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「肝機能検査の項目」は何を見ている?基準値と異常値から疑う病気を医師が解説!

 公開日:2026/04/21
「肝機能検査の項目」は何を見ている?基準値と異常値から疑う病気を医師が解説!

肝機能検査は何の項目で何がわかる?メディカルドック監修医が健診のAST/ALT等主要項目の意味や基準値、注意したい肝臓病等を解説します。

木村 香菜

監修医師
木村 香菜(医師)

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名古屋大学医学部卒業。初期臨床研修修了後、大学病院や、がんセンターなどで放射線科一般・治療分野で勤務。その後、行政機関で、感染症対策等主査としても勤務。その際には、新型コロナウイルス感染症にも対応。現在は、主に健診クリニックで、人間ドックや健康診断の診察や説明、生活習慣指導を担当している。また放射線治療医として、がん治療にも携わっている。放射線治療専門医、日本医師会認定産業医。

肝臓の健康度がわかる肝機能検査とは?

肝臓は体内で栄養の代謝や解毒、タンパク質の合成など多くの働きを担っています。肝臓に異常が起きても自覚症状が出にくいため、健康診断や人間ドックで行う血液検査が重要です。肝機能検査では、血液中の酵素やタンパク質などを測定し、肝臓の状態を評価します。

肝機能検査項目の3つの分類

肝細胞のダメージを示すもの、胆汁の流れに関係するもの、肝臓の働きを示すものの3つに大きく分けられます。これらを総合的に評価し、肝臓の異常や病気の可能性を判断します。

肝細胞の障害を見る項目

細胞が壊れると、そのなかにある酵素が血液のなかへ漏れ出します。肝臓の細胞に特徴的なものもあります。この変化を利用して肝細胞のダメージを推測する検査が、ASTやALTなどです。急性肝炎や慢性肝炎、脂肪肝などで数値が高くなるケースがあります。ただし筋肉や心臓の障害でも上昇する場合があり、ほかの検査結果と合わせて評価します。

胆汁の流れ(胆道系酵素)を見る項目

肝臓で作られた胆汁は胆管を通って腸へ排出されます。この流れに異常があると、γ-GTPやALPなどの酵素が血液中で増えます。腫瘍などで胆汁の流れが妨げられると数値が変化することがあります。肝細胞の障害とは異なるタイプの異常を見つける手がかりになります。

肝臓の合成能力(予備能)を見る項目

肝臓は体内で多くのタンパク質を作っており、その代表がアルブミンです。肝機能が低下すると、こうしたタンパク質の産生が十分に行われなくなります。これらの検査は、肝臓がどれだけ働けているかを評価する指標です。特に、アルブミンやコリンエステラーゼなどの値は、慢性的な肝疾患や肝硬変などを診断するうえでも重要です。

主な肝機能検査項目の意味

ここでは、肝臓の機能を調べる項目の示す意味を理解しましょう。

ASTとALT

AST(GOT)とALT(GPT)は、肝細胞に多く含まれる酵素です。肝細胞が障害を受けると血液中へ流出し数値が高値になります。ALTは、肝細胞に多く分布している酵素で、肝臓の異常を反映しやすいです。一方ASTは心臓や筋肉にも存在します。ASTとALTの比率により、アルコール性肝障害や脂肪肝などの病態を推測することもあります。

γ-GTP

γ-GTPは胆道系の酵素で、胆汁の流れが悪くなると高くなります。飲酒習慣の影響を受けやすいです。アルコール性肝障害だけでなく、脂肪肝や胆石、胆道の炎症や胆管のトラブルでも数値が上がります。飲酒習慣や食生活の影響が数値に反映されやすいため、健康診断で肝臓の状態を判断する際の参考指標になります。

ALP

ALP(アルカリフォスファターゼ)は胆道系に関係する酵素で、胆汁の流れが滞ると高値になります。胆石や胆管炎、胆道腫瘍などの疾患で上昇することがあります。また骨の代謝にも関係する酵素のため、骨疾患でも数値が高くなる場合があります。原因を判断するにはほかの検査と組み合わせて評価します。

総ビリルビン

ビリルビンは赤血球の分解によって生じる色素で、肝臓で処理された後に胆汁として排出されます。肝臓や胆道の異常があると血液中のビリルビンが増え、皮膚や白目が黄色くなる黄疸が現れることがあります。総ビリルビン値は肝臓と胆道の機能を評価する重要な指標です。

アルブミン

アルブミンは肝臓で作られる代表的なタンパク質です。栄養状態の評価にも使われますが、肝臓の合成能力を知る目安としても大切です。慢性肝疾患や肝硬変が進むとアルブミンの産生が低下する場合もあります。

その他の肝機能検査項目

そのほかの項目も肝臓の機能を推測するうえで役立ちます。

  • 総タンパク:血液中のタンパク質量を示す
  • LDH:細胞障害の指標
  • コリンエステラーゼ:肝臓の合成能力を反映
  • アンモニア:肝機能低下で上昇することがある
  • 血小板数:肝硬変などの進行度を示す指標

これらを総合的に確認することで、肝臓の状態をより詳しく把握できます。

「肝機能検査」の見方と再検査が必要な数値・結果

ここまでは診断されたときの原因と対処法を紹介しました。
再検査・精密検査を受診した方が良い結果がいくつかあります。
以下のような診断結果の場合にはすぐに病院に受診しましょう。

「肝機能検査」の基準値と結果の見方

健診結果では、基準値と比較して数値が高いか低いかが示されます。ただし単独の数値だけで病気が確定するわけではありません。変化の程度やほかの検査結果、生活習慣などを踏まえて判断する必要があります。
代表的な基準値の目安は次の通りです。

  • AST:30U/L以下
  • ALT:30U/L以下
  • γ-GTP:50U/L以下
  • 総ビリルビン:0.3~1.2mg/dL
  • アルブミン:3.9g/dL以上

基準値は検査機関によって多少異なるため、健診結果表に記載された基準値を確認することが大切です。

「肝機能検査」の異常値・再検査基準と内容

肝機能検査の数値が基準値から外れた場合、再検査や詳しい検査が行われます。
先ほどの項目の例では、以下のようなものでは「要精密検査」と判定されることが予想されます。

  • AST:51U/L以上
  • ALT:51U/L以上
  • γ-GTP:101U/L以上
  • アルブミン:3.6g/dL以下

まず血液検査をやり直し、必要に応じて腹部エコーやCTなどで肝臓の状態を調べます。ウイルス性肝炎の検査を行うこともあります。
検査費用は内容によって変わりますが、血液検査のみなら数千円程度が目安です。異常を指摘された場合は、内科や消化器内科で相談しましょう。原因によっては生活習慣の見直しや治療が必要になります。

「肝機能検査」の異常で気をつけたい病気・疾患

ここではメディカルドック監修医が、「肝機能検査」結果で注意したい病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

肝機能障害

飲酒、肥満、薬剤、ウイルス感染などが原因で、肝臓の細胞がダメージを受けた状態です。軽度の場合は生活習慣の改善で回復することもありますが、数値の上昇が続く場合は医療機関での検査が必要です。消化器内科や内科で相談しましょう。

脂肪肝

脂肪肝は肝臓に脂肪が過剰に蓄積した状態です。肥満や運動不足、糖尿病などの生活習慣が関係します。近年では飲酒を伴わない脂肪肝がMASLD(Metabolic dysfunction-Associated Steatotic Liver Disease;代謝機能障害関連脂肪性肝疾患)と呼ばれ、注目されています。多くの場合は無症状ですが、放置すると肝炎や肝硬変に進行することがあります。

ウイルス性肝炎

ウイルス性肝炎は、B型肝炎ウイルスやC型肝炎ウイルスなどの感染によって肝臓に炎症が起こる病気です。急性肝炎として発症する場合と、慢性的に進行する場合があります。血液検査でウイルス抗体や抗原を調べて診断します。治療には抗ウイルス薬などが用いられます。

アルコール性肝障害

アルコール性肝障害は、長期間の過度な飲酒によって肝臓に炎症や脂肪の蓄積が起こる病気です。初期には脂肪肝として現れ、そのまま飲酒を続けるとアルコール性肝炎や肝硬変へ進行することがあります。ASTがALTより高くなる傾向がみられるのも特徴の一つです。対処の基本は禁酒や節酒で、栄養バランスの整った食事や体重管理も重要になります。倦怠感や黄疸などの症状がある場合や、健診で肝機能異常を指摘された場合は医療機関を受診しましょう。一般的には内科や消化器内科で診察を受けることができます。なお、近年は飲酒を伴わない脂肪肝も増えており、MASLDや炎症を伴うMASH(Metabolic dysfunction-Associated SteatoHepatitis;代謝機能障害関連脂肪肝炎)といった概念が提唱されています。

肝硬変

肝硬変は慢性的な肝炎などによって肝臓の組織が硬く変化した状態です。悪化するとアルブミンの低下や血小板減少などが見られます。腹水や黄疸などの症状が現れる場合もあります。原因疾患の治療とともに、定期的な医療管理が必要です。

「肝機能検査」の結果を改善するための対処法

肝機能の数値が高い場合、生活習慣の見直しが重要になります。日常生活の改善によって数値が改善することも少なくありません。

食事の見直し

脂肪分や糖分の多い食事は脂肪肝の原因になります。野菜や魚、たんぱく質をバランスよく取り入れ、過剰なカロリー摂取を避けることが大切です。体重管理を意識した食事が肝臓の負担を減らします。

休肝日を作る

飲酒習慣がある場合は、週に数日はお酒を飲まない日を設けることが勧められます。アルコールは肝臓で代謝されるため、飲酒量が多いほど肝臓への負担が増えます。節酒や禁酒が肝機能改善につながることがあります。

適度に運動する

運動不足は脂肪肝のリスクを高めます。ウォーキングなどの有酸素運動を習慣化することで、体脂肪の減少や代謝の改善が期待できます。無理のない範囲で継続することが重要です。

「肝機能検査の項目」についてよくある質問

ここまで肝機能検査の項目などを紹介しました。ここでは「肝機能検査の項目」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。

肝機能検査の結果で、ASTとALTの数値からは具体的に何がわかりますか?

木村 香菜木村 香菜 医師

ASTとALTは肝細胞のダメージを示す指標です。数値が上昇している場合、肝炎や脂肪肝など肝細胞の障害が起きている可能性があります。またASTとALTの比率を見ることで、アルコール性肝障害などの病態を推測する手がかりになることもあります。

肝機能検査の項目のなかで特に注意した方が良い項目はありますか?

木村 香菜木村 香菜 医師

ASTやALT、γ-GTPなどは健診でよく確認される重要な指標です。ただし単独の数値だけでは判断できないため、複数の検査項目を合わせて評価します。数値が基準値から大きく外れている場合は医療機関で相談しましょう。

血液検査で肝機能の数値が悪いと指摘されたら何科で精密検査を受けるべきですか?

木村 香菜木村 香菜 医師

一般的には消化器内科や内科で検査を受けることができます。腹部超音波検査や追加の血液検査などを行い、原因を詳しく調べます。健診結果を持参して受診すると診察がスムーズです。

人間ドックでγ-GTPが高く肝臓病が見つかったら、具体的にどんな治療が必要ですか?

木村 香菜木村 香菜 医師

原因によって治療方法は異なります。飲酒習慣が関係する場合は禁酒や節酒が基本になります。脂肪肝では体重管理や運動療法が勧められます。ウイルス性肝炎などの場合は抗ウイルス薬などの治療が行われることがあります。

まとめ

肝機能検査ではAST、ALT、γ-GTP、ALP、ビリルビン、アルブミンなど複数の項目を測定します。これらの数値を組み合わせて評価することで、肝細胞の障害や胆汁の流れ、肝臓の働きの低下などを把握できます。
肝臓の病気は初期には症状が現れにくいため、健康診断の結果を確認することが重要です。異常を指摘された場合は放置せず、医療機関で再検査を受けるようにしましょう。

「肝機能検査」の異常で考えられる病気

「肝機能検査」から医師が考えられる病気は8個ほどあります。
各病気の詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

消化器内科系の病気

消化器内科系

循環器系の病気

循環器系

腎臓内科系の病気

腎臓内科系

肝機能検査では主に肝臓の病気を調べることができますが、なかには心臓や腎臓の病気がわかる場合もあります。

「肝機能検査」が望ましい症状

「肝機能検査」が望ましい症状は4個ほどあります。
各症状の詳細についてはリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 白目や手などが黄色い
  • 身体にあざができやすい
  • 皮膚に蜘蛛の巣のような赤いあざができた

肝臓は沈黙の臓器ともいわれ、ダメージを受けても症状が出にくいです。しかし、これらのような症状が現れたときには、一度医療機関での診察を受けるようにしましょう。

この記事の監修医師