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むせやすい原因は何?病気の可能性は?医師が徹底解説!

咳が出てむせやすい嚥下障害で、身体はどんなサインを発信しているのでしょうか?ここではMedicalDoc監修医がむせやすい症状で考えられる病気や何科を受診すべきかなどを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

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村上 友太 医師

監修医師
村上 友太 医師(東京予防クリニック)

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医師、医学博士。福島県立医科大学医学部卒業。福島県立医科大学脳神経外科学講座助教として基礎・臨床研究、教育、臨床業務に従事した経験がある。現在、東京予防クリニック院長として内科疾患や脳神経疾患、予防医療を中心に診療している。
脳神経外科専門医、脳卒中専門医、神経内視鏡技術認定医。日本認知症学会、抗加齢医学会、日本内科学会などの各会員。

「むせやすい」症状・嚥下障害で考えられる病気と対処法

「むせる」という症状は、食べ物などの異物が気管へ入った時の生理的反射のことです。たまたまむせることは誰でも起こり得ます。また、加齢に伴って多くなるものですが、「むせやすい」状態は病気が関連している可能性があるので、注意が必要です。

急に咳が出てむせやすい症状の原因と対策・治し方

急に咳がでる、咳き込む、痰がでてむせやすいという症状を指します。
このような場合、急性上気道炎などが疑われます。
ウイルス・細菌が気管などの上気道に感染すると、炎症によって咳が出やすくなります。また気管粘膜の炎症が続くと痰も増え、これが原因でむせやすくなります。
通常、このような感染症による咳や痰は、1週間程度で良くなるため心配はいりません。長引く場合には、喘息や肺炎などを疑って検査する必要もあるため、内科を受診しましょう。

寝てるときに急にむせる・むせやすい症状の原因と対策・治し方

寝ているときに急にむせる、寝ると喉がむずかゆい、口の中が苦い、むせて起きてしまうという症状を指します。
このような場合、逆流性食道炎などが考えられます。
食道と胃の境目には、胃から食物や胃液が逆流しないようにする逆流防止弁(下部食道括約筋)があります。この逆流防止弁が、加齢や肥満によって緩むと胃酸が逆流して、胸やけ、のどの違和感、むせ込む症状などが出現します。横になって寝ているときは、胃酸が逆流しやすい体位のため、症状がでやすい方もいます。
自宅でできる対処法は、仰向けで寝る時に上半身を高くして寝るよう工夫することです。症状の強い方は、胃酸分泌をおさえる薬剤が効果的です。内科・消化器内科で相談しましょう。

水を飲むとむせる・飲み物でむせやすい症状の原因と対策・治し方

水やお味噌汁のような水分の多いものを摂取するとむせこむ症状をさします。
このような場合、ものを飲み込む(嚥下)機能の低下が考えられます。嚥下を行うときにはのど周辺の筋肉が関わり、固形物と比べて水分はむせこみやすいことが知られています。原因となる病気としては、脳梗塞パーキンソン病うつ病などがあります。
脳梗塞やパーキンソン病では、水分の通り道に障害はないものの、飲み込む運動をする筋肉や神経の働きが悪くなるためにむせやすくなります。
うつ病などの精神的な問題がある場合には食思不振となるために、摂食時にむせこんでしまうことがあります。
頻回にむせるようならば、年齢を問わず原因検索は必要ですので、内科や耳鼻咽喉科を受診するようにしてください。

食事中にむせる・食べ物でむせやすい症状の原因と対策・治し方

液体ではなく、固形物を食べた時に、飲み込みにくくむせこみやすいこともあります。
このような場合、食道がんなどが疑われます。

食道がん

食道がんは食事の通り道である食道にできる悪性腫瘍です。食道内腔の狭窄の程度によっては、水分や軟らかいものは食べられますが、食事などの固形物がつっかえ、むせこむようになります。
固形物が飲み込みにくい、むせこみやすくなった場合は、早めに胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)を受けることをお勧めします。消化器内科を受診しましょう。

深呼吸や息を吸うとむせる・むせやすい症状の原因と対策・治し方

大きく息を吸ったり吐いたりした時にむせてしまうような症状を指します。
この原因として考えられる病気に喘息などが考えられます。

気管支喘息と咳喘息

気管支喘息は、主には息が吐きにくくヒューヒューという音のする呼吸が代表的な症状ですが、咳喘息ではむせるような咳症状が主体です。運動して深呼吸をする、ストレスなどがかかる状況で、頻回の咳やむせこむ症状が出現します。
8週間以上このような症状が続けば、喘息の可能性があります。内科・呼吸器内科を受診するようにしましょう。

年齢を重ねてむせるようになった・むせやすい症状の原因と対策・治し方

いつからかはっきりしないけれども、気がついたらむせやすくなったなと感じることがあるかもしれません。
ここまでいくつか原因を挙げてきましたが、嚥下機能が低下する原因の多くは、加齢によるものです。加齢によって、喉周囲の筋力が低下するため、嚥下機能が低下してしまうのです。加齢による影響は60代以降に見られやすいのですが、40代ころから喉周囲の筋力は低下する傾向にあるといわれてます。
むせこみを放置すると、食道ではなくて気管の方に流れるため、誤嚥性肺炎をきたしやくなります。ゆっくり食べるように促す、固い食物は小さく切る、などの対策が必要です。注意が必要なのは、むせこみの原因に食道がん、喉頭がんなどの病気が隠れている場合です。
症状がなかなか変わらないようであれば、内科・耳鼻咽喉科を受診することをお勧めします。

すぐに病院へ行くべき「むせやすい」症状に関する症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

突然食事が飲み込みにくく、むせこむ場合は、脳神経内科・脳神経外科へ

突然食事をむせこむような症状が出現したときには、脳卒中(脳梗塞や脳出血)などの緊急疾患も疑われます。
脳卒中では、運動機能を司るシステムがダメージを受けると、手足の麻痺症状だけではなく、口や舌、喉周りの筋力にも影響がおよんで、嚥下機能が低下することがあります。
このような場合は、すぐに病院受診する必要がありますので、救急車を呼んで脳神経内科や脳神経外科を受診してください。

「むせやすい」症状が特徴的な病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「むせやすい」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

甲状腺がん

甲状腺は首の根元にあってホルモンを分泌している臓器です。この甲状腺に悪性腫瘍(がん)が生じると、むせやすくなることがあります。甲状腺の付近には、反回神経といって声帯の動きを司る神経があります。甲状腺がんがその神経付近まで広がったり、甲状腺がんの手術を行った際に反回神経がダメージを受けたりすると、声のかすれ(嗄声)やむせやすい症状が起こることがあります。反回神経への影響だけではなく、甲状腺がんが食道や気管へ広がっていくことでむせる症状が出現することもあります。
甲状腺のしこりの症状以外は自覚症状はないことが多いといわれますが、飲み込みにくさや違和感などがきっかけで見つかることもあります。気になる症状があれば耳鼻咽喉科や内科・内分泌内科で相談すると良いでしょう。

「むせやすい」症状でできる対策・生活習慣を紹介!

むせやすい症状が出現した際に、自宅でできる対策を紹介します。
加齢が原因でのどの筋肉が弱り、むせこむことが増えた場合の対策です。背筋を伸ばした正しい姿勢で食べること、急がずゆっくり食べること、固い食品は小さく切って食べること、
少量ずつ食べよく噛むことなどが大切です。
舌の筋肉などをトレーニングすることも有効で、パ行、ラ行の発声練習することが嚥下機能の維持に役立ちます。

「むせやすい」症状があるときに飲んでも良い市販薬・漢方は?

むせやすい症状に有効な市販薬や漢方は、ほとんどありません。
むせる原因が逆流性食道炎などの場合には市販の胃薬が有効な場合もありますが、原因が不明である段階では、お勧めできません。
むせやすい症状の原因を検査するために、内科や耳鼻咽喉科を受診して相談しましょう。

「むせやすい」症状についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「むせやすい」症状についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

寝てるときに自分の唾でむせることがあります。何科を受診すべきですか?

村上 友太(むらかみ ゆうた)医師村上 友太(むらかみ ゆうた)医師

唾液は睡眠中であっても分泌されており、溜まると無意識の間に飲み込んでいます。誤って気管に入ると、生理的な反射としてむせこむが出現します。このような症状が頻回でなければ心配することはありませんが、気になる場合は内科や耳鼻咽喉科で相談しましょう。

家族が高齢で最近むせやすくなりました。何か対策はありますか?

村上 友太(むらかみ ゆうた)医師村上 友太(むらかみ ゆうた)医師

高齢者のむせこみはよくある症状の一つですが、免疫力が弱い高齢者では唾液のむせ込みで肺炎になる危険があります。
対策としてむせにくい食事をすることが大切です。固い食物は細かく切る、水分にはとろみをつけると良いでしょう。そのほかにも、歯磨きや舌磨きなどで口腔内をきれいに保つことも重要です。誤嚥したときに肺炎になりにくくなります。

むせるような咳が急に出る場合、どんな病気が考えられますか?

村上 友太(むらかみ ゆうた)医師村上 友太(むらかみ ゆうた)医師

むせるような咳が急に出る場合は、急性の上気道炎が考えられます。急にむせるような咳がでたとしても、まずは経過を見てください。むせるような咳が続く場合は内科へ受診することを考慮しましょう。

まとめ

むせこむことは生理的反射であり、誰しも起こり得ます。特に高齢者では、むせこみやす炒めに肺炎になる危険性があります。頻度は多くありませんが、若年者の方でも治療を要するケースがあります。むせこむこと以外にどのような症状があるのかチェックし、気になる方は早めに医療機関を受診しましょう。

「むせやすい」症状で考えられる病気

脳神経系の病気

呼吸器系・消化器系の病気

耳鼻咽喉科・内分泌系の病気

喉周囲にはさまざまな筋肉や神経、臓器などが関わるため、むせやすいという症状にはいろいろな原因が考えられます。

「むせやすい」症状に似ている症状・関連する症状

関連する症状

「むせやすい」症状の他に、これらの症状がある場合も「上気道炎」「喘息」「パーキンソン病」「脳梗塞」「うつ病」「食道がん」「甲状腺がん」などの疾患の可能性が考えられます。
複数併発している場合は、なるべく早く医療機関への受診をおすすめします。

【参考文献】
・日本消化器病学会 胃食道逆流症ガイドライン2020
・公益財団法人 長寿科学振興財団
https://www.tyojyu.or.jp/net/byouki/sesshokushougai/genin.html
・済生会HP
https://www.saiseikai.or.jp/medical/disease/cough_variant_asthma/
・東京大学 胃食道外科・乳腺内分泌外科
http://todai3ge.umin.jp/koujyousen.html
・がん情報センター
https://ganjoho.jp/public/cancer/thyroid/about.html