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「脳出血で意識が戻らない」時の”余命”はご存じですか?意識が戻る平均期間も医師が解説!

 公開日:2026/04/30
「脳出血で意識が戻らない」時の”余命”はご存じですか?意識が戻る平均期間も医師が解説!

脳出血は、ある日突然発症し、重篤な場合は意識障害を伴う深刻な病気です。予後は、出血した場所や量、発症直後の治療経過によって異なります。

本記事では、脳出血で意識が戻らない場合の余命や意識回復の可能性、出血部位ごとの特徴、治療法について解説します。

不安を抱えるご家族のために、正しい知識と今後の見通しをお伝えします。現在の状況を正しく理解し、今後の向き合い方を考えるための一助となれば幸いです。

伊藤 規絵

監修医師
伊藤 規絵(医師)

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旭川医科大学医学部卒業。その後、札幌医科大学附属病院、市立室蘭総合病院、市立釧路総合病院、市立芦別病院などで研鑽を積む。2007年札幌医科大学大学院医学研究科卒業。現在は札幌西円山病院神経内科総合医療センターに勤務。2023年Medica出版社から「ねころんで読める歩行障害」を上梓。2024年4月から、FMラジオ番組で「ドクター伊藤の健康百彩」のパーソナリティーを務める。またYou tube番組でも脳神経内科や医療・介護に関してわかりやすい発信を行っている。診療科目は神経内科(脳神経内科)、老年内科、皮膚科、一般内科。医学博士。日本神経学会認定専門医・指導医、日本内科学会認定内科医・総合内科専門医・指導医、日本老年医学会専門医・指導医・評議員、国際頭痛学会(Headache master)、A型ボツリヌス毒素製剤ユーザ、北海道難病指定医、身体障害者福祉法指定医。

脳出血とは

脳の中にある血管が何らかの原因で破れ、脳内に出血してしまう病気です。脳の血管が破れると、溢れ出した血液が固まって血腫(けっしゅ)を作り、脳細胞の破壊や周囲の脳を圧迫します。これにより、手足の麻痺や言語障害、意識障害など、出血した部位に応じたさまざまな症状が現れます。
主な原因は高血圧です。長期間の高血圧によって動脈硬化が進むと、血圧の変動に耐えきれずに破裂してしまいます。高齢の方では脳アミロイド血管症という血管の変性が原因となることもあります。
発症直後に命を落とすことが多く、命を取り留めても重い後遺症をもたらす可能性が高い病気です。

脳出血で意識が戻らない場合の余命

余命を明確に予測することは、医学的にとても難しそうです。発症後1ヶ月以内の死亡率は16%程度に達するといわれています。意識が戻らない状態が続く場合、生命予後は合併症の管理に大きく左右されます。
自力で動けないことによる肺炎(誤嚥性肺炎)や尿路感染症などが命取りになるリスクが高まるためです。

脳出血後に意識が戻るまでの平均期間

個人差がありますが、一般的には発症から2週間〜1ヶ月がひとつの目安です。脳出血が起こると、血腫そのものの圧迫に加え、脳浮腫(のうふしゅ)と呼ばれる脳のむくみが発生します。
このむくみは発症後数日でピークを迎え、2週間程度かけて徐々に引いていきます。そのため、脳浮腫が改善するにつれて圧迫が解除され、意識が回復してくるケースが多いそうです。

脳出血の好発部位

脳出血と一言でいっても、出血する場所によって症状や重症度、予後はまったく異なります。ここでは、脳出血が起こりやすい5つの部位(好発部位)ごとの特徴を解説します。

小脳

小脳(しょうのう)は、身体のバランスや運動の調節を司る部位です。脳出血全体の約10%が小脳出血といわれています。
主な症状は、突然の激しいめまい、嘔吐、後頭部の頭痛、立っていられないほどのふらつき(歩行障害)です。出血量が増えて血腫が大きくなると、前方にある脳幹が圧迫されて急激に意識障害が進行します。

視床

視床(ししょう)は、手足から送られてくる感覚情報を大脳へ中継する役割を担っています。特徴的な症状は、出血した側とは反対側の手足のしびれや感覚鈍麻です。運動麻痺よりも感覚障害が強く残ることが多く、発症後に視床痛と呼ばれる激しい痛みに長期間悩まされることがあります。
視床の内側に出血が及ぶと、脳室内に血液が入り込み脳室穿破(のうしつせんぱ)を起こしやすくなります。こうなると水頭症を併発し、意識障害が重篤化しやすいそうです。

被殻

被殻(ひかく)は全体の約40〜50%を占める好発部位です。身体の運動機能を調節する役割を持っています。
主な症状は、出血した反対側の手足の運動麻痺と感覚障害です。出血が左側の脳(優位半球)で起こった場合は、言葉が話せなくなったり理解できなくなったりする失語症を伴うことが多いそうです。
右側の脳で起こった場合は、空間の半分を認識できなくなる半側空間無視などの高次脳機能障害が現れることがあります。

皮質下

皮質下(ひしつか)出血は、大脳の表面に近い白質で起こる出血です。脳出血全体の約10%を占めます。高齢の方では脳アミロイド血管症、若い方では脳動静脈奇形(AVM)などが原因となるケースが多いそうです。
ほかの部位の出血に比べてけいれん発作(てんかん)を伴いやすいのが特徴です。意識障害は軽度で済むことが多いそうですが、出血範囲が広い場合や基礎疾患(動脈瘤など)がある場合は注意が必要といえるでしょう。

脳幹

脳幹(のうかん)、特に橋(きょう)と呼ばれる部位での出血は、脳出血の中で生命の危険が高いタイプです。脳幹は呼吸や心拍、血圧調整、意識の維持など、生命活動の根幹を司る場所だからです。
脳幹出血を発症すると、発症直後から深い意識障害に陥ることが多く、呼吸障害や四肢麻痺(両手足が動かない)、縮瞳(瞳孔が小さくなる)が見られます。予後は極めて不良です。外科的な血腫除去が困難であり、治療は薬物療法による保存的治療に限られます。

脳出血の治療法

脳出血の治療は時間との勝負であり、患者さんの状態に合わせて適切な方法が選択されます。主な3つの治療アプローチについて解説します。

手術

脳出血の手術は、主に血腫を取り除いて脳への圧迫を減らし、救命や症状の悪化を防ぐ目的で行われます。
すべての患者さんに手術が行われるわけではなく、出血部位、血腫の量、意識レベルなどを総合的に判断して決定されます。代表的な手術法は以下の3つです。 

     
  • ・開頭血腫除去術
  • ・内視鏡下血腫除去術
  • ・定位的血腫吸引術
 

また、脳室内に出血が及んで水頭症を起こしている場合は、脳室ドレナージという管を入れて髄液と血液を排出する処置が行われます。

薬物治療

脳出血のすべての患者さんに行われる治療法です。まずは、降圧薬(カルシウム拮抗薬や硝酸薬など)を点滴で投与し、血圧をコントロールします。次に、抗脳浮腫薬(こうのうふしゅやく)です。
脳のむくみ(浮腫)を軽減させて脳圧を下げることで、脳細胞の障害を抑えます。そのほか、止血剤、胃薬、抗けいれん薬などが患者さんの状態に合わせて適切に投与されます。

リハビリテーション

急性期では、廃用症候群を防ぐために、早期に座る練習や立つ練習を行います。回復期(発症後数ヶ月)では、機能回復を目指すため、歩行訓練、日常生活動作(着替え、食事など)の訓練、発語や嚥下の訓練が集中的に行われます。
生活期(維持期)では、自宅や施設で獲得した機能を維持するためのリハビリテーションが中心です。早期から継続的にリハビリテーションを行うことが、後遺症の軽減と機能回復の鍵です。

脳出血で意識が戻らない場合の余命についてよくある質問

ここまで脳出血の意識が戻らないときの余命や脳出血の好発部位、治療法などを紹介しました。ここでは「脳出血の意識が戻らないときの余命」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。

脳の病気を発症した場合は余命にどのような影響を与えますか?

脳出血などの脳の病気を発症すると、健康な同年代の方と比較して余命が短くなる傾向があります。
寝たきりや意識障害がある場合、誤嚥性肺炎などの感染症を繰り返すことが多く、これが直接の死因となるケースが多いそうです。

後遺症がなければ余命は長くなりますか?

幸いにして脳の出血が少量で、適切な初期治療が行われた結果、後遺症をほとんどもたらさないケースがあります。身体機能や認知機能が保たれていれば、肺炎などの合併症リスクが低くなるため、一般的な平均余命に近い期間を生きられる可能性が高まります。
大切なのは再発予防です。血圧のコントロール、禁煙、減塩などの生活習慣管理を怠らないことが長生きの秘訣です。

編集部まとめ

脳出血で意識が戻らない場合の余命や、回復の見込みについて解説しました。ご家族にとって、意識が戻らない状態を見守り続けることは精神的に大きな負担です。
しかし、医療チームと連携し、適切なケアとリハビリテーションを続けることで状態が安定するケースもあります。
焦らず、医師と相談しながら道を探っていきましょう。

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  • 運動麻痺(片麻痺)
  • 感覚障害
  • 構音障害
  • 失語症
  • 嚥下障害(えんげしょうがい)
  • 高次脳機能障害
  • 水頭症

リハビリテーションによってある程度の改善が見込めますが、症状が固定して残る場合も多いため、生活環境の調整や介護サービスの利用を含めた長期的な対策が必要となります。

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