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「扁桃腺の腫れ」で考えられる病気はご存知ですか?医師が徹底解説!

「扁桃腺の腫れ」で考えられる病気はご存知ですか?医師が徹底解説!

急に襲い掛かる喉の痛みの原因に扁桃腺の腫れがあります。扁桃腺が腫れやすい人は、対処に困ったり悩んだりしているのではないでしょうか。

扁桃の機能は、呼吸した時に空気と一緒に取り込んだウイルスや細菌を排除する重要な役割を持っています。

扁桃腺が腫れる代表的な病気として、ウイルス・細菌の感染が原因となる扁桃炎がありますが、扁桃炎以外にも危険な病気が潜んでいる可能性があります。

この記事では扁桃腺が腫れる原因から、代表的な病気・対処法を自力で治す方法も含めて紹介するので、扁桃腺の腫れに悩んでいる人は参考にして下さい。

竹内 想

監修医師
竹内 想(名古屋大学医学部附属病院)

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名古屋大学医学部附属病院にて勤務。国立大学医学部を卒業後、市中病院にて内科・救急・在宅診療など含めた診療経験を積む。専門領域は専門は皮膚・美容皮膚、一般内科・形成外科・美容外科にも知見。

扁桃腺の腫れの原因・対処法

扁桃腺は片方のみ腫れることや両側とも腫れることもあり、それぞれ原因や症状が異なります。ここでは扁桃腺の症状と対処法を3つ紹介します。

片方の扁桃腺の腫れの原因と対処法

片側だけ扁桃腺が腫れる主な病気として扁桃周囲炎・扁桃周囲膿瘍が挙げられます。扁桃周囲炎とは、扁桃周囲が細菌感染した病気です。症状は咽頭痛・嚥下時疼痛・発熱・発赤・腫脹があります。細菌の感染範囲が広がると膿が生じることがあり、この病気を扁桃周囲膿瘍と言います。症状は扁桃周囲炎と同様に咽頭痛・嚥下時疼痛・発熱だけでなく頸部リンパ節腫脹・口臭・くぐもった声などがあり、若年層によく見られる病気です。膿瘍がなく扁桃周囲の炎症だけの場合は抗菌薬を内服することで、48時間以内に細菌を排除できます。炎症が酷い場合は点滴を行い、膿が発生している場合は患部に針を刺し、膿を摘出する処置を行います。小児が感染した場合は必要に応じて扁桃摘出手術を行いますが、大人は基本的に手術は行いません。治療には抗菌薬の投与が必要なので、当てはまる症状があった場合は早期に医療機関で受診しましょう。

両方の扁桃腺の腫れの原因と対処法

両方の扁桃腺の腫れは、扁桃咽頭炎が主な原因となります。EB・アデノ・RS・インフルエンザ・コロナウイルスなどウイルスが原因であることが多いですが、A群β溶血性レンサ球菌という細菌が原因となる場合もあります。特徴的な症状は嚥下時咽頭痛ですが、それ以外にも耳への関連痛・熱発・倦怠感・消化管障害・発赤もよく出る症状です。対処法は主に対症療法鎮痛・安静・水分補給などがありますが、細菌が原因で症状が出現している場合は抗菌薬を使用し治療を行います。A群β溶血性レンサ球菌が原因で扁桃炎を繰り返し発症する人には扁桃摘出術も検討します。ただし2歳未満の閉塞性睡眠障害を患っている乳児・病的に肥満体型の人・神経疾患のある人などは合併症を併発しやすいので、手術する前にしっかり医師と相談しましょう。

熱のない扁桃腺の腫れの原因と対処法

扁桃腺が腫れていても熱が出ない場合もあり、一般的に多いのは慢性扁桃炎です。慢性扁桃炎は、急性扁桃炎を繰り返すことで出現します。症状は咽頭痛・腫脹・嚥下時疼痛と急性扁桃炎と症状は変わりません。熱発せず咽頭痛だけを自覚する人が多いのが特徴です。
対処法は保湿・水分補給・栄養バランスの良い食事をすることなどが挙げられます。受診する時間がない場合は咽頭痛に効果がある薬を内服しても問題ありませんが、熱がないからと安心するのではなく扁桃腺が腫れるなど気になる症状がある場合は、必ず医療機関を受診しましょう。他に熱のない扁桃腺の腫れとして扁桃肥大があります。これは4〜8歳の小児によく見られる所見ですが、病的なものと生理的なものとで原因が分けられます。小児はまだ抵抗力が低いので扁桃が肥大しやすいのですが、生理的なものであれば特に治療する必要もありません。ただし扁桃が過剰に大きくなった場合や病的な原因の場合は睡眠時無呼吸症候群を誘発し溶連菌に感染しやすくなるだけでなく、悪化してしまうと呼吸困難食事が食べられないというような状態になってしまいます。溶連菌は腎炎・心内膜炎・リウマチ熱などを引き起こすことで有名で、早期発見・治療が重要です。生活に影響がある場合は薬物治療や手術というような治療も必要になるので、状態をよく観察して必要時には医療機関へ受診して下さい。

扁桃腺が腫れる代表的な病気

扁桃腺が腫れる原因は、扁桃腺の感染が原因でない場合もあります。ここでは扁桃腺が腫れる原因となる疾患を2つ解説します。病気の症状や対処法を理解し、自分に当てはまる場合は早めに医療機関へ受診しましょう。

咽頭炎

咽頭炎とは咽頭に炎症がある病気です。咽頭は鼻・口を介して外部の空気に触れることが多いため、感染しやすい部位です。疲労の蓄積・寝不足・不規則な生活・ストレスなどが原因で免疫力が落ちると感染しやすくなります。症状は咽頭違和感・咽頭痛・嚥下時疼痛・倦怠感があり、場合によっては熱発することもあります。基本的には安静・刺激物を控える・うがいをこまめに行うという対症療法になりますが、必要に応じて抗菌薬を使用することもあるので、症状が長引く場合には医療機関を受診しましょう。

扁桃炎

扁桃炎とは、咽頭の奥にある両側の扁桃がウイルスや細菌感染を起こした病気です。嚥下時疼痛や扁桃の腫れがあり、白い膿を持つことや熱発することもあります。治療方法は咽頭炎と変わらず安静・必要時抗菌薬の投与ですが、膿を持っていた場合は針を刺し膿を出す処置も行います。症状が悪化し扁桃の腫れがひどく食事が摂取できない場合は入院する必要もあるので、医師に早めに相談しましょう。
  

扁桃腺の腫れの対処法

扁桃腺の腫れが出た時に自分で実践できる対処法を知っておくと、症状の緩和に繋げられます。ここでは3つの対処法を紹介するので、扁桃腺が腫れた場合に試してみましょう。

規則正しい生活

扁桃が腫れているということは少なからずダメージを受けている状態なので、十分に休息を取ることが改善への近道になります。仕事などで忙しく疲労が溜まると、体も十分に休まらず免疫が下がり治りづらくなってしまいます。十分に睡眠を取り、適度な運動と栄養バランスを考えた食生活など規則正しい生活を送るようにしましょう。また喫煙も扁桃が腫れる要因になるので、扁桃の腫れを繰り返して日頃喫煙習慣がある人は禁煙を検討してみるのも良いでしょう。

加湿

冬場など寒い季節は空気が乾燥し、室内でも暖房などエアコンを使用すると湿度が下がり喉が乾燥しやすい状態になります。乾燥すると咽頭痛が増強するだけでなく、ウイルスの活性化を高めてしまうので症状が長引いたり悪化したりする危険があります。他にも喉にある線毛の働きも弱まり、さらに感染しやすい環境になってしまうのです。喉の乾燥を予防するためにも加湿器を各部屋に置き、適度な湿度を保つようにして水分もこまめにとるよう心がけましょう。外出時はマスクを着用すると、外でも乾燥を防ぐことができます。

重症化するまえに病院へ

扁桃が腫れても熱がなくて「大丈夫かな」と安心していると、症状が悪化し入院や手術しなければならない状況になる可能性があります。扁桃炎や咽頭炎の場合は、対症療法で安静にして治ることもありますが、原因が不明のまま放置するのは危険なので、扁桃炎を繰り返す人だけでなく初めて症状が出た人も早めに医療機関を受診して下さい。受診する医療機関は耳鼻科内科を選びましょう。

ストレスと扁桃腺の腫れの関係は?

扁桃腺の腫れとストレスは密接な関係にあります。ストレスを感じるとアドレナリンなどのホルモンを流出することで咽頭痛を誘発し、更に放置すると余計にストレスがかかり症状を悪化させてしまう可能性があります。一時的なストレスであればそこまで大きな問題にはなりませんが、慢性的にストレスがかかる環境にいるのは体への負担も大きいです。ストレスがかからないよう気をつけて、症状が軽度であっても早めに医師へ相談すると良いでしょう。

まとめ

扁桃腺の腫れは扁桃炎のように比較的軽症の病気もありますが、がんや扁桃周囲膿瘍のように手術や外科的処置が必要になる場合もあります。

よく扁桃腺が腫れるからと自身で勝手に判断するのは危険なので、扁桃腺が腫れている場合には医療機関を受診し、適切な治療を受けて下さい。

受診を後回しにしてしまうと膿瘍のように症状が悪化し、万が一がんを患っていた場合は治療が困難になるケースもあり得ます。

「早めに受診すれば良かった」などと後悔しないよう早めに医師に相談し、日頃からストレスを溜めないように規則正しい生活を送るよう意識しましょう。

この記事の監修医師

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