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「ジフテリア」に感染すると現れる症状はご存知ですか?医師が監修!

 更新日:2024/01/09
「ジフテリア」に感染すると現れる症状はご存知ですか?医師が監修!

ジフテリアとは何かご存じですか?
本記事ではジフテリアについての解説および、ジフテリアによる病気の原因や症状、治療法について以下の点を中心に紹介します。

・ジフテリアとは
・ジフテリアの治療
・ジフテリアの予防

ジフテリアについて知るために、ぜひ最後までお読みください。

ジフテリアとは?

ジフテリアとは?

ジフテリアとは何ですか?

ジフテリアは、Corynebacterium diphtheriaeという細菌によって引き起こされる感染症です。
感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律に基づき、第二類感染症に分類され、診断後直ちに届出が義務付けられているものです。
主に咽頭や鼻腔などの粘膜に感染し、毒素の産生による症状が特徴的です。
感染すると、喉の痛みや白い膜の形成、発熱、倦怠感などの一般的な風邪の症状が現れます。
しかし、最も重篤な合併症は喉頭喉管炎であり、この状態では喉の膜が膨らんで呼吸が困難になる可能性があります。
ジフテリアは、空気中の飛沫を介して感染し、未予防の人により深刻な影響を及ぼす場合があります。
ジフテリアは感染力が強く、早期の診断と治療も重要であり、重篤な合併症を引き起こす可能性があるため、公衆衛生上の関心が高まっています。

何が原因でジフテリアに感染しますか?

Corynebacterium diphtheriaeという細菌は、感染者の咳やくしゃみなどの空気中の飛沫を介して、他の人に感染を広げます。
感染の主な経路は、感染者との密接な接触や、感染物質(飛沫や汚染された物体)に触れた手を口や鼻に持っていくことです。
また、感染者のものと共有する飲食具やタオルなどの日常的な接触も感染リスクを高めます。
特に未予防の人々は感染のリスクが高く、免疫力の低下した人々や未接種の子供は重篤な合併症のリスクが増加します。

どのような症状か教えてください。

症状は次のようになります。
呼吸器ジフテリアの場合、鼻、咽頭、扁桃、喉頭などの粘膜に病変が認められます。
初発症状は、発熱、咽頭痛、嚥下困難、嗄声などがあります。厚い灰白色の偽膜が、発症2-3日で形成されることが特徴的です。

ジフテリアの場合、最初に喉の痛み、咳、発熱などがあります。
症状が進むと、喉の奥に白い灰色の膜ができて、呼吸が困難になります。
また、咽頭、扁桃、鼻などにも感染が及ぶことがあります。

その他の症状には、倦怠感、頭痛、吐き気、嘔吐、下痢、筋肉の痛み、関節の痛み、心臓の問題などがあります。

ジフテリアは重篤な合併症を引き起こす可能性があるため、症状が疑われる場合は速やかに医療専門家に相談しましょう。
感染拡大を防ぐためにも、予防接種の重要性や適切な衛生対策を徹底しましょう。
ジフテリアに対する正しい知識と意識を持ち、早期の診断と治療をすることが重要です。

ジフテリアになりやすい人の特徴は何ですか?

ジフテリアになりやすい人の特徴はいくつかあります。
免疫力の低下した人々は感染リスクが高くなります。
免疫力の低下は、ワクチン未接種の子供や、免疫不全状態の成人、高齢者などに見られます。
免疫不全状態では、体内の免疫細胞や抗体の産生が低下し、感染症に対する免疫システムの防御機能が低下します。
その結果、ジフテリアの病原菌であるCorynebacterium diphtheriaeに対する免疫応答が不十分になり、感染しやすくなるのです。

また、ジフテリアに感染しやすい特定の遺伝子型や血液型も存在するとされていますが、その関連はまだ明確ではありません。
さらに、過去にジフテリア感染の既往がある場合も感染リスクが高まる可能性があります。
また、人口密集地や衛生状態の悪い環境に住んでいる人々も感染のリスクが高いとされています。
これは、感染者との接触や感染物質に触れる機会が増えるためです。

ジフテリアの治療法は?

ジフテリアの治療法は?

ジフテリアはどのように治療しますか?

ジフテリアの治療には、抗生物質とジフテリア抗毒素の使用が一般的です。
抗生物質は感染を引き起こす細菌の増殖を防ぎ、感染を制御する役割を果たします。
一般的には、ペニシリン系やマクロライド系の抗生物質が使用されます。
また、感染した傷口や患部の清潔な管理も重要です。

さらに、ジフテリア抗毒素は感染した人の体内に存在する毒素を中和するために使用されます。
これは、ジフテリアの毒素が体内で病状を引き起こす主な原因であり、中和することで病状の進行を抑制します。
ジフテリア抗毒素は病院での投与が行われ、感染の程度や症状の重篤さに応じて適切な量が決定されます。

治療は早期に行われることが重要であり、ジフテリアの疑いがある場合は迅速に医療機関を受診する必要があります。
治療の遅れは合併症のリスクを高めるため、早期の診断と適切な治療が重要です。

治療期間はどのくらいですか?

ジフテリアの治療期間は個人や感染の進行具合によって異なりますが、通常は抗生物質とジフテリア抗毒素の組み合わせ治療が数日から数週間続きます。
初期段階では、ジフテリア抗毒素の投与が行われ、感染した毒素を中和するために使用されます。
この抗毒素の投与は通常、数回にわたって行われる場合があります。
その後、抗生物質が感染の進行を制御し、細菌の増殖を防ぐために投与されます。
抗生物質の使用期間は感染の深刻さや個人の免疫状態によって異なりますが、通常は7日間以上の投与が必要とされます。
ただし、治療期間は個別の症例によって異なるため、医師の指示に従うことが重要です。
また、ジフテリアの治療中には患者の症状や感染の進行を継続的にモニタリングし、適切なタイミングで治療の見直しや追加処置が行われる場合もあります。

重要なのは、治療期間中は完全に感染が制御されるまで治療を続けることであり、早期の治療中断や自己判断は避けましょう。
医師の指示に従い、治療プランを守ることが重要です。

治療すれば治りますか?

ジフテリアは適切な治療が行われれば症状は改善していきます。
治療には抗生物質の投与とジフテリア抗毒素の使用が含まれます。
抗生物質は感染を引き起こす細菌の増殖を抑え、感染を制御する役割を果たします。
ジフテリア抗毒素は感染した毒素を中和するために使用され、重症度や病状の進行に応じて投与されます。
治療の状況によっては個人によって異なる場合がありますが、通常は数日から数週間で症状が改善し、細菌感染が完全に制御されます。

ただし、ジフテリアの治療には注意が必要です。
感染の深刻さや合併症の有無によって、治療期間や病院での管理が異なる場合があります。
また、ジフテリアの治療中には経過観察や追加処置が必要な場合があります。
ジフテリアの早期診断と治療が成功の鍵であり、医師の指示に従って適切な治療を受けることが重要です。

ジフテリアの予防法は?

ジフテリアの予防法は?

ジフテリアの予防法はありますか?

ジフテリアの予防法には、ジフテリアワクチンの接種が主要な手段です。
ジフテリアワクチンは、Corynebacterium diphtheriaeに対する免疫を促すために使用されます。
ワクチンは通常、ジフテリア、百日咳、破傷風の組み合わせで接種され、DTaPワクチン(小児)またはTdapワクチン(大人)として提供されます。
予防接種のスケジュールは地域によって異なりますが、一般的には幼児期から青年期にかけて複数回の接種が行われます。

定期的な予防接種の他に、成人や高リスクな人々には追加のワクチン接種が勧められる場合もあります。
予防接種は重要な公衆衛生対策であり、ジフテリア感染の予防に役立ちます。
ワクチン接種により、感染症の発症を防ぎ、感染を広げるリスクを低減させます。

ただし、予防接種による影響は、定期的な接種と免疫の維持に依存しています。
定期的な予防接種スケジュールに従い、適切な時期にワクチンを受けることが重要です。
また、免疫力の低下や感染リスクの増加がある場合には、追加のワクチン接種の検討が推奨されます。

ジフテリアと破傷風の予防のワクチンはありますか?

ジフテリアと破傷風の予防には、DTワクチンまたはDTaPワクチンが使用されます。
DTワクチンはジフテリア毒素と破傷風毒素の一部を含む不活化ワクチンであり、DTaPワクチンはジフテリア毒素、破傷風毒素、百日咳菌の抗原を含む組み合わせワクチンです。

DTワクチンは幼児期に接種され、一般的なスケジュールは3回の接種です。
DTaPワクチンはDTワクチンと同様に幼児期に3回の接種が行われますが、さらに追加の接種が行われることもあります。

これらのワクチンは免疫システムを刺激し、ジフテリアと破傷風に対する免疫を促します。
予防接種により、感染症の発症を防ぎ、感染を広げるリスクを低減します。定期的な予防接種スケジュールに従い、適切な時期にワクチンを受けることが重要です。

ジフテリアの予防接種の効果はどのくらい持続しますか?

ジフテリアの予防接種による影響は個人によって異なりますが、長期間にわたって持続するといわれています。
DTaPワクチンやDTワクチンを定期的に接種することで、免疫システムはジフテリアに対する免疫を維持し続けます。

予防接種後、初回の接種では初期の免疫応答が生じ、追加の接種により免疫が強化されます。
定期的な予防接種を続けることで、免疫力は高いレベルで維持され、ジフテリアに対する免疫系が確保されます。

予防接種による影響は、個人によって影響を受ける要素が異なります。
年齢、免疫状態、追加のワクチン接種の受け方などが影響を及ぼします。一般的には、予防接種による影響は数年から数十年続くと考えられています。

しかし、予防接種によって確保された免疫機能が完全に消えることもあります。
そのため、定期的なワクチン接種を続けることが重要です。予防接種のスケジュールに従い、定期的な接種を受けることで、ジフテリア感染症からの免疫系が確保されます。
しかし、定期的な接種を怠ると免疫力が低下し、感染リスクが高まるため注意が必要です。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

ジフテリアは、コリネバクテリウム・ジフテリアエ菌による感染症で、喉や鼻の粘膜で菌が増殖し、強い毒素を産生します。
喉の腫れや潰瘍、呼吸困難、心臓や神経系の合併症が起こる可能性があります。
適切な治療は重要で、抗生物質投与により感染を抑え、毒素の産生を止めます。
喉の通気確保や支持療法も行われます。
治療により、合併症や死亡のリスクを軽減できます。
医師の指導の下で早期の診断と治療を行い、感染拡大を抑え、健康状態を安定させましょう。
世界でも、ワクチン接種率の高い国においてはジフテリアは稀な病気となり、幸い日本でも、1999年の報告を最後に、国内でジフテリアにかかった人は報告されていません。
しかし、ワクチン接種率の低い地域や集団で、ジフテリアの集団発生が認められています。
ジフテリアの予防には、ワクチン接種が非常に重要であるということが認識されています。

編集部まとめ

ジフテリア
ジフテリアによる病気について紹介してきました。要点は以下の通りです。

・ジフテリアはCorynebacterium diphtheriaeという細菌によって引き起こされる感染症であり、主に感染者の咳やくしゃみなどの空気中の飛沫を介して感染する
・ジフテリアの治療には抗生物質とジフテリア抗毒素が用いられ、数日から数週間で症状が改善することが多い
・ジフテリアの予防にはワクチンが用いられる

これらの情報が、ジフテリアとはどんな病気なのか知りたい方の参考になると幸いです。最後までお読みいただきありがとうございました。

この記事の監修医師