減できます。ほかにも、アルファ遮断薬で前立腺の筋肉の緊張を和らげたり、漢方薬を用いたりなど、治療法はさまざまです。

    さらに、医師による前立腺マッサージや温坐浴などの薬を使わない方法や、なぜか抗菌薬で症状が軽くなることもあります。

    これらの治療でも効果が出ずに症状が辛い場合は、前立腺の部分切除や、マイクロ波やレーザーで前立腺を破壊する方法もあります。

前立腺炎の予防方法

前立腺炎 予防

前立腺炎の予防方法はありますか?

    前立腺炎の予防には、前立腺を長時間圧迫しないことが重要です。仕事や運転で長時間座ったり、自転車やバイクにまたがったりするのを避けましょう。長時間座るときは、途中で立ち上がって休憩をとるようにしてください。

    気になる場合は、自転車やバイクには乗らないようにしましょう。ほかにも、お酒を控えたり、ストレスを溜めずに発散したり、下半身を冷やさないようにしたりすることが重要です。特に、症状があるときは禁酒してください。

編集部まとめ

前立腺炎とは、男性の尿道の周りにある前立腺が炎症を起こす疾患です。症状は排尿時痛や勃起や射精に痛みが伴う、頻尿や尿意切迫、残尿感や尿勢低下などの尿路刺激症状です。

原因ははっきりとわかっていません。問診や直腸診、尿検査や尿培養検査、超音波検査やCT検査などが行われます。

細菌性前立腺炎の治療は、主に抗菌薬で行われます。膿瘍が発生した場合は、外科的に排膿を行います。非細菌性前立腺炎の場合、完全治癒は困難です。鎮痛剤や抗炎症薬などで痛みや腫れを軽減しながら、根気よく向き合わなければいけません。

前立腺炎のような症状がでたら、早めに泌尿器科を受診しましょう。

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