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「熱はないが喉が痛い」原因は?治し方・考えられる病気・何科に行くべきか医師が解説

「熱はないが喉が痛い」原因は?治し方・考えられる病気・何科に行くべきか医師が解説

熱はないが喉が痛い時、身体はどんなサインを発しているのでしょうか?Medical DOC監修医が考えられる病気や何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

楯 直晃 医師

監修医師
楯 直晃 医師(リアラクリニック)

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2013年 熊本大学病院 初期臨床研修医
2015年 熊本大学病院 総合診療専門修練医
2018年 国立熊本医療センター 救急集中治療部医員
2020年 リアラクリニック名古屋院院長
2021年 メディカル・テート株式会社 CEO

救急科専門医、抗加齢医学専門医、プライマリケア認定医、内科認定医、産業医、健康スポーツ医、医療経営士、禁煙サポーター、日本産婦人科学会会員、厚労省緊急避妊研修修了、厚労省緩和ケア研修修了

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「熱はないが喉が痛い」症状で考えられる病気と対処法

喉は、食物と空気の通り道だけではなく、言葉を発する役割を担っていたり、口から入ってきたウィルスや細菌などの異物を防ぐ働きなど、身体の重要な役割を果たしています。また、喉とひと口にいっても、解剖学的には鼻の奥までも指す箇所があり、その部分の病気では鼻や耳にも症状が出ることがあります。そのため喉の痛みを引き起こす原因はさまざまです。今回はそんな「熱はないが喉が痛い」症状についてふれていきましょう。

熱はないが喉が痛い症状で考えられる原因と治し方

喉が痛いという症状の背景には、喉の炎症が存在します。喉が炎症を起こす原因には、風邪やインフルエンザのようなウイルス感染症だけでなく、喉の粘膜が腫れる咽頭炎、扁桃腺が腫れる扁桃炎、扁桃のまわりに膿がたまる扁桃周囲膿瘍、喉頭が腫れる喉頭炎などがあげられます。これらにより喉の粘膜が炎症を起こすことで、神経が刺激されて、喉や喉周辺に痛みを感じるようになります。喉の炎症は日常的に起こる症状であり、痛みが強いときは内科を受診しましょう。

喉の片側だけが痛く、熱はない症状で考えられる原因と治し方

喉の片側だけが痛む場合、扁桃腺が腫れる扁桃炎が原因の一つとして考えられます。扁桃炎が重症化し、扁桃のまわりに膿がたまり扁桃周囲膿瘍となれば、高熱をきたすこともあります。
扁桃周囲膿瘍は、扁桃腺の裏側に膿がたまり、片側の喉や顎の下が強く痛みます。喉の痛みのほかに、顎が開けにくい、飲み込みにくい、話しにくいなどがみられ、若い男性の発症が多い傾向にあります。治療は抗菌剤を使用しますが、効果があらわれにくい場合、たまった膿の部分に針をさして膿を出すことや、切開して取り除くことで痛みが治まります。重症の扁桃炎や扁桃周囲膿瘍は、口を開けて扁桃の腫れを確認することでわかります。扁桃の腫れが目立つ場合は、内科を受診しましょう。

熱はないが喉が痛く、咳が止まらない症状で考えられる原因と治し方

喉の痛みと咳が止まらないといった症状が出る場合、上気道炎やインフルエンザなどが疑われます。上気道炎はいわゆる風邪ですが、ほとんどの原因がウイルスによるもので、咳と喉の痛みのほか熱、くしゃみ、鼻水が主な症状です。インフルエンザは高熱、全身の関節痛、下痢などを伴うことがあります。しかし、咳が数週間以上続く場合や胸などに痛みが伴う場合は、別の疾患も考えられますので、お近くの内科を受診してください。

熱はないが喉が痛く、鼻水が止まらない症状で考えられる原因と治し方

喉の痛みと鼻水が止まらない症状がある場合、アレルギー性鼻炎が原因のひとつとして考えられます。ハウスダストや花粉症などが原因のアレルギー性の鼻炎です。喉の痛みに加えて、咳や鼻づまり、鼻水、くしゃみ、目のかゆみなどがあります。
また、鼻水は透明でさらさらとした状態です。アレルギー性鼻炎は、決して命に関わる病気ではありませんが、近年花粉症に苦しむ人が増えており、重症化すると快適な日常生活を送れなくなる病気です。内科や耳鼻咽喉科を受診しましょう。

熱はないが喉が痛く、気持ち悪い症状で考えられる原因と治し方

喉の痛みと気持ち悪いといった症状がみられる場合、逆流性食道炎が考えられます。逆流性食道炎は、食事やたばこ、アルコール、体型、姿勢などに起因して発症することがあります。喉の痛みに加えて、胸やけや胃もたれ、お腹が張っていたり、ゲップがよく出る、酸っぱいものがこみあげてくるとった症状がみられます。内科や消化器内科で、胃酸の分泌を抑える薬の処方や、生活習慣や食習慣の改善で治療します。

熱はないが喉が痛く、だるい症状で考えられる原因と治し方

喉の痛みとだるい症状の場合、慢性疲労症候群が原因のひとつとして考えられます。慢性疲労症候群は、その名の通り休養や睡眠などいくら休んでも回復しない状態をいいます。全身疲労のほかに、喉の痛みやリンパ節の腫れ、熱っぽいなど風邪に似た症状や睡眠障害や不安・興奮などといった精神障害などもみられます。その症状は多種多様で、原因や治療法はまだ確定されていないのが現状です。

熱はないが喉が痛く、頭が痛い症状で考えられる原因と治し方

喉の痛みと頭痛がみられる場合、風邪やインフルエンザ、新型コロナウイルスのようなウイルス感染症や、溶連菌感染症などが原因として考えられます。溶連菌感染症は、小児に最も多くみられますが、大人でも発症することがあります。症状は、喉の痛み、頭痛、鼻水、せきや痰、全身倦怠感、腹痛など多種多様です。抗生剤での治療が必要になるので、速やかに内科を受診しましょう。

すぐに病院へ行くべき「熱はないが喉が痛い」に関する症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

熱はないが喉が痛く息苦しさを伴う場合は、内科・救急科へ

喉の痛みの他に、呼吸がしにくい、息苦しいといった症状があったら、扁桃周囲膿瘍や急性喉頭蓋炎など、扁桃や喉頭の炎症が重症化し、空気の通り道が狭くなっている可能性があります。仰向けで寝るとより気道が狭くなり、息苦しさが強くなります。このような場合は、速やかに内科あるいは救急科を受診してください。

「熱はないが喉が痛い」症状が特徴的な病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「熱はないが喉が痛い」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

後鼻漏(こうびろう)

後鼻漏は、鼻から喉の奥に流れる鼻水のことです。いくら鼻をかんでも鼻水が前方から流れ出ず、鼻の後方から喉に流れ込んでしまいます。
そのため、鼻水を口から吐き出し続けるか、飲み込み続けるしかありません。また本人が無意識のうちに飲み込んでいるとも言われています。症状は、喉の違和感・引っかかり、痰がからむ、咳こみなどがみられます。後鼻漏の原因となる疾患として、副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎、上咽頭炎などがあげられます。症状が強くて困る場合は、耳鼻咽喉科を受診しましょう。

急性咽頭炎(きゅうせいいんとうえん)

急性咽頭炎は、ウイルス(アデノウイルス、コクサッキーウイルスなど)や細菌(インフルエンザ菌など)の感染によるものが一般的です。刺激性ガスの吸入などによる物理化学的な刺激が原因になることもあります。喉の痛みが急激に現れ、そのほか全身倦怠感、頭痛、発熱などを伴うこともあります。

急性喉頭蓋炎(きゅうせいこうとうがいえん)

急性喉頭蓋炎は、のど仏のあたりにある喉頭蓋に炎症が起こる病気です。喉頭蓋は、食べ物が空気の通り道に入り込まないように、気管に蓋をする役割をしています。そのため、炎症を起こして腫れると、空気の通り道が狭くなって呼吸困難を起こすこともあります。
くぐもったような声になり、喉の痛みが強く唾も飲めず口を開けたままヨダレを垂らしてしまうといった症状があります。急性喉頭蓋炎は、窒息して死亡することもある危険な病気です。呼吸に問題がある場合は速やかに救急病院を受診してください。

扁桃炎

扁桃炎は、細菌やウィルスの感染によって扁桃に炎症が起こる病気です。強い喉の痛みや高熱、寒気、頭痛、全身の倦怠感、関節痛などの症状がある方は要注意です。痛みを我慢していると、扁桃腺の周りに膿がたまる扁桃周囲膿瘍になり、さらに悪化すると呼吸がしづらくなり、緊急手術が必要となる場合があります。早めに耳鼻咽喉科に受診してください。

「熱はないが喉が痛い」ときに市販薬は使用していい?

一時的な喉の痛みの場合、のど飴をなめたり、水分補給やマスク・加湿器を使用したりすることにより喉の痛みを軽減できることもあります。カロナールⓇなどの市販薬で症状が緩和され、治っていくこともあります。
しかし、喉の痛みが長引いていたり、飲み込みづらい、呼吸がしづらいなどといった症状がみられる場合は要注意です。さらに喉の痛みのみならず、喉に違和感や異物感を感じる、すっきりしないといった症状がみられる場合、慢性の咽頭炎、扁桃炎、喉頭炎のほか、咽頭がんや喉頭がんの初期症状の場合もありますので、早めに耳鼻咽喉科を受診することをおすすめします。

「熱はないが喉が痛い」ときの正しい対処法は?

喉が痛い原因にもよりますが、早く治すには、まずは喉への刺激をなるべく抑えることが必要になります。大声を出したり、長時間声を出し続ける、過度の飲酒やたばこ、香辛料や熱すぎるものなどの刺激物は、できるだけ避けるようにしましょう。症状が長引く場合には、内科や耳鼻咽喉科を受診しましょう。

「熱はないが喉が痛い」についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「熱はないが喉が痛い」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

唾を飲み込むと喉が痛いけど熱はない症状は、風邪でしょうか?

楯 直晃 医師楯 直晃 医師

風邪による喉の痛みは、唾を飲み込むと痛む「嚥下時痛(嚥下痛)」であることが典型的です。また唾だけでなく、食べ物を飲み込むときにも痛みを伴います。症状が長引く場合は、他の疾患も考えられます。お近くの内科を受診することを検討してください。

喉が痛くて声が出ず、熱はないときは何科にかかるべきでしょうか?

楯 直晃 医師楯 直晃 医師

喉に痛みに加え、声が出ないといった症状がみられる場合、声帯を含め喉を診察・検査すれば原因がわかる場合があります。お近くの耳鼻咽喉科を受診しましょう。

熱はなく扁桃腺が白くて喉が痛いときは内科に行くべきでしょうか?

楯 直晃 医師楯 直晃 医師

扁桃腺白いものがついていたり、喉に強い痛みがある場合、扁桃炎の可能性があります。細菌やウイルス感染によるもので、抗生剤などによる治療が必要になります。このような場合は、内科や耳鼻咽喉科を受診しましょう。

熱はないが喉が痛い症状が長引く場合、どんな原因が考えられますか?

楯 直晃 医師楯 直晃 医師

喉に痛みにより、飲み込めない、食べられない、呼吸がしづらいなどの症状が出ている場合、喉の炎症はかなり進行している可能性があります。喉の痛みの多くは、1~2週間以内におさまります。痛みが続いている期間、併発している症状などの詳細を含め早めに耳鼻咽喉科に相談してください。

熱はないが喉が痛い症状のセルフケア・予防法を教えて下さい。

楯 直晃 医師楯 直晃 医師

ちょっとした生活習慣が喉への刺激になっていることがあるため、日常的に喉に負担をかけないように心がけることは大切です。大声を出したり、長時間声を出し続ける、過度の飲酒やたばこ、香辛料や熱すぎるものなどの刺激物は、できるだけ避けるようにしましょう。

まとめ

「熱はないが喉が痛い」症状の原因は、喉の使い過ぎによる一時的なものから生命に関わってくるものまでさまざまです。かるい喉の痛みだから「そのうち治るだろう」と放っておくと炎症が広がり、唾を飲み込むのも辛くなるほど悪化してしまうことがあります。症状が長く続く場合や、症状が悪化する場合、また反復して起こる場合などは、原因を特定するためにも早めに医療機関を受診してください。

「熱はないが喉が痛い」で考えられる病気と特徴

「熱はないが喉が痛い」から医師が考えられる病気は22個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

内科の病気

  • 急性扁桃炎
  • 急性咽喉頭炎
  • 急性喉頭蓋炎
  • 亜急性甲状腺炎
  • A群溶血性レンサ球菌(溶連菌)咽頭炎
  • アデノウイルス感染症
  • 咽頭結膜熱(プール熱)
  • 咽頭アレルギー

耳鼻咽喉科の病気

呼吸器科の病気

  • 肺結核
  • 慢性気管支炎
  • 咳喘息
  • 慢性閉塞性肺疾患(COPD)

消化器科の病気

多くは耳鼻咽喉科や内科の病気による症状です。適切な診断を行うには既往歴や病歴をしっかりと聴取することも重要ですので、受診する際には病歴などをしっかりと医師に伝えましょう。

「熱はないが喉が痛い」と関連のある症状

「熱はないが喉が痛い」と関連している、似ている症状は24個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

「熱はないが喉が痛い」他に、これらの症状が見られる際は、「かぜ症候群」「アレルギー性鼻炎」「後鼻漏」「急性喉頭蓋炎」などの病気の存在が疑われます。
複数の症状がある場合やなかなか治らない場合は、早めに医療機関への受診を検討しましょう。

【参考文献】
のどの痛み(済生会HP)

この記事の監修医師