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【図解】数字で見る糖尿病~日本人の10人に1人がかかる国民病の実態~

 更新日:2023/03/28

日本糖尿病協会が、今後1~2年のうちに病名の変更を検討すると明らかにした「糖尿病」。そのきっかけとなった糖尿病患者を対象とした調査では、「病名が実態を正確に表していない」ということも示されました。もし、あなたが糖尿病を「太っている人が発症する病気」と思っているなら、その認識を改めた方がいいかもしれません。この記事では、糖尿病の実態を様々なデータや数値からわかりやすく伝えていきます。

日本の糖尿病の現状

日本の糖尿病罹患者は「10人に1人」と言われています。これは左利きの人の割合と同じ程度だそうです(世界的には10%、日本は11%)。仮にあなたの周りの左利きの人が糖尿病だとしたら、そこまで珍しくない病気とは感じないのではないでしょうか。

患者数は約1000万人

成人の10人に1人が糖尿病(※1)

患者数

糖尿病の治療状況の実態(※2)

糖尿病の治療状況の実態

糖尿病の合併症

様々な合併症を引き起こす糖尿病の中で、最も多いものの1つとされる糖尿病神経障害は、「4割」の人が『自覚していない』のです。一方で、放置していると失明したり、足を切断することになったり、人工透析が必要になったりと、明らかなQOLの低下となることがわかっています。

糖尿病神経障害

糖尿病患者の47.1%が、糖尿病神経障害を合併しています。その一方で、そのうちの4割が自覚していません。もし、下記のような症状が出ているようなら、糖尿病神経障害を合併しているかもしれないので要注意です。

糖尿病神経障害の自覚(※3)

糖尿病神経障害の自覚

糖尿病神経障害の症状(※4)

糖尿病神経障害の症状

糖尿病網膜症

糖尿病網膜症の初期は自覚症状が現れにくく、症状が出る頃にはかなり進行している怖い病気です。そして、最悪の場合は失明にまで至ってしまいます。
失明の原因TOP3(※5)

失明の原因TOP3

※1991年の統計では、糖尿病網膜症が失明原因第1位。

糖尿病腎症

糖尿病が進行すると、やがて糖尿病腎症を合併して、人口透析が必要になります。
透析導入原因TOP3(※6)

透析導入原因TOP3

糖尿病の原因に関するデータ

糖尿病には食事・運動などの生活習慣が大きく関わっていることがわかっています。栄養が偏っている、しばらく運動をしていないなど、思い当たる節のある人は注意が必要です。以下のデータとご自身の健康診断などの結果を見比べて、健康状態を確認してみてはいかがでしょうか。

体型

BMIの基準で言えば、糖尿病患者の平均は「肥満」ではないことになります(25以上からが「肥満」の判定)。つまり、この数字からも、「私は太っていないから大丈夫」は通用しないということのようです。だからこそ先述の自覚なし=4割が成り立つのかもしれません。

糖尿病患者の平均BMI(※7)

糖尿病患者の平均BMI

20歳以上の肥満者(BMI25以上)の割合 年次推移(※8)

20歳以上の肥満者(BMI25以上)の割合(年次推移)

20歳以上のやせの者(BMI18.5以下)の割合 年次推移(※9)

20歳以上のやせの者(BMI18.5以下)の割合(年次推移)

血圧

「140mmHg/90mmHg」以上が高血圧の基準となっています。そして、高血圧と糖尿病は併発しやすいとされています。20歳以上の最高血圧の平均は下がっていますが、血圧が高めの人は注意しましょう。

20歳以上の収縮期(最高)血圧の平均値 年次推移(※10)

20歳以上の収縮期(最高)血圧の平均値(年次推移)

20歳以上の収縮期(最高)血圧が140mmHg以上の者の割合 年次推移(※10)

20歳以上の収縮期(最高)血圧が140mmHg以上の者の割合(年次推移)

運動習慣

男性は9000歩、女性は8500歩が1日の目安です。意識的に体を動かして糖尿病を予防しましょう。

20歳以上の運動習慣のある者の割合 年次推移(※11)

20歳以上の運動習慣のある者の割合(年次推移)

20歳以上の運動習慣のある者の割合 性別・年齢階級別(※11)

20歳以上の運動習慣のある者の割合(性別・年齢階級別)

20歳以上の歩数の平均値 年次推移(※12)

20歳以上の歩数の平均値(年次推移)

20歳以上の歩数の平均値 性別・年齢階級別(※12)

20歳以上の歩数の平均値(性別・年齢階級別)

編集部まとめ

こむら返り(脚がつる)程度のことなら、多くの人が経験したことがあると思います。もし、それが合併症として起きている可能性があるならば、糖尿病も「私には無縁の病気」ではないとも考えられそうです。これはあくまで「たら・れば」の話なので、過度に危機感を持ったり、急にQOLを下げる必要はないと思いますが、糖尿病が「あなたの認識よりは身近な病気」であると認識をアップデートすること、そうならないための健康管理を心がけることは大切です。

参考・引用URL

(※1)厚生労働省「令和元年国民健康・栄養調査結果の概要」P20
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/eiyou/dl/h24-houkoku.pdf

(※2)厚生労働省「平成24年 国民健康・栄養調査報告」P34
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/eiyou/dl/h24-houkoku.pdf

(※3)日本糖尿病対策推進会議「日本における糖尿病患者の足外観異常および糖尿病神経障害の実態に関する報告」P7
https://www.med.or.jp/dl-med/tounyoubyou/diabetes080312.pdf

(※4)日本糖尿病対策推進会議「平成20年 日本における糖尿病患者の足外観異常および糖尿病神経障害の実態に関する報告」P3
https://www.med.or.jp/dl-med/tounyoubyou/diabetes080312.pdf

(※5)岡山大学「視覚障害の原因疾患の全国調査」
https://www.okayama-u.ac.jp/up_load_files/press30/press-180927-6.pdf

(※6)日本透析学会「2020年 わが国の慢性透析療法の現況」P622
https://docs.jsdt.or.jp/overview/file/2020/pdf/02.pdf

(※7)一般社団法人糖尿病データマネジメント研究会「登録患者の平均BMI」
http://jddm.jp/public-information/index-2021/

(※8)「令和元年 国民健康・栄養調査結果の概要」P17
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000687163.pdf

(※9)「令和元年 国民健康・栄養調査結果の概要」P19
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000687163.pdf

(※10)「令和元年 国民健康・栄養調査結果の概要」P21
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000687163.pdf

(※11)「令和元年 国民健康・栄養調査結果の概要」P25
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000687163.pdf

(※12)「令和元年 国民健康・栄養調査結果の概要」P26
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000687163.pdf