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「MRI検査で何が分かる」?見つかる病気や受けられない人の特徴などを解説!【医師監修】

 公開日:2025/06/30
「MRI検査で何が分かる」?見つかる病気や受けられない人の特徴などを解説!【医師監修】

MRI検査で何が分かる?MRI検査で分かる病気や受けられない人の特徴などを医師が分かりやすく解説

木村 香菜

監修医師
木村 香菜(医師)

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名古屋大学医学部卒業。初期臨床研修修了後、大学病院や、がんセンターなどで放射線科一般・治療分野で勤務。その後、行政機関で、感染症対策等主査としても勤務。その際には、新型コロナウイルス感染症にも対応。現在は、主に健診クリニックで、人間ドックや健康診断の診察や説明、生活習慣指導を担当している。また放射線治療医として、がん治療にも携わっている。放射線治療専門医、日本医師会認定産業医。

MRI検査とは?

MRI(磁気共鳴画像法)検査は、磁場と電波を利用して体内の詳細な画像を得ることができる、非侵襲的な検査法です。放射線を使用しないため、体への負担が少なく、安全性が高いのが特徴です。MRI検査は、体内の軟部組織や神経系の詳細に調べることができ、多くの病気の早期発見や診断に役立ちます。
今回の記事では、MRI検査とはどのようなものかを分かりやすく解説します。

CT検査との違い

MRI検査とCT検査の主な違いは、使用する技術と画像の特徴にあります。
CT検査はX線を使用して体内の断層画像を作成しますが、MRI検査は磁場と電波を使用します。この違いにより、MRIは軟部組織や神経系の詳細な画像を撮影することに適しています。また、MRI検査ではX線を使わないので、被爆の心配がないという点も異なります。一方、CT検査は骨や急性の出血などの評価に適しています。

【部位別】MRI検査で分かる病気

それでは、MRI検査で分かる病気について解説していきます。

脳・頭部

MRI検査は、脳腫瘍の診断に非常に有効です。MRIによって、腫瘍の大きさ、位置、そして周囲の組織との関係を詳しく評価することができます。さらに、造影剤を使用することで、腫瘍への血流や増殖の程度を明確にすることができます。また、脳卒中の診断にもMRIは重要な役割を果たします。出血性脳卒中(脳内出血)と虚血性脳卒中(脳梗塞)を区別するために、MRIは高い精度を持っています。特に、拡散強調画像(DWI)は、急性脳梗塞の早期発見に非常に有用です。
神経が変性する病気である多発性硬化症(MS)の診断においても、MRIは欠かせないツールです。MRIは、神経の脱髄病変を明確に捉えることができ、病変の広がりや活動性を評価するのに役立ちます。
MRIと関連して、MRA(磁気共鳴血管画像)です。MRAは、血管の詳細な画像を提供し、動脈瘤や血管狭窄、動静脈奇形などの血管異常を評価するのに用いられます。非侵襲的に脳血管を評価できるため、診断および治療計画の立案において非常に有用です。例えば、MRAは、脳動脈瘤の診断において特に有用です。動脈瘤の大きさや形状、位置を詳細に評価することができ、破裂リスクの評価に役立ちます。また、血管狭窄などの動静脈奇形評価にもMRAは適しています。血管の異常なつながりを詳細に描写し、治療の必要性を判断する材料となります。

脊椎・脊髄

脊椎や脊髄のMRI検査では、椎間板ヘルニアや脊椎狭窄症、脊髄腫瘍などの診断が可能です。椎間板ヘルニアでは、神経根の圧迫や脊髄の圧迫を詳細に評価することができます。また、脊椎狭窄症では、脊椎管の狭窄部分を明確に捉え、手術の適応を判断する材料となります。脊髄腫瘍の診断にも有用で、腫瘍の位置や大きさを評価し、治療方針の決定に役立ちます。

手足

手足のMRI検査では、靭帯損傷や筋肉の断裂、関節炎などの診断が可能です。靭帯損傷の場合、靭帯の断裂や損傷の程度を評価し、適切な治療を計画することができます。また、筋肉の断裂についても、損傷部位を詳細に把握し、リハビリや手術の計画に役立てることができます。関節炎の診断では、関節内部の炎症や変形を評価し、治療方針を決定します。

肝臓・胆嚢・胆道・膵臓

腹部のMRI検査により、肝臓がんや胆石症、膵炎などの早期発見が可能です。
また、MRCP(磁気共鳴胆管膵管撮影)という、胆道系および膵管系の詳細な画像を得るためのMRI技術も多く用いられています。
肝臓がんの場合、肝臓内の腫瘍を詳細に評価し、治療方針の決定に役立てます。また、脂肪肝や肝硬変などの慢性肝疾患の評価にも役立ちます。MRIは肝臓の血流や組織の特徴を詳細に映し出すため、病変の早期発見や経過観察に適しています。
胆嚢や胆道の評価には、特にMRCPが有効です。MRCPは、非侵襲的、つまり体への負担が少なく、胆道および膵管の詳細な画像を提供できます。そのため、胆石症や胆管炎の診断に役立ちます。例えば、胆石症では、胆嚢や胆管内の石を明確に捉えることができ、石の大きさや位置を評価するのに適しています。また、胆管癌や胆道の狭窄の診断にも有用であり、治療方針の決定に寄与します。
膵炎の診断にも有用で、膵臓の炎症や膵管の拡張を評価し、適切な治療を計画することに役立ちます。

子宮・卵巣

婦人科のMRI検査では、子宮筋腫や卵巣嚢腫(のうしゅ)、子宮内膜症、子宮頸がんや子宮体がんなどの病気が対象となります。
子宮筋腫の場合、筋腫の大きさや位置を詳細に評価し、手術の適応を判断します。卵巣嚢腫では、嚢腫の内容物や大きさを評価し、良性か悪性かの判断に役立てます。CTなどではわかりづらい、新旧の出血についてもMRIの信号の違いで診断をすることが可能な場合があります。
子宮内膜症の診断では、病変の広がりを評価し、治療方針を決定します。また、子宮頸がんや子宮体がんの部位や広がりを詳細に調べることもできます。

前立腺

前立腺のMRI検査は、前立腺癌や前立腺肥大の診断に有用です。前立腺癌の場合、腫瘍の位置や大きさを詳細に評価し、治療方針を決定します。前立腺肥大では、前立腺の大きさや形状を評価し、治療の適応を判断します。

MRI内視鏡検査(大腸内視鏡・胃カメラ)前後に薬の服用や喫煙はしてもいいの?

MRI検査を受ける前後に薬の服用や喫煙をしても良いかどうかについては、いくつかの注意点があります。
薬の内服は、主治医から特に指示がない限りは通常通り内服しても問題ありません。喫煙については、MRI検査の直前および直後に喫煙すること自体は一般的に問題とはなりません。

MRI検査のメリット

MRI検査の最大のメリットは、非侵襲的であることです。体に負担をかけずに詳細な画像を取得することができます。また、放射線を使用しないため、安全性が高く、放射線被曝のリスクがありません。さらに、MRIは軟部組織や神経系の詳細な画像を提供するため、他の検査では見逃されがちな微細な異常も検出することができます。

MRI検査のデメリット

MRI検査のデメリットとしては、検査時間が長いことが挙げられます。通常、30分から1時間程度かかるため、患者にとっては長時間の拘束となります。また、自費診療の場合は高額な費用がかかることがあるため、事前に費用を確認することが重要です。さらに、MRI検査は狭い空間で行われるため、閉所恐怖症の方には不適です。

MRI検査の料金の相場

MRI検査の費用は、健康保険が適用される場合と自費診療の場合で異なります。
診療報酬では、MRI検査は900点から1600点程度です。人間ドックなど全額自己負担の場合には検査する範囲によって3万円から20万円程度になることもあります。しかし、何らかの症状があり病院を受診し、MRI検査を受けた場合は、健康保険が適用されることが大半です。この場合、自己負担額は1万5千円程度です。MRI検査を受ける施設や部位、造影剤を使用するかどうかなどによっても異なるため、事前に医療機関に確認しておきましょう。

MRI検査の注意事項

MRI検査を受ける際には、金属製のアクセサリーや衣服を外す必要があります。金属は磁場に影響を与えるため、事前に外すことが求められます。また、閉所恐怖症の方は事前に医師に相談することが重要です。必要に応じて、安定剤を処方される場合があります。また、造影MRI検査の場合、過去に造影剤アレルギーを起こした方は禁忌となりますので、事前に申請が必要です。妊娠している場合、胎児に対するMRIの安全性はまだ完全にはわかっていません。そのため他の検査で代用できないかを検討する必要があります。

MRI検査を受けられない人

MRI検査を受けられない方としては、体内に金属製の医療機器を装着している方が挙げられます。ペースメーカーなどの金属製の医療機器は、磁場が機器に干渉する可能性があるため、MRI検査は適さないことがあります。また、強い閉所恐怖症の方も、狭い空間での長時間の検査が難しい場合があります。

「MRI検査で何がわかる」についてよくある質問

ここまでMRI検査ででわかることについて紹介しました。ここでは「MRI検査で何がわかる」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

MRI検査で体のどこが見えますか?

木村 香菜木村 香菜 医師

MRI検査では、脳、脊椎、関節、腹部など、様々な部位の詳細な画像が得られます。特に軟部組織や神経系の異常を捉えるのに優れています。

MRI検査の結果はどれくらいで出ますか?

木村 香菜木村 香菜 医師

MRI検査の画像自体は、通常は撮影直後から数時間以内には読影、つまり評価可能となります。そして、放射線科の読影専門医などが画像を詳細に読影し、読影報告書であるレポートを作成します。レポートが主治医のもとに届くのはMRI検査をしてから1週間以内のことが多いと考えられます。しかし、緊急を要する場合は、即日または翌日に結果が出ることもあります。

まとめ MRI検査で病気の早期発見・診断を

今回の記事では、MRI検査について解説しました。MRIは、磁場と電波を利用して体内の詳細な画像を得る非侵襲的な検査法で、放射線を使用しないため安全性が高いのが特徴です。特に脳や脊椎、関節、腹部などの異常を高精度で検出できます。CT検査とは異なり、特に軟部組織や神経系の詳細な画像を提供することに長けています。その一方で、金属をつけたままでは検査が受けられないなどの注意点もありますが、MRI検査は、早期診断と適切な治療計画に役立ちます。

「MRI検査」で考えられる病気と特徴

脳神経内科の病気

  • 脳卒中(脳内出血、脳梗塞、くも膜下出血)
  • 多発性硬化症(MS)
  • 血管狭窄
  • 脳動静脈奇形

整形外科の病気

消化器内科の病気

泌尿器科の病気

この記事の監修医師