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「腹膜播種で腹水」が溜まると起きる”3つの症状”とは?なりやすいがんや余命も医師が解説!

 公開日:2026/04/06
「腹膜播種で腹水」が溜まると起きる”3つの症状”とは?なりやすいがんや余命も医師が解説!

メディカルドック監修医が腹膜播種で腹水を引き起こす原因・腹水が溜まると現れる症状・余命・治療法などを解説します。

和田 蔵人

監修医師
和田 蔵人(わだ内科・胃と腸クリニック)

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佐賀大学医学部卒業。南海医療センター消化器内科部長、大分市医師会立アルメイダ病院内視鏡センター長兼消化器内科部長などを歴任後の2023年、大分県大分市に「わだ内科・胃と腸クリニック」開業。地域医療に従事しながら、医療関連の記事の執筆や監修などを行なっている。医学博士。日本消化器病学会専門医、日本消化器内視鏡学会専門医、日本肝臓学会肝臓専門医、日本医師会認定産業医の資格を有する。

「腹膜播種」とは?

胃や腸などおなかの臓器の表面を覆っている膜を腹膜と呼びます。この腹膜へのがんの転移が腹膜播種です。どのようながんでも腹膜播種を起こす可能性がありますが、中でも胃がん(特にスキルス胃がん)、卵巣がん、大腸がん、膵臓がんでは腹膜播種を起こすことが多いです。特にスキルス胃がんでは、進行が速く、気が付いたときにはすでに腹膜播種が起こっていることも少なくありません。

「腹水」とは?

おなかの臓器の表面を覆っている腹膜同士の隙間を腹腔と呼びますが、この腹腔に液体が貯留したものを腹水と言います。正常な場合でも、腹腔の中に20〜50mL程度の液体が溜まっています。しかし、この腹腔内の液体がさまざまな原因により増えたものが腹水です。腹水の原因はがんの場合もありますが、肝硬変やネフローゼ症候群、心不全などの病気が腹水の原因となる事もあります。

腹膜播種を発症しやすい病気・疾患

胃がん

胃がんは胃の内側を覆う粘膜にがんが発生したものです。胃がんは進行すると、外側に向かって浸潤していきます。そして、胃を覆っている漿膜のさらに外側にがんが広がっていきます。がんが漿膜の外側に飛び出すと、腹腔内にがん細胞が散らばり、腹膜播種をきたすことがあります。中でも、スキルス胃がんというタイプの胃がんでは、通常の胃がんとは異なり胃の壁を這うように固く厚くさせながら広がっていきます。このスキルス胃がんでは、進行がとても早く、腹膜播種が起こりやすいです。症状が現れにくく、気がついたときには腹膜播種がすでに起こっていることも少なくありません。消化器内科を受診し、胃カメラやCT検査による診断が必要です。

卵巣がん

卵巣がんは、卵巣や卵管に発生するがんです。卵巣がんは初期では自覚症状がないことが多いです。進行すると、卵巣が大きくなることにより、ウエストが大きくなったり、膀胱や直腸を圧迫して頻尿や便秘で気が付くこともあります。また、進行すると卵巣を覆う腹膜の外に浸潤し、腹膜播種を起こします。卵巣がんは初期ではわかりにくく、気がついたときには進行していることも少なくありません。気になる症状がある場合には早めに婦人科を受診しましょう。

大腸がん

大腸がんは、大腸の内側の粘膜に発生するがんです。粘膜から発生し、外側に向かって広がっていきます。大腸がんの症状は早期ではわからないことが多いです。がんが大きになると、便に血が混じったり、便秘などの便通異常が出たり、腹痛などの症状が現れます。また、大腸がんが進行し、大腸の漿膜を超えて大きくなると腹膜播種をきたし腹水が溜まることもあります。大腸がんは近年、患者数が増加傾向のがんです。40歳代以降では発生率が上昇傾向にあり、注意が必要です。

膵臓がん

膵臓がんとは、胃の裏側にある膵臓という臓器に発生したがんです。膵臓がんは、早期ではほとんど症状が出ません。進行すると、腹痛や背中の痛み、食欲不振などが起こります。膵臓がんは初期での発見が難しく、気がついたときには進行していることも多いです。進行すると、黄疸や腹水などがみられ、体重減少も起こります。膵臓がんの発生は、10万人当たり35.2人と決して多くはありません。しかし、5年生存率は8.5%と決して予後が良いがんではないため注意が必要です。気になる症状がある場合には消化器内科で相談をしましょう。

腹膜播種で腹水を引き起こす原因

腹膜播種はがんが腹膜に転移していることを指します。腹膜播種が起こると、腹水が溜まりやすいです。なぜ、腹膜播種では腹水が溜まるのでしょうか?
腹膜播種が進行すると、腹膜に転移したがん細胞から産生される血管内皮増殖因子というサイトカインの働きにより、腹膜の血管から水分が漏れ出やすくなります。このため、血管内からの水分がしみだし、腹水が多くみられるようになります。また、がんの転移によりリンパ管がつまることも腹水が貯留する原因の一つとなります。これらの原因が重なり、時に大量の腹水がみられることもあります。おなかの張りや体重増加などの異変があれば、速やかに消化器内科等の専門医療機関を受診してください。

腹膜播種で腹水が溜まると現れる症状

腹部膨満感

腹水が溜まると、徐々にお腹が膨れていきます。そうすると、胃や大腸を圧迫するために常にお腹が張っている症状がみられるようになります。腹膜播種でおなかの張りが強く、薬などで腹水のコントロールができない場合、おなかに針を刺し、腹水を抜き取る処置をする場合もあります。おなかの張りが強い場合には、主治医に相談をしてみましょう。

食欲低下

腹水が溜まり、胃や大腸を圧迫する場合には、お腹が張っている状態が常に続き、食事がとりにくくなります。また、便秘を合併することでさらに食欲が落ちることもあります。食事がとれないなどの症状が強い場合には、主治医に相談をしてみましょう。

息苦しさ

腹水が溜まりお腹が膨れてくると、腹圧がかかり横隔膜が押し上げられ、呼吸しづらくなる事もあります。腹水だけではなく、胸水が溜まっていることもあるため、息苦しさが悪化し、横になれなかったリ、常に息苦しさが続く場合には主治医に相談すると良いでしょう。

腹膜播種で腹水を引き起こした場合の余命

腹膜播種を起こしたときの余命は一概には言えません。その原因となるがんの種類によって、治療による反応や生存率が異なるからです。ご自身の病状、予後など詳しい説明は主治医に聞いてみましょう。

腹膜播種で腹水を引き起こした場合の治療法

化学療法

がんの種類によっては、腹膜播種による腹水がみられていても、化学療法を行うことで生存期間を延長する可能性があると報告されています。卵巣がん、胃がんでは全身状態にもよりますが、化学療法での生存期間が延長する可能性があり、化学療法が選択されることもあります。主に腫瘍内科や各臓器の専門診療科で入院または外来にて行われます。

手術療法

大腸がんでは、腹膜播種が限局性である場合には病変を完全に取りきることを目的に外科的手術を行ったり、腹腔内温熱化学療法を併用する場合があります。しかし、腹水が多く広範囲にがんの腹膜播種が起こっていると考えられる場合には、化学療法の適応となります。手術を行う場合は数週間の入院が必要となることが一般的です。

腹水濾過濃縮再静注法(CART)

まず、腹膜播種の患者さんの腹水を抜き取ります。その後その腹水を濃縮器にかけ、アルブミンやγグロブリンなどの有効成分を再度点滴で患者さんの体内に戻す治療法です。直接病気を治す治療ではありませんが、大量の腹水がありコントロールが難しい患者さんにたいして、症状を改善するために有効な治療法です。

「腹膜播種と腹水」についてよくある質問

ここまで腹膜播種と腹水についてを紹介しました。ここでは「腹膜播種と腹水」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。

腹膜播種が進行するとどうなりますか?

和田 蔵人医師和田 蔵人(医師)

腹膜播種が進行すると、がん細胞から産生される血管内皮増殖因子の影響により血管から水分がしみだしやすくなります。その結果、腹腔内に大量に腹水が溜まるようになります。大量の腹水がみられると、膨満感が出るようになり、さらに進行すると、食欲低下や息苦しさなどがみられます。

まとめ 腹部の膨満感が出てきたら、消化器内科で相談しよう

腹水が起こる原因はさまざまです。消化器系のがんや婦人科系のがんを含めさまざまながんによる腹膜播種や癌性腹水の可能性もあります。また、肝硬変やネフローゼ症候群、心不全などの内科系疾患で腹水が発生することもあります。いずれにしても、急におなかの張りが出てきて苦しくなったり、食欲が低下した場合、何かしらの病気が隠れている可能性が高いです。早めに医療機関を受診するようにしましょう。どこを受診すればよいかわからない場合には、消化器内科でまず相談するのが良いでしょう。

「腹膜播種と腹水」に関連する病気

「腹膜播種と腹水」から医師が考えられる病気は7個ほどあります。
各病気の詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

循環器系

腎泌尿器系

消化器系

婦人科系

腹水の溜まる疾患は上記の様にさまざまです。中にはがんが腹膜に転移した腹膜播種の可能性もあります。しかし、腹水の原因は詳しい検査を行わなければ分かりません。まずおなかの張りが気になるようになったら、消化器内科で相談をしてみましょう。

「腹膜播種と腹水」に関連する症状

「腹膜播種と腹水」と関連している、似ている症状は4個ほどあります。
各症状の詳細についてはリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

関連する症状

腹膜播種や腹水に伴う症状には上記のようなものが考えられます。症状のみでは、病気の原因が特定できません。気になる症状があった場合には消化器内科を受診しましょう。

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