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「足に力が入らない」原因は?一時的に力が入らない症状・治し方を解説!

「足に力が入らない」原因は?一時的に力が入らない症状・治し方を解説!

足に力が入らない時、身体はどんなサインを発しているのでしょうか?Medical DOC監修医が考えられる病気や何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

村上 友太 医師

監修医師
村上 友太 医師(東京予防クリニック)

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医師、医学博士。福島県立医科大学医学部卒業。福島県立医科大学脳神経外科学講座助教として基礎・臨床研究、教育、臨床業務に従事した経験がある。現在、東京予防クリニック院長として内科疾患や脳神経疾患、予防医療を中心に診療している。
脳神経外科専門医、脳卒中専門医、神経内視鏡技術認定医。日本認知症学会、抗加齢医学会、日本内科学会などの各会員。

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「足に力が入らない」症状で考えられる病気と対処法

周囲の人から足に力が入らないといった経験をお聞きしたことはないでしょうか?足の脱力・筋力低下は、病院受診における頻度の高い症状であり珍しくありません。様子をみていい場合もありますが、そうでない場合には後遺症が残る可能性もあるため、初期対応が重要です。考えられる病気とその対応を解説していきます。

足に力が入らない症状で考えられる原因と治し方

足に力が入らない症状のうち、最も緊急性があり頻度も高い原因は、脳卒中が挙げられます。
後で詳しく説明しますが、手足の脱力や麻痺以外にもさまざまな症状が出現し、発症からの経過時間で治療法や後遺症も変わる可能性があり、緊急性があります。疑わしい場合はためらうことなく、すぐに救急車を要請して脳神経内科・脳神経外科のある病院を受診しましょう。

一時的に足に力が入らない症状で考えられる原因と治し方

一時的に足に力が入らなくなり短時間(数分~24時間以内)で回復する症状を指します。このような場合、一過性脳虚血発作が疑われます。

一過性脳虚血発作(TIA)

一時的に脳梗塞(脳の血管に血栓がつまってしまう病気)が生じ、脳の血流が悪くなるために生じます。特に片方の手足のみの脱力やしびれ、呂律がまわらなくなるなどの症状が特徴的です。
脱水などで血液が濃くなっていると起きやすいので、夏場はこまめな飲水を心がけましょう。また、短時間で回復したからと言って、安心してはいけません。一過性脳虚血発作を起こした方は、1か月以内に高確率で脳梗塞を発症する可能性が高いと言われています。すぐに脳神経内科や脳神経外科を受診しましょう。

足に力が入らず、麻痺・しびれを感じる症状で考えられる原因と治し方

足に力が入らず、触った感覚が乏しくなる、電気が走ったような異常な感覚があるなどの症状を指します。このような場合、腰椎椎間板ヘルニアが疑われます。

腰椎椎間板ヘルニア

腰椎椎間板とは、腰椎と腰椎の間にあり圧を分散させるクッションの機能を果たしています。椎間板に亀裂が入り、その一部が、そばにある神経の方へ突出し神経の通り道が狭くなってしまうと腰椎椎間板ヘルニアと呼ばれます。
腰に負担のかかる作業や姿勢、体幹筋(腹筋、背筋)の低下、体重増加がリスクとなるため、適度な運動を心がけましょう。
しびれや痛み(腰痛、足の痛み)のみであれば、内服薬などの保存的治療で症状を和らげ、手術をせずに軽快する(ヘルニアが自然に消失する)可能性も十分あります。しかし、脱力が生じている時や尿が出にくくなるなどの症状があれば、手術を要する場合もあります。疑わしい症状がある場合は早めに整形外科への受診をご検討ください。

疲れで足に力が入らない症状で考えられる原因と治し方

歩行中に足が疲れたように重だるくなり、脱力やしびれを自覚し、立ち止まったり休憩をしたりすると回復する症状を指します。このような症状を間欠性跛行(かんけつせいはこう)と呼びます。この場合、考えられる病気は、腰部脊柱管狭窄症と閉塞性動脈硬化症の2つがあります。

腰部脊柱管狭窄症

腰部脊柱管狭窄症は、腰椎部の神経の通り道が狭くなることが原因で、両方の足の全体に症状があり、前屈みで歩行すると楽になるということが多いです。主な診療科は整形外科です。体幹筋(腹筋、背筋)の低下や、体重増加が増悪(悪化)の要因となることがあり、日ごろからの適度な運動が推奨されます。

閉塞性動脈硬化症

閉塞性動脈硬化症は、片方の足の膝下に症状があり、足を冷たく感じることが多いです。主な診療科は循環器内科です。糖尿病、高脂血症、高血圧などの生活習慣病に加え、喫煙などがリスクの原因となることが多いと言われています。

高校生の足に力が入らない症状で考えられる原因と治し方

10-20歳台の若い年齢層でも、足の力が入らなくなることもあり、ナルコレプシーの可能性が疑われます。

ナルコレプシー

ナルコレプシーは、睡眠異常の一種で、主な症状は、睡眠発作(日中に突然強烈に生じる眠気)と脱力発作(喜怒哀楽の感情が強く動いた後に急に手や足の力が抜ける)があります。また、金縛りや眠っている時の幻覚があり、睡眠時間は確保しても良質な睡眠がとれないため、疲れがとれず日中の眠気が増悪(悪化)するという悪循環に陥ります。
日常生活に支障をきたす場合や、運転の必要があり交通事故の可能性が考えられる場合などは、精神科、心療内科、睡眠外来を受診しましょう。

すぐに病院へ行くべき「足に力が入らない」に関する症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

片方のみの手と足の脱力がある場合は、脳神経内科・脳神経外科へ

急に左右差のある足の脱力を生じた場合に注意したい病気は脳卒中です。発症からの経過時間で治療法や後遺症も変わる可能性があり、緊急性があります。手足の脱力や麻痺、しびれ、頭痛、嘔気(吐き気)・嘔吐、ものが二重に見える、呂律がまわらないなどさまざまな症状が特徴です。
脳卒中とは、脳梗塞、脳出血、クモ膜下出血の総称ですが、いずれも後遺症残存の可能性が高く、救急車での病院搬送が望ましい病気です。すぐに救急車を要請しましょう。

「足に力が入らない」症状が特徴的な病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「足に力が入らない」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

脳卒中

脳卒中とは、脳梗塞、脳出血、クモ膜下出血を一括りにした言葉で、脳の異常箇所により力が入らなくなる体の部位もさまざまです。急に手足の脱力や麻痺、しびれ、頭痛、嘔気(吐き気)・嘔吐、呂律がまわらない、ものが二重に見える、ふらつきなどの症状が現れます。朝起きたら急に立てなくなるなどの症状が出現している場合もあります。
このような脳卒中を疑うような症状がある場合、自宅ですぐにできる処置はありません。発症からの経過時間で治療法や後遺症が変わる可能性があるため、すぐに救急車を要請して脳神経内科や脳神経外科のある病院を受診しましょう。
喫煙者や、生活習慣病(高血圧、脂質異常症、糖尿病など)があり、脳卒中リスクが高い方は、日ごろから発症時に周囲へすぐ連絡を取れるような対策を練りましょう。

重症筋無力症

重症筋無力症とは、神経と筋肉の接合部において、刺激伝達が障害されることにより、太ももや上腕などに筋力低下を感じたり、疲れやすさを感じたりする病気です。
物が二重に見える、瞼が下がってくるなどで症状が初めて出現することが多く、手足の筋力低下、呂律不良や飲み込みにくいなど多岐にわたる症状を認め、重症例では呼吸筋が障害され自分で呼吸ができなくなります。有病率は年間5人/10万人程度で、女性は20-40歳代が最も多く、男性では50歳以上に多くみられる傾向にあります。
診断は、採血検査や筋電図検査などがあり、レントゲンなどの画像検査で胸腺腫が発見されることが多々あり、原因との関連が示唆されています。
治療は、ステロイドなどの内服加療(治療)がメインで、重度により胸腺摘出術や血漿交換なども検討されます。感冒やストレスが病状悪化の原因となり得ます。原因不明の四肢の易疲労性(手足の疲れやすさ)や脱力を認める場合には、神経内科を受診し精密検査をしましょう。

多発性筋炎

多発性筋炎とは、本来は自分の体を守るはずの免疫の異常により、筋肉に炎症を起こし、太ももや上腕などに筋力低下や疼痛(ずきずきした痛み)を感じる病気です。
両足の筋力低下で初めて症状が出現することが多く、手足の筋力低下、筋肉痛、飲み込みにくいなど様々な症状を認め、発症後3か月で歩行不能となることもあります。有病率は年間2-5人/100万人程度で、女性に多く、5-15歳と40-60歳代にピークがあります。
診断は、採血検査や筋電図、筋生検などでつけることができます。治療は、ステロイドや免疫抑制薬などの薬物療法がメインです。膠原病の一種であり、他の膠原病との合併が多く報告されており、悪性腫瘍や肺炎などの合併症も認めるため、膠原病内科での精密検査が必要となります。

ギラン・バレー症候群

ギランバレー症候群とは、末梢神経の異常が原因で、足の異常感覚や脱力からはじまり、徐々に手にも同様の脱力、麻痺が出現する病気です。
細菌、ウイルスによる感冒症状、下痢などが前駆症状(前兆となる症状)としてみられ、1-3週間後に足の異常感覚(触った感じが乏しい、しびれるなど)で急に発症します。発症後数日~2週間以内にピークとなり、その後徐々に改善し、数週~数か月以内に治癒することが多くなっています。しかし、後遺症が残る症例(約15%)、重症例では呼吸筋も侵されるため呼吸困難、死亡例も報告されています。有病率は年間1-2/10万人程度で、年齢に関係なく発症します。診断は、採血検査や髄液検査、神経電動速度検査などで判断します。
治療は、免疫グロブリンの大量静注療法や血漿交換療法が行われます。感冒症状(風邪症状)の後に足に力が入らなくなるという特徴的な発症方法なので、疑わしい場合は脳神経内科への受診を心がけましょう。

「足に力が入らない」ときの正しい対処法は?

足に力が入らない場合は、脳卒中のような緊急性のある病気や、重症筋無力症などの専門医の診察を要する場合があります。容易に市販薬を飲んで対応してはいけません。また足の力を改善させる市販薬もありません。腰椎椎間板ヘルニアなどの神経圧迫による疼痛に対して、プレガバリンという内服薬がありますが、医療機関での処方以外には手に入りません。
足に力が入らない場合は、手術治療が必要かどうかの判断もしなくてはいけません。過度な疲れや睡眠不足、日々の運動不足(筋量低下)から足の力が入らないという場合もありますが、判断の難しい症状のためなるべく早めに病院を受診しましょう。

「足に力が入らない」についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「足に力が入らない」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

寝起きに脚に力が入らないことがあります。原因は何でしょうか?

村上 友太(むらかみ ゆうた)医師村上 友太(むらかみ ゆうた)医師

起きている時と寝ている時では腰椎の並びに変化が生じるため、腰椎由来の病気(腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症)がある患者さんは、寝起きが一番悪いと言われることがあります。

片足(左足・右足だけ)の力が入らない症状は何科を受診すべきですか?

村上 友太(むらかみ ゆうた)医師村上 友太(むらかみ ゆうた)医師

左足のみ、右足のみの脱力の場合、脳神経内科、脳神経外科、整形外科のいずれも考えられます。しかし、脳卒中など緊急性のある病気の場合がありますので、まず脳神経内科や脳神経外科を優先すべきでしょう。

足に力が入らない症状の予防法を教えてください。

村上 友太(むらかみ ゆうた)医師村上 友太(むらかみ ゆうた)医師

脳卒中や閉塞性動脈硬化症など血管に関係する疾患の場合、喫煙や高血圧、脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病が原因であるため予防可能です。適度な運動、規則正しい食事、睡眠時間の確保など生活習慣の是正から検討してみてください。
腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症は、体幹(腹筋、背筋)の筋量低下や、体重の過度な増加があると生じやすくなります。体重管理と体幹トレーニングを実践しましょう。

子供が足に力が入らないと言っています。何か大きな病気でしょうか?

村上 友太(むらかみ ゆうた)医師村上 友太(むらかみ ゆうた)医師

子供が足に力が入らなくなる病気も頻度は低いのですが考えられます。小児科を受診して相談しましょう。

椎間板ヘルニアにかかると手足に力が入らない症状が起きますか?

村上 友太(むらかみ ゆうた)医師村上 友太(むらかみ ゆうた)医師

頸椎なら手の脱力、腰椎なら足の脱力は起こり得ます。脱力が生じている場合、内服のみで対応できず手術加療を検討しないといけないこともあるので、早めに整形外科を受診してください。

まとめ

実際に、足に力が入らない症状を経験された方は少ないかもしれません。
自宅で様子をみてはいけない病気も含まれていますので、疑わしい場合や長引く場合には早めに受診を心がけましょう。

「足に力が入らない」で考えられる病気と特徴

「足に力が入らない」から医師が考えられる病気は17個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

整形外科の病気

眼科の病気

急に足の力が入らなくなった場合には、脳卒中のような緊急性の高い病気が考えられますので、ためらわずに救急要請して病院受診してください。

「足に力が入らない」と関連のある症状

「足に力が入らない」と関連している、似ている症状は8個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 足が動かない
  • 足の力が弱い
  • 歩くことができない
  • 転びやすい
  • 足の感覚がない
  • 足の感覚が鈍い

「足に力が入らない」の他に、これらの症状が見られる際は、「脳梗塞」「脳出血」「てんかん」「腰部脊柱管狭窄症」「一過性脳虚血発作」などの病気の存在が疑われます。
急な症状の出現の際には、すぐに医療機関へ受診することを検討しましょう。

この記事の監修医師