「健康診断の結果」はいつわかる?結果の見方や判定が悪い場合の再検査等を医師が徹底解説!
健康診断の結果はいつわかる?Medical DOC監修医が健診結果・判定の見方や再検査・要精密検査と診断された場合の対応等をわかりやすく解説します。

監修医師:
木村 香菜(医師)
目次 -INDEX-
健康診断(一般健診・特定健診)の結果の見方や結果はいつわかるの?
健康診断を受けた後、結果がいつわかるのか、どうやって結果を確認するのかについて知りたい、という方も多いでしょう。あるいは、健康診断の結果が遅い場合には、悪い連絡がくるのではと心配になったことがある方もいらっしゃるかもしれません。一般健診や特定健診では、受診から結果通知までの期間や、判定の見方、もし判定が悪かった場合の対処法について知ることが大切です。
本記事では、健診結果の通知方法や判定の見方、再検査や要精密検査となった場合の対応方法について、医師の視点からわかりやすく解説します。健康診断をより理解し、安心して結果を受け取るための参考にしてください。
健康診断の結果はいつわかる?判定までどれくらいかかる?
健康診断の結果がわかるまでの時間は、受診した機関や検査内容によって異なりますが、一般的には1週間から10日程度で全て判明します。そして、それらの健康診断の結果を各医療機関がチェックし、受診者へ通知されます。総じて、1ヶ月から1ヶ月半くらいを目安にしておくと良いでしょう。
ただし、結果の確認が遅れる場合もありますので、心配な方は受診機関に問い合わせると良いでしょう。また、検査の結果の中には、血圧や身長、体重のようにすぐ出るようなものもあります。さらに、人間ドックなどでは、当日検査結果がわかる検査(即日検査)については当日結果を医師から受けることができることもあります。
健康診断の結果はいつわかる?
通常、健康診断の結果は郵送で通知されます。郵送のタイミングは機関によりますが、多くの場合、検査終了後1ヶ月から1ヶ月半程度で結果が届きます。
健康診断の結果が遅いのはどうして?
健康診断の結果が遅いのはなぜでしょうか。その理由には、検査項目の多さや、検査機関の繁忙期などが考えられます。特に、年末年始や健康診断の集中する時期は、結果の通知が遅れることがあるため、注意が必要です。
また、検査結果の確認のために、時間を要している可能性があります。例えば、CT検査やMRI検査、内視鏡検査などの場合には、読影結果を複数人でチェックします。そのため、判断に迷うような所見がある場合、時間が通常よりもかかる可能性があります。
健康診断の結果は再発行できる?
結果の通知を紛失した場合、再発行を依頼することができます。ただし、再発行には手数料がかかることがあるため、医療機関で健康診断を受けた場合には事前に確認しておきましょう。
健康診断の目的と検査項目や費用
ここでは、健康診断の目的と検査項目、費用について解説します。
健康診断の目的
健康診断の目的は、病気の早期発見と予防です。定期的な検診により、早期に異常を発見し、適切な対処をすることで、健康を維持することができます。
健康診断の検査項目
健康診断の一般的な検査項目には、以下のようなものがあります。血液検査では血糖値やコレステロール、肝機能、腎機能などが調べられます。尿検査では尿糖や尿タンパクの有無を確認し、異常がないかをチェックします。胸部X線検査では肺の状態を確認し、心電図検査では心臓のリズムや異常を検査します。さらに、身体測定(身長、体重、BMI)や血圧測定も行われ、全体的な健康状態を評価します。定期的な健康診断は、病気の早期発見と予防に役立ちます。
健康診断の費用の目安・保険適用
健康診断の費用は、検査項目や受診する機関によって異なりますが、一般的な検査であれば5,000円から10,000円程度です。なお、健康診断は病気を治すのではなく、異常がないかをチェックすることが目的となっているため、保険適用にはなりません。
例えば、全国健康保険協会(協会けんぽ)に加入している方の場合は、1年に1回の健診については協会けんぽが健診費用の一部を補助してくれます。令和6年の場合には、一般健診は最高5,282円、眼底検査を医師の判断により実施した場合の最高79円、子宮がん検診単独の場合には最高970円となっています。
人間ドックを受ける場合には、高い場合にはより料金の高いプランを用意している医療機関もあります。
健康診断結果の見方と判定で要精密検査と診断された場合の検査内容
ここまでは健康診断について基本的なことを紹介しました。
再検査・精密検査を受診した方が良い結果がいくつかあります。
以下のような診断結果の場合にはすぐに病院に受診しましょう。
健康診断結果・判定の見方
健康診断の結果は、いくつかの判定に分けられています。
医療機関によって多少は異なりますが、例えば日本人間ドック・予防医療学会では以下のように判定が付けられています。
・A判定:異常なし
・B判定:軽度異常
・C判定:再検査と生活改善が必要
・D判定:精密検査・要治療
・E判定:治療中
健康診断の結果を受け取った際、各検査項目の数値がどのような意味を持つのかを理解することが重要です。以下に、代表的な検査項目ごとの基準値と判定の見方を説明します。
血圧
A判定: 収縮期血圧(上の値)129mmHg以下、拡張期血圧(下の値)84mmHg以下
B判定: 収縮期血圧130-139mmHg、拡張期血圧85-89mmHg
C判定: 収縮期血圧140-159mmHg、拡張期血圧90-99mmHg
D判定: 収縮期血圧160mmHg以上、拡張期血圧100mmHg以上
血糖値
A判定: 空腹時血糖値99mg/dL以下かつ、HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー:1〜2ヶ月の血糖値の推移を示す)5.5%以下
B判定: 1)FPG:100-109かつHbA1c:5.9以下、 2)FPG:99以下かつHbA1c:5.6-5.9 1),2)のいずれかのもの
C判定: 空腹時血糖値110-125mg/dLまたはHbA1c6.0-6.4%
D判定: 空腹時血糖値126mg/dL以上またはHbA1c6.5%以上
コレステロール
A判定:LDLコレステロール120 mg/dL未満
B判定: LDLコレステロール121-139mg/dL
C判定: LDLコレステロール140-159mg/dL
D判定: LDLコレステロール160mg/dL以上
尿酸
A判定: 7.0mg/d以下
B判定: 7.1-7.9mg/d
C判定: 8.0-9.9mg/d
D判定: 10.0mg/d以上
特に危険な数値
これらの基準値を大きく超える数値は、すぐに医師の診断を受けるべきです。例えば、収縮期血圧が160 mmHg以上の場合や、空腹時血糖値が126mg/dL以上の場合は、重大な健康リスクを示している可能性があります。これらの数値が見られた場合、速やかに医師に相談し、適切な対処を行いましょう。
健康診断で要精密検査と診断された場合の検査内容
精密検査の種類
精密検査では、以下のような詳細な検査が行われます:
・CTスキャン: 身体内部の断層画像を撮影し、異常を詳しく確認します。
・MRI:磁気を用いて身体の内部構造を詳細に撮影し、肝臓や子宮などの評価に有効です。
・超音波検査(エコー検査): 内臓や血流の状態を確認します。
・内視鏡検査:消化器系の異常を確認するために、内視鏡(胃カメラや大腸カメラ)を使用して病変がないかどうかを直接調べます。
・血液検査の再実施:健康診断での初回検査で異常があった項目を再度詳細に検査します。
精密検査の費用
精密検査の費用は検査内容により異なりますが、以下のような費用が一般的です。
・CTスキャン: 約10,000円から30,000円
・MRI:約15,000円から40,000円
・超音波検査:約5,000円から20,000円
・内視鏡検査:約10,000円から50,000円
保険が適用される場合、自己負担額はこれらの一部になります。詳細は受診する医療機関に確認してください。
再検査や精密検査の受けられる医療機関
再検査や精密検査は、総合病院や、健康診断を受けた医療機関で受けることができます。再検査や精密検査の緊急度は、診断された内容や検査結果により異なります。一般的な目安として、以下のように考えておくと良いでしょう。
・即時受診が推奨される場合:胸部レントゲンで気胸という肺に穴が空き、肺が萎んでしまう病気は、数日以内に受診することが推奨されます。また、心臓や脳に関わる異常が疑われる場合も緊急で受診しなければならないこともあります。
・早急な受診が推奨される場合:糖尿病や高血圧などの生活習慣病が疑われる場合、1週間以内に受診することが望ましいです。
・定期的な再検査が推奨される場合:軽度の異常が見られる場合、数ヶ月以内の再検査が推奨されることがあります。
再検査の結果による治療方法
再検査の結果に基づき、以下のような治療が行われます。
・生活習慣の改善:食事療法や運動療法が推奨されることがあります。
・薬物療法:異常が確認された場合、薬物療法によって症状の改善を図ります。
・手術:深刻な異常が発見された場合、手術による治療が必要となることがあります。
・経過観察:軽度の異常の場合、定期的な検査を通じて経過観察を行うことがあります。
健康診断でわかる病気・疾患は?
ここではMedical DOC監修医が健康診断でわかる病気・疾患について解説します。
貧血
貧血は、血液中のヘモグロビン濃度が低下することで、酸素運搬能力が減少する病気です。鉄欠乏性貧血が最も一般的で、食事からの鉄分不足や消化管からの出血が原因です。
鉄分を多く含む食品を摂取し、必要に応じて鉄剤の投与が行われます。
疲労感や息切れ、顔色の悪さがある場合は、内科や血液内科を受診しましょう。
心疾患(冠動脈疾患)
心疾患は、心臓の血管が狭くなったり閉塞したりすることで、心筋に十分な酸素が供給されなくなる病気です。主な原因は動脈硬化で、高血圧や高コレステロール、喫煙、肥満などがリスク要因です。
治療法には、生活習慣の改善、薬物療法(血圧降下剤、コレステロール低下剤)、冠動脈バイパス術やステント挿入術などの手術があります。
胸の痛みや息切れ、動悸などの症状がある場合は、すぐに受診しましょう。
循環器内科や心臓外科を受診しましょう。
胃潰瘍、十二指腸潰瘍
胃潰瘍や十二指腸潰瘍は、胃や十二指腸の粘膜が傷つき、潰瘍が形成される病気です。原因には、ピロリ菌感染やNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)の使用、ストレスが含まれます。
治療には、抗生物質によるピロリ菌の除菌、プロトンポンプ阻害薬(PPI)による胃酸の抑制が含まれます。生活習慣の改善も重要です。
胃痛、吐血、黒色便などの症状がある場合は、速やかに受診しましょう。
消化器内科を受診しましょう。
甲状腺機能亢進症、甲状腺機能低下症異常
甲状腺機能異常は、甲状腺ホルモンの分泌が異常となる病気です。甲状腺機能亢進症(バセドウ病など)は甲状腺ホルモンが過剰に分泌され、甲状腺機能低下症(橋本病など)はホルモンの分泌が不足します。
甲状腺機能亢進症の場合は抗甲状腺薬、放射性ヨウ素治療、手術が行われます。甲状腺機能低下症の場合は甲状腺ホルモン補充療法が行われます。
疲労感、動悸、体重の急激な変動などの症状がある場合は、内分泌内科または甲状腺専門医を受診しましょう。
骨粗鬆症疾患名
骨粗鬆症は、骨密度が低下し、骨が脆くなって骨折しやすくなる病気です。特に女性に多く見られ、閉経後のエストロゲン低下やカルシウム・ビタミンDの不足が原因となります。
カルシウムやビタミンDの摂取、骨を強くする薬物療法(ビスフォスフォネート、ホルモン補充療法など)が行われます。定期的な運動も重要です。
骨折のリスクが高い場合や、骨密度検査で異常が見られた場合は、整形外科や内科を受診しましょう。
「健康診断の結果」についてよくある質問
ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「健康診断の結果」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
健康診断の結果は検査後どれくらいでわかるのでしょうか?
木村 香菜 医師
1ヶ月から1ヶ月半くらいで結果が返ってくることが多いです。検査機関によって異なるので、詳細は受診した医療機関に確認してください。
健康診断で要精密検査・D判定と診断されたらどう対処すべきですか?
木村 香菜 医師
D判定を受けた場合は、早急に再検査や精密検査を受けることが重要です。放置すると病状が悪化する可能性があります。
会社員の健康診断結果は所属する会社も把握しているのでしょうか?
木村 香菜 医師
会社員の健康診断結果は、労働安全衛生法に基づき、所属する会社が把握することが一般的です。ただし、その取り扱いには会社によるプライバシーの保護が求められ、結果は適切に管理されます。もし健康診断結果の取り扱いについて疑問や不安がある場合は、会社の健康管理担当者や産業医に相談すると良いでしょう。
健診結果の見方がよくわかりません。悪い箇所が複数あるのですが放置していいでしょうか?
木村 香菜 医師
健診結果で悪い箇所が複数ある場合、放置せずに医師に相談しましょう。早期に適切な対処を行うことで、重篤な病気を予防することができます。結果の見方がわからない場合は、検診を受けた医療機関などに問い合わせてみましょう。
まとめ 健康診断の結果を見て病気を早期発見・治療をしよう
健康診断の結果は、早期発見と治療のための重要な情報源となります。異常が見つかった場合は、速やかに医師に相談し、適切な対策を取りましょう。健康診断は、健康を維持するための大切な手段ですので、毎年受けるようにしましょう。必要な場合にはきちんと再検査を受けるようにしましょう。
「健康診断」の異常で考えられる病気
「健康診断」から医師が考えられる病気は12個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
循環器内科の病気
- 高血圧
- 心疾患(冠動脈疾患)
- 脂質異常症(高コレステロール血症)
内分泌内科の病気
- 糖尿病
- 甲状腺機能異常(甲状腺機能亢進症、甲状腺機能低下症)
腎臓内科の病気
- 慢性腎臓病(CKD)
消化器内科の病気
- 肝機能障害(脂肪肝、肝硬変など)
- 胃腸疾患(胃潰瘍、十二指腸潰瘍)
- 胆石症
血液内科の病気
呼吸器内科の病気
- 呼吸器疾患(慢性閉塞性肺疾患:COPD)
整形外科の病気
これらの病気は早期発見と適切な治療が重要です。異常が見つかった場合は、必ず医師に相談し、詳細な検査や治療を受けることをお勧めします。