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「息苦しい」と感じる原因はご存知ですか?医師が徹底解説!

「息苦しい」と感じる原因はご存知ですか?医師が徹底解説!

息苦しい時、身体はどんなサインを発しているのでしょうか?Medical DOC監修医が考えられる病気や何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

中川 龍太郎医師

監修医師
中川 龍太郎(医師)

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名古屋大学医学部卒業、名古屋大学医学部附属病院、江南厚生病院などで眼科医として勤務経験を持つ。患者の笑顔を見ることを何よりの喜びと思っている。日本眼科学会所属。現在は医学の発展に貢献できるよう、また目の前の患者にひたむきに向き合うため日々邁進中。

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「息苦しい」症状で考えられる病気と対処法

「息苦しい」症状は、肺や気管支といった呼吸器の疾患だけでなく、心臓や食道、のど(喉頭)や精神疾患が原因でも起こります。息苦しさに加えて

  • ・咳
  • ・痰
  • ・発熱
  • ・労作業時や就寝時の呼吸困難
  • といった症状が認められた場合は身体的な疾患が疑われます。一方で

    • ・抑うつ気分
    • ・情緒不安定
    • ・疲労感
    • ・不安感

    などが伴う場合は精神的なものが原因である可能性が高いです。
    以下で順番に解説していきます。

    息苦しい症状で考えられる原因と治し方

    息苦しい症状で考えられる原因として、更年期障害が挙げられます。息苦しさに加えて、疲労感やほてり、発汗、動悸、情緒の不安定さ、抑うつ気分(涙もろい、食欲低下)といった呼吸症状に関連しない多彩な症状が見られます。
    原因は加齢に伴う卵巣機能低下と、身体的変化、精神・心理的要因、社会文化的な環境因子などが影響することにより、症状が出現すると考えられています。ご自身でできる対応策としては、ストレス因子を除去し横になって安静にするなど、リラックスした状態を作ることです。
    それでも改善がない場合は医療機関を受診することをお勧めします。主な診療科は婦人科や心療内科です。治療はホルモン補充療法や漢方薬、向精神薬、カウンセリング心理療法などが行われます。緊急性はありませんので日中に受診しましょう。

    喉が詰まる感じがして息苦しい症状で考えられる原因と治し方

    喉が詰まる感じがして息苦しい症状に加えて、喉に強い痛みがある場合、急性喉頭蓋炎の可能性が考えられます。この病気の特徴は、喉が詰まる感覚と呼吸困難感、喉の痛みや嚥下困難な状態、息苦しくて手をついて踏ん張る三脚姿勢などがあります。原因はウイルスや細菌による喉の感染症です。この感染によって喉が腫れてしまい気道を塞いでしまう、非常に緊急性が高い病気です。もし自分自身、もしくは周囲のかたが上記の症状が出現していて、見るからに呼吸が苦しそうな場合は、救急要請が妥当です。
    受診すべき診療科は、救命救急センターや耳鼻咽喉科です。症状の重症度によっては、気管挿管による気道確保など高度な医療が求められるため、診療所やクリニックよりは大きい病院を受診するようにしましょう。

    痰や咳が出て息苦しい症状で考えられる原因と治し方

    痰や咳が出て息苦しい症状の場合、肺炎の可能性が考えられます。肺炎の特徴は、痰や咳に伴って発熱や息苦しさも見られる点です。肺炎の原因は細菌やウイルスなどの病原微生物が多いです。
    一般的な風邪と違って、肺炎は適切な抗菌薬などを使用しないと治らないことが多いです。しかし適切な薬剤治療が行われれば、治療効果も十分見込める病気です。もし風邪のような症状が3〜4日程度改善なく続くのであれば、血液検査や画像検査などで詳しく調べる方が良いでしょう。
    受診すべき診療科は一般内科や呼吸器内科です。体の中の炎症反応を調べるために血液検査を行ったり、肺炎の像を見つけるために胸部レントゲンなどの画像検査を行ったりします。呼吸状態が安定していれば緊急性は低いですが、早めに医療機関を受診しましょう。

    息苦しい症状とストレスで考えられる主な影響と対処法

    息苦しい症状で、特に咳や痰、熱などがない場合は、過換気症候群の可能性が考えられます。過換気症候群の症状の特徴は、息苦しさ、呼吸が早い、胸の痛み、めまいや動悸などです。また、手足の痺れ、筋肉の硬直・けいれんなどが起きる場合もあります。極度の不安やストレス、緊張状態、パニック発作がきっかけとなって、必要以上に何度も呼吸をしようとしてしまい、過呼吸状態になるために起こります。
    すぐにできる処置は、意識的に呼吸をゆっくりにしたり、息を止めてみることです。過呼吸を起こしている本人が自力で呼吸を遅くするのは難しいため、周囲の方がゆっくりペースを教えてあげるのが効果的です。以前は紙袋やビニール袋を口に当てて、吐いた息を再度吸う“ペーパーバック法”というものが行われていましたが、これは血中の酸素濃度が低くなり過ぎてしまうため、現在は推奨されていません。
    受診すべき診療科は心療内科や精神科です。数時間で症状は改善するため、緊急性はありません。もし過換気症候群を起こした場合は、背景にうつ病や不安症、パニック障害が隠れている可能性があります。再発予防のためにもこれらの診療科を受診しておきましょう。

    息苦しい症状と逆流性食道炎で考えられる主な影響と対処法

    逆流性食道炎では胸焼けや口の中が酸っぱくなる呑酸、胸の違和感や不快感を自覚することが特徴的ですが、これらの症状が息苦しさとして出現する場合もあります。すぐに症状が改善する対応策はありませんが、予防策はあります。逆流性食道炎の原因として腹部からの圧力の上昇やストレス・食習慣による胃酸の過剰分泌があります。そのため肥満の解消や、上半身をやや起こした姿勢、逆流を起こしやすい食品(アルコールやコーヒー、タバコ、油物や甘いものなど)を避けることが具体的な予防法になります。
    主な診療科は消化器内科です。胃潰瘍が合併していないかを確認するため、胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)を実施する場合が多いです。緊急性はないので日中に受診しましょう。

    胸が痛く息苦しい・動悸がする症状で考えられる原因と治し方

    胸が痛くて息苦しい、ドキドキと動悸がする症状を指します。このような場合、不整脈の可能性が考えられます。不整脈とは、心臓が拍動するリズムが不規則である状態や、リズムが極端に速い・遅い状態を指します。拍動のリズムがあまりに高頻度の時は、動悸や息苦しさを自覚することが多いです。また不規則な場合や著しい頻脈の場合は、胸の痛みが出現する場合もあります。
    上記の症状を自覚した際は、まずご自身で脈拍を調べてみましょう。やはり脈の周期がバラバラである、あまりに速い場合(1分間で100回以上)は一度医療機関の受診を勧めます。
    受診すべき診療科は循環器内科です。心電図検査や心エコーなどで現在の心臓の状態を精査することが多いです。緊急性は高くありませんが、できるだけ早い日程で受診するようにしましょう。

    息苦しく眠れない症状で考えられる原因と治し方

    息苦しくて眠れない、横になると息が苦しくなる症状を指します。このような場合、気管支喘息や心不全の可能性が考えられます。
    各疾患について、詳しい解説は後に行いますが、どちらも起坐呼吸という状態を引き起こす病気です。起坐呼吸というのは、座っている方が楽で、横たわると息苦しくなってしまう呼吸状態のことです。横たわると息苦しくなり、そのために眠れない状況が続きます。
    どちらも適切な治療を行う必要がありますので、早めに医療機関を受診しましょう。受診すべき診療科は一般内科や循環器内科、呼吸器内科などです。気管支喘息であれば吸入薬が導入されたり、心不全では利尿薬が投与されたりします。呼吸困難に陥っている場合は緊急性がありますので早急に受診するようにしましょう。

    すぐに病院へ行くべき「息苦しい」に関する症状

    ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
    応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
    以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

    息苦しさに加えて、強い胸痛がある場合は、循環器内科へ

    息苦しさに加えて、強い胸痛がある場合、急性心筋梗塞の可能性が考えられます。急性心筋梗塞とは、生活習慣病などによって動脈硬化が進んだ結果、心臓を栄養するために重要な冠動脈という細い血管が狭くなる・詰まってしまう病気のことです。血流の落ちた心臓の筋肉は動きが悪くなり、壊死してしまいます。症状は強い胸の痛み、胸が締め付けられる感覚や息苦しい感覚が多いです。急性心筋梗塞は放置していると心停止につながってしまう、非常に危険な病気です。一刻を争うため、上記の症状を自覚した際は、すぐに救急要請する必要があります。
    主な診療科は循環器内科です。心筋梗塞の原因となった、詰まっている冠動脈を見つけ出し治療するため、緊急でカテーテル検査・治療が行われることが多いです。

    受診・予防の目安となる「息苦しい」時のセルフチェック法

    • ・息苦しい以外に咳が続く場合
    • ・息苦しい以外に胸の痛みがある場合
    • ・息苦しい以外に熱がある場合

    「息苦しい」症状が特徴的な病気・疾患

    ここではMedical DOC監修医が、「息苦しい」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
    どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

    喘息

    喘息(気管支喘息)とは、気道(喉から気管、気管支、肺へと続く空気の通り道)の過敏性が上昇し、夜間や早朝にヒューヒューという異常な呼吸で咳発作を起こし、この発作を何度も反復するという病気です。運動や気候の変化、ハウスダストなどのアレルゲン曝露、精神的ストレスや月経などによって発作が引き起こされることがあります。
    気管支喘息は放置していても自然に改善しないことも多く、低酸素状態になり命を落とすケースもあるため、速やかに医療機関を受診する必要があります。
    受診すべき診療科は、呼吸器内科もしくは一般内科です。気管支喘息発作の強度に応じて、行うべき治療は変わりますが、基本的には気管支拡張薬や吸入ステロイド薬を使用します。繰り返しになりますが、気管支喘息発作は低酸素状態を引き起こす重大な疾患です。発作がすぐに治らない時は、夜間でも速やかに医療機関を受診しましょう。

    肺炎

    肺炎とはその名の通り、肺に炎症が起こった状態です。発症の原因は様々です。細菌やウイルスといった病原微生物が原因となる場合や、自分の免疫細胞が自らの肺を攻撃してしまう自己免疫疾患が原因になる場合、また粉塵や特殊な化学物質などが気管に入ってしまう場合でも起こります。
    対処法・治療法は原因によって異なります。細菌性やウイルス性であれば、抗菌薬や抗ウイルス薬を使用し、自己免疫性疾患が原因であればステロイドや免疫抑制薬を使用することが多いです。
    病院へ行くべき目安は、息苦しい症状が急激に悪化している場合、もしくは長期間持続する場合です。受診すべき診療科は呼吸器内科です。急激に悪化している場合は、早めに医療機関を受診しましょう。

    貧血

    貧血とは、血液中のヘモグロビンという物質が少ない状態のことを指します。このヘモグロビンは酸素と結びついて、体中の各臓器や組織、細胞に酸素を運搬する役割があります。貧血の状態ではヘモグロビンが少ないため、体中が酸素不足になり、息苦しさを自覚することがあります。そのほかにはめまいやふらつき、倦怠感などを自覚することが多いです。
    原因は栄養素の不足(鉄分やビタミンなど)、産生の低下(骨髄の異常)、出血(胃潰瘍や大腸癌など)などがあります。治療法はこれらの原因を突き止めたのち、それぞれに応じた治療が行われます。例えば、鉄分が不足するために起きる鉄欠乏性貧血では、鉄分の内服治療を行います。
    めまいやふらつき、息苦しさを自覚した際は医療機関を受診しましょう。受診すべき診療科は一般内科です。血液検査で貧血の程度や原因を調べるのが一般的です。

    心不全

    心不全とは、何らかの原因で心臓の動きが悪くなり、血液の循環が悪くなっている状態のことを指します。特徴的な症状は、全身(特に下半身)の浮腫や労作業を行った時の呼吸困難や起坐呼吸(横たわると息苦しくなる)などがあります。
    原因は多岐にわたり、心筋梗塞などの虚血性心疾患、ウイルス性心筋炎などの感染症、高血圧や糖尿病といった生活習慣病、心房細動などの不整脈などが挙げられます。
    診断は身体所見や、レントゲンやエコーといった画像検査、血液検査を用いて行われます。治療は内服薬(RAA系阻害薬や利尿薬、β遮断薬など)が一般的ですが、重症例では入院・点滴治療も必要になります。
    夜間息苦しくて眠れない、体を動かすとすぐに息切れする、下半身が急に浮腫んできたといった症状が見られた際は、早めに循環器内科のある医療機関を受診しましょう。

    「息苦しい」ときの正しい対処法は?

    息苦しい症状の原因は、大きく分けて「肺や心臓などの臓器からくるもの」と「精神的なもの」のふたつに分かれます。臓器からくるものに関しては、市販薬や民間療法(ツボやマッサージなど)の効果は乏しく、また早急に治療を開始した方が良いため、早めに医療機関を受診しましょう。精神的なもの(過換気症候群や更年期障害)の場合は、緊急性はありませんので横になってリラックスできる体勢を取るなどの対応は有効な場合があります。しかし症状が治らない、長引く場合は一度病院を受診してください。

    「息苦しい」についてよくある質問

    ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「息苦しい」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

    横になると息苦しさを感じるのですが何かの病気でしょうか?

    中川 龍太郎医師中川 龍太郎(医師)

    心不全や気管支喘息の可能性があります。長引く場合や息苦しさが強い場合は早急に病院を受診してください。

    喉が詰まる感じがして息苦しいです。治療方法はありますか?

    中川 龍太郎医師中川 龍太郎(医師)

    喉が詰まる感じと呼吸困難、そして喉の強い痛みも伴っている場合、先に紹介した急性喉頭蓋炎など緊急性の高い疾患の可能性があります。治療法もありますので早急に病院を受診しましょう。またそこまで痛みや息苦しさが強くない場合でも、吸入薬など治療法はあります。

    息苦しい症状が出たら収まった後でも病院に行くべきでしょうか。

    中川 龍太郎医師中川 龍太郎(医師)

    一時的なものであれば様子をみて問題ないですが、何度も繰り返す場合は病院に行きましょう。

    電車で息苦しい時の対処法はありますでしょうか。

    中川 龍太郎医師中川 龍太郎(医師)

    電車の中など閉鎖的な環境で息苦しさを自覚する場合は、パニック障害の伴う息苦しさ、過換気症候群の可能性があります。ゆっくり呼吸することで改善する場合もありますが、まずは電車から降りて症状が落ち着くのを待ちましょう。

    まとめ

    「息苦しさ」は、肺や心臓に異常があれば当然自覚するものですが、そのほかに精神的な疾患であっても自覚することのある症状です。重要なのは、前者であれば命に関わるということです。咳や痰、浮腫や起坐呼吸といった症状が伴っている場合は、肺や心臓の疾患である可能性が高いので、早急に医療機関を受診してください。

    「息苦しい」で考えられる病気と特徴

    「息苦しい」症状から医師が考えられる病気は10個ほどあります。
    各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

    耳鼻咽喉科の病気

    • 急性喉頭蓋炎

    呼吸器科の病気

    消化器科の病気

    婦人科の病気

    精神科の病気

    「息苦しい」という症状から肺の疾患が連想されがちですが、心臓や消化器、婦人科の疾患なども関与することがあります。鑑別には専門家の判断が欠かせませんので、自己判断せず一度医療機関を受診してください。

    「息苦しい」と関連のある症状

    「息苦しい」と関連している、似ている症状は10個ほどあります。
    各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

    「息苦しい」症状の他に、これらの症状がある場合も「急性心筋梗塞」「気管支喘息」「心不全」「過換気症候群」「更年期障害」などの疾患の可能性が考えられます。
    複数併発している場合は、なるべく早く医療機関への受診をおすすめします。