健康診断で『大腸がん』は見逃される? 『血便』などの症状と「大腸カメラ」の重要性

大腸がんは日本でも患者数が多いがんの一つで、早期発見が大事だといわれており、初期には自覚症状がほとんどないケースが少なくありません。健康診断で行われる便潜血検査によって早期発見につながる人もいる一方、「便潜血検査を受けていても見つからないことがあるのでは?」と不安に感じる人もいるのではないでしょうか? 今回は、大腸がんの特徴や健康診断での検査方法、見逃される可能性について、横浜ベイクォーター内科・消化器内視鏡クリニック 横浜駅院院長の鈴木先生に解説してもらいました。
※2026年3月取材。

監修医師:
鈴木 謙一(横浜ベイクォーター内科・消化器内視鏡クリニック 横浜駅院)
大腸がんとは?

編集部
まずは、大腸がんについて教えてください。
鈴木先生
大腸がんは、大腸の粘膜に発生する悪性の腫瘍で、日本でも患者数が多い病気の一つです。多くの場合、大腸ポリープと呼ばれる良性の腫瘍が時間をかけて大きくなり、がんへ進行すると考えられています。また、陥凹型(かんおうがた/へこんだ形)ポリープのような最初から悪性のものもあります。
編集部
大腸がんができやすい場所はあるのでしょうか?
鈴木先生
大腸がんは大腸のさまざまな場所に発生します。中でも、直腸やS状結腸などに比較的できやすいといわれています。また、発生する場所によって症状の出方が異なる場合もあります。
編集部
大腸がんの初期症状について教えてください。
鈴木先生
早期の大腸がんは、自覚症状がないケースがほとんどで、症状が出ないまま進行することがあります。進行すると血便、便通の変化、腹痛、体重減少などが見られることがあります。ただし、血便や腹痛などはほかの病気でも起こるため、症状だけで判断することは難しい場合もあります。
編集部
なぜ、「大腸がんは早期発見が重要」と言われるのでしょうか?
鈴木先生
大半の大腸がんは、早期に見つかれば内視鏡などで治療できる可能性が高いからです。そのため、無症状の段階で、大腸カメラ(大腸内視鏡)検査によって見つけることが重要と考えられています。
健康診断の検便検査とは? どんな検査?

編集部
健康診断などで行われる便潜血検査とは、どのような検査なのでしょうか?
鈴木先生
便潜血検査は、便の中に含まれる微量の血液を調べる検査です。大腸がんやポリープからの出血がある場合、陽性になることがあります。比較的簡易に行えるため、大腸がん検診として広く普及しています。
編集部
便潜血検査で大腸がんが見つかることもあるのでしょうか?
鈴木先生
はい。便潜血検査をきっかけに、大腸がんやポリープが見つかるケースもあります。ただし、この検査はあくまで便に血液が混じっているかどうかを調べる検査のため、痔(じ)などの場合でも陽性となります。一方で、大腸のがんや腫瘍があっても出血していない場合は「陰性」「異常なし」と出ることもあります。便潜血検査は有用な検査ですが、全ての大腸がんやポリープを見つけられるわけではありません。
編集部
「便潜血検査が陰性でも安心」とは言い切れないわけですね。
鈴木先生
そうですね。便潜血検査は簡便にできるため、大腸がん検診として重要な役割があります。ただし、初期の大腸がんの場合出血が少なく、陰性だからといって大腸の病気が完全に否定できるわけではありません。陽性となって見つかったときには、すでにがんが進行している場合もあります。大腸がんの早期発見・早期治療を行うためには、定期的な大腸カメラ検査を受ける必要があります。
見逃さないために… 大腸カメラ検査の役割

編集部
大腸カメラ検査では、どのようなことが分かるのでしょうか?
鈴木先生
大腸カメラ検査では大腸の内部を直接観察するため、ポリープや小さながんなどの病変を確認できます。また、必要に応じて組織を採取したり、ポリープをその場で切除したりすることも可能です。
編集部
検査をしながら、病変も切除できるとは画期的ですね。
鈴木先生
最近では、下剤を飲んで行う大腸CT(CTコロノスコピー)もありますが、大腸CTの場合、病変を発見できても、治療はできません。一方で、大腸カメラ検査の場合、検査中にポリープやがんがあれば、その場で切除できるというメリットがあります。ポリープを早期に見つけて切除することで、大腸がんの予防につながります。また、生検による悪性腫瘍の鑑別ができる点も、大腸カメラ検査の大きなメリットの一つといえるでしょう。
編集部
便潜血検査だけではなく、大腸カメラ検査を検討すべき人について教えてください。
鈴木先生
血便、便通の変化(便が細くなった、便秘もしくは下痢気味になった)、腹痛などの症状がある場合はもちろんのこと、家族に大腸がんの人がいる場合や、40歳を過ぎて一度も大腸カメラ検査を受けた経験がない人などは、一度検査をすることを強く推奨します。症状の有無ではなく、自分のリスクを踏まえて検討することが大切です。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
鈴木先生
がん情報サービス(国立がん研究センター)が公開したがん死亡者数の順位(2024年)によると、日本でのがんによる死亡原因の中で、大腸がんは上位(女性では1位、男性では2位)に位置し、年々増加傾向にあります。便潜血検査は重要な検診の一つであるものの、進行した段階でないと見つからないケースが少なくありません。がんが進行してしまった場合、開腹手術や手術後の抗がん剤・放射線治療が必要になることもあります。大腸カメラ検査を行うことで、より早い段階でがんやポリープを発見でき、その場で切除できる可能性もあります。負担の少ない段階で大腸がんに対処するためにも、定期的に大腸カメラ検査を受けることを強くおすすめします。
編集部まとめ
大腸がんは初期には症状が出にくい病気です。また、健康診断の便潜血検査だけでは全ての病変を見つけられるとは限りません。便潜血検査は大腸がん検診として重要な役割を担っており、より詳しく調べる方法として大腸カメラ検査が存在しています。年齢や症状、家族歴などによって検査の必要性は異なるため、気になる人は医療機関で相談してみてください。
医院情報

| 所在地 | 神奈川県横浜市神奈川区金港町1-10 横浜ベイクォーター6F |
| 診療科目 | 内科、消化器科、肛門科 |
| 診療時間 | 火水木金 8:00〜12:30/13:30~18:00 土 8:00〜13:00 第2・4日曜 8:00〜13:00 第1・3・5月曜 8:00〜13:00 |
| 休診日 | 第1・3・5日曜、第2・4月曜、祝日 |




