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「胃潰瘍の治療薬」にはどのような副作用があるかご存知ですか?薬の種類も解説!

 公開日:2026/04/17
「胃潰瘍の治療薬」にはどのような副作用があるかご存知ですか?薬の種類も解説!

胃潰瘍は、胃の粘膜が深く傷ついた状態を指し、みぞおちの痛みや胃もたれ、空腹時の不快感などをきっかけに気付く方が少なくありません。一方で、症状が軽く、自覚のないまま進行する場合もあります。胃潰瘍は多くのケースで薬による治療が行われています。原因に応じて適切な薬を使うことで、胃の粘膜を修復し、再発を防ぐことが可能です。ただし、薬には種類があり、期待できる効果や起こりうる副作用、服用時の注意点も異なります。

この記事では、胃潰瘍の治療における薬物療法の位置づけを整理したうえで、用いられる薬の種類や働き、副作用や日常生活で気を付けたい点を解説します。

林 良典

監修医師
林 良典(医師)

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【出身大学】
名古屋市立大学
【経歴】
東京医療センター総合内科、西伊豆健育会病院内科、東京高輪病院感染症内科、順天堂大学総合診療科、NTT東日本関東病院予防医学センター・総合診療科を経て現職。
【資格】
医学博士、公認心理師、総合診療特任指導医、総合内科専門医、老年科専門医、認知症専門医・指導医、在宅医療連合学会専門医、禁煙サポーター
【診療科目】
総合診療科、老年科、感染症、緩和医療、消化器内科、呼吸器内科、皮膚科、整形外科、眼科、循環器内科、脳神経内科、精神科、膠原病内科

胃潰瘍の治療法と薬物療法の位置づけ

胃潰瘍の治療法と薬物療法の位置づけ

胃潰瘍の主な治療方法を教えてください

胃潰瘍の治療方法には、薬による内科的治療と、内視鏡や手術による治療があります。現在は、多くの胃潰瘍が薬による治療の対象であり、症状や状態が安定している場合には、入院や手術を行わずに改善が期待できます。治療方針は、潰瘍の大きさや深さ、出血の有無、原因となる要因を踏まえて決められます。出血がみられる場合には、内視鏡を用いて止血処置が行われることがありますが、その後の治療の中心は薬物療法です。胃に穴があく穿孔などの重い合併症が生じた場合には外科的治療が選択されますが、こうしたケースは限られています。

薬物療法は胃潰瘍治療のなかでどのような位置づけですか?

薬物療法は、胃潰瘍治療の基本となる方法です。胃潰瘍は、胃酸の影響によって粘膜の傷が治りにくい状態が続くことで悪化します。そのため、薬によって胃酸の分泌を抑え、胃の粘膜が修復されやすい環境を整えることが重要です。また、ピロリ菌が関係している場合には、菌を除去する治療が行われます。原因に応じた薬を組み合わせることで、潰瘍の治癒を促すだけでなく、再発を防ぐ役割も果たします。このように、薬物療法は症状を和らげる対症的な対応にとどまらず、原因への対応を含めた治療の中心として位置づけられています。

なぜ胃潰瘍が薬だけで治るのですか?

胃潰瘍が薬で治る理由は、胃の粘膜が本来持っている修復力を引き出せるためです。胃酸の分泌が抑えられると、潰瘍部分への刺激が軽減され、粘膜の再生が進みやすくなります。その結果、時間をかけて傷がふさがり、症状も落ち着いていきます。さらに、ピロリ菌が原因となっている場合には、抗菌薬によって菌を除去することで、潰瘍の治癒後の再発を防ぐ効果が期待できます。

胃潰瘍の治療に用いられる薬の種類と効果

胃潰瘍の治療に用いられる薬の種類と効果

胃潰瘍治療で使われる薬の種類を教えてください

胃潰瘍の治療は、胃酸の分泌を抑える薬を中心に、原因に応じた薬が使われます。主に用いられるのは、プロトンポンプ阻害薬カリウムイオン競合型胃酸分泌抑制薬H2受容体拮抗薬です。これらは、胃酸の刺激を減らして胃の粘膜が回復しやすい環境を整える薬で、作用する仕組みや効果の現れ方に違いがあります。また、ピロリ菌が関与している場合には、抗菌薬を組み合わせて菌を除去します。

それぞれの薬にはどのような効果がありますか?

プロトンポンプ阻害薬は、胃酸を分泌する細胞の働きを抑えることで、胃酸の分泌量を大きく減らす薬です。胃酸を作り出す仕組みそのものに作用するため、効果が持続しやすく、潰瘍部分への刺激をしっかり軽減できます。その結果、傷ついた粘膜の修復が進み、症状の改善が期待できます。現在の胃潰瘍治療の中心的な役割を担っています。

カリウムイオン競合型胃酸分泌抑制薬も、胃酸を分泌する細胞に直接働きかける薬です。胃酸が作られる最終段階を速やかに抑えるため、服用後早い段階から効果が現れ、安定した胃酸抑制が期待できます。症状が強い場合や、より胃酸を抑えたい場面で選択されることがあります。

H2受容体拮抗薬は、胃酸の分泌を促す信号を弱めることで、胃酸の分泌量を抑える薬です。作用の強さはプロトンポンプ阻害薬やカリウムイオン競合型胃酸分泌抑制薬より穏やかですが、症状や潰瘍の状態によっては治療に用いられます。

ピロリ菌が原因と考えられる胃潰瘍は、抗菌薬を組み合わせた治療が行われます。抗菌薬によって菌を除去することで、胃の慢性的な炎症が改善し、潰瘍の再発を防ぐ効果が期待できます。

医師はどのように薬を選びますか?

医師は、胃潰瘍の原因や状態を総合的に判断したうえで薬を選択します。ピロリ菌感染の有無、解熱鎮痛薬の使用歴、潰瘍の大きさや深さ、出血の有無などが判断材料です。さらに、年齢やほかの病気、服用中の薬も考慮されます。 多くの場合、胃酸をしっかり抑える必要があるため、プロトンポンプ阻害薬カリウムイオン競合型胃酸分泌抑制薬が治療の中心です。一方で、症状が軽い場合や治療の段階によっては、作用が穏やかな薬が選ばれることもあります。このように、胃潰瘍の治療薬は潰瘍の状態や治療の目的に応じて選ばれています。

胃潰瘍治療薬にみられる副作用と服用時の注意点

胃潰瘍治療薬にみられる副作用と服用時の注意点

胃潰瘍の治療薬にはどのような副作用がありますか?

胃潰瘍の治療に用いられる薬には、作用に応じた副作用がみられる場合があります。胃酸の分泌を抑える薬は、下痢や便秘、腹部のハリといった消化器症状が起こることがあります。また、長期間の服用が続くと、栄養の吸収に影響が出る場合もあるため、治療期間や経過を確認しながら使われます。抗菌薬を使用する治療は、軟便や下痢、吐き気などが生じることがありますが、多くは服用期間が終わると落ち着いていきます。

胃潰瘍の治療薬と同時に服用できない薬を教えてください

胃潰瘍の治療薬は、ほかの薬との組み合わせによって影響を受ける場合があります。例えば、胃酸を抑える薬は、ほかの薬の吸収のされ方を変えることがあります。そのため、心臓や血液の病気で薬を服用している方や、感染症治療の薬を使っている方は、薬の調整が必要になることがあります。

また、解熱鎮痛薬のなかには、胃の粘膜に負担をかけやすいものがあります。胃潰瘍の治療中に自己判断で市販薬を追加することは避け、使用を考える際には医師や薬剤師へ相談するようにしましょう。受診時には、現在服用している薬やサプリメントを正確に伝えるとよいです。

胃潰瘍の薬物治療中に気を付けることはありますか?

薬物治療中は、指示された用法や服用期間を守ることが基本です。症状が落ち着いてきても、自己判断で服用を中止すると、潰瘍が十分に治りきらず、再発につながることがあります。服用を続けることが難しいと感じた場合には、無理をせず医師へ相談してください。また、治療期間中は、胃への刺激を減らす生活を心がけることも大切です。空腹時の強い刺激を避け、食事の時間を整えることや、喫煙や飲酒を控えることが、回復を後押しします。

編集部まとめ

編集部まとめ
胃潰瘍は、胃の粘膜が傷つくことで起こる病気ですが、現在は多くの方が薬による治療で回復を目指せます。治療の中心となるのは、胃酸の分泌を抑える薬や、原因に応じた薬を組み合わせる薬物療法です。胃酸の刺激を和らげることで、胃の粘膜が持つ修復力が働きやすくなり、潰瘍は時間をかけて治癒へ向かいます。

また、ピロリ菌が関係している場合には、菌を除去する治療を行うことで、潰瘍の治癒だけでなく再発を防ぐ効果も期待できます。一方で、薬にはそれぞれ特徴があり、副作用やほかの薬との飲み合わせにも配慮が必要です。治療を受ける際には、現在服用している薬や体調について医師へ正確に伝え、指示された期間きちんと服用を続けることが重要です。薬と生活習慣の見直しを組み合わせることで、胃潰瘍の回復と再発予防につながります。

この記事の監修医師