「熱はないが乾いた咳が続く」原因はご存知ですか?医師が予防法を6つご紹介!


監修医師:
藤井 弘敦 医師
目次 -INDEX-
「熱はないが乾いた咳が続く」症状で考えられる病気と対処法
痰の絡まない乾いた咳のことを医学用語で乾性咳嗽(かんせいがいそう)と言います。また、痰が出るような湿った咳のことを湿性咳嗽(しっせいがいそう)と言います。今回は、熱はないけど、乾性咳嗽が続くときに考えられる病気や原因について解説します。熱はないが乾いた咳が続く症状で考えられる原因と治し方
熱はないが乾いた咳が続くときの多くの原因は乾燥やアレルギーです。まずはよく咳がでる時間帯、その時の場所、湿度や家にほこりが溜まっていないかチェックしましょう。 多くの場合、湿度を整えたり、環境を変えたりすると自然に咳が治まってくることが多いのですが、眠れないほど強い咳が続いていたり、咳をしすぎて血がティッシュにつくようなことがあれば内科を受診しましょう。大人で熱はないが乾いた咳が続く症状で考えられる原因と治し方
大人で熱はないが乾いた咳が続くときに考えられる原因は、乾燥やアレルギーの他に、感染後咳嗽、後鼻漏、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、咳喘息、逆流性食道炎などです。感染後咳嗽(かんせんごがいそう)
感染後咳嗽は、昔はかぜ症候群後咳嗽と呼ばれていました。気道がほんの少しの刺激でも反応しやすくなっていること(これを気道過敏性の亢進といいます)が一つの原因と言われております。後鼻漏
後鼻漏とは、副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎などの鼻の病気で、鼻水が喉の方に落ちそれが刺激となって咳がでます。慢性閉塞性肺疾患(COPD)
COPDとは、主にタバコが原因で気管支に炎症を起こし、肺胞が破壊されてしまった病気です。 乾いた咳が1週間以上続く、睡眠不足になるほどの咳が続くときは内科を受診しましょう。 咳喘息や逆流性食道炎については、下の項目で詳しく解説します。子供で熱はないが乾いた咳が続く症状で考えられる原因と治し方
子供で熱はないが乾いた咳が続くとき、よくある原因は、上気道炎(のど風邪)、乾燥、ストレス、食物が気道に詰まっていることなどです。 また、マイコプラズマ感染症、急性気管支炎、百日咳などといった抗菌薬などでの治療が必要な病気も考えられます。上気道炎・のど風邪
上気道炎とは、のど風邪といわれるものです。ウイルス感染を起こし喉から気道にかけて炎症が起きている状態です。 乾燥やストレスが原因で咳が続くこともよくみられます。 乾いた咳が何ヶ月も続き喘息だと思っていたものが、気道異物といって、ピーナッツが気管支に詰まっているのが原因になるケースもあります。3歳未満は気道に詰まりやすいのでピーナッツは与えないようにしましょう。急性気管支炎
急性気管支炎とは、ウイルスや細菌などの感染が気管支に起こり炎症を起こした状態です。 マイコプラズマ感染症や百日咳については、下で詳しく解説します。 まずは、咳がいつどのようなタイミングで出るのか、咳の程度、ぜーぜーと喘鳴が聞こえないかなど咳の状態を観察して下さい。 夜間寝ているときに咳き込んでしまうときは、体を軽く起こした状態にしてあげましょう。乾燥が原因であれば入浴や加湿器で部屋の湿度を保つようにしましょう。少量の水分をこまめに飲ませてあげることも有用です。 ご家族内で喫煙者がいるときは、タバコを吸うのをやめて換気してあげましょう。 咳が続いても熱がなく日常生活に問題がなければ、多くの場合は問題ありません。しかし、喘鳴がでたり、夜間眠れないくらい咳をするときなどは小児科を受診しましょう。熱はないが乾いた咳が続き、鼻水が出る症状で考えられる原因と治し方
熱がなく乾いた咳が続き、鼻水が出る時に考えられる病気は、風邪症候群、アレルギー性鼻炎、副鼻腔炎の可能性があります。また、その鼻水が喉に流れて咳がでる、後鼻漏も原因の一つになります。風邪症候群・アレルギー性鼻炎
咳、鼻水、喉の痛みの症状があれば、ウイルスが原因の風邪症候群である可能性が高いです。2,3日で自然によくなるケースがほとんどです アレルギー性鼻炎は、花粉やハウスダストなどが原因となります。副鼻腔炎・蓄膿症
副鼻腔炎は、蓄膿症といわれるもので、風邪の原因となるウイルスや細菌などが原因となり副鼻腔の粘膜に炎症が起こると発症するものです。 多くは数日で改善したり、換気や空気清浄機などを使うと改善することが多いです。しかし、症状が2,3日経っても改善しない、徐々にひどくなってくるときは、内科を受診しましょう。熱はないが乾いた咳が続き、ストレスを感じる症状で考えられる原因と治し方
熱はないが乾いた咳が続き、ストレスを感じるときは、心因性咳嗽や逆流性食道炎の可能性があります。心因性咳嗽(しんいんせいがいそう)
心因性咳嗽といって、ストレスにより乱れた自律神経が咳中枢を刺激していることが原因になることもあります。集中しているとき、夜間寝ているときには咳がでないことが心因性咳嗽を疑う手がかりになります。まずはストレスの原因となっている要因を取り除くことが重要です。ただ、ストレスをすぐに取り除くのが難しい場合もあります。その場合はまずは生活習慣を整えてみることも一つの手です。心因性咳嗽を疑うときは心療内科や精神科を受診するようにしましょう。 逆流性食道炎については、下で詳しく解説します。すぐに病院へ行くべき「熱はないが乾いた咳が続く」に関する症状
ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。 応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。 以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。熱はないが、乾いた咳が続き、呼吸が苦しいと感じる場合は、内科、呼吸器科、救急科へ
眠れないくらい咳が続くとき、血が付着するとき、咳が2週間以上続くとき、呼吸が苦しいと感じるとき、ソファーやベッドに横になったほうが苦しいと感じるとき、息をするときにヒューヒュー、ゼーゼーと喘鳴がするとき、犬が吠えるような咳が出るときこのようなときは内科、呼吸器内科、救急科を受診しましょう。「熱はないが乾いた咳が続く」症状が特徴的な病気・疾患
ここではMedical DOC監修医が、「熱はないが乾いた咳が続く」に関する症状が特徴の病気を紹介します。 どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。咳喘息 (せきぜんそく)
咳喘息とは、咳だけが2週間から数ヶ月続いている状態です。名前は気管支喘息と似ていますが、気管支喘息のように呼吸をするたびにヒューヒュー、ゼーゼー(喘鳴といいます)といった音がしない、呼吸困難がないというのが咳喘息の特徴です。 花粉やハウスダストなどのアレルギー、湿度や寒暖差、タバコの煙などが原因となります。 アレルギーが疑われる場合は、その原因(アレルゲン)を特定し、できるだけそれを遠ざけることが重要です。タバコが原因の場合は禁煙、花粉の場合はマスクを着用することも有効です。 病院では吸うタイプのステロイド薬や気管支を広げるような薬を使用することで気道の炎症を和らげます。 咳喘息が疑われる場合は、内科や呼吸器内科を受診しましょう。百日咳(ひゃくにちぜき)
百日咳は普通の風邪の様な症状で始まり、10日ほどで徐々に咳が強くなり、最終的には顔を真っ赤にしてコンコンと激しく咳き込み、発作性けいれんの咳となることがあります。咳き込みすぎると嘔吐を伴うこともあります。 これは百日咳菌が原因で起こるもので、家庭・幼稚園、学校などで感染が広まり、感染すると7-10日の潜伏期を経て発症します。 百日咳菌に対しては抗生剤で治療します。もし、顔を真っ赤にするような咳が出るときは内科、小児科、呼吸器内科を受診しましょう。 咳に対しては咳を治める薬(鎮咳薬)や気管支を広げる薬などを処方します。 なお、咳やくしゃみ、またそれらで汚染された手や物を介して感染するため、受診前に必ず病院に電話をしましょう。逆流性食道炎
逆流性食道炎は胃酸が食道に逆流するため、酸っぱい液体が口まで上がってきてゲップがでる、胸やけ、胸がムカムカする、胸の痛み、咳がでるなどの症状が現れます。原因は加齢、便秘、肥満、姿勢、ストレス、食生活で脂肪分の多い食事をすることなどです。 便秘を解消し、脂肪分の多い食事は控え、食後は少なくとも30分以上は体を起こすようにしましょう。 食事のたびに辛い思いをすると、食欲もなくなってしまいますので、症状が続くようなら内科、消化器科、胃腸科を受診しましょう。マイコプラズマ感染症
マイコプラズマ感染症は発熱で発症し、1-2日遅れて咳がでてきて、だんだん強まっていくのが典型的な経過です。マイコプラズマ・ニューモニアエという微生物が原因であり、肺炎を起こすこともあります。多くの人は、マイコプラズマに感染してもただの風邪程度で済むことが多いですが、体力の弱い子供やご高齢のかた、糖尿病など合併症のある方などは重症化することがあるため、注意が必要です。 内科、呼吸器内科を受診しましょう。「熱はないが乾いた咳が続く」ときの正しい対処法は?
熱はないが乾いた咳が出るときは、まずは加湿をし、ほこりやダニなどのアレルギーを除去できるようにしましょう。乾燥が原因であれば、水分を多めにとり、お酒を控えてみるのも有効な可能性があります。のど飴を舐めて唾液の量を増やすことも有効です。 また、免疫をアップさせストレスを少しでも軽減するために、睡眠は非常に重要です。寝るときに口呼吸になっていると、口腔内が乾燥してしまい咳の原因になります。喫煙している方は数日でもやめると咳が止まる可能性があります。 しかし、今すぐに咳を止めないといけない、咳が出すぎて眠れないため薬を飲みたいという方もいるでしょう。 その場合は、市販の咳止めを服用してみても構いません。市販薬は複数の咳止め成分が配合されているものがほとんどです。一日の服用回数や眠気が出にくいタイプなどさまざまなものがありますので、迷うときは薬局薬剤師や登録販売者に相談するとよいでしょう。症状によっては、漢方薬も有用です。ツムラ漢方の麦門冬湯(ばくもんとうどう)や、喉の違和感を伴うときは半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)がおすすめです。 これらの対症療法や薬を1週間程度試しても咳が続く場合は、内科を受診してください。「熱はないが乾いた咳が続く」についてよくある質問
ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「熱はないが乾いた咳が続く」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
熱はないが乾いた咳が続く症状のセルフケア・予防法を教えて下さい。
藤井 弘敦 医師
・適切な湿度に保つこと ・口呼吸をやめてみること ・十分な睡眠をとること ・食生活を見直してみること ・タバコをやめること ・アレルギーの原因となるものを遠ざけることを試してみてください。
季節の変わり目に咳が続くのは病院で治療できますか?
藤井 弘敦 医師
季節の変わり目や寒暖差で咳がでる体質を「気道過敏性」と言いい、咳喘息や、気管支喘息を疑います。また、花粉やホコリ・ダニなどのアレルギーがあり、ステロイド吸入薬や気管支拡張薬が効かない場合はアトピー咳嗽を疑います。 まずは、いつどんな時に咳がでるのかを自分でも整理してみて、お近くの内科を受診してみてください。
咳が長引くけれど発熱はない場合放置しても大丈夫ですか?
藤井 弘敦 医師
3週間以上続く咳を遷延性咳嗽(せんえんせいがいそう)、8週間以上続く場合を慢性咳嗽(まんせいがいそう)といいます。 湿度の調整など対症的な療法をしても症状の改善がなく、1週間以上咳が続く場合、あるいは、徐々に咳がひどくなっている場合は、放置せずに病院を受診してください。
平熱なのに夜中に咳が止まらず苦しいのは喘息でしょうか?
藤井 弘敦 医師
喘息の可能性もありますが、心臓のポンプ機能が弱っている「心不全」や布団にいるダニが原因のアレルギー性の咳の可能性もあります。咳が止まらず苦しいと感じる場合は内科、救急科を受診してください。
熱はないが乾いた咳が続く症状は花粉症と何か関係していますか?
藤井 弘敦 医師
花粉症の可能性もあります。花粉症に対してマスクをしたり、アレグラ®︎などの抗ヒスタミン薬を飲んだりしても咳が続くときは、花粉症とは別の病気が隠れていることがあります。咳が1週間以上続く場合は内科を受診しましょう。
まとめ
熱はないのに乾いた咳が続くときにはどのようにしたらいいか、その対処法や原因疾患を挙げてみました。 咳だけで病院受診するのはなかなかハードルが高いかもしれません。まずは環境を整えたり、市販の薬剤を試しても構いません。しかし、これらの対症療法や薬を1週間程度試しても咳が続く場合は病院を受診してください。ただし、咳が止まらず苦しいと感じたり、血がでるくらい咳き込むことがあるようなら早急に病院を受診しましょう。 ただし、咳は細菌やウィルスなどの異物を体が排除する防御機構の一つを担っている可能性があります。ですので、無理やり咳を止めると異物を排除できなくなり肺炎などを起こしてしまう可能性がありますので、注意しましょう。「熱はないが乾いた咳が続く」で考えられる病気
「熱はないが乾いた咳が続く」から医師が考えられる病気は18個ほどあります。 各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。消化器科の病気
呼吸器科の病気
- 慢性閉塞性肺疾患(COPD)
精神科の病気
- 心因性咳嗽