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息が深く吸えないのはストレスが原因!?考えられる病気や対処法を徹底解説!

息が深く吸えないのはストレスが原因!?考えられる病気や対処法を徹底解説!

息が深く吸えないとき、苦しくて原因は何か心配になりますよね。
ここではMedicalDoc監修医が息が深く吸えない症状で考えられる病気や対処法・何科へ受診すべきかなどを解説します。気になる症状が続く場合は、迷わず病院を受診してください。

村上 友太 医師

監修医師
村上 友太 医師(東京予防クリニック)

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医師、医学博士。福島県立医科大学医学部卒業。福島県立医科大学脳神経外科学講座助教として基礎・臨床研究、教育、臨床業務に従事した経験がある。現在、東京予防クリニック院長として内科疾患や脳神経疾患、予防医療を中心に診療している。
脳神経外科専門医、脳卒中専門医、神経内視鏡技術認定医。日本認知症学会、抗加齢医学会、日本内科学会などの各会員。

「息が深く吸えない」症状で考えられる病気と対処法

息が深く吸えなくなる症状の原因には、生活習慣を見直すなど自分で対処できるものから緊急性を要する病気もあります。放置してはいけいない息が深く吸えない症状、自分で改善ができる治し方を確認しましょう。

息が深く吸えない

息が深く吸えなくて苦しい症状の原因と治し方

息が深く吸えない、大きく呼吸できない、そのために呼吸を繰り返すがさらに苦しく感じるなどの症状が当てはまります。
精神的な不安や緊張が高まっている場合などに過呼吸の状態となり、呼吸ができない感じや息苦しさ、めまいなどを自覚します。また、過換気で血液がアルカリ性になることで手足のしびれや筋肉のけいれんが起きます。それによって不安が強くなり、症状が悪化する悪循環に陥ることがあります。
まずは、息を止めてゆっくり呼吸をするように意識しましょう。周りの方は、安心させるように声がけをしてください。

過換気症候群(かかんきしょうこうぐん)

過換気症候群は発症のきっかけとなる不安や緊張を感じる状況を避けることが大事です。主な診療科は、心療内科・精神科です。ときおり症状を自覚する場合には一度受診して相談される事をお勧めします。
ただし、中には気管支喘息や心不全などの内科的疾患が隠れている場合もあるため、精神的な問題としか捉えないことはしないように注意してください。

息が深く吸えなくて背中が痛い症状の原因と治し方

息苦しさとともに背中が痛くなることがあります。また、突然の胸や背中の激痛があり、息苦しくなることもあります。
このような場合、自律神経失調症や大動脈解離などが考えられます。
自律神経失調症は、交感神経や副交感神経といった自律神経がストレスなどのためにうまく働かない病気です。動悸や息苦しさや、体がこわばって背中が痛くなる、お腹が痛くなることもあります。まずは、落ち着いて呼吸しましょう。ストレスや疲労などを取り除き、生活習慣の見直しもしましょう。

急性大動脈解離(きゅうせい だいどうみゃくかいり)

急性大動脈解離は、心臓から送り出された血液が最初に通る大動脈という人体で最も太い血管の壁が剥がれてしまう病気です。本来の血液の流れではなくなり血流障害が起こるために、激しい胸や背中、腹部の痛みなどがあり、息もしづらくなります。
主な診療科は、循環器内科や心臓血管外科です。突然の激しい痛みが出現した場合には救急病院への受診が必要です。

息が深く吸えなくて咳が出る症状の原因と治し方

深呼吸しづらい、息切れしやすい、深呼吸すると咳き込んでしまうなどの症状がみられます。
このような場合、間質性肺炎などが疑われます。

間質性肺炎(かんしつせいはいえん)

間質性肺炎は、肺胞の壁の中や周囲に炎症が起こり、壁が厚く硬くなることで酸素を取り込みにくくなる病気です。肺が膨らみにくいため、深く息を吸えなくなります。咳の特徴としては痰を伴わないことです。自分で対処することは難しく、専門医による治療が必要です。
主な診療科は呼吸器内科です。症状が気になる際には受診した方が良いでしょう。

寝ようとすると息が深く吸えない症状の原因と治し方

夜間から朝方にかけて呼吸が苦しくなる、むせこんでしまうなどの症状が見られます。また、息切れや倦怠感、むくみも見られることもあります。
このような場合、気管支喘息や心不全が疑われます。
気管支喘息は、空気の通り道である気管が一時的に狭くなるために息が吸いづらくなります。夜間から早朝にかけて息苦しさや「ぜーぜー」「ヒューヒュー」という呼吸音が出ることもあります。

心不全(しんふぜん)

心不全は、原因として狭心症・心筋梗塞や心臓弁膜症、不整脈などが挙げられます。心機能が低下する心不全では、体に必要な血液量を送り出せない状態です。夜間は心臓に戻ってくる血液の流れが悪くなるため、呼吸に必要なガス交換が不十分となるため、息苦しくなります。
主な診療科は、内科、呼吸器内科、循環器内科です。日頃から気になる場合には日中に受信して検査を受けましょう。夜間に苦しくなって症状が良くならない場合には、救急病院への受診をしてください。

急に息が吸えなくなる・呼吸が浅くなる症状の原因と治し方

突然に胸の痛みを感じて、深呼吸をしようとしても充分に息が吸えずに苦しくなる、呼吸が浅くなる、動くと息切れするなどの症状が当てはまります。
このような場合、自然気胸や肺塞栓症などが疑われます。
自然気胸は、肺に一部に穴が開いて空気が漏れ出るために、肺がしぼむ病気です。肺の穴がふさがらない限り治りません。若い長身の痩せ型の男性に多いといわれ、再発しやすいという特徴があります。

肺塞栓症(はいそくせんしょう)

肺塞栓症は、足の静脈に血のかたまり(血栓)が血液の流れに乗って心臓から肺に流れていき肺で詰まってしまう病気です。エコノミークラス症候群という病気も関連があります。飛行機など乗り物に長時間同じ姿勢で乗っていると下半身の静脈に血栓ができやすくなり、席を立つことをきっかけに血栓が肺の血管まで流れていって詰まり、呼吸が苦しくなる症状が現れます。
これらの病気は自力で対応することは難しいので、病院を受診しましょう。主な診療科は、内科や呼吸器内科、循環器内科です。だんだんと呼吸が苦しくなってくる、呼吸が苦しくて動けない、意識が朦朧としているなどの症状があれば、すぐに救急病院に受診する必要があります。

すぐに病院へ行くべき「息が深く吸えない」症状に関する症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

突然の胸痛や息切れ、息苦しさがある場合は、内科、呼吸器内科、循環器内科へ

突然の胸痛、息切れ、息苦しさなどの症状が現れる際には、気胸や肺塞栓症などが疑われます。肺塞栓症の場合には、この症状の前には下肢のむくみや痛みが現れることもありますし、意識障害や心停止が最初に起こる場合もあります。
どちらの病気も緊急性が高く致命的な病気として知られています。症状が現れた際には、すぐに救急病院に受診してください。

「息が深く吸えない」症状が特徴的な病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「息が深く吸えない」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

間質性肺炎(かんしつせいはいえん)

間質性肺炎とは、肺胞の壁の中や周囲に炎症が起こる病気です。肺胞壁が厚くなることから肺全体が固くなります。肺が膨らみにくくなるために深く息が吸えなくなります。原因は多くの場合不明です。息切れや乾いた咳などの症状が出始めて、数年後には日常生活に支障を来すようになると言われています。早期から呼吸器内科の専門医による治療が望まれますので、症状が気になる際には受診した方が良いでしょう。

「息が深く吸えない」症状を和らげる姿勢・ストレッチを紹介!

数々の研究報告から、呼吸を整えることによる身体的・精神的な改善効果が認められています。
自宅でも行うことのできる呼吸筋ストレッチによって3つの効果が期待されています。
息苦しさなどの不快感を和らげること、肺の中の余分な空気を吐き出すこと、不安などのネガティブな情動の抑制や気分の安定をはかることです。
今回は、初心者向けのストレッチを4つ紹介します。無理な動作は行わず、立って行うとフラフラする場合には椅子に座ったままで行うと良いでしょう。肩幅に足を広げて真っ直ぐ立った状態から始めます。

  • 肩の上げ下げ:息をゆっくり吸いながら肩を上げる。息をゆっくり吐きながら肩を後ろに回して下ろす。肩の力を抜いて動かすことと、かかとを床から離れないようにすることが大事です。
  • 背中・胸のストレッチ:両手を胸の前でくみゆっくり呼吸する。息をゆっくり吸いながら両腕を前に伸ばし背中を丸める。背中を丸めきったら息をゆっくり吐きながらはじめの姿勢に戻す。
  • 体幹のストレッチ:両手を頭の後ろで組み息をゆっくり吸う。息をゆっくり吐きながら両腕を上に伸ばし背伸びをしていく。かかとを床から離れないようにすることが大事です。
  • 胸壁のストレッチ:両手を腰の後ろで組み息をゆっくり吸う。息をゆっくり吐きながら両腕を後方へ伸ばす。元の姿勢に戻ってゆっくり呼吸する。

「息が深く吸えない」ときに飲んでも良い市販薬は?

気管支喘息の症状緩和、精神的不安定を和らげる効果を目的とした市販薬などはありますが、一時的な効果に過ぎないと考えられます。
肺炎、気胸などの肺疾患、心臓が原因である場合などに対しても、適切な市販薬はありません。
内科的疾患の可能性がある場合には、医療機関への受診を優先して市販薬に頼らない方が無難でしょう。

「息が深く吸えない」症状についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「息が深く吸えない」症状についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

息が深く吸えない(呼吸が浅い)のはストレスと関係がありますか?

村上 友太(むらかみ ゆうた)医師村上 友太(むらかみ ゆうた)医師

一部の病気では、呼吸の浅さとストレスには関係があります。
ストレスとと最も関連深い病気の一つとしては、過呼吸症候群が挙げられます。
ストレスや不安など精神面が不安定になると、過呼吸の症状が出現することがあります。呼吸回数が増えると、血液中の炭酸ガス濃度が低くなり、息苦しさだけではなく、手足の痺れ、めまい、動悸などの症状を自覚して、そのためにさらに呼吸を何度も行うという、悪循環に陥ります。
このような場合には、慌てず気持ちを落ち着かせて、まずは、ゆっくり息を吐くことや呼吸を止めることを意識していくと、次第に呼吸が整っていくことが期待できます。
過換気症候群は再発することもありますが、不安や緊張を感じる状況を避けることが予防になります。うつ病やパニック障害などにかかっている場合は、その治療を行うことが過換気症候群を予防することにつながります。

息がうまく吸えないのですが、
大きく吸えるように直す方法はありますか?

村上 友太(むらかみ ゆうた)医師村上 友太(むらかみ ゆうた)医師

なんともいえません。
息がうまく吸えないなど、呼吸がしづらい場合に、それが病的であるかどうかが問題になります。
まずは、自宅で、前述した呼吸筋ストレッチなどを行うことによって、呼吸方法の改善が見込める可能性があります。
それでも改善の兆しがない場合には、病気が隠れていることも考えて、早めに内科や呼吸器内科を受診して検査を行うことが良いでしょう。

まとめ

呼吸は無意識に行うものなので、息苦しい、息が深く吸えないという症状は気になるものです。突然の息苦しさや胸の痛みを感じる場合には、仮にすぐに症状が改善した場合でも、受診して検査をしておくことは無難でしょう。また、ストレスや普段の生活習慣が関わる病態もあることから疲れを溜めないことや、呼吸筋ストレッチを行ったりするということも良いのではないかと思います。

「息が深く吸えない」症状で考えられる病気

「息が深く吸えない」症状から医師が考えられる病気は7個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedicalDOCの解説記事をご覧ください。

「息が深く吸えない」症状に似ている症状・関連する症状

「息が深く吸えない」症状と関連している、似ている症状は6個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについては詳細はリンクからMedicalDOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

「息が深く吸えない」症状の他に、これらの症状がある場合「自律神経失調症」「過換気症候群」「間質性肺炎」「気管支喘息」「大動脈解離」「肺塞栓症」「心不全」などの疾患の可能性が考えられます。
複数併発している場合は、なるべく早く医療機関への受診をおすすめします。

【参考文献】
・日本呼吸器学会
https://www.jrs.or.jp/modules/citizen/index.php?content_id=15
https://www.jrs.or.jp/modules/citizen/index.php?content_id=20
https://www.jrs.or.jp/modules/citizen/index.php?content_id=29
https://www.jrs.or.jp/modules/citizen/index.php?content_id=41
https://www.jrs.or.jp/modules/citizen/index.php?content_id=59
・国立循環器病研究センター
https://www.ncvc.go.jp/hospital/pub/knowledge/disease/aortic-aneurysm_dissection/
・東京大学循環器内科 肺塞栓症
https://cardiovasc.m.u-tokyo.ac.jp/consultation/diseases/pulmonary_embolis
・慶應大学 呼吸器内科
https://kompas.hosp.keio.ac.jp/sp/contents/000261.html