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「副鼻腔炎」は自然に治る?・治らない?どちらだと思いますか?具体的な症状も解説!

 更新日:2023/03/27
「副鼻腔炎」は自然に治る?・治らない?どちらだと思いますか?具体的な症状も解説!

副鼻腔炎とは、アレルギーなどによって副鼻腔に炎症を起こす症状です。ドロドロとした鼻水や鼻づまりが続き、悪化すると頭痛を発症するなど不快感の多い症状が特徴です。

原因はいくつかありますが、誰しも起こりうる病気であり、最悪の場合は蓄膿症などを引き起こす可能性があります。

そこで、本記事では副鼻腔炎の症状を解説します。原因・治療方法や完治するまでの期間、自然治癒するかについてもご紹介するので参考にしてください。

五藤 良将

監修医師
五藤 良将(医師)

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防衛医科大学校医学部卒業。その後、自衛隊中央病院、防衛医科大学校病院、千葉中央メディカルセンターなどに勤務。現在は「竹内内科小児科医院」の院長。日本抗加齢医学会専門医、日本内科学会認定医。

副鼻腔炎の症状と原因

鼻を気にする男性

副鼻腔炎はどのような病気でしょうか?

  • 副鼻腔炎とは、鼻の奥にある副鼻腔と呼ばれる空洞部分が炎症を起こすことをいいます。鼻の奥の構造は、非常に細かい仕組みとなっています。本来鼻から吸い込まれた空気は、鼻腔へと運ばれ、加湿されて喉を通過して気管へと入っていく仕組みです。
  • 鼻腔は、鼻中隔という骨によって仕切られています。そして、鼻甲介と呼ばれる突起によって、吸い込まれた空気が加湿されるのです。その鼻中隔や鼻甲介の周りにあるのが副鼻腔といわれる空洞です。
  • 仕切りによって左右4つの副鼻腔に分けられており、前頭洞・篩骨洞・蝶形洞・上顎洞という空洞が集まっています。そして、これらの空洞に炎症が起こることを副鼻腔炎というのです。
  • さらに、副鼻腔炎の中には、急性副鼻腔炎慢性副鼻腔炎に分けられます。急性のものは症状の経過が短いものであり、慢性のものは3ヶ月以上症状が続くタイプとなります。急性と慢性を合わせると、毎年100万人~200万人もの人が発症しているといわれているほど、罹患者の多い病気です。

発症するとどのような症状が起こりますか?

  • 主な症状としては、次のようなものが挙げられます。
  • 鼻水
  • 鼻のつまり
  • 頭痛・顔面の痛み
  • 頭が重く感じる
  • 鼻の中で悪臭を感じる
  • 嗅覚の低下
  • 鼻水が喉に落ちる
  • 咳・痰
  • まず、膿が混じったような鼻水が代表的です。慢性副鼻腔炎となると、さらに白い粘性のある鼻水に変わっていきます。副鼻腔の粘膜が腫れることで、鼻つまりも起こします。これは、空気の通る隙間が狭くなってしまうために起こる症状です。
  • ポリープなどができる可能性もあり、その場合も鼻つまりを起こします。慢性的になると、鼻水が鼻腔内にたまるようなことが起こります。これにより、鼻中隔や鼻甲介などの骨の構造にも異常が起き、鼻つまりを起こす可能性もあるでしょう。
  • 頭痛や顔面の痛みも代表的な症状です。これは、急性副鼻腔炎に見られる症状で、炎症の影響で痛みが発生します。眼の近くなど炎症が生じる場所によっては、眼痛・視力障害を招く可能性もあります。
  • また、炎症だけでなく膿のような鼻水の影響で、頭が重く感じたり鼻の中で悪臭を感じるたりする可能性も高いです。匂いを感じる部分の粘膜が腫れたり、炎症が長引くと嗅覚障害を起こしたりと嗅覚が低下します。
  • 鼻水が喉の奥に落ちる後鼻漏と呼ばれる症状もあります。この症状では、咽頭炎や気管支炎を招く可能性が高いです。咳や痰も初期症状でありますが、後鼻漏の影響でさらに咳や痰を悪化させる可能性があります。

副鼻腔炎になる原因を教えてください。

  • この病気の主な原因は、風邪やインフルエンザなどのウイルスや細菌です。ウイルスや細菌に感染すると、まず鼻腔に炎症が発生します。鼻腔と副鼻腔は繋がっているため、炎症がひどいときは、副鼻腔まで及ぶ場合があるのです。この状態が急性副鼻腔炎というものとなります。この場合、自然に治る可能性も高いです。
  • 治療を受ければ、短期間で治すことも可能です。しかし、治療を行わず炎症が長引いた場合は、慢性副鼻腔炎という症状へと進行していきます。炎症が長くなると、膿を輩出する鼻の粘膜の働きが悪くなります。粘膜も腫れて鼻腔とつながっている道を塞いでしまうこともあるため、さらに炎症が治りにくくなってしまう可能性も高いです。
  • このように、急性・慢性のどちらも、ささいな風邪などの細菌を原因としたものが、最も多いです。他の原因としては、ハウスダスト・花粉などのアレルギー反応で発症するケースもあります。喘息や鼻の中の骨の構造が異常である場合なども、症状悪化の原因となります。

頭痛をともなうことがあると聞きましたが…。

  • 鼻の痛みだけでなく頭痛が伴うことも珍しくありません。急性でもみられる症状であり、頭以外にも、頬・両眼なども痛むことがあります。
  • 慢性の場合では、額を中心に頭重感を感じることも多いです。また、眼の近くの副鼻腔に重度の炎症が起こると、眼の痛みだけでなく視力障害を引き起こすこともあります。

副鼻腔炎の受診と治療

問診票

受診を検討するべき自覚症状を教えてください。

  • 受診を検討するべき自覚症状としては、次のようなものが代表的です。
  • 濃い鼻水
  • 発熱
  • 痛み
  • 風邪やインフルエンザの場合でも、鼻水や発熱が出ることはありますが、副鼻腔炎で現れる症状とは異なります。この病気を起こしていると、鼻腔内の粘膜が腫れて、副鼻腔の入口が塞がれた状態です。そのため、空気の流れが悪くなっています。
  • この状態で、呼吸を続けていると圧力の変化で、痛みを引き起こす可能性が高いです。このような症状は、風邪やインフルエンザなどではみられません。また、濃い鼻水は、副鼻腔内が細菌感染を起こしているために現れる症状です。
  • そのため、これらの症状の自覚症状が出たら、受診を検討すべきといえるでしょう。さらに、目に近い副鼻腔で炎症が生じた場合は、視力障害が発生します。この症状も、風邪やインフルエンザとは異なる症状なので、受診目安の自覚少女といえます。
  • しかし、副鼻腔の中が細菌感染を起こしている状態なので、それよりも前に発症する可能性が高い、濃い鼻水や痛みで受診を考えることが大切です。

どのような検査をするのでしょうか?

  • この病気の検査方法は、主に視診画像検査です。視診としては、電子ファイバースコープを使用します。鼻腔内に挿入し、鼻腔形態やポリープの有無・鼻水の流れる部位を細かく観察します。
  • しかし、これだけでは異常が見られないことも多いです。そのため、画像検査を併用します。画像検査としては、主に単純レントゲン・CTスキャンを用います。
  • どの場所で炎症が起きているのかを確認し、その程度や鼻の骨の構造なども同時に観察する方法です。重度の炎症や粘膜の腫れが見られる場合には、この病気を発症していると診断されます。

副鼻腔炎の治療方法を教えてください。

  • 主な治療方法は、保存療法です。保存療法では、副鼻腔内の鼻水を吸ってきれいにする方法や抗生物質を蒸気から吸い込むネブライザー療法、内服薬の服用といった方法があります。
  • しかし、慢性副鼻腔炎の場合は、上記の治療方法では大きな効果が見られないことがあるため、その際にはマクラロイド系の抗生物質を使用することが多いです。少量を2ヶ月~3ヶ月かけて投与する方法で、粘膜の機能を正常化する作用があります。

手術をすることもあるのでしょうか?

  • 手術をする場合もあります。先述したような保存療法を行っても、改善が見られない場合には、手術による治療を行うのです。
  • 手術は全身麻酔を行った上での、副鼻腔手術です。以前は、口の粘膜を切ってから骨を削るような方法をとっていましたが、現在では内視鏡を用いた手術となります。口の粘膜や顔の一部を切ることなく、骨の穴から全ての手術を行える方法です。

副鼻腔炎の予後と予防

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完治するまでどのくらいの期間がかかりますか?

  • 急性の場合は早いものであれば、1週間~2週間程度の治療で管理することがわかっています。長くても1ヶ月程度で治るでしょう。
  • しかし、慢性の場合は、完治までの期間は長引く傾向です。おおよそ、2ヶ月~3ヶ月程度かかるといわれています。これは、症状の個人差があることと、手術による治療を行ったかどうかにも関わるためです。

副鼻腔炎は自然治癒することもあるのでしょうか?

  • 自然治癒することはあります。症状が軽度の場合は、特に治療を行わなくても治る可能性があるのです。実際に、多くの方が風邪の延長だと思って、特別な治療を行わないことが多いです。
  • 膿がたまっているなどの症状に気づかず、痛みなどが現れなければ、初期症状はなかなか気づけません。そのため、多くの軽症の方が自然に治ってしまっているケースが多いです。自然に治るおおよその期間としては、10日程度です。

予防方法を教えてください。

  • 基本的な予防方法としては、風邪をひかないことと風邪を長引かせないことが挙げられます。特に予防すべきなのが、鼻風邪です。鼻風邪は、鼻の粘膜がウイルスなどに感染して、急性炎症を起こす病気です。鼻つまりを起こし、匂いがわからないなどの症状が現れます。
  • 鼻風邪の状態が長引くと、この病気の発症リスクを高めてしまうでしょう。発症・悪化を招かないためにも、うがいや手洗い・鼻うがいなどを行って風邪にかからないようにすることが大切です。また、風邪以外にもアレルギー性の鼻炎や花粉症によっても、この病気を招く可能性があります。
  • これらの原因が考えられる方は、定期的に受診して、鼻つまりを起こさないようにすることが重要です。鼻つまりを起こした際の、改善方法も教えてもらって、悪化しないようにもしましょう。細かい予防が、病気のリスクを下げることにつながります。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

  • 副鼻腔炎は、風邪やインフルエンザなどのウイルスや細菌によって起きるもので、誰しも発症リスクのある病気です。症状には個人差がありますが、重症となると手術が必要になる場合もあります。
  • そのため、日頃から発症しないような予防が大切です。また、早期治療も大切です。症状に気づかず放置していると、知らない間に悪化していることも少なくありません。万が一、異変を感じた場合は、すぐに専門医療機関を受診しましょう。

編集部まとめ

鼻をかむ女性

副鼻腔炎は、軽度な症状から重度なものまで幅広く、個人差も大きな病気です。急性のものであれば、比較的軽度な症状です。

自然治癒でも治る可能性は高く、治療を行えばより確実に治せるでしょう。しかし、慢性のもので症状が重ければ手術が必要となります。

治療期間も相応に長くなるため、気づかず悪化させないためにも普段からできる正しい予防方法を知り、少しでもリスクを減らしましょう。

この記事の監修医師