【医師解説】胃がん検診で「要精密検査」と言われたらどうすべき？ 胃がんの原因は？

山田先生

胃がんは、主に胃の内側の粘膜にできる悪性腫瘍です。大きくなるにしたがい、徐々に粘膜下層、固有筋層、漿膜（しょうまく）へと外側に深く進んでいきます。しかし早期発見・早期治療すれば、比較的予後は良く治るがんでもあります。がんの中でも比較的頻度が高く、かつては日本人のがん死亡率の第1位でしたが、近年は減少傾向にあり、2021年厚生労働省の部位別がん死亡率では男性では肺がん、大腸がんを下回り第3位、女性で第5位でした。

山田先生

胃がんの原因としては、ピロリ菌の持続感染が大きな要因の一つです。そのほかのリスクとしては喫煙、食塩の過剰摂取が考えられています。50歳代から増加しますが、20歳代や30歳代で罹患する方もいらっしゃいます。

山田先生

早期の胃がんは自覚症状がほとんどありません。進行すると胃の不快感や腹痛、吐き気・嘔吐、食欲不振や、血便・黒色便が現れることもあります。これらの症状に加え体重減少や倦怠感などが伴ってくることもあります。

山田先生

早期の胃がんは症状が乏しいため、早期で見つけるためには1～2年ごとの内視鏡検査が推奨されています。また、早期に発見できれば、治癒できる可能性の高いがんでもあります。

山田先生

いわゆる「胃カメラ」のことです。口から小型カメラを挿入し、胃の粘膜を直接観察します。口からカメラを挿入するということで少し敬遠してしまう方もいらっしゃいますが、鎮静剤の使用により苦痛を少なくして検査を実施することも可能です。内視鏡検査でないと診断できないような早期がんもあります。

山田先生

まずは問診です。先ほどのリスク要因を知るために、食習慣や飲酒・喫煙などの生活習慣、家族歴などを伺います。そして、一般的には「胃X線検査」と「胃内視鏡検査」が行われます。

山田先生

胃X線検査は、レントゲンで胃の形などを観察するものです。バリウムを含む造影剤を飲むとその部分が白くうつるため、検査台で体を上下左右に動かすことで、胃の変形などを見つけることができます。

山田先生

胃X線検査後で「要精密検査」となれば、胃内視鏡検査を行うのが一般的です。胃内視鏡検査で疑わしい部位が見つかれば、その場で生検（組織を採取する）を行い、組織診（悪性かどうかを調べる検査）を行います。

山田先生

とても不安だと思いますが、まずは速やかにお近くの医療機関に相談しましょう。

山田先生

胃内視鏡検査を施行し、先ほどと同じく必要に応じて生検を施行します。その後、精密検査として内視鏡検査や超音波検査、CT検査などを行って進行度を分類します。

山田先生

その通りですが、過度に怖がる必要はありません。厚生労働省の「令和3年度地域保健・健康増進事業報告」によると、令和2年度に胃がん検診を受け、「要精密検査」という結果が出た方のうち、実際に胃がんが発見されたのはわずか1.88％でした。これは50人のうち1人未満という計算になります。

山田先生

「胃がん」は早期発見し治療すれば比較的予後が良いがんであり、特に早期のものは内視鏡での手術も可能です。早期の胃がんは自覚症状が乏しいため、早期に見つけるためにも1～2年ごとの内視鏡検査を推奨します。