健康診断で「要精密検査と診断後病院に行かない」場合どうなるか解説!【医師監修】

健康診断で要精密検査と診断された後、病院に行かないとどうなる?健康診断の要精密検査の内容や費用などについて医師が徹底解説します。

監修医師:
木村 香菜(医師)
目次 -INDEX-
健康診断で要精密検査と診断された後、病院に行かないのは問題ない?どうなる?
健康診断を受けた際に、要精密検査と診断された経験がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。今回の記事では、要精密検査という結果だった場合、どこへ行けばよいのか、どこで精密検査が受けられるか、実際の検査としてどうするのかについて解説します。また、精密検査を受けないとどうなるのかについてもご説明します。
健康診断で要精密検査と診断される理由
健康診断で「要精密検査」と診断される理由は、検査結果に異常が見つかったからです。
要精密検査と診断された場合、重大な病気の前兆である可能性があります。例えば、以下のようなケースがあります。
1.血圧異常: 高血圧は心臓病や脳卒中のリスクを増大させます。
2.血糖値異常: 糖尿病のリスクがあり、放置すると腎不全や失明の原因になります。
3.肝機能異常: 肝炎や肝硬変の可能性があり、早期発見が重要です。
4.脂質異常: 高コレステロール血症は動脈硬化を引き起こし、心臓病や脳卒中のリスクを高めます。
一方で、要精密検査と診断されたからといって、必ずしも何かの病気であるとは限りません。
健康診断の「再検査」と「要精密検査」の違い
「再検査」と「要精密検査」は異なります。
「再検査」は、健康診断の結果が本当に異常であるのかを、再度確認するために行われる検査です。
一方、「要精密検査」は、病気の有無を確認するために、さらに詳細な検査が必要な場合に行われます。
以下のようになります。
1.再検査: 血液検査や尿検査の再実施、簡易的な追加検査など。
2.要精密検査: MRI、CTスキャン、専門医による診察など、高度な医療機器を使用した検査。
健康診断で要精密検査と診断されても異常がない場合もある
健康診断で要精密検査と診断されても、必ずしも重大な異常があるわけではありません。以下のような理由で異常が見つかることがあります。
1.一時的な変動: 一時的な体調不良やストレスによる一時的な数値の変動。
2.検査誤差: 検査機器や方法の誤差。
3.基準値の違い: 健康診断の基準値が厳しい場合。
しかし、異常が見つかった場合は、病院での詳しい検査が必要です。異常が発見された場合、それが一過性のものか、治療が必要なものかを確認するためにも、専門医の診断を受けることが重要です。
一方で、健康診断を受け要精密検査と診断されていながら、放置しておくことは避けましょう。例えば、肝機能障害が血液検査で判明しながら放置しておいた結果、肝硬変という病気に進行してしまうなどの危険性が考えられるからです。あるいは、自覚症状がないがんが大きくなってしまい、実際に症状が出た際にはすでに治療が難しい状態になるといったケースもあります。
せっかく健康診断を受けたのですから、精密検査が必要とされた場合には怖がらずに専門医療機関を受診するようにしましょう。
健康診断で要精密検査と診断されたら、いつまでに病院に行くべき?
健康診断で要精密検査と判定された場合、できるだけ早く病院に行くことをおすすめします。異常が発見された場合、そのまま放置すると病状が悪化する可能性があるからです。一般的には、診断から1ヶ月以内に受診することが望ましいです。
健康診断で要精密検査と診断されたら、どこへ行くべき?他の病院でも大丈夫?
要精密検査と診断された場合、総合病院など、検査機器が用意されている医療機関を受診するのが理想的です。
要精密検査の方には、健診結果とともにその旨をお伝えするお手紙や紹介状などが送付されることが多いかと思います。例えば、呼吸器内科や消化器内科など、推奨される診療科が記載されていることが多いため、それに従って受診先を選びましょう。専門性の高い医療機関を選ぶことでより正確な診断が得られます。
健康診断を受けた医療機関が総合病院の場合には、健診科以外の内科などで精密検査を受けられることもあります。
健康診断で検査する項目と内容
それでは、健康診断で検査する項目や内容をご紹介します。
胸部X線検査及び喀痰検査
胸部X線検査は肺や心臓の状態を確認するためのもので、喀痰検査は結核や肺がんのリスクを評価するために行われます。
血圧測定
血圧測定は高血圧や低血圧のリスクを評価するための基本的な検査です。
基準値は、収縮期血圧(最高血圧)130mmHg未満、拡張期血圧(最低血圧) 85mmHg未満となっています。
貧血検査(Hb、RBC)
貧血検査ではヘモグロビン(Hb)や赤血球数(RBC)を測定し、貧血の有無や程度を確認します。ヘモグロビンの基準値は、男性 13.0~16.6 g/dl、女性 11.4~14.6 g/dlとなっています。
肝機能検査(GOT、GPT、γ-GPT)
肝機能検査では肝臓の健康状態を確認し、肝炎や肝硬変などのリスクを評価します。
基準値から外れている場合には、急性・慢性肝炎やアルコール性肝炎、脂肪肝、肝硬変、あるいは心筋梗塞といった病気が考えられます。
血中脂質検査(TG、HDL-cho、LDL-cho)
血中脂質検査は脂質異常症(高脂血症)を評価し、心血管疾患のリスクを確認します。
TGはトリグリセリド、つまり中性脂肪のことを指します。基準値は150mg/dl未満です。
高値の場合には動脈硬化や脂質異常症、膵炎などが、低値の場合には肝硬変や低栄養状態が考えられます。
HDL-choは低比重リポタンパク質のことで、LDL-choは高比重リポタンパク質のことです。HDL-choは善玉コレステロールとも呼ばれます。
HDL-choの基準値は40mg/dl以上で、少なすぎると動脈硬化のリスクが高まる危険性があります。
LDL-choの基準値は120mg/dl未満です。これを超えている際には、脂質異常症、動脈硬化などが考えられます。
血糖検査
血糖検査は糖尿病のリスクを評価するための重要な検査です。
空腹時血糖やHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)といった検査があります。
空腹時血糖は、10時間以上絶食した後の血中に含まれるブドウ糖で、基準値は100mg/dl未満です。
HbA1cは、1〜2ヶ月程度の血糖値の状態を反映する値で、基準値は5.6%未満です。
これらの検査で、糖尿病予備軍あるいは糖尿病でないかどうかをチェックします。
尿検査(糖、蛋白)
尿検査は、尿に含まれる蛋白や糖、血液などを調べます。
尿蛋白は、尿に含まれている蛋白質です。尿に蛋白質が現れる場合には、腎炎や糖尿病性腎症などの腎臓病や、尿路感染症や尿路結石などの病気の可能性があります。
尿糖は、尿に含まれるブドウ糖のことです。尿糖が陽性となっている場合には、糖尿病などで血糖値がかなり高い可能性があります。
心電図検査
心電図検査では心臓の電気活動を測定し、不整脈や心筋梗塞のリスクを評価します。
精密検査でかかる費用
精密検査の費用は、検査の種類や受ける医療機関によって大きく異なります。
例えば、一般的な血液検査の費用は約2,000円から5,000円ほどかかります。
心電図検査の費用は、約1,500円から3,000円程度です。胸部X線検査は、約2,000円から5,000円の費用で、肺や心臓の状態を確認するためのものです。
超音波検査、いわゆるエコー検査は、約3,000円から8,000円の費用がかかります。この検査では、腹部、心臓、頸動脈などの異常を調べるために画像診断が行われます。より詳細な断層画像を撮影するCTスキャンは、約10,000円から30,000円の費用がかかり、腫瘍や血管の異常を確認するために用いられます。
MRI検査はさらに高額で、約15,000円から50,000円の費用がかかります。MRI検査では磁気を利用して体内の詳細な画像を撮影し、特に脳や脊髄の異常を確認する際に有用です。
内視鏡検査は、消化管(胃、大腸)や気管支の内側を直接観察するためのもので、約15,000円から50,000円の費用がかかります。
一般的には、健康保険が適用される場合、自己負担額は比較的少なくなります。しかし、特定の精密検査や先進医療が必要な場合、費用が高額になることがあります。
「健康診断で要精密検査と診断されたが行かない」についてよくある質問
ここまで健康診断で要精密検査と診断されたが行かないことについて紹介しました。ここでは「健康診断で要精密検査と診断されたが行かない」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
健康診断で要精密検査と診断されたのですが、放置するとどうなるのでしょうか?
木村 香菜 医師
放置すると、潜在的な病気が進行する可能性があります。例えば、高血圧を放置すると心臓病や脳卒中のリスクが増加し、糖尿病を放置すると腎不全や失明のリスクが高まります。早期発見と早期治療が重要です。
まとめ 健康診断で要精密検査と診断されたら受診しましょう
健康診断で要精密検査と診断された場合、放置せずに速やかに医療機関を受診することが重要です。異常が見つかった場合、そのままにしておくと病状が悪化するリスクがあります。定期的な健康診断と適切なフォローアップで、健康を維持しましょう。
「健康診断」で考えられる病気と特徴
「健康診断」から医師が考えられる病気は30個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
糖尿病・代謝系の病気
参考文献