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「胸が痛い」原因はご存知ですか?医師が徹底解説!

胸が痛い

胸が痛い時、身体はどんなサインを発しているのでしょうか?Medical DOC監修医が考えられる病気や何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

佐藤 友哉 医師

監修医師
佐藤 友哉 医師

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1989年生まれ、2014年北海道大学医学部卒業。
北海道の地方中核病院での勤務を経て、2021年4月からはフリーランスで活動している。
日本循環器学会循環器専門医、日本医師会認定産業医、日本医師会認定健康スポーツ医。
Youtubeチャンネル「みんなの循環器内科診察室」で一般の方々に向けて生活習慣病や心臓病の症状、食事の注意点などをわかりやすく解説している。

「胸が痛い」症状で考えられる病気と対処法

胸が痛い場合、その原因として心臓や肺、食道、胃、筋肉、神経、骨、乳房、皮膚などの異常が考えられます。
特に心臓由来の胸の痛みは命に関わることもありますので注意が必要です。
今回の記事では、それぞれどういった特徴があるのかを解説していきます。

運動をしたときに胸が痛い症状で考えられる原因と治し方

運動をすると全身でたくさんの血液が必要とされるため、心臓の仕事量が増えます。そのため、運動時に胸が痛くなる場合は心臓由来の痛みの可能性が高くなります。
階段を登ると胸の真ん中や胸全体の圧迫感、痛みが出現し、休むと良くなるというのは狭心症や弁膜症といった心臓病の典型的な症状ですので、速やかに循環器内科を受診してください。

息を吸ったときに胸が痛い症状で考えられる原因と治し方

息を吸うと肺に空気が入り、肺が膨らみます。そのため、息を吸ったときに胸が痛い場合には、肺や肺の周りの膜(胸膜)、神経などの痛みが考えられます。
特に肺に穴が開いてしまう肺気胸、胸膜に炎症がおこる胸膜炎は入院治療が必要になる場合もあります。
咳や息苦しさを伴う場合はこれらの病気の可能性が高くなりますので、呼吸器内科を受診してください。

食後に胸が痛い症状で考えられる原因と治し方

食前もしくは食後に胸や上腹部が痛む場合は食道や胃の痛みが疑われます。キリキリとした痛みと表現されることが多いです。
胃潰瘍十二指腸潰瘍がある場合は放っておくと消化管穿孔といって胃や十二指腸に穴が開いてしまう場合もありますので、消化器内科を受診し、胃カメラを受けるのが良いでしょう。

触ったときや押したときに胸が痛い症状で考えられる原因と治し方

触ったときや押したときに痛い場合は、筋骨格系(筋肉や神経、骨)や乳房の痛み、皮膚の痛みが疑われます。胸骨や肋骨などをぶつけたり、激しいトレーニングをした後であれば、それによる痛みと考えて良いでしょう。この場合は痛み止め(カロナールやロキソニン)を内服することで改善が期待できます。
また、皮膚の発疹を伴う場合は帯状疱疹による痛みも考えられます。痛みが先行し、少し遅れて発疹が出ることもありますので、最初はなかなか原因がわからないこともあります。
帯状疱疹の場合は抗ウイルス薬の内服が必要になりますので、皮膚科もしくは内科を受診してください。

ストレスで胸が痛い症状で考えられる原因と治し方

特に検査では異常がなくても、ストレスなどが原因で胸の痛みが出ることもあり、心臓神経症と言います。
安静時や仰向けに寝ている場合などに、チクチクとした痛みを感じることが多く、日中の活動時にはあまり症状がないことが特徴です。
しかし、あくまでも検査をして心臓や肺などの病気がないことを確認したうえでの診断になりますので、安易にストレスからくる痛みだと自己判断せずに、症状が続くようでしたら循環器内科を受診することをお勧めします。

すぐに病院へ行くべき「胸が痛い」に関する症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

運動時の胸の痛みがある場合は、循環器内科へ

歩いたときや階段を登ったときに胸の痛みが出現し、休むと良くなる場合は、大動脈弁狭窄症等の弁膜症や、労作性狭心症といった心臓病が原因のこともあります。
また、何もしていないのに、突然胸の痛みが出た場合は、心筋梗塞や大動脈解離という、命に関わる病気の可能性があります。
冷や汗や意識消失(失神)を伴う胸痛の場合はさらにその可能性が高まりますので、すぐに循環器内科を受診しましょう。

受診・予防の目安となる「胸が痛い」のセルフチェック法

  • ・胸の痛みに加えて咳や息苦しさがある場合
  • ・胸から歯や顎、肩に広がる痛みがある場合
  • ・胸の痛みに圧迫感を伴う場合
  • ・胸の痛みに加えて便が黒い場合(胃潰瘍からの出血が疑われます)

「胸が痛い」症状が特徴的な病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「胸が痛い」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

狭心症

狭心症とは、心臓の周りを走っている血管が狭くなる病気です。
血圧が高い方や、コレステロールが高い方、煙草を吸っている方などは血管の中にプラークと呼ばれる油の固まりがついてしまいます。
このプラークによって血管が狭くなると、血液の流れが悪くなり、心臓に酸素や栄養が行き届かなくなるため、特に運動中など、心臓がたくさん酸素や栄養を必要とする際に痛みが出ます。
また、プラークがついていなくても、血管が一時的に痙攣して狭くなるタイプの狭心症もあり、こちらは夜中や朝方に安静にしていても症状が出るのが特徴です。
治療としては、一時的に血管を広げるニトログリセリンという薬や、ステントと呼ばれる金属の筒で血管の狭い部分を広げる治療をします。

心筋梗塞

心筋梗塞は、心臓の周りを走っている血管が詰まってしまう病気です。狭心症と違い、こちらは、詰まった先には全く血液が流れない状態になるため、安静にしていても痛みが持続します。一刻も早く詰まった血管を広げる必要があるため、すぐに循環器内科のある病院に行きましょう。

気胸

気胸とは肺に穴が開いてしまう病気です。風船に穴が開くとしぼんでしまうように、肺もしぼんでしまいます。肺に穴が開くと息を吸った際に空気が漏れてしまうため痛みが出ます。また、肺が高度にしぼんでしまうと片肺でしか酸素を取り込めないため、息苦しさを伴います。
程度によって保存治療や手術治療が選択されます。
また、月経随伴性気胸という月経に伴い気胸を発症する女性特有の病気もあります。

「胸が痛い」ときの正しい対処法は?

基本的には胸の痛みの原因は多岐に渡り、中には命に関わるものもあるため、自己判断をするのは難しいことを知ってください。
安易な市販薬(心臓に良いと謳っている一般薬を含む)の内服は危険ですので、まずは一度病院を受診するのが良いでしょう。

「胸が痛い」についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「胸が痛い」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

胸が痛い時、まずは何科に行けばいいのでしょうか。

佐藤 友哉 医師佐藤 友哉 医師

上にも記載したように、胸の痛みの原因は様々ですが、最も怖いのは心臓からの痛みです。
心臓以外の原因であっても循環器内科で診断可能なものも多いので、まずは循環器内科を受診するのが良いと思います。

胸の痛みは症状が治まってからでも病院に行くべきですか?

佐藤 友哉 医師佐藤 友哉 医師

症状が治まっていても、心臓由来の痛みが疑われる場合は一度しっかりと検査をするのが良いと思います。上に記載した内容をご確認いただき、心臓由来の痛みが疑われる場合は循環器内科を受診してください。

息を吸うと胸が痛いのは、肺や心臓の病気なのでしょうか?

佐藤 友哉 医師佐藤 友哉 医師

息を吸ったときに胸が痛む場合には、肺や肺の周りの胸膜、神経痛の可能性があります。
息苦しさや咳を伴う場合には、肺が破れる気胸や胸膜炎の可能性がありますので、より注意が必要です。症状が続くようでしたら呼吸器内科を受診するのが良いでしょう。

生理前に胸が痛むことがあります。対処法はありますか?

佐藤 友哉 医師佐藤 友哉 医師

生理前に胸の痛みが出る場合は、月経前症候群による症状や、乳腺の張りによる痛み、稀ですが月経随伴性気胸による痛みが考えられます。
月経前症候群による症状であれば、十分な睡眠や日常的な運動により改善が期待できます。

まとめ

今回は胸の痛みに関してお話しました。
原因はさまざまですが、この記事が皆様の適切な理解につながれば嬉しいです。

「胸が痛い」で考えられる病気と特徴

「胸が痛い」から医師が考えられる病気は9個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

循環器系の病気

呼吸器系の病気

消化器系の病気

整形外科の病気

皮膚科の病気

胸が痛い原因には、内臓臓器から皮膚の異常、精神的な影響まで幅広く考えられます。

「胸が痛い」と関連のある症状

「胸が痛い」と関連している、似ている症状は13個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

「胸が痛い」症状の他に、これらの症状がある場合も「心臓弁膜症」「心筋梗塞」「気胸」「胃潰瘍」「肋骨骨折」「帯状疱疹」などの疾患の可能性が考えられます。症状が持続する場合には、早めに医療機関への受診を検討しましょう。