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【糖尿病】「忙しい」「まだ若いから」と放置危険 悪化するリスクと原因とは?

 公開日:2023/10/22
【糖尿病】「忙しい」「まだ若い」からと放置は危険 悪化するリスクと原因とは?

現在日本では、糖尿病有病者と糖尿病予備群は合わせて約2000万人いるといわれています。そのなかで治療を受けている人は多くなく、糖尿病患者の4人に1人は治療を受けていないことがわかっています。しかし、糖尿病を治療せずに放置すると合併症など重大なリスクがあるのです。松本クリニック糖尿病・内分泌内科の松本和隆先生に詳しく教えてもらいました。

松本 和隆

監修医師
松本 和隆(松本クリニック糖尿病・内分泌内科)

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平成12年藤田保健衛生大学(現・藤田医科大学)医学部卒業、三重大学医学部附属病院第三内科研修医、桑名市民病院内科(現・桑名市総合医療センター)、三重県立総合医療センター内科、三重大学医学部附属病院糖尿病・内分泌内科、三重大学大学院医学系研究科博士課程修了、三重大学医学部医学・看護学教育センター助教、MMC卒後臨床研修センター事務局長、三重県医療審議会(地域医療対策部会)専門委員、三重大学医学部附属病院糖尿病・内分泌内科助教、三重大学医学部附属病院糖尿病・内分泌内科副科長、病棟医長、医療法人松徳会花の丘病院副院長、糖尿病内科医長を経て、平成25年10月医療法人松徳会松本クリニック糖尿病・内分泌内科開設。平成28年4月より三重大学医学部非常勤講師。

糖尿病はなにが原因で悪化するのか?

糖尿病はなにが原因で悪化するのか?

編集部編集部

糖尿病はどのように見つかることが多いのですか?

松本 和隆先生松本先生

もっとも多いのは健康診断での発見です。健康診断では血液検査を受けてもらい、血糖値とHbA1c(ヘモグロビン・エーワンシー)という2つの数値が基準値より高いかどうかで判定します。

編集部編集部

HbA1cとはなんですか?

松本 和隆先生松本先生

血液のなかに、糖化ヘモグロビンがどのくらいの割合で存在しているかを示す数値のことをいいます。糖化ヘモグロビンとは、血液中のブドウ糖がヘモグロビンとくっついたもの。血糖値が高ければ高いほどヘモグロビンとくっつくブドウ糖の量も多くなるので、HbA1cの数値も高くなります。一度糖化したヘモグロビンは赤血球の寿命が終わるまで元に戻らないため、HbA1cは過去1~2ヶ月前の血糖値を反映します。

編集部編集部

それらの数値を見て、糖尿病と診断されるのですね。

松本 和隆先生松本先生

糖尿病の診断基準には血糖値を用いますが、血糖値は測定するタイミングによって早朝空腹時血糖値、随時血糖、75g経口ブドウ糖負荷試験(75gOGTT)、HbA1cがあります。これらを複合的に考慮し、正常型糖尿病型か、あるいは正常型と糖尿病型のどちらの数値にも当てはまらない“境界型”の3段階に分類されます。

編集部編集部

その境界型とは?

松本 和隆先生松本先生

糖尿病予備群ともいわれ、正常型の6~20倍も糖尿病を発症する確率が高いとされています。つまり、将来的に糖尿病を発症するリスクが非常に高い、要注意の状態ということです。

編集部編集部

健康診断を受けることが大切になりそうですね。

松本 和隆先生松本先生

はい。やはり、健康診断を受けていない方は見過ごされることが非常に多くなります。たとえば主婦の方や若い方のなかには、健康診断を受けていない方が多いので、かなり症状が深刻化してから発見されるというケースも少なくありません。

糖尿病と診断されたらすぐに治療を始めなければならない?

糖尿病と診断されたらすぐに治療を始めなければならない?

編集部編集部

糖尿病と診断された場合、すぐに治療を開始しなければならないのでしょうか?

松本 和隆先生松本先生

はい、診断された場合にはすぐに治療を開始すべきです。治療は食事療法と運動療法が基本で、場合によっては薬物療法が選択されます。

編集部編集部

まだ若い人や症状がない人でもすぐに治療を開始しなければならないのでしょうか?

松本 和隆先生松本先生

糖尿病の怖いところは、自覚症状がないこと。発症してもなにも異常を感じないことが多く、気づいたら合併症が進行しているということもあります。糖尿病治療の基本は、「合併症を防ぎ、進行させない」ということ。そのため、診断されたらすぐに治療を開始する必要があります。

編集部編集部

若くても、すぐ治療を始めなければならないのですね。

松本 和隆先生松本先生

そうですね。食事内容の変化などにより、近年、日本における糖尿病患者は低年齢化しています。糖尿病は一度発症したら、すぐに治療を始めなければどんどん進行していくため、「若いから大丈夫」とは一概に言えないのです。

編集部編集部

迅速に治療を始めることが必要なのですね。

松本 和隆先生松本先生

それが望ましいです。気をつけてほしいのが、診断された日が発症日ではないということです。実は10年前に、すでに発症していたかもしれないし、いつ発症したのか確かめることができません。実際、糖尿病と診断された時点で合併症が進行している人もいます。

編集部編集部

合併症にはどのようなものがあるのですか?

松本 和隆先生松本先生

さまざまな合併症がありますが、特に神経、目、腎臓に重大な障害を起こすことが知られています。手足の神経に異常が起きて、足の先や裏、手の指などに痛みやしびれなどが起きる「糖尿病神経障害」、腎臓の機能が失われて最終的には人工透析が必要になる「糖尿病腎症」、高血糖によって目の網膜が障害を受け、失明に至ることもある「糖尿病網膜症」は三大合併症といわれています。

編集部編集部

予備群の場合にも、すぐに治療を開始しなければならないのでしょうか?

松本 和隆先生松本先生

予備群であっても、すぐに食事療法や運動療法などの治療が必要になります。血糖値が高い状態を放置するとインスリンの働きが徐々に弱まり、糖尿病の発症につながります。また全身の血管が傷つき、動脈硬化が起きやすくなって心臓や脳などの疾患を発症するリスクが高まります。

糖尿病を進行させない、合併症を発症させないためには

糖尿病を進行させない、合併症を発症させないためには

編集部編集部

糖尿病を悪化させる要因はなんですか?

松本 和隆先生松本先生

糖尿病には1型と2型がありますが、食事や運動など生活習慣が原因となって発症するのは2型です。2型糖尿病を悪化させる要因には年齢や家族歴、高血圧、高脂肪、喫煙、飲酒などさまざまなものがありますが、重要なのは肥満を予防することです。肥満になるとインスリンの働きが悪くなり、血糖値が上昇しやすくなります。

編集部編集部

ほかに気をつけるべきことはありますか?

松本 和隆先生松本先生

糖尿病の危険因子は、多くが生活習慣の見直しで改善できます。食べ過ぎや飲み過ぎに気をつける、適度な運動を心がける、禁煙することなどを意識しましょう。またストレスも血糖値をあげる要因になるので、ストレスをためない生活を意識することも重要です。それから、糖尿病には遺伝的要因も関わっているので、特に家族に糖尿病の人がいる場合には気をつけましょう。

編集部編集部

食事や運動に気をつけるほか、予防のために何かできることはありますか?

松本 和隆先生松本先生

年に1回血液検査と尿検査を受けましょう。それにより、早期発見が可能になります。

編集部編集部

糖尿病を治すことはできるのですか?

松本 和隆先生松本先生

残念ながら糖尿病を完全に治すことは困難ですが、食事や運動に気をつけ、適切に薬物療法を行うことで、健康な人と同じ生活を送ることはできます。また早いうちに治療を開始すれば膵臓の機能を休めることができ、インスリンの働きを正常に戻すことも期待できます。ぜひ「若いから」「忙しいから」といって糖尿病を放置せず、早期に治療を開始してほしいと思います。

編集部編集部

最後に、Medical DOC読者へのメッセージがあれば。

松本 和隆先生松本先生

糖尿病には2つのタイプがあります。1つは、遺伝で発症するタイプ。この場合、患者さんは痩せていることが多く、なかなか自覚しづらいという特徴があります。もう1つは生活習慣により発症するタイプ。この場合、多くのケースで肥満が引き金になります。このように、まったく異なる原因を持つ病気が「糖尿病」という1つの屋根の下におさまっているので、本人にとっては自覚しづらかったり、理解しづらかったりするかもしれません。しかし、特に遺伝の場合、20代くらいで発症する人もいます。「まだ若いから」「太っていないから」などと油断せず、ぜひ1年に1回は血液検査と尿検査を受けるようにしてください。また、家族歴がなくても肥満や高血圧、喫煙など、該当する糖尿病のリスクが高い場合には、定期的に検査をしましょう。

編集部まとめ

糖尿病は生涯、食事療法と運動療法が必要になる疾患です。血糖値が正常に戻ったとしても、それは一時的なものであり、以前と同じような生活習慣に戻れば再び血糖値が高くなってしまいます。生涯、治療が続くということを理解するとともに、治療をスムーズに進めるためにも、糖尿病と診断された場合にはできるだけ早く治療を開始するようにしましょう。

医院情報

松本クリニック 糖尿病内科

松本クリニック糖尿病・内分泌内科
所在地 〒515-0045 三重県松阪市駅部田町1619-2
アクセス JR紀勢本線・JR名松線・近鉄山田線「松阪」駅 車で11分
診療科目 糖尿病内科

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